予算特別委員会・知事総括質疑(2004年3月22日)

原田 完(日本共産党 中京区)

鳥インフルエンザ問題  被害の実態に応じた補填・支援策を

【原田】日本共産党の原田完です。

まず、高病原性鳥インフルエンザ問題では、知事をはじめ、府職員や関係者の皆さんの不眠不休の取り組みに敬意を表します。私どもも解決にむけ、全力で当たることを表明し質問に入ります。

日本共産党は丹波町で鳥インフルエンザ感染が発覚した直後から、対策本部を設けて、養鶏農家や鶏肉卸、販売業者等を訪問して、被害状況と切実な要求調査をおこなってきました。そして3月5日に、わが府議団の松尾団長は西山とき子参議院議員とともに農水省に赴き、亀井農林水産大臣に直接要請を行ってきたところです。

今回の事態ではっきりしたのは、家畜伝染病予防法が、大規模養鶏を想定せず、届出の義務や被害の補償の問題など、多くの欠陥が明らかになりました。日本共産党は17日、家畜伝染病予防法の一部改正案を発表し、その改正を早急に求めています。政府は、BSE問題でWHO勧告を事実上無視し、行政通達で済まし大きな批判を受けました。鳥インフルエンザ対策でも、危険性を指摘されながら、法改正を放置し、昨年9月に行政権限のない防疫マニュアルで対処した結果、浅田農産のような事態を招きました。重大な失政を繰り返した政府の責任は重大です。

知事は今回、鳥インフルエンザ対策として、8億円余の補正予算を組んで、移動制限区域内農家には、損失補填を含め対策が講じられていますが、これに係わって、まず養鶏農家対策について質問します。

1は養鶏農家の実情に即した損失補填についてです。養鶏農家は、京・丹波の地鶏として、付加価値を高めるため、鶏卵も鶏肉も高い飼育コストをかけてブランド作りをおこなってきました。それが一般と同じ評価では、養鶏農家にとっては大変な不利益です。実情に合わせた評価で損失補填の算出を行ない養鶏農家の救済をすべきですがいかがですか。

2は移動禁止区域外の養鶏農家等への損失補填問題です。 30Km圏外の業者も多大な被害を受けています。たとえば京都市中京区の素雛業者は、丹波へ雛の出荷が殆どでした。いま、丹波に雛を送ることはできないため自主休業中です。30Km圏内は補償対象になっても、中京のこの業者には補償はありません。圏内圏外にかかわりなく、今回の事態で多大な被害を受けています。移動禁止区域外養鶏業者等についても状況をよく調査し損失補填が必要ですがいかがですか。

3に養鶏農家緊急融資の適用枠拡大の問題です。養鶏農家緊急融資に利子補給をして、末端金利0%で援助が受けられる事は歓迎です。制限区域外でも養鶏農家は出荷が大きく落ち込み、結果としては区域内養鶏農家と同じように大きな被害を受けています。区域内のブロイラーは出荷停止で飼育日数の超過により、商品価値が無くなり殺処分と同様な被害です。経営再開・維持・支援に経営継続資金及び経営維持資金の1004万円と言う貸付限度額の引き上げが必要です。是非とも国に貸付限度額の引き上げを働きかけることが必要ではないでしょうか。

 

【知事】養鶏農家への規制だが、法律と国のマニュアルに従い30km圏内の養鶏農家に移動制限を実施した。各農家の協力に大変感謝している。

採卵した卵が出荷できない、ブロイラー農家は肉が出荷できない、ヒナ農家は一軒あるが、出荷できないだけでなく、保管するにも金が要る。そのような状況の中で大変厳しい状況に置かれているのが現実。

しかし、国においては移動制限に伴なう補填措置が整備されておらず、山口県においても山口だけに適用される臨時措置だった。府としては法に基づく措置に対し、補填措置がないことはおかしいと、知事会などを通じ要請した。国は現在要請を受け、鳥インフルエンザ総合対策の中で補填措置を講ずることを決めた。その中では、ブロイラー対策や、焼却措置にも補填を講じるなどの形が出てきている。

しかし、ブランド卵や丹波地鶏の肉の高い部分についても、知事会の要望活動の中で、農水大臣はじめ、必要な要請をしているが、残念ながらまだ、具体的措置がないのが実状であり、引き続き国の補填措置を求めて行きたい。

30km圏外の補填措置だが大変難しい問題。SARSの被害や阪神大震災の被害など、被害を受けられた方々への補填問題は財政的問題も含め、範囲の確定、社会的損失の負担のあり方などいろいろな問題がある。そのため、中々難しく、支援措置がないのが現状。

私ども風評被害について融資対策を充実等を行うとともに、国に対し、どういう形で対策ができるかをしっかりと要請していきたい。

経営継続資金は、府は円滑な貸付が行えるよう緊急要望をしてきたが、今後、影響を受けた関係農家からの融資相談の中で、実態を十分に踏まえ必要な要請を引き続き行っていきたい。

 

流通・小売など関連業者の被害に補償を。融資は金利ゼロに

【原田】まさに災害という状況であり、その認識のもとで、被害を受けた方々にしっかりした支援を行うとともに、ブロイラー農家は、この2〜3か月だけで、1羽550円もの損失だという計算も出ていたので、この点強く要望しておきます。

次に、鶏肉、鶏卵の取扱い業者対策についてお伺いします。

この間、わが議員団挙げて、鶏肉店等を聞き取り調査訪問してきました。

36日の新聞に「客が来ないので、説明もしようがない」と報道された中京の業者は「売上げが30%台に落ち込んだ」と言われていました。ひどい業者は156万円の売上げがあったのが67千円に落ち込み「生きていく楽しみもない」といわれていました。学校への納入も止まり、3月の仕入れがキャンセルになった。保育園の献立から鶏肉がなくなるなど、風評被害が大きいといっています。

相楽郡で鶏の生産と加工販売の業者は「京都というだけで27日以降売上げがバタッと落ち、業務はとまった」と言っていました。30`圏内の園部の鶏肉店主は27日から自主休業で収入ゼロ。まさに風評被害が京都の全関係業者を直撃しています。

多くの業者は「もう借り入れをしても返済ができない」というのが実態です。養鶏農家には一定の補償がありますが、風評被害で甚大な損失を受けている流通関係の業者にも、何らかの損失補填の補償措置を講じるべきではありませんか。いかがですか。

また、知事は衛生環境激変対策特別融資で国に要望にいかれましたが、発動への見通しはいかがですか。

府として、今回のセーフティーネットの融資に特別に利子補給をして末端金利を0%にする支援を行うべきではありませんか。

特に衛生環境激変対策特別融資発動を早急に実現させ、金利が0.75%ですが、利子補給を行うべきではありませんか。0.75%なら20億円の融資でも初年度で1500万円の利子補給です。窮状にある業者を激励するためにもぜひとも、実施することが重要ですが、知事のご決意をお聞かせいただきたいと思います。

 

【知事】関連業者の風評被害だが深刻に思っている。一部販売店で京都府産は置いていないとPRしたところもあり、近畿農政局とも連携しながら、「こういう形はやめてください」と強く申し入れ、撤去させた事例もある。

学校で鶏肉を給食で使わないと表明したところもあり、これも府として風評被害防止の観点から指導し、これは、4月からなくなる。

ただ、損失補填、補償は、国において阪神大震災での住宅の復旧について、私ども「住宅の補填について基金を積んでやるべきだ、これは都道府県も出すから」とお願いしたが、これは関連のところしか認められなかったと言う経過がある。

SARSやBSEを含め、感染性の風評被害問題が出ているが、これは、内容をどう確定するかなど簡単な問題ではないと思っている。その中で、社会的負担をどう求めるかとなれば、私は、国家的な規模での検討が必要と考える。

府としては影響を受ける中小企業を幅広く支援するため売上げ減少要件を緩和するとともに、据置期間を1年に延長した無担保無保証人緊急融資を315日にいち早く創設し、中小企業の経営維持に努めている。

また、風評被害発生後ただちにスーパー等、関連業界に府内産品の継続的取扱いを要求するとともに、ポスター掲示、全市町村とともに新聞広告を実施するとともに、更に、府民だよりを準備しており、できれは、防疫措置が終了したら、防疫措置が終わったことを訴えながら、徹底した風評被害防止措置を取りたい。

融資は大阪、兵庫と連携してセーフティーネット保証について国に対し繰り返し要請を行ってきた。国の方では、農水省が1か月間の売上げ減を出してからしなければならないことになっており、私ども、農水省に対しできるだけ迅速にやってもらいたい。被害がはっきりした際には、期間を縮小するなど、適格なセーフティーネット保証の発動を求めているところ。

そのような中で、納税要件なしでも無担保無保証人融資が受けられる他府県にも例のない特別の配慮をした。金利の面でも、現行制度融資では最も低いものとしており、できる限りこういう中で融資を受ける方の負担軽減に努めている。

国民生活金融公庫の生活衛生激変対策特別融資も、大臣に310日に要望したところであり、1日も早い実現へ向け更に国に要望したい。

 

【原田】今、町のかしわ屋さんは高齢化し専業的なところが多く、そこへの支援がどうしても必要だということを言っておきます。

法の整備の遅れや法の予想できない事態で起きている今回の被害に対して、前例や法の範疇を盾に府民の窮状に冷たい対応は許されません。

知事は年頭訓示で「府民の府政に対する切実な声や期待高まりを真摯に受け止め、全力で府政の推進」との趣旨の発言をされています。今このときにこそ、知事が年頭訓示を行動に移すべき時ではありませんか。鳥インフルエンザで府民が知事の言う災害状態のときに、被害を受けている全業者に対して、府民の声に耳を傾け、府民の願いに応え、府民の心に沿った援助を京都府として実施されることを強く要望して質問を終わります。