日本共産党の西脇郁子です。私は、日本共産党府会議員団を代表しまして、ただいま議題となっております意見書案8件に賛成の立場から討論を行います。

 まず、わが党提案の「有事法制関連7法案等の廃案を求める意見書案」についてです。

 政府と自民党・公明党の与党は、先の閣議で、米軍支援法案や「国民保護」法案など有事法制関連7法案を決定し、日米物品役務提供協定の改悪案等とあわせ国会に提出しました。昨年6月、小泉政権は米国が海外でひき起こした戦争に、日本が戦禍が及んでもいないのに武力をもって参戦し、国民を罰則付きで強制動員させることを目的とした有事3法案を成立させましたが、今回の法案はそれをさらに全面的に完成させるものであり、憲法を踏みにじり「民間を含めて、日本が総力を挙げて米軍を支援するもの」と大きな怒りの声があがっています。

 米軍支援法案は、日本が武力攻撃を受けていない「武力攻撃予測事態」から自衛隊による米軍への物品・役務の提供を定め、弾薬の提供も可能にしています。今回これにあわせ、日米両軍間の物品・役務の提供を取り決めた日米物品役務提供の改悪も提案され、「予測事態」に加え、イラクでの占領活動にも適用を拡大するものであり、すでに航空自衛隊による活動が始まっています。特定公共施設利用法案は、日米両軍による空港、港湾、海・空域、道路、電波の軍事優先使用を保障し、自治体が反対しても内閣が強制的な権限を発動して実施させることができるようになります。外国軍用品等海上輸送規制法案は、民間船舶の強制検査を可能にし、危害射撃も認めています。

国民保護法案については、知事は国民保護のための法制だと言い続けておられますが、本質は日米両軍の軍事行動を最優先で保障するため、国民を強制的に統制・動員するためのものです。しかもこれらを実施するために政府の命令に従わない国民に広範な罰則を科すものとなっており、憲法で保障された思想・信条・言論・出版の自由、財産権などを根底から踏みにじる人権蹂躙法であり、絶対に容認できません。

憲法を守り、日本とアジアの国々を再び戦争の悲劇に巻き込まないためにも、わが党提案の意見書に賛同をお願いするものです。

 

 民主・府民連合提案の「基礎年金の国庫負担割合の2分の1への早急な引き上げと抜本改革の実現を求める意見書案」について、賛成の立場から一言申し上げさせていただきます。

小泉内閣が今国会に提出した年金改革法案は、保険料の値上げ、マクロ経済スライドという名目で、年金の給付水準の実質15パーセントもの引き下げを一律にすべての年金受給者に押し付けるものとなっています。しかも国会の審議抜きに自動的にすすめるというもので、国民の年金に対する不信と不安はますます増大することは避けられません。このことは年金保険料の未納者のさらなる増大につながり、年金制度を維持することができない重大な事態を招いてしまいます。

政府はこれまで国民年金の給付水準は、高齢者の食費、住居費、被服費、水光熱費など生きていくのに最低限度の生活を保障することが建前だといってきました。けれども国民年金しか受給していない方は全国で900万人に上り、受給額は平均わずか月4万6千円です。平均月8万円の生活保護水準にも及ばないにもかかわらず、そこにまで15パーセントの給付水準の引き下げを押し付けることは、憲法25条が保障する国民の生存権をも侵害することで絶対に許されることではありません。

マスコミの世論調査では、今回の政府年金見直しで国の年金制度に対する不満や不安が解消されるという方はわずか9パーセントで、圧倒的多数の方が解消されないと答え、保険料引き上げと給付水準引き下げに77パーセントが反対しています。国民の多数は年金改悪法案の撤回を求めているのです。

 また、政府は、基礎年金の国庫負担割合を現行の3分の1から2分の1に引き上げる道筋をつけたといっていますが、来年度実施という国民との約束をほごにして、5年も先送りしてしまいました。さらに重大なことは、消費税を含む抜本的税制改革を実現した上で国庫負担の2分の1への引き上げを完了させるとしたことです。先の全国世論調査結果でも、社会保障の財源を確保するために消費税率を引き上げるべきとの意見に対し、反対が67パーセントにのぼっているように、将来にわたって安心と信頼の持てる年金制度を確立するためには消費税に頼ることなく、無駄な大型公共事業の削減など、税金の使い方を改めて基礎年金の国庫負担割合を2分の1に早急に引き上げることです。そして、170兆円に上る積立金の積極的活用をはかることなどの抜本改革こそ必要です。

 

次に、わが党提案の「地方交付税等の削減に反対し、維持・充実を求める意見書案」についてですが、政府は来年度予算案で地方交付税1兆2千億円、臨時財政対策債1兆7千億円という大幅削減を決めました。国庫補助負担金の廃止・縮小が1兆円、その内「税源移譲」・一般財源化が4700億円程度に過ぎません。しかも当事者である都道府県や市町村とはまともな協議をせず、一方的に押しつけるというものでした。このため予算編成をやり直し、基金の取り崩しや地方債の増額などの対応を余儀なくされている地方自治体からは大きな悲鳴があがっています。政府がすすめる三位一体改革は、国から地方への財政支出削減、とりわけ福祉・教育など住民サービスの水準切捨てを具体化したものであり、地方自治体の実情を無視し、国の借金のツケを地方に押し付けるものにほかなりません。

梶原全国知事会長も「地方自治体の自由度も拡大しない。これでは三位バラバラ改悪だ」と発言し、マスコミの自治体首長アンケートでも68パーセントが「三位一体改革の基本方針に否定的評価」となっているように、全国の地方自治体から怒りと批判の声が急速に広がっているのは当然であります。憲法が定める地方自治権を保障する上で、また、住民の福祉の増進を図るためにも、地方交付税の拡充こそが求められているのです。わが党提案の意見書にご賛同をよろしくお願いいたします。

 

次に、「65歳まで働ける雇用環境の整備を求める意見書案」についてです。

今日、高齢者にとって深刻なのは、自民・公明党が年金支給開始年齢を引き上げたため、60歳定年退職しても年金が受け取れない事態を作り出したことに最大の問題があります。同時に、大企業のリストラを応援し、60歳どころか多くの労働者が定年前に退職を余儀なくされていることです。

今日、求められていることは、年金支給年齢を引き伸ばした政府の責任において高齢者の雇用を確保すること、同時に、大企業の横暴なリストラを規制し、社会的責任を果たさせることです。このことを指摘したうえで、意見書案に賛成するものです。

 

最後に、「中山間地域直接支払制度の継続・充実に関する意見書案」についてですが、これについては、先の農林商工常任委員会において全会一致で採択された請願に基づくものであり、本来、委員会提出とすべきものであるということを一言申し述べさせていただきます。

以上で討論を終わります。御清聴ありがとうございました。