日本共産党の島田けい子です。私は日本共産党府会議員団を代表し、ただいま議題となっています議案38件のうち、第1号議案、第10号議案、第11号議案、第14号議案、第34号議案の5件に反対し、他の33件に賛成の立場で討論をおこないます。
国の「三位一体改革」の名による地方交付税など300億円余の削減が、予算編成に重大な影響を与えました。知事も、「地方交付税の削減は地方に痛みを押し付けるだけとなった」とのべられました。そもそも、国の「三位一体改革」が、本来の地方財政の確立でなく、財政負担を地方に転嫁し国の地方自治体への支出を削減しようとするものであると私どもは批判してまいりましたが、その事実がくっきりと明らかになったのではないでしょうか。これらの地方自治体切捨ては今後も続くものです。今こそ、府民の暮らしと地方自治を守るために、本議会をはじめ自治体関係者が力をあわせて、財政調整や財源保障機能を併せ持つ地方交付税の充実など、真の地方財政の確立のために力を尽くすべきです。わが党議員団も全力を挙げて奮闘する決意を表明するものです。
さて、長引く不況と小泉内閣の「痛み」押しつけの政治のもと、府民の暮らしと営業はひき続き深刻です。こうしたなか、来年度予算編成にあたっては、府民の暮らしと雇用を守り、福祉の向上を第一とし、市町村が住民の暮らしをまもり、地域振興を図れるよう全面的支援をおこなうことがもとめられました。ところが、府民の暮らしや市町村支援の予算を削減し、府民の切実な願いにも応えられませんでした。以下、具体的に申し上げます。
まず、第1号議案一般会計予算案についてです。
第1に、府民の命と健康、子育て支援にかかわる問題です。
「財政健全化」の名による171事業の廃止・縮小計画では、救急医療対策費や地域での政策医療を担う医療機関への運営補助の削減、安心介護の窓口運営助成や高齢者介護予防事業の縮減などがあります。これらのほかにも、事業評価もせず突然打ち切ったものがあります。低所得者の就職助成金は、市町村の予算案にすでに盛り込まれているにもかかわらず、一方的に廃止しました。また、児童虐待防止対策では、本府もその効果について認めていた安心子育てテレフォン事業を年度途中に廃止し、宇治児童相談所の非常勤嘱託職員6名をなくそうとしています。テレフォン事業の継続と、児童福祉司等の増員を強く求めるものです。
また子ども発達支援センターについては、診療部門の予約が半年待ちという状況であり、早期発見・早期治療・早期療育のために、医師の増員をはじめとする体制の強化が求められています。また、乳幼児医療費助成制度は、通院についても無条件に助成されるよう改善をもとめます。
高校通学費の助成制度の改善について、検討すらされようとしていませんが、授業料の2倍、3倍もの負担となる通学費について急いで改善すべきです。また、私学助成について、地方交付税が増額されているにもかかわらず、授業料直接助成の改定を7年間も見送っています。また、授業料減免制は私学まかせにせず、府の制度として創設し、私学に学ぶすべての生徒が対象となるよう改善をすべきです。このように、財政危機を住民サービスの切捨て、住民犠牲で乗り切ろうとするやり方は改めるべきです。
第2には、不況・雇用対策についてです。
与党会派の皆さんからも派遣労働やフリーター、パート、アルバイトなど不安定雇用労働者の増大問題が指摘をされました。今日の事態は、政府、自民党、公明党が労働法制を改悪し、正規労働者を不安定雇用に切り替える誤った雇用政策の結果です。また、リストラ応援の産業再生法成立に手を貸した民主党の責任も問われなければなりません。こうしたときこそ、本府は、労働者の雇用と労働条件を守る努力が必要です。ところが、本府の雇用対策のアクションプランでは41000人の目標を掲げていますが、臨時の雇用対策にとどまっています。企業の社会的責任を明らかにし、正規雇用労働者を増やすことに力を尽くすべきです。
舞鶴での資生堂の撤退計画が明らかになりましたが、いろいろと優遇措置を設けて誘致した企業が地域経済や雇用への影響も省みずさっさと撤退する、こうしたやり方をいまこそ規制する必要があるのではないでしょうか。企業への社会的責任をはたさせ、地域経済への寄与の努力を求めるなどのリストラ規制対策が必要です。
さらに、本府も健全化の名でひたすら人減らしを進め、病院や教育の場で非常勤やパート、派遣労働者を増やすやり方を改めるべきです。サービス残業、長時間労働をなくして、必要な職員を正規で採用し、住民福祉に寄与する公務職員を育てること。人間を大切にする府政運営でこそ、「人間中心」ということができるのではないでしょうか。
京都の経済活性化のために中小企業への支援の強化が求められています。先端企業にはさまざまな形でプログラムが用意され支援をされていますが、伝統地場の産業支援は二の次になっています。中小企業技術支援費を削減し、中小企業総合センターの事業を縮小しています。振興局再編に伴って身近な中小企業支援の体制が縮小され、あわせて経営診断や指導、金融相談などができる専門的人材がわずかになっていることは問題があります。また、すでに経済効果が実証ずみの住宅改修助成制度の早期実現を求めます。このように知事が、重点として掲げたものの、雇用対策はきわめて不十分なものにとどまっています。
第3に、このように、福祉や医療、雇用対策を削っておきながら、不要不急の大型開発事業を続けている点です。
学研都市開発について、すでに、1500億円を超える税金をつぎ込みましたが、計画どおり研究施設が張りつかないばかりか、バイエル、住友金属、キャノンなどの研究施設が撤退をしています。民間頼みの過剰投資であったことが、いよいよはっきりしました。これ以上の開発についてはいったん中止をして見直されるよう求めます。
丹後海と星の見える丘公園についてですが、丹後リゾート計画は完全に破綻しました。その後始末であるこの公園事業はいったん中止すべきです。丹後地域の振興のためというなら、国道178号、伊根養老バイパス建設促進など、いま切実に求められている問題の解決こそ急ぐべきです。
さらに、大量の車を呼び込む市内高速道路計画や関空二期工事への出資金が借金をつみまして続けられています。財政が厳しいというなら不要不急の事業をきっぱり中止すべきです。同時に同和事業について、奨学金返還対策事業の貸与残高が70億円にもなり毎年3億円もの返還を20年も続ける計画ですが、これにメスを入れることこそ必要ではありませんか。
第4に、市町村合併の押し付けなど地方自治破壊を進めていることです。
宮津与謝1市4町合併問題では、合併協議会で「新市建設計画策定小委員会で調整整わず」との報告がされ、本来なら合併協議会は解散すべきものです。ところが、本府は、1市4町の枠組みを維持するために、調整の名で地元自治体に働きかけをし、合併協議会で協議もしていない会長名の要請書をもとに、第三者の有識者による調整だといって支援委員会を開催し、引き続き、合併を強制しようとしています。
また、知事は、「市町村がこれからのあり方についてどうしたらいいのか、大変苦しむ中で 模索している」とも答弁されましたが、その苦しみの原因は、地方の実情を無視して、地方交付税や補助金を一方的に削減するなど、小規模市町村が生き残れないようなやり方にあります。こうしたやり方を改めさせることこそ知事に求められています。さらに、今回の予算案で、創設された市町村未来づくり交付金は、使い勝手のよいものにするなどとして市町村自治振興補助金や国保助成金などの七つの事業を統合し、その財源に 市町村振興基金を取り崩すなど予算を大幅に削減しました。これらは、国が地方交付税を大幅に削減しているもとで、悲鳴を上げている市町村の苦しみに追い討ちをかけるもので、市町村の自立に逆行するものです。
以上の理由から、第1号議案、一般会計予算案に反対です。
次に、第10号議案 京都府流域下水道事業特別会計予算案についてですが、いわゆるいろは呑龍計画について、新川、西羽束師川などの河川改修と小規模貯留管の整備で対応すべきもので、総事業費500億円もかかる計画は見直すべきです。
次に、第11号議案 京都府港湾事業特別会計予算案についてです。わが党議員団は、現実に沿わない過大な見込みに基づいて計画された舞鶴和田埠頭建設について、500億もの大金を使って大型バースをつくる必要はないと指摘をしてきましたが、こんどの予算審議をつうじてもそのことが明らかになりました。港湾計画では、2005年に外国貿易取り扱い貨物量710万トン、公共埠頭で300万トンという目標に対し、15年度取り扱い量は61万トンにとどまっていますが、今後の見通しについてなんら説明がありませんでした。また、本府は、大型貨物船が入港するために水深14メートルの大型バースが必要としてきましたが、理事者は「5万トン級の船が、4000個のコンテナを満載して入るという認識はしていない」と答弁されました。大水深バース建設の根拠も崩れました。舞鶴港の振興のためには港湾施設などの近代化整備をおこなうとともに、平和の港として発展させ、アジアの人々との交流を広げるほうがよほど舞鶴港を含む北部地域の振興に寄与するものであると考えます。また、長年放置をしている舞鶴の高潮対策こそ急ぐべきです。
次に、第14号議案 水道事業会計予算および第34号議案、京都府営水道の供給料金等に関する条例一部改正についてですが、私どもは、これまでからくりかえし、過大な水需要予測にもとづく施設建設と責任水量制の押し付けが住民負担を大きくしていると指摘し、本府として住民負担の軽減を図るようもとめてきました。今回の措置は、当面する料金算定の軽減措置として一定の効果が期待できるものの、「協定」による責任水量制の押し付けで、住民が使ってもいない水道料金を払わされる事態は継続され、引き続き、2市1町の水道事業の赤字を余儀なくされるなどの困難は解決されません。関係市町の水道事業の存続と府民の暮らしを守るために基本水量「協定」をいったん白紙にもどし、現実の水需要に見合った検討を求めるものです。
続いて、賛成ではありますが、いくつかの議案について、一言申し述べます。
まず、第17号議案、及び第21号議案、地方独立法人法および国立大学法人法の施行にかかわる条例制定の件ですが、「国立大学法人法」「地方独立行政法人法」そのものは、対象とする事務事業が本来、国や地方自治体が、公的責任で確実に実施されることが必要な事業の縮小・廃止を目的としており、住民サービスの低下や住民負担の増大を招きかねません。また、地方議会の関与および住民のチェック機能が奪われるおそれや自治体労働者の一方的な身分変更などの問題をはらんでいます。さらに国公立大学の法人化は学問の自由の基盤を侵すものであり、わが党は反対です。なお、今回の条例の主な内容は職員の退職手当の通算など、その身分を保障するためのもので賛成するものです。
次に、19号議案についてですが、条例の目的に「産業廃棄物の発生抑制・再使用・再利用その他適正な処理を促進する」とありますが、府外に持ち出して処分する分や、京都市の焼却場でのあわせ焼却分については条例が適用されず、全体が捕捉されない点、また徴収方法について、排出事業者に直接課税する申告納付方式をとらずに、最終処分場で賦課する特別徴収方式で排出事業者への発生抑制に有効に働くのか、また税の転嫁が適正に行われるのかさらに検討が必要だと考えます。小規模事業所に対しては、発生抑制やリサイクルへの技術指導と援助が必要であると考えます。
この条例案が5年をめどに検討を加えるとありますが、条例の目的が達成されるよう、今後必要な検討を行っていただくことを要望します。
次に、第20号議案「男女共同参画推進条例案」についてです。我が党は、より実効ある男女平等条例を本府でも早期に制定することを目的に、昨年9月定例会で「京都府男女平等条例」案を提案しました。
今回提案された府の条例案については、男らしさ女らしさや家族のあり方を固定的に考えると思われる表現が挿入されていること、また苦情や相談の申し立てについて公正かつ迅速に処理できる第三者機関の設置が盛り込まれていないことなどの不十分さを残しています。こうした点について、公明党や民主党の皆さんも指摘をされており、これらの議論を踏まえて、わが党は、最小限一致できる項目で整理して、修正案を提案したものですが、否決をされたことは誠に残念です。条例の施行にあたっては、実効あるものとなるよう本府の努力を求めるものです。
次に、22号議案について、過疎化がすすむ地域でJターン、Iターン等に対応し、市街化区域に隣接した市街化調整区域で例外的に宅地開発を認めようという趣旨において賛成しますが、運用によっては、本来市街化を抑制すべき市街化調整区域で、無秩序な開発がすすむ危険性も併せ持つものであり、厳格な運用を求めるものです。
以上で、討論をおわります。ご清聴ありがとうございました。