2004年6月定例府議会での島田敬子議員の代表質問と答弁を紹介します。

 

島田敬子(日本共産党、京都市右京区)  2004年6月9日

 

 日本共産党の島田けい子です。党府議団を代表して先に通告しています数点について、知事並びに関係理事者に質問いたします。

 

ウソを重ねての年金大改悪の強行。参議院選挙での厳しい審判を

 

【島田】質問に入ります前に、先日強行された年金改悪について一言申し上げます。

自民党・公明党は、国民の圧倒的多数が「年金法案は今国会での成立を見送るべきだ」との声をあげているにも関わらず、中央公聴会もひらかず、衆参両院で強行採決を繰り返し、参議院では、日本共産党などの質問権を剥奪して、数の力で悪法を押し通す暴挙を行ないました。絶対に許されません。

 今度の年金改悪法は、審議をすればするほど、「保険料は上限固定、給付は5割を確保する。だから安心」と、自民党、公明党が宣伝してきた「100年安心」の根拠が崩れ、年金制度のいっそうの空洞化と国民の生存権を奪う大改悪であることが明らかになりました。しかも、その法案そのものが、厚生年金の加入者が来年から急に増え始める、国民年金の納付率は今の6割から8割になる、あるいは、保険料があがっても雇用には一切影響がないとするなど、何の根拠もない数字を前提としているのですから、破たんすることは必至です。

公明党は「法案が廃案になると、47,000億円の大穴があく」としきりに宣伝し、国民をおどしていますが、もともと、法案が成立しても38,000億円の赤字に陥るのであり、廃案による影響額は9,000億円です。「年金財政に穴があく」ことを心配するなら、先送りした国庫負担2分の1への引き上げを即実行することです。そうすれば、9,000億円の赤字など直ちに解消できます。二重三重にウソをついての年金改悪の強行は許せません。

 しかも、国民の怒りと不信の的になっている国会議員の年金未加入・未納問題も、自民党はいまだに党としての調査も公表もしておられません。公明党も衆議院で強行採決してから神崎代表や冬柴幹事長の未納を公表する。マスコミからも「ずるがしこいやり方」と批判されています。日本共産党は、当面する参議院選挙で、これらの政党にきびしい審判をくだし、悪法の実施を許さないたたかいを進めるため、全力をつくすものです。

 日本共産党は、先日、「国民の生存権」を保障するという憲法25条の規定にたって、国民すべての老後の安心を保障する、「最低保障年金制度」をつくる改革案を発表しました。全額、国の負担で、当面月額5万円を保障し、その上に国民年金、厚生年金などを、掛け金に応じて上積みをするというものです。すでにフランスでは79,000円、イタリアでも5万円など、ヨーロッパの多くの国で、無拠出でも、受け取ることのできる最低保障年金制度を確立しています。日本でも、公共事業や軍事費などのムダづかいを改め、ヨーロッパ並みに大企業に応分の負担を求めれば、これは実現できます。また、自民党や公明党、民主党は財界の意向を受けて年金財源に消費税の増税を主張していますが、その必要はまったくありません。

わが党は、「いまも、将来も安心できる年金制度」実現に全力をあげる決意を申し上げ、質問に入ります。

 

小泉「構造改革」による“痛み”押し付けと地域経済破壊

京都経済の立て直し、伝統・地場産業振興へ抜本的対策を

 

【島田】まず、府民のくらしと京都の経済についてです。

政府は先に、「景気は回復基調」との見方を示しましたが、府民生活の実感とはかけ離れています。

民間信用調査会社が57日発表した京都府内の4月の企業倒産は50件、4月としては1998年の56件についで過去2番目の高水準で、前年同月比でも282%増、1月から4月の合計は205件と過去最多となりました。平成14年度工業統計が発表されましたが、小泉政権誕生の2年間で、京都の製造品出荷額は実に12,638億円、21%も減少し、事業所数は15%、1,143事業所、従業員数で16,326人も減少するなど、経済活動の低迷に拍車がかかっています。5月発表の毎月勤労統計調査では名目賃金指数は942と勤労者世帯の収入は落ち込みつづけ、生活保護受給者も増え続けるなど、依然、深刻です。原因ははっきりしています。いまの、自民・公明小泉内閣のすすめる「改革」の方向が間違っているからです。

第一に、「構造改革」と称して、小泉内閣は、この3年間、医療、年金、介護、雇用の分野だけで43,000億円の負担を国民にかぶせました。そのうえ、今回の年金改革による負担は、初年度だけでも9,000億円です。今後、老齢者控除の廃止や年金への課税強化、介護保険や医療費の値上げも検討されています。さらに消費税増税計画ですから、将来不安は増すばかりです。知事は、このような国民負担増、痛み押しつけをつづけて景気が回復できるとお考えでしょうか。また、小泉内閣は「不良債権処理」で経営困難にある中小企業をつぶし、地域経済に大きな役割を果たしている地銀、信金つぶしを続けています。

京都経済を立て直し、府民の暮らしを守るためにも、このような“痛み”押し付けと、地域経済破壊をやめるよう、国へ求めるべきではありませんか。知事の見解をうかがいます。

第二に、いま、京都経済を立て直すためには、景気回復とは程遠い状況におかれている中小企業、伝統・地場産業対策を強めることです。

本府の商工行政予算を見ますと、たとえば、伝統和装産業振興予算は、緊急雇用交付金事業を除くと、15,000万円、経営再生を目指す中小企業への再生支援事業は6,000万円に対し、けいはんなベンチャーセンター1ヵ所の運営事業に14,000万円、企業誘致対策は19億円になっています。地域で必死にがんばっている伝統産業や地場の零細企業への支援は年々先細りで、あまりにも冷たいのではありませんか。京都の有力な先端企業の多くが、伝統産業の技術を生かして生まれ、成長してきた歴史を見るとき、これらの京都の伝統や歴史、文化に培われた高い技術力を誇るものづくりの基盤をしっかりと守り、引き継いでいくことが重要です。それでこそ、雇用も守れます。

これまでからわが党は、和装、伝統・地場産業を守り発展させる府の責任と役割を明確にし、実態調査と関係者や研究者の意見をもとにした業種別・産業別の基本指針の作成、後継者育成や新商品開発、研究・経営指導体制の強化などを盛り込んだ「地域経済振興条例」を本府としても作るべきと繰り返し提案してきました。

京都市は、今年度、「伝統産業まもれ」の多くの関係者の声に押され、「伝統産業活性化条例」制定の検討を始めました。これは一歩前進です。本府としても、ベンチャーだけでなく、伝統・地場産業の振興に力を入れる、このことを明確にするためにも「地域経済振興条例」を制定すべきではありませんか。いかがですか。

第三に、本府は、今年度広域振興局単位に地域振興計画を作るとされていますが、その中心に地域経済を立て直す計画をすえることです。府内の各地域での経済を立て直してこそ地域の振興をはかることができます。従来の開発型や大企業依存の呼び込み方ではなく、地域の持つ技、人的資源、環境や自然などをいかした経済振興計画を策定すべきです。そのためにも、地域の経済関係者や業者、農林漁業者、そして学者、研究者も参加した「地域経済振興のための協議会」を作り、府民参加で計画を作ることを提案しますがいかがですか。見解をうかがいます。

【知事】府民のくらしと京都経済については、府としては、府民の生活を守る立場から、社会保障制度の充実や地域経済の振興について、介護保険制度を充実させるため、介護サービス基盤の整備及びその向上を図ること、医療保険制度について国の責任において保険料、患者負担、公費負担のあるべき姿を明確にし、持続可能な制度として構築すること、厳しい環境にある中小企業の現状をふまえ、地域産業の活性化や中小企業の振興を図ること、中小企業の経営を安定するため円滑な資金供給等、中小企業金融対策をいっそう拡充すること等、全国知事会等を通じ、国に対し積極的な要望、提案活動等を行っており、今後、特に地方分権を推進し、府民の身近にあって、地方公共団体が自立した立場から府民生活を守れるよう働きかけてまいりたい。

また、地域の中小企業、伝統産業の振興を図るために、京都市と協調し、全国初のオンリーワンであるあんしん借換融資、今年作った小規模企業おうえん融資を実施しており、毎年2億円規模の伝統産業の職人さんへの仕事づくりの推進を行うとともに、西陣織、京友禅等、産地活性化基金等の活用による産地振興等、全国でもトップの施策を総合的に実施している。京都が世界に誇る伝統産業や地場産業については、これら産業を取り巻く環境が大きく変化する中で、いっそうの活性化を図ることが重要と考えており、このため今後の施策の方向性と具体的方策のあり方について、京都産業活性プランづくりの中で現在検討を進めている。

地域振興計画については、できる限り現地・現場をふまえた行政を推進する観点から、新しい広域振興局においては、市町村や府民の意見を聞きながら地域課題の的確な把握に努めるとともに、地域政策を企画立案し、実施していくことを目指しており、地域振興計画はこうした地域運営を戦略的に展開するために策定するもの。地域振興計画の具体的な内容については、広域振興局が主体性を持って策定にあたるようにしているが、振興局の広域性を生かした観光戦略や、地域の特産品である例えばブランド京野菜の生産・振興策、さらには地域における産業集積を生かした企業誘致など、各振興局の地域特性や課題を踏まえたものとなるよう努めたい。また、計画の策定に当たっては、市町村はじめ関係団体やNPO など、地域の皆さんに参画いただく地域戦略会議で議論し、地域の意見が反映され、振興局の施策というにとどまらず、各地域が十分に連携・協力して地域の力を引き出せるようなものにしてまいりたい。

 

過労死、労働災害急増など、深刻な青年労働者の実態

大企業の横暴勝手やめさせ、ルールある社会の実現へ対策を

 

【島田】この際、本府でも深刻な状況を生み出している若年労働者の問題について、お伺いしておきます。

いま、完全失業者は全国で335万人、47%と高水準で推移していますが、若年労働者の失業率は依然1割を越えて深刻です。京都府内では、求職活動をしている人だけでも137,000人ですが、その半数が15歳から34歳の青年です。このように、「働きたくても仕事がない」青年がいる一方、長時間・過密労働、さらに低賃金でパートや派遣社員として働く青年が増えつづけ、その中で過労死や過労自殺、労働災害もふえつづけています。

私は、先日、過労死裁判をたたかっておられる福知山の中田さんの話をうかがいました。中田さんの息子さんは府立工業高校卒業後、トステムに入社して4年目、夜勤から帰宅後、就寝中に22歳というあまりにも短い生涯を閉じました。研修期間を過ぎて以来、残業、残業の毎日で深夜に帰宅、休日は寝てばかり、朝方帰宅してまた出勤するなど月の残業は過労死の危険ラインである80時間をはるかに超えていました。そのうえ、定時になると寒い冬でも暖房が切れるなど、作業環境は劣悪でした。あまりのひどさに、多くの青年たちはたまりかねてやめていきました。数人の親たちの告発で労働基準監督監が立ち入り調査に入りましたが、タイムカードはなく、労働時間はリーダーに任されるなど事態は改善されず、こういう中で中田君はなくなりました。

トステムは、本府が綾部工業団地に誘致した企業であり、府立高校から就職斡旋もしてきた企業です。二度とこんな悲しい事態を招かないためにも、知事として、労働基準局任せにせず、府が誘致した企業が労働基準法など労働条件をきっちりと守るよう働きかけるべきではありませんか。

また、労働基準監督官は福知山でも3,000件を超える事業所に対し、わずかに2名の配置しかありません。国に対し、労働基準監督官の増員を求めるとともに更なる連携を図り、実効が上がるよう、対策の強化をもとめるものです。いかがですか。

このように、今、青年をはじめ多くの労働者が労働基準法すら守られていない職場で、健康を害し、命を失うまで働かされているのです。いま、違法なサービス残業をなくすだけでも全国で161万人、有給休暇を全部保障すれば150万人の雇用拡大につながり、多くの失業者の雇用を確保できます。いま大企業の横暴をやめさせ、ルールある社会をつくることが日本社会に求められているのではないでしょうか。

【知事】経済全般に明るさが見えてきたが、依然として府民レベルでの厳しい雇用情勢の中にある。私は、地域経済の活性化と地域雇用の安定雇用を車の両輪として、すべての働く人々が生き生きと働けるような京都府づくりを施策の柱として掲げてきた。とくに雇用問題については、京都府では労働相談のため、平成1410月からフリーダイヤルを導入、また、平成159月から弁護士による特別労働相談を実施するなど、相談者の抱える問題の解決に向け、その充実に努めているところ。労災認定にかかる相談についても、法的相談に乗ったり、労働基準監督署を紹介する等、事案によって適切な対応を心がけている。さらに、依然として労働関係法令違反の事案が後を絶たない状況にあることから、今年3月には監督権限を持つ京都労働局長に対し、知事名で労働関係法令の遵守の徹底がはかられるよう要請してきた。あわせて、今年度は従来にもまして京都労働局との連携をいっそう緊密なものとし、京都府が開催するセミナーにおいて労働基準法の遵守にかかる講演をもうけ、京都労働局から講師を派遣してもらうとともに、企業への周知・啓発もお願いしている。今後とも、府内で働く人々が安心して働ける労働環境の整備を図るため、京都労働局とも連携をしながら、労働相談及び労働関係法令の周知・啓発に努めてまいりたい。

 あまり国の人数増については、言いたいとは思わないところもあるが、労働基準監督官の増員については、国において、必要な部署に必要な人員を配置するという方針で、定員増に努められているところ。

【島田・再質問】労働基準局の監督官の増員を国に言いたくないというふうに、私には聞こえたのですけれども。―― (発言するものあり)―― そうですか、それでしたら結構ですけれども。

いずれにいたしましても、いろいろな京都府の施策をお聞きしましたが、実効は上がっていない。これは国会の質疑の中で、過労死や過労自殺、あるいは健康被害、労災がふえ続けている。この現実に目を向けて対策をさらに強化することを要望するものであります。

人減らしを国も地方自治体も競い合う、これがあたかもいいように言われますが、必要な人員はふやさなければいけないわけで、福知山の監督官の増員はぜひ要望していただきたい。これは、おかあさんの切実な願いです。いかがでしょうか、お聞かせください。

【知事】私の発言が十分でなかったかもしれませんが、私自身は基本的にこういった問題は、国の出先機関が行っていて本当にちゃんとできるんだろうかという思いを持っている。つまり企業の周知啓発、商工行政、労働行政、これが一体となってやらなければならい。地域で完結していく必要があるのではないか。それが本当の意味での地域の、労働者の方々の生活を守れるような体制になるんじゃないかという思いを申し上げたわけで、そういう中で私ども必要人員、たとえば警察官の人数も増やしておりまして、国の方についても増員ということがあるということを聞いている。

 

障害者支援費制度と介護保険の統合問題

「財政削減ありき」でなく、基盤整備の充実、相談体制の確立こそ必要

 

【島田】次に、障害者支援費制度と介護保険制度について質問します。

支援費制度がスタートして一年が経過しました。中心的問題でいくつかうかがいます。

まず、第一にサービス基盤の問題です。「障害者の選択と決定を尊重する」「利用者本位のサービス利用に」とのうたい文句でしたが、「利用したくても、利用するサービスがない」のが現状です。京都の障害者団体が行った調査では、回答のあった27の市町村のうち、自立生活を支える4つの居宅事業が整っているとしたのは、わずかに5自治体、「通所施設が不足」は12自治体、「入所施設が不足」は15自治体となるなど、サービス基盤は在宅・施設ともに圧倒的に不足しています。このことは、本府が実施をした在宅障害者ニーズ調査でも、「障害者が希望する内容や量のサービスが受けられない」「事業者が少ない」などの声が多数あがっていることからも明らかです。こうした中にもかかわらず、グループホームなどの補助金の単価の切り下げを実施し、今後、身体・知的障害者の入所施設の新設や定員増を伴う増改築に原則として国の補助金を出さない方針を決めたことに対し、関係者からは「サービス量も種類も圧倒的に不足をしている。それなのに、財源難を理由に次々と補助金を削減することは許されない」と怒りの声がだされております。現状をどのように認識されていますか。まずお聞かせください。

現在、本府は障害者基本計画の見直しにむけ作業中ですが、住民の願いに応え、地域に必要なサービス基盤を整える必要があります。その際、市町村や法人任せにせず、また、国の基準にとらわれることなく、住民の真のニーズに応えた計画となるよう求めますがいかがですか。

また、小規模作業所や通所授産施設では、企業を解雇された人や養護学校卒業生、そして重度重複障害をもつ人など、希望する方を拒まず受け入れ、多様なデイサービス事業を展開しています。しかし、施設独自の努力で人員を配置しているため、年間の赤字が1,000万円に上るところもあるなど運営は大変です。ところが、国は、こうした施設への補助金を削減をしました。また、本府は今年度、共同作業所への補助金を増額したものの、一方で、社会福祉施設職員の健康管理や研修費用などの対策費を廃止したため、運営困難に拍車がかかっています。国に対し、小規模通所授産施設や作業所への補助金削減を中止するよう求め、少なすぎる現在の人員配置基準を改善するようもとめるべきと考えます。また、本府としての努力を引き続き求めるものですが、いかがですか。

第二に、相談体制の問題です。先の調査で、市町村における担当職員の配置は全国に比べて少なく、障害者の要望が強いケアプランの作成をしている自治体はわずかに3市のみで、他の市町村と「あっせん、調整、利用要請」についての調整会議を実施しているところはわずか1ヵ所しかありません。担当者が個別に対応している現状です。本府として、市町村が障害者や家族の求めに応じて、ケアプランの作成がされるよう、相談窓口の体制整備を支援するとともに、市町村の「あっせん・調停、利用要請」を行うよう働きかけ、支援することが必要ですがいかがですか。

また、市町村障害者生活支援事業や、障害児地域療育支援事業が、国の補助金の一般財源化と府予算の削減により、存続があやぶまれています。府として、これについて、2年間の独自措置をとってこられましたが、引き続き、事業を存続・拡充すること、障害種別の支援センターを地域に適正に配置することが重要です。いかがですか。

第三に、支援費制度と介護保険制度の統合問題です。その狙いは、支援費制度スタート初年度から、100億円以上も予算不足となるなどの財源難に対して、介護保険料を充当することで、現行の障害者施策に対する国の費用を大幅に圧縮しようというものです。厚生労働省は、「介護保険との統合を行わなければ支援費制度そのものの存続が危うくなる。場合によっては一般財源化される可能性もある」という脅しまで使って、制度統合に踏み切らせようとしていることでも明らかです。そもそも、支援費制度と介護保険制度では、財源をはじめとして仕組みが大きく異なっています。たとえば、長時間の介護が必要な重度障害者のサービスは、現在の介護保険の上限を大幅に超えるものであり、「統合」されたらサービスの切り捨てになるのではないかと、障害者や家族の不安を広げています。また、サービスに対する障害者の自己負担が、現行の所得に応じて決められる応能負担から応益負担になれば、負担はさらに大きくなります。このように、今回の「統合」案は、多くの矛盾、問題点をかかえており、全国市長会のアンケートでも76%が「慎重」「反対」の姿勢を示しています。

制度の違いと実態を無視して、「財政削減先にありき」で、障害者と家族に負担増と犠牲を押し付ける今回の「統合」案に反対すべきです。いま、急ぐべきは、必要な基盤整備は国が責任を持っておこなうこと、そのための予算を拡充することです。知事の見解をうかがいます。

【知事】支援費制度の運営にあたっては、昨年の制度改正にあたり、一部地域や障害者等の実情を無視した国庫補助制度の一般財源化が行われ、また、財源確保についても障害者の方々に大きな不安を与えたが、これに加え、本年は国の財政的な理由により、年月をかけ準備されてきた施設整備が抑制されるなど、市町村や地域の障害者の方々の努力が報われない状況が見られるところであり、京都府としてもこの間、国に対し強く改善を求めてきた。これからも国に対し、その責任を果たすよう強く求めてまいりたい。

 こうした状況の中ではあるが、京都府では、制度施行前から府独自の措置を講じ、入所施設や授産施設は全国的には高い整備水準となっている。サービス利用状況は、ショートステイで84%、デイサービスで41%増加し、指定居宅事業所数が171事業所から203事業所へと32事業所増加するなど、これまでのサービス提供の強化につながってきているが、今後とも、府内のどの地域においても施設サービスをはじめ、必要とする障害者のニーズに応えることのできるよう、市町村や関係団体とも連携しながら基盤整備やサービスの充実に努めてまいりたい。

 障害者基本計画については、昨年度、京都府が障害当事者やご家族を対象に、障害者保健福祉に関する調査を実施したところであり、その分析とあわせ、今年度、市町村や関係団体、障害当事者などのご意見を聞く中で新しい障害者基本計画を策定する。

 障害者の通所施設については、障害者が住みなれた地域で仲間と集い、働くことができる施設として非常に大切なものと考えている。とくに、無認可の共同作業所については、京都府では全国トップ水準の補助を行っており、今年度も厳しい財政状況の中で、何とか弱い立場にある人を支えたいと考え、運営補助の増額を実施したところであり、国制度の小規模通所授産施設についても府独自に運営費の上積み措置を講じている。なお、府独自の施設職員対策等の各種助成制度については、職員の資質向上や第三者評価の導入・促進など、施設利用者の処遇向上に向けた施設の努力や工夫に対する助成へと制度の改善を行った。

 障害者の相談・支援体制については、従来から様々な障害種別に応じたサービスの相談に応えられるよう、市町村職員の研修やケアマネージメント従事者の養成・研修を実施するなど、人材の要請、資質向上に努めてきた。また、身体障害者更生相談所や知的障害者更正相談所においても、市町村職員に対し専門性を発揮した助言・指導を行ってきている。さらに、専門相談機関及び関係施設等のネットワーク化を進めるなど障害者のニーズに応じた相談体制のいっそうの充実・強化を図ることが必要と考えている。なお、障害者地域生活支援センターについては、府内に身体・知的・精神の障害種別ごとに18ヵ所に設置済みだが、今後は総合的な相談窓口の再編・整備等によるサービス向上を視野に入れた支援体制の新たな構築を目指し、各障害保健福祉圏域ごとに障害者相談支援ネットワーク体制の整備を進めたい。

 支援費制度と介護保険制度の統合問題については、社会保障制度全体を見渡した視点から、全ての世代の負担と給付のあり方について、幅広い意見を聞きながら、国民合意の下で見直すべき問題と考えている。見直しにあたっては、支援費制度における障害者施策と介護保険における介護サービスの仕組み、内容が大きく異なっているので、利用者本位の視点や障害者の方々の自立を損なわないよう統合できるかどうか、障害者の意見をもとに課題を十分に整理することが必要と考えている。いずれにしても、市町村と十分に連携しながら、障害者が安心して地域で生活できる支援体制の構築に向け引き続き努めるとともに、支援費制度の移行時に見られたように実質的に地方への財政負担の転嫁が行われるようなことでは、これはまったく問題が違うと思うので、こういったことがないように国に対して強く求めてまいりたい。

 

高すぎる介護負担の軽減、特養ホーム待機者解消への対策はどうか

 

【島田】次に介護保険制度についてです。実施から4年がたちましたが、京都府でも利用者が増える一方で負担が重くて十分なサービスが受けられない、施設不足から特養ホームに入所できないなどの矛盾が広がっています。

ところが、政府は、5年目の制度見直しにあたって、保険料の徴収対象を20歳以上に拡大する、サービス利用料を現行の1割負担から2割、3割へ引き上げる、すべての特養ホーム入所者から家賃を徴収する、軽度の介護者のサービスを抑制するなど、大改悪を進めようとしています。給付を削減し、負担を増やすものであり、認めることができません。

このようなやり方でなく、誰もが安心して利用できる介護保険制度とするための見直しが必要です。

第一に、保険料・利用料の減免制度についてです。先に共同通信社が行った「介護保険についての全国首長アンケート」でも、保険料について、7割の首長が「設定が不公平」「高すぎる」と回答しています。見直しに当たって、減免制度を国の制度として確立することを求めるべきではありませんか。また、京都府としても直ちに実施すべきと考えますが、いかがですか。

第二に、給付への国庫負担を今の4分の1から2分の1へ引き上げることを国へ求めるべきです。いかがですか。

第三に、特養ホームの増設など待機者の解消を図ることです。先日、舞鶴へ伺って聞きますと、舞鶴市の待機者は571名とのことです。優先順位の導入など入所基準の見直しの中で、申請をあきらめる人があり、1,000人をこえていた待機者が571名となったとのことです。言い換えれば、今すぐにでも入所の必要な緊急性の高い待機者といえます。こうした待機者の数について本府は把握されているでしょうか。お聞かせください。

本府の第3次高齢者保健福祉計画を見ますと、とても実態にあうものではありません。解消のための計画をもつべきではありませんか。知事の見解をうかがいます。

【知事】介護保険制度においては、社会全体で介護が必要な高齢者を支えあうという趣旨から、高齢者の方や現役世代の方に保険料、利用料の負担をいただくとともに、国、都道府県、市町村のそれぞれの役割に応じた公費で負担をしている。府としても、毎年負担が増加しており、今年度は約155億円を負担するなど、財政状況がたいへん厳しい中で全力をあげてこの制度を支えている。こうした中、低所得者に配慮し、通常5段階設定の保険料を6段階とする制度を活用している市町村は、府内では現在7割以上に達しており、全国平均の約1割を大きく超えている。また利用料減免についても、府も負担している社会福祉法人による利用料減免措置など、現行制度の積極的な活用を市町村にもお願いしている。また、国に対して、高齢者、低所得者の保険料・利用料等の経済的負担の軽減とあわせて、地方公共団体の財政的負担が過度とならないよう、調整交付金を国庫負担金25%の別枠で措置することなどについて、積極的に提案・要請を行っている。

 特別養護老人ホームの待機者については、市町村が現行の介護保険事業計画の事業見込み者数を算定する際の基礎資料とするため、各施設への実申込者数を把握した結果、京都府全体で3,640人、京都市内部分を除き1,570人となっている。この市町村計画を踏まえた府介護保険事業支援計画に基づき、政令市として施設整備を行う京都市を除き、他の市町村と連携して必要な施設整備に努めており、現在、計画を上回る速さで進捗している。なお、15年度末では、とくに入所の必要性が高いといわれている4割、630人分をこえて750人分の施設整備が完了または着工済みで、グループホームは約350人分を整備済みとしている。さらに運用面でも、本府が策定した入所指針に基づき、入所の必要性の高い方から優先的に入所できるよう全施設で取り組んでおり、今後とも在宅サービスを含めた介護サービス基盤のいっそうの充実に努めたい。

【島田・再質問】特養ホームの待機者ですが、先ほど1,570、府下で3,640という数字を言われましたけれど、これは一昨年、もう2年ほど前の数字かと思いますが、現在の待機者はどれほどか、とりわけ、来年が見直しですので、これはつかまなければいけない数字だと思いますので、改めて現在の数について、あるいは調べていなかったらそのようにお答えいただきたいと思います。

舞鶴の待機者571人について、緊急度の高い待機者と先ほど申し上げました。京都府の第3次高齢者保健福祉計画を見ますと、16年度の必要数は中丹圏域で78人、平成19年までの増員数は299しかないわけです。571人の待機者に299人の計画しかないということを知事は御存じですか。改めて、これでも計画の見直しは必要がないと言われるのか、お答えをいただきたいと思います。

【知事】基本的には、これは市町村がしっかりと調べていくという中で、私どもはそれに照らした施設の整備計画を作っていくという前提ですから、まずわれわれはそういうものを踏まえていくべきと思っている。18年に向け、17年度には待機者も含め調査が必要になってくると認識している。

 

広がる少人数学級の実施。府として全校実施に踏み出すべき

 

【島田】次に、教育問題です。

この4月から、何らかの少人数学級に踏み出した自治体は、42道府県になるなど急速にひろがっています。

本府では、この春から、少人数学級の選択的実施がはじまり、現在、18の市町村で実施され、小学校で32学級、中学校で13学級、合計45学級増となりました。綾部中学校では、1学級36人、37人であった生徒数が31人程度になり、「一人ひとりの状況が把握しやすく、落ち着いた状況がつくりやすい」「2学級を3グループに編成しなおす少人数授業がなくなり、すべての授業で学級の機能が授業に生かせる」など、優れた評価があがっています。府教育委員会は、あくまで国が進める習熟度別授業に固執していますが、これまでも指摘をしてきましたように、低学年から学力で輪切りにしてやる授業は児童に劣等感さえ生まれるなど弊害が多く、子ども発達の上で新たな障害をもたらすものです。先日、文教常任委員会で、今年度から市内すべての小中学校で30人程度学級の実現をめざす愛知県犬山市をお尋ねしましたが、市教育委員会は、「国や県が進める習熟度別授業は、児童生徒にとって有効性が認められるという根拠は何も示されていない。習熟度別授業は、競争教育そのものである」と明確に批判され、「いろいろな能力や個性をもった子どもがいることで、いろいろの考えが交流でき、教えあいを通じて、それぞれが向上する豊かな人間関係を築き、子どもの学力や教師集団の力量を高めることが出来る」と明瞭に語られました。研究と実践の積み重ねの中からの発言であります。この際、京都府として、全ての学校で少人数学級編成に踏み出すべきです。指導方法工夫改善加配約750名や細切れの講師配置7億円の府単費事業を改善、活用すれば、低学年から順次可能です。決断すべきです。いかがですか。

【教育長】少人数教育については、学校現場の先生や保護者の方々の意見を十分に聞いて策定した「学び教育推進プラン」を踏まえ、市町村教育委員会の判断で少人数授業、ティームティーチング、少人数学級を選択して実施できるよう、今年度から子どものための京都式少人数教育を実施しているところ。このため、学校や児童・生徒の実態に応じたよりいっそう効果的な指導がはかられていると考えている。

 

高校制度改革

受験競争の低年齢化をまねく、選択的中高一貫教育を見直せ

 山城通学圏での「入試改革」の矛盾ふまえ、子ども中心の改革を

 

【島田】次に、高校改革についてです。この4月、府教育委員会は、府立高校改革推進計画・第1次実施計画に基づいて、「中学生から選ばれる高校づくり、希望する高校を選べるシステムづくり」と称して、普通科総合選択制や総合学科の増設とともに、洛北高校における中高一貫教育の選択的導入や山城通学圏の入試制度改革を実施されました。学校現場や子どもたちに早くも矛盾と混乱を広げています。

第一に、洛北中高一貫校への選択的導入は、小学校の教育をゆがめています。「学力検査はしない」となっているにもかかわらず、私立入学並みの難問を出題し、受験競争の低年齢化を招く危険性があきらかになりました。競争倍率は10倍を超え、「クラスによって合格した数が違い、担任の内申書の書き方が話題になっている」など、選抜過程の複雑さと合否基準のあいまいさが指摘され、入試の不明朗さを深めています。何より、多数の子どもが不合格になり、ショックで学校を休む子どもが出るなど、子どもたちに深い傷を残す結果となりました。このように、受験競争の低年齢化をまねき、小学校から、子どもたちの中に「エリート競争」を持ち込む選択的中高一貫教育は見直すべきではありませんか。

第二に、山城通学圏で実施された「入試制度改革」についてです。府教育委員会は、「学校選択の幅が広がる」「希望する学校に行ける」などと宣伝し、通学区域の拡大や、単独選抜と三段階選抜を導入しましたが、結果はまったく逆の事態になりました。子どもたちは、「受験機会が増えたのではなく不合格の回数が増えただけ」「行きたい学校を選ぶというより、落ちない学校を選ぶ」ということになったと語っています。ある中学校教諭は、「子どもたちの涙をこれほど見た年はなかった」とのべました。一般選抜では昨年の2倍近い311名の子どもが不合格になり、特色選抜では選考基準や選考過程がいっそう不透明になっています。また、一年目で高校の序列化が一目瞭然となり、地元の学校に通えない子どもたちがふえ、通学範囲が大きく広がり、通学費負担の増加や、部活動に参加できないなど、教育活動への影響もではじめています。さらに、京都府が「特色づくり」で目玉としていた総合学科や普通科総合選択性の実施校などでいずれも定員割れという事態となり、早くも行き詰りを示しています。

苦痛と混乱を与え、高校間の序列化を決定的なものとする山城通学圏の入試改革は中止し、子どもたちを「振り落とす」ための入試でなく、子どもたちを励ますため、希望者全員が入学できるものとなるよう、府民的論議と合意に基づく真の改革をおこなうべきです。いかがですか。

府教育委員会は、この3月に、「府立高校改革推進計画・第2次案」を発表されました。その特徴は、40人学級をそのままにし、「1学年は8学級」などという一律的な適正規模を決め、適正配置の名で、最初から「高校統廃合」を進め、高校の数をへらす計画です。小規模でも地域の特色を生かした学校づくりや、困難を抱える子どもたちのよりどころになっている学校もあります。また、学校がなくなるということは地域づくりにとっても死活問題であります。定時制・通信制高校の困難を解決するというなら、通学しやすい地域にきめ細かな定時制や通信制を設置することです。この際、高校でも30人学級を実現することを始め、子どもたちが通学しやすい地元の学校で豊かに高校生活を送ることが出来るよう、地域住民参加、高校生参加で、「高校改革」を進めてはいかがでしょうか。教育長の見解をうかがいます。

【教育長】中高一貫教育については、洛北高校附属中学校へは、15倍を超える志願者があり、府民の非常に高い関心が伺える。入学者の選抜にあたっては、学力検査は行わず、学校からの報告書、作文、制作、面接、さらに抽選を用いるなど受験競争の低年齢化を招くことのないよう十分に配慮したところで、今後とも、洛北中高一貫教育の目指す理念の実現に向け、いっそうの充実を図りたい。

 山城地域における選抜方法等については、今回、志願倍率が上がっているが、これは希望する高校を今まで以上に選択できるようにしたことにより、生徒・保護者の府立高校への期待が高まったものであると考えている。また、特色選抜は、受験機会の複数化と学力検査によらない多元的な評価尺度による選抜を行ったものであり、その結果、各高校の校長からは特色に応じた目的意識の高い生徒が入学していると聞いており、今後とも、中学生から選ばれる特色ある高校づくりを積極的に支援してまいりたい。

 府立高校改革推進計画については、本年3月の計画案では、生徒一人ひとりの能力や個性を最大限に伸ばす適切な教育課程の編成や一定規模の生徒や教職員の集団を維持し、活力ある教育活動を展開できることに視点を置いて適正規模を示したものであり、統廃合や廃止を前提とするものではない。なお、再編整備を進めるにあたっては、中学卒業生数の将来見込みや生徒の志望動向に加え、地域の状況を十分に考慮し、関係市町村教育委員会などの意見も聞きながら、総合的に判断してまいりたい。

 

新合併特例法の先取り、府の“合併”支援委員会は解散を

合併押し付けでなく、市町村への支援にこそ府の役割を果たせ

 

【島田】次に、市町村合併について伺います。

 今国会で、自民、公明、民主党などが市町村合併の関連三法を成立させました。これまで国が強引に進めてきた合併が政府の思惑どおり進まないことから、さらに強化しようとするものです。とくに見過ごせないのは、勧告権など合併押し付けのための知事権限を強化したことです。これに対し、全国の知事から、「市町村と対等・協力の関係にあるべき府県が一方的に押し付けることはおかしい」「一律の合併勧告は行わない」「合併しない自治体に支援を行う」など、反対の意見が相次ぎ、知事の6割が半強制的な勧告権の行使は行わないと表明しています。ところが、山田知事は、この勧告権を「場合によっては行使する」とマスコミの調査に回答されました。

宮津・与謝1市4町の合併協議については、ご承知のとおりすでに破たんし、6月4日には「休会とする」という提案も確認できずに、事実上の解散という事態にまで至っていますが、知事はこの間、この合併協議に対しても京都府市町村行政改革支援委員会をテコに露骨な介入を行ってきました。私は、5月8日の合併協議会の議事録を見て大変驚きました。府の支援委員の一人は、「合併しないと、とてつもなく厳しい状況に急激に追い込まれる」「合併しない場合は、毎晩のように会議をして戦略を練らなければならない」などとまるで脅しのようです。

別の支援委員は、「住民発議で請願を起こしてでも1市4町の合併を」と迫っているではありませんか。これは「助言」などではなく、1市4町の枠以外はありえないという府の意向を押し付ける介入以外の何物でもありません。そして、これらは、「新合併特例法」で新たに盛り込まれた、知事が任命した合併調停委員による、「斡旋・調停」を行うという、強制的手法の先取りです。こうしたやり方はキッパリ改め、あくまでも合併は地域住民の自主的、主体的な判断によるもので、介入はしないという立場に立たれるべきと考えます。

 さらに、支援委員会の「助言」が強調する、合併によるスケールメリット論、行財政の効率化論も、単なる合併押し付け論であることも明らかになっています。現実には、合併前の駆け込みハコモノ事業、合併特例債をあてにしたムダな公共事業によって、財政再建に逆行する事態が全国で進行しています。京都でも、福知山市議会で市長が「三和・夜久野・大江の三町が、合併を前に、起債を使ってハード事業に多くのお金を使っている」「それを京都府が認めている」「こんなことをしとったら合併はできない」と答弁していますし、京丹後市では、合併を前にした各町のハコモノ建設の結果、それまであった6町の基金は38億円にまで半減、逆に借金である起債は50億円ふえて794億円に増加しました。一方、峰山町の子宝支援、丹後町の若者定住対策、弥栄町の高齢者福祉医療など町独自の制度がなくなり、水道料金が2倍、3倍に跳ね上がったところや、国保料が大幅に値上げされたところなど、住民サービスは低い方に、住民負担は高い方に合わされようとしています。結局、スケールメリットとは、国が本来負担しなければならない地方交付税を大幅に減らすことが出来るというだけのことであり、住民にとっては、住民サービスは低下、行財政効率化で町役場などの雇用の場はなくなる、そして公共事業で新たな借金はかぶせられるという、二重三重のデメリットとなるだけです。

野田川町の広報誌は、第一に、合併により逆に住民サービスが後退する。これでは住民にとってのスケールメリットはない、第二に、合併後の大型事業が目白押しで財政健全化につながらない、第三に、ハード事業中心の町づくりは野田川町の理念とかけ離れているとしていますが、支援委員会の「助言」は、これらの指摘にはまったく答えていません。

事実上破たんしている14町合併の枠組みを押し付ける府のやり方、あるいは支援委員の発言は誰が見ても介入そのものですが、知事はそうは思われないのですか。また、相楽7町村への合併押し付けの「助言」に対し、木津町長が「町に一言もなく提言された。先に合併ありでは問題は解決しない」と批判しているように、地方自治を侵害し、事実上の介入の道具となっている支援委員会は解散すべきですが、いかがですか。明確にお答えください。

さらに、政府の合併押し付けの狙いが、国の地方財政切り捨てにあることが、いよいよ、浮き彫りになってきています。今年度の地方交付税等の削減額は、京都府で306億円、府内市町村では京都市を含め255億円にのぼり、市町村財政を圧迫しています。この間、国は多くの自治体関係者の批判を前に、2006年度までに3兆円規模の税源を移譲すると言い出しましたが、これを上回る規模の補助金削減を強調し、さらに地方交付税の削減も予測されます。国の財政運営の失敗を地方に押し付けることはあってはなりません。いま、地方切り捨ての「三位一体改革」を許さない、地方をあげた大きな共同のたたかいが求められています。ところが、本府は財政健全化と称して、国と同じようなやり方で、すでに市町村の予算書に盛り込まれていた「就職助成」などの事業を一方的に廃止、障害児童のふれあい交流事業など各種の事業を中止しました。このことが市町村の困難にいっそうの拍車をかけています。

いま必要なことは、住民の暮らしを守る市町村の仕事を支えるための支援を強化することであり、ここに京都府の役割があるのではないでしょうか。

そこで、いくつか伺います。

第一に、「未来づくり交付金」についてです。合併の誘導や市町村への介入にこれを使うようなことはせず、ひも付きでなく、市町村が自由に地域の実情に合わせて、福祉対策、生活交通の維持・確保対策、小規模農家への支援、観光振興、雇用対策などに使えるようにすべきと考えます。いかがですか、お答えください。

第二に、住宅改修助成制度についてです。先の国会で、わが党の西山とき子参議院議員の質問に対し、石原国土交通大臣が、「私も肌でわかる」と住宅改修助成制度の経済効果を認める答弁をしました。また、介護保険の枠を越えて自治体が住宅改修を支援していることについては、坂口厚生労働大臣が「大変いいことだ」と答えています。国もその意義や必要性を認めざるをえなくなっているのです。知事は、これまでから、「地方から国を変える」と発言されてきました。地域経済への波及効果、在宅介護の基盤整備、さらには耐震対策と、二重三重の効果のある住宅改修助成制度を京都発で全国に先駆けてこれを実施されてはいかがでしょうか。改めて伺いたいと思います。

第三に、子どもの医療費助成制度の拡充です。府の制度を越えて小学校入学前まで通院も助成する自治体が29市町村にまで広がりました。これも国会決議で助成の必要性が明記をされました。坂口厚生労働大臣は、1,100億円ですべての就学前までの子どもの医療費が無料化できるのに、お金がないと拒んでいます。米軍への思いやり予算はその2倍の2,400億円も使っているのです。思いやる相手をまちがっています。このような子どもの命と健康にもかかわる問題で、住んでいる地域によって差別があってはならないと考えます。この際、府として、制度拡充を決意されてはどうですか。そして、国の制度として実現されるよう求めるべきです。知事見解をうかがいます。

【知事】地方分権が進展する中、住民に最も近い立場にある市町村が、住民福祉の向上を図るためには行財政基盤を充実・強化することが大変重要な課題となっている。このため、各地で市町村が合併を含め、市町村のあり方について真剣な議論が行われているところで、府としてはこうした自主的な取り組みに対し、必要な支援をするのは当然である。ただ、市町村のこうした議論が進むにつれ、各市町村の意見が分かれてくる場合が出てくることは、これは往々にしてあり、実際に多くの市町村長さんが「府の仲介をお願いしたい」というような声が上がっているのも、これは私自身も直接聞くなど、事実としてある。ただ、都道府県としては、また法的な役割として仲介をもっているが、議員のような立場もありますので、できる限り市町村の自主性を担保するために、市町村からの公式要請によるものに限る。助言の内容は、できるだけ客観的なものとすべきとの立場から、第三者による市町村行政改革支援委員会を設置し、そして宮津・与謝の場合も法定協議会の依頼に基づき助言を行ったもの。支援委員会において、様々な角度から検討が加えられたところだが、私はこれは何ら強制を伴うものでないということを、ここで申し上げておきたいと思うし、その後、各市町村もそれを踏まえて、前提として活発な意見交換を行っていると考えている。

 未来づくり交付金については、市町村が行財政基盤の充実・強化など、自主・自立の事業を企画・立案・実施しようとする場合に、府の関与をできるだけなくして、それぞれの地域の実情に応じて、市町村の裁量により活用することができるようにするもの。

 住宅改修助成制度については、これまでから答えているとおり、いくつかの市町村では、それぞれの地域における実情を踏まえながら、雇用・不況対策の一環として取り組まれているところで、府としては府営住宅総合ストック活用事業や、いろいろな形での中小企業の雇用支援対策を講じているところで、こういうそれぞれの施策とあいまって地域経済が成り立つのが、まさに地方自治ではないかと思っている。

 乳幼児医療制度についても、平成159月に制度拡充を図ったところで、厳しい財政状況ではあるが、所得制限を設けることなく、全国的に高い水準になるよう精一杯の支援を行い、親御さんたちが安心して医療を受けていただけるよう配慮しているところだが、国に求めるというよりは、私は国が税源移譲してくれればいいんだ、そうすれば私どもは地域の実情に応じて判断していくというのが、私は分権型社会の中では正しいやり方だと思う。

【島田・再質問】市町村合併についてですが、あくまで自主的・主体的な自治体の判断だと。住民の意向を尊重すると言うならば、今のようなやり方は介入以外の何物でもありません。これは改めるべきだというふうに思います。

木津町長の発言については紹介をいたしました。地元町長も「いらない。一言も相談はない」と表明をするぐらい批判の声は高いわけでありまして、私はこうしたやり方は改めるべきだと考えております。

次に、市町村支援、特に子どもの医療費助成制度と住宅改修助成制度の問題について、国会議論の中でも、この有用性については明らかになっています。そして、私は、知事が京都で先進的にやって、国の制度にぜひしていただきたいなと思って質問をいたしました。先だって行われました三位一体改革推進列島シンポジウムで、知事の発言を聞いておりましたら、「地方の知恵を出し、やってみて国を変えよう。役割分担という人がいるが推し進め過ぎると切り捨て論にしかならない。住民から始まり、市町村が仕事をし、これを都道府県が支え、これを国が応援する」。こういうふうに発言をされました。と言うなら、私どもの提案はまさに時宜にかなった提案であるというふうに考えております。ぜひこのような立場で要求すべきだというふうに思っております。答弁があればお答えください。

【知事】市町村行政については、木津の話をされたが、では、これを要請された笠置町南山城村和束町の立場は一体どうなるんでしょうか。一面だけを捉えるということじゃないと思うんです。皆さんがやっぱりやっていかないといけない。木津町の町長さんに対しても、われわれこういう立場で支援委員会に今かけて、助言するということは、これは申し上げているわけで、それを事前に調整するとか、そういった趣旨のものではこれはたぶんないということを、これは理解してもらいたい。まさにこういったものを前提とし、私どもは、とくにこれは南山城村と、そして笠置町と、そして和束町の要請に対してこたえるものですから、そういった形でお話をさせていただいているということをご理解いただきたい。

 乳幼児問題は、やっぱり、少しニュアンスが違うなと思うんですけれども、一つ一つの改革というものを私たちの思いからやっていくということで、それは何か全国一律でやっていく話ではないんではないか。地方の課題という現状を踏まえた上でやっていって、国はどちらかというと外交とか、防衛とか、金融とかそういった部分で十分にやっていただければ私はいいと思う。

 

イラクからの自衛隊の撤退を国に求めよ

 

【島田】次に、平和の問題です。

イラクで2人の日本人ジャーナリストの命が奪われました。私は、この野蛮な行為に心からの怒りを表明するとともに、真実を伝えるためにがんばってこられたお二人に心から哀悼の意を表したいと思います。

イラク戦争から1年、「イラクに平和を」「自衛隊は撤退せよ」の声は日に日に強まっています。戦争の大義も失われ、激しい戦闘が続く中で、「そもそも来たことが間違いだった」と撤退したスペインだけでなく、ニカラグア、シンガポール、ホンジュラスやニュージーランドも撤退を決るなど、各国のイラク撤兵の動きが広がっています。こうした中、アメリカによる不法なイラク占領はますます矛盾をひろげています。

ファルージャでは、米軍が市民700人以上を殺戮しました。民家や救急車、宗教施設までミサイル弾を打ち込み、クラスター爆弾など残虐兵器も使って、罪もない子どもたち、女性の命をうばうなど、明白な国際法違反を繰り返しているのです。米英軍のイラクの刑務所内での虐待、拷問など、人権抑圧の行為はまさに「無法な侵略者」の実態を示しました。

自衛隊のいるサマワでも激しい戦闘が行なわれ、オランダ軍からも死者が出ました。自衛隊宿営地にむけた攻撃が繰り返され、戦場そのものなのです。いま必要なことは、米英の軍事占領をやめさせ、国連中心でイラク国民の自主独立の国づくりを応援することです。

そこで知事に伺います。知事は、2月議会のわが党議員の質問に対して、「人道復興活動は、戦闘活動が行なわれていないところが前提、これが崩れるようなことがあれば勇気ある撤退を」と答えられましたが、今こそ、平和を取り戻すために「自衛隊は撤退せよ」と言うべきではありませんか。

【知事】自衛隊の活動は、医薬品の供給や経済基盤の復興など、イラク特措法に基づいた人道・復興支援に限定している。イラクの状況については、報道によるしかないが、正直、悪化の傾向にあるように伺えるだけに心配している。これまでから申し上げているとおり、政府は現地の治安状況等を注意深く見極め、自衛隊の方々に万一の事態が生じることのないよう、安全確保の観点から活動の慎重かつ柔軟な実施を最大限考慮され、イラクの状況や活動についての、国民に対する説明責任を果たしていただきたいと考えている。

 いずれにしても、今朝、国連安保理は、全会一致でイラク復興計画に関する決議を採択した。わが国も含めた国際的に協力、協調の中で、イラクの人々の平和の日々が一日も早く訪れることを期待する。

【島田・再質問】イラクの今の現状を「悪化している。心配する」というお答えでした。明言をされませんでしたけれども、今の状況は、非戦闘地域である、撤退をするような事態ではないという認識なのかどうか。これは国会の問題なのですけれども、2月議会での答弁との関係がありますので、ぜひお答えをいただきたいというふうに思います。

さらに、国民保護、住民の命や財産を守る問題ですけれども、テロも自然災害も感染症も、それぞれ性質が違います。それぞれに対処方法があります。これを全部ひっくるめて、ごちゃまぜにして、危機をあおって、事の本質、アメリカが起こす海外のイラク型の戦争に日本の国民も自衛隊も地方自治体も動員をするという、この法律の本質を覆い隠そうという危弁であります。

テロの危機は、アメリカの今の実態のように、無法な侵略戦争がテロの温床を拡大している。これは冷厳な事実であります。今、地震災害など自然災害をとめることはできませんが、戦争は人間が起こすものであり、人間の手によってやめることができます。

私は改めて、国民の命や安全・財産を守ると言うなら、アメリカのいいなりになって、軍事基地を拡大・強化し、戦争法をつくるようなやり方ではなくて、平和憲法9条を生かし、あくまでも平和外交に徹する。そして自治体レベルでの外交を続けることこそ、今私たちに求められることだと思っております。

【知事】イラク問題については、私は、正直言って、報道でしか状況を知ることできませんが、確かに悪化している状況というものは新聞報道にあるので、国はきちんと説明責任を果たして、非戦闘地域であるのかないのかについての説明は、これは国民にすべきであるということを申し上げた。テロとか、自然災害、これは私は知事としての立場から、これはたとえば鳥インフルエンザであろうと、テロであろうと、府庁の力を全部使わないといけない。府庁の力を、どうやって全部使って、その力を有効にかつ効果的に全部使って、府民を守る。そういう立場から全てを考えており、ひっくるめて云々というのは、私は逆に言うと、応用のきかない話を申されているなという感じがしている。

 

有事関連7法、国民保護法

 港湾管理者として、舞鶴港の軍事機能強化に反対せよ

 国民を戦争に強制動員する「マニュアル」作成を中止せよ

 

【島田】次に、国会で審議中の「有事関連7法案」についてです。先に、成立した周辺事態法は、アメリカの軍事介入によって発生した事態を、あたかも日本に対する武力攻撃――日本有事であるかのようにみなして米軍を支援することを決めました。今回の法案は、相手国が予備兵を招集したり、陣地構築の段階をいわゆる「予測事態」として、米軍への弾薬提供、空港、港湾の排他的軍事使用をはじめ、米軍に対する無制限な支援が開始されるものです。日本を守るどころか、国民をアメリカの戦争に総動員しようとする、極めて危険な法案であることは明らかです。

いま、京都の自衛隊でも基地強化が進められ、舞鶴では、日米新ガイドライン策定以来、急速に基地強化が進められています。この間、ヘリコプター基地の建設、弾薬庫や燃料貯蔵所の拡充、自衛隊桟橋の延長と浚渫、防衛デジタル通信網の整備、イージス艦、補給艦、ミサイル高速艇など、配備が次々と増強されました。米海軍は、今年3月、ミサイル防衛構想の一環として、日本海にイージス艦を常駐させる計画を発表するなど、日米合同の戦争への最前線基地として強化されているのです。

知事は、舞鶴港の港湾管理者として、これ以上の戦争準備に協力すべきではありません。今回の有事関連法案の一つ「特定公共施設利用法」は、武力攻撃予測事態の段階から、自衛隊および米軍の「優先的利用」をはかることを明記しました。その指示に従わなかった場合は代執行をされることとなっていますが、これは知事の港湾管理権を奪う地方自治の明白な侵害ではありませんか。知事の見解をお伺いします。

次に、「国民保護法」の問題です。知事は、「法治国家として国民保護の法整備が必要」といってきましたが、この法律は「国民保護」とは名ばかりで、土地や家屋、物資の強制的収用や、保管命令などについて、国民が拒否をすれば、犯罪とされるもので憲法違反の人権蹂躙法です。また、法案は、これらの強制措置を国民の避難や保護救援を目的に行うとしていますが、これはまったくの「建前」で、緊急時に国民を非難させようとしても、「米軍行動円滑化法」によって、米軍車両には日本の車両を無視して緊急通行や物件の撤去まで出来る権限が与えられているのです。昨年、鳥取県、内閣官房、総務省消防局などが主催して行われた「第一回国民保護フォーラム」で、自衛隊の責任者は、住民の避難より米軍や自衛隊の展開が優先になっていることを明言していることからも明らかです。

知事は、危機管理の名のもと、いち早く自衛官を職員として採用し、マニュアル作成を進めていますが、自治体としての戦争協力体制づくりではありませんか。ただちに中止すべきです。いかがですか。

いま必要なことは、こうしたやり方をあらため、憲法違反の有事関連法に反対し、憲法の平和原則を生かした国づくりのために努力することではないでしょうか。知事の見解をうかがいます。

【知事】特定公共施設利用法案は、武力攻撃事態等において、港湾、空港、道路、海域・空域及び電波の利用に関して、住民避難などの国民保護のための措置とわが国への侵害排除のための措置との調整を行い、それぞれが円滑かつ効果的に行われることを目的としたものであり、そういう運用がされるよう努力したい。

 国民保護法制については、私は、いかなる事態においても府民の生命、身体、財産を守ることが私どもの何よりも重要な責務であると考えており、国民保護法制の整備にあたっても知事が本部長となる都道府県国民保護対策本部へ自衛隊も参画し、知事の総合調整機能が真に発揮できる法制となるよう国に求めてきた。また、京都府の総合的な危機対応体制の強化を図るため、危機管理監を新たに設置し、その下に元自衛官、警察官、消防官などの危機管理の専門家を配置したところであり、今回採用した元自衛官は、阪神淡路大震災において救援のオペレーション事務に実際に携わるなど、災害の救援・復旧活動などに専門的な知識を有する方であり、危機発生時において府民を守る立場から、行政と自衛隊との連絡・調整に加え、危機対応に関するノウハウの提供を期待している。

 鳥インフルエンザの例をあげるまでもなく、私どもには、府民の安心・安全を確保するため万全の備えが要請されている。今の国際情勢も踏まえ、色んな意味で私どもはいつ危機に直面するかわからない。私は、いかなる誹謗中傷があろうとも、しっかりと府民の立場から、府民を守るということをここで申し上げておきたい。

 

府営水道の過大な水需要予測を見直し、ダム計画からの撤退を

 

【島田】最後に、府営水道の過大な水需要予測とダム問題について伺います。

わが党は、これまでから、本府の水需要計画について、人口予測と1人当たりの水需要予測が過大であると指摘してきました。さらに、こうしたことから見て丹生ダムや大戸川ダム、天ヶ瀬ダムの新たな水利権なしでも、府営水道の供給は十分に可能であることを明らかにしてきましたが、本府は、丹生ダムなどの建設計画にあくまで固執してきました。

しかし、先の予算委員会では、わが党議員が国立社会保障人口問題研究所のデータをもとに、第5次水道懇の給水人口予測、2020年に約70万人というのは明らかに過大ではないかと指摘したことに対し、理事者が「状況が大変ドラスティックに変わってきており」、水需要の予測を「精査しなければならない」と答弁されました。

そこで2点について改めて伺います。知事は、府営水道給水地域の人口予測や生活様式の変化などをふまえ、現在の水需要予測についてどう見直されるおつもりですか。また、この際、当初計画が1,100億円、それも事業費がどこまで膨張するかわからない丹生ダム、同じく740億円の大戸川ダム、330億円の天ヶ瀬ダム再開発から本府も撤退表明を行い、莫大な税金投入を伴うダム建設の抜本的見直し・中止を国に求めるべきです。いかがですか、お答えください。

【知事】府営水道の水需要予測については、概ね5年ごとに精査することとしているが、最近の景気の低迷や節水意識の向上など、水道を取り巻く社会経済状況の変化による影響等も踏まえた分析が必要と認識している。このため、学識経験者等による府営水道水需要予測検討委員会を設置したところであり、予測にあたっては、受水市町とも協力・連携し、幅広い視点から水需要の分析を行い、府営水道事業経営懇談会の意見も伺いながら、中長期的な水需要の見通しを策定してまいりたい。

 丹生ダム等の水利権については、宇治市などへの給水が暫定水利権に支えられていることも踏まえ、何よりも府民の将来にわたり安定した給水を確保することを第一義に、水需要の動向も考慮し、府の負担ができる限り少なくなる方向で総合的に検討してまいりたい。