2004年10月12日

府議会9月定例会を終えて(談話)

                 日本共産党京都府会議員団

                   団長  松尾  孝

 

 10月8日、9月定例会が閉会した。わが党議員団は、提案された議案のうち、府立学校授業料等値上げ条例改正案に反対し、一般会計補正予算案など、その他12件については問題点を指摘し、賛成した。

今議会は、「洛東病院の廃止」問題やPFI手法の導入など、山田知事のすすめる「府政改革」が、「総務省発」の地方自治破壊であることがより鮮明になった議会であった。わが党議員団は、本会議や委員会での質疑・討論を通じ、京都中北部地域の交通確保対策や大型店進出問題、市町村合併の押し付け問題など府民要求の実現に力を尽くすとともに、「住民の福祉の増進につとめる」という自治体の役割を投げ捨てる山田府政と対決し、「自治体らしい自治体」をつくるため全力をあげて奮闘した。

 

1、今議会で最大の問題として急浮上したのが、洛東病院の廃止問題である。知事の突然の「廃止方針」発表に、患者や地域の住民、そして職員から不安と怒りの声が広がり、短期間に16000人を超える「洛東病院存続とリハビリ医療の充実」を求める署名が、知事あてに提出された。

洛東病院については、昨年2月議会で保健福祉部長が「高齢化社会におけるリハビリ医療に対するニーズに的確に応えていくことを視点に、来年度から病棟再編による新しい病棟の新設など、充実強化を図り、特色ある病院づくりをすすめていく」と答弁したように、リハビリ医療の充実とその拠点としての洛東病院の充実強化が府の方針として示されてきたものである。

ところが、山田知事のもとでこれが180度転換され、9月10日の記者会見で、突然「今年度末で廃止方針」が表明されたのである。

  こうした方針の転換は、府民や関係職員、さらには議会の意見も聞かず、結論だけを押し付けるもので、山田知事の言う「住民発・住民参画」どころか「知事発・住民排除」の官僚的やり方そのものである。

しかも、審議を通じて、この「廃止方針」は、まったく異常な方法で決められてきたことが明らかとなった。

第一は、知事が「府立病院あり方検討委員会」の「意見」と包括外部監査の「報告」を受けて判断したとしているが、これが「廃止」方針を出すための「道具立て」に過ぎないことである。

「包括外部監査報告」が「廃止方針」を出すため、突貫作業でおこなわれた異常さと合わせ、「あり方検討委」も7月20日に立ち上げられ、7月26日第1回開催後、わずか3回、6時間の議論がおこなわれたに過ぎない。しかも、この検討委員会委員に府の関係者で入っているのは、府民の医療に責任を持つ保健福祉部ではなく、今年から作られた「経営戦略室」のメンバーで、島津製作所から採用された職員だけである。ここには、京都府が洛東病院問題を「財政・経営問題」からだけしか見ていない姿勢を如実に示している。

また、市民代表のように見えるNPO法人「公的病院を良くする会」も、その実態は兵庫県の医業コンサルタント会社であり、検討委員会の2人の「担当調査委員」もこの会社のメンバーで、「存続は適当ではない」の結論を導き出す中心的な役割を担った。まさに、リハビリ医療をどう充実させるか、府民の立場からではなく、「財政・経営」の観点から検討してつくられたことは明らかである。だからこそ、「あり方検討委」での「総合的なリハビリ医療の検討を」など、慎重な審議を求める意見は、「添え物」扱いされ、「存続は適当でない」との結論が早々と出されたのである。

第二に、知事は府立医大付属病院外来棟等の整備の中で、「総合的なリハビリの充実・発展を期す」「急性期リハビリを来年4月から実施」と答弁したが、委員会審議で医大事務局長は「これから学内で検討したい」と表明しており、知事の答弁がつじつま合わせの急ごしらえであることを露呈した。また、医大付属病院整備計画では「リハビリテーションの総合拠点整備」は、昨年3月の「構想」段階でも、今年3月の「基本計画」でも入っていなかったもので、洛東病院の廃止を決めるのにあわせて「外来診療棟整備の方向」の中に急遽盛り込まれたものである。

また、「きょうと健康長寿日本一アクションプラン」案でも、9月7日の第3回までは医大付属病院の「リハビリ医療の拠点としての整備」は議題にも上っていなかったのが、知事の「洛東病院廃止」方針を受けて、9月27日発表の「中間まとめ」に突然入れられたものである。

  以上のように、全国から見ても遅れている「京都のリハビリ医療をどう充実するか」まともに検討もせず、「財政・経営」の観点から「廃止」の結論を出し、これにつじつまをあわせ急ごしらえで、付属病院整備の中に盛り込んだことは明らかである。

  今議会では、こうした府民の声も、議会をも無視した山田知事の乱暴なやり方に対し、各会派がどういう態度を取るのかが問われた。

ところが、自民党は代表質問で早々と「府立医大付属病院を府民の医療の拠点として集約的にいっそう充実させることが賢明である」と洛東病院の廃止に賛成を表明。

公明党は一般質問で「病院の存続についての判断は慎重の上にも慎重に下さなければなりません」と言い、最終日の討論でも「府民の立場から見れば、唐突の感がいなめない。今の時点では情報量が乏しい。説明責任を果すことが緊急の課題」としながら「廃止の方向で検討することもやむをえない判断だと受け止める」と容認。

民主党は委員会では、この問題ではまったく発言せず、最終日の討論で「財政状況を勘案する中で、政策判断として廃止との判断をされたことに対し理解をさせていただく」と容認した。しかし、「財政状況を勘案」するというのなら、50億円もつぎ込む丹後大規模公園や、関空二期工事、市内高速道路建設に多額の財政をつぎ込むことについては、なぜ府民の目線で比較検討しないのか、民主党のご都合主義がそのままあらわれる討論をおこなった。

  これら与党会派が、府民の立場から知事の提案を審議するのではなく、とにかく知事提案には何でも賛成という無責任さを示すものである。

洛東病院の強引な廃止方針の決定は、地方自治、住民自治を踏みにじるものであり、山田知事がいくら「住民発・住民参画・住民協働」といっても、それは空論であることを自ら示したものである。

今後、こうした山田知事の「総務省発・府民排除」の手法や地方自治破壊は、府民の厳しい批判を受けざるをえないものである。

 

2、さらに、今議会には「府営住宅舞鶴常団地」をPFI手法で建て替えるため、約24億円を22年間にわたって債務負担を行うことが提案された。府の公共事業へのPFI導入は始めてである。府営住宅の建て替えは当然のことであるが、今回導入されるPFIによる事業手法は、大企業への発注となり、分割発注ができないことから地元中小企業は下請けにしか入れないこと、民間事業者が付帯事業として公共施設建設用地以外の空地や施設の一部を使って営利事業ができること、さらに完成後の管理運営も民間企業に任され、自治体の公的責任の放棄、住民負担増やサービス低下を招く危険があることなど多くの問題がある。ところが府はこれまでの建設方式とPFI手法での建設とを比較し、「6%程度コストが削減できる」としながら、その比較検討の詳細は一切明らかにされなかった。

わが党議員団は、PFI手法のもつ問題点を指摘し、議会としての審議と関係資料の提出を求めたが、これにまともに応えないという異常な状況に終始した。こうしたことから、この債務負担行為の議決には反対した。

今後とも、公共事業を民間事業者に丸投げするPFI手法が広げられる状況にある。わが党議員団は、一つ一つの事業について中小企業の仕事確保や公的責任の明確化、住民サービスの確保などを求め、議会として徹底した審議ができるよう奮闘するものである。

 

3、このように山田知事は、「福祉の増進」という自治体の基本的役割を投げ捨て、他方で民間企業に公共事業を丸投げし、公共の仕事を民間に「市場開放」するやり方をすすめている。

これを本格的に進めようというのが今年末までにまとめるとしている「経営改革プラン」である。これは「行財政改革指針(かいかくナビ)」の「財政版」と位置付けられている。すでに「素案」が明らかにされたが、ここにはこれまでおこなってきた職員の削減や賃下げ、福祉や医療など住民サービスの切り捨てなどの「削減型改革は限界」であり、「行政の運営手法を根本的に見直し、行財政体質の構造的改革が必要」としている。その第1に、「集中と選択による施策の見直し」をあげているが、今回の患者や住民の声を無視した「洛東病院の廃止」と府立医大付属病院への「集中」は、まさにその先取りでもある。さらに「改革の視点」の一つとして「府民・民間企業・市町村との役割分担と協働」をあげ、民間企業を役割分担と協働のパートナーに位置付け、公的責任を放棄して、民間企業に公務を「市場開放」しようというものである。その第一号が、府営住宅建て替え事業へのPFI手法導入である。

  しかも、「行政の運営手法を根本的に見直す」として、今回の洛東病院やPFI手法の導入のように、これまでの議会答弁も無視し、府民の声の尊重や職員の英知の結集という当然の手法は投げ捨て、「スピーディに」と知事のトップダウンで強行する異常なものである。

  知事のこうした乱暴な手法は、府民や職員、そして議会との矛盾の拡大は避けられず、早晩破綻することは明らかである。自民党議員も代表質問で「できすぎるトップのもとでは、職員は時についていけず苦労する。トップは時には『待つ』という姿勢も重要」と批判せざるを得なくなっている。

わが党議員団は、山田知事が政府・総務省の意向を受けてすすめるこうした「自治体構造改革」を許さず、「自治体らしい自治体」をつくるため全力を尽くすものである。

 

4、「経営改革プラン(素案)」がいう「民間企業との協働」は、特定の企業への異常な「協働」ぶりにすでに現れている。その一つが社会的犯罪として国民の厳しい批判にさらされている三菱自動車へのテコ入れである。本社機能の京都移転に伴い、庁内に「プロジェクトチーム」を立ち上げ、社員の住宅斡旋や子弟の教育対策とともに、減税など財政支援も検討を進めている。しかしいま、京都府がやるべきは三菱自動車が欠陥・事故隠しで人命をも奪ってきたこと、さらに、被害者への補償を含む社会的責任が果たされていないことを厳しく批判し、真相の徹底究明と再発防止への万全の体制をとるよう求めることである。こうしたことについては、まともな発言もせず、「支援策」を庁内上げて検討することこそ異常といわなければならない。

また、今議会に提案された外国人観光客への「ケータイサポート事業」についても、実質は携帯電話会社auや大手旅行会社JTBなど特定の企業の事業活動を支援することになりかねず、また「ものづくりベンチャーファンド」出資金6億円も、実質的に「アジア投資会社」に丸投げするもので、その運用状況について「秘匿の必要がある」として議会に報告するシステムすらまともに作られていないことが明らかとなった。わが党議員団は、これらの事業について、特定企業の事業活動の支援とならないよう公平公正な運用、議会への報告など透明性を確保するよう強く求めた。

 

5、北海道をはじめ全国で大問題になっている警察の「裏金づくり」について、京都府警でも、マスコミが現職警官の証言、裏金の「帳簿」や預金通帳をもとに、疑惑を報道するもとで、その徹底した究明を求めて奮闘した。しかし、警察委員会の審議で府警本部は、部内の調査で旅費については「適切でない事務処理があったが、不正はなかった」とし、徹底した究明を求めるわが党議員の質問にまともに答えず、「捜査上の秘密」を理由に資料の公表すら拒む態度に終始した。

  第一に、60人の調査員で調査したとされているが、そのメンバーの公表を拒んでいる。しかし、多くのところで「旅費の一括管理」がおこなわれていることから、このメンバー自身が一括管理に関与していなかったのか。自ら「不適正な処理」をしていた人物がまともに調査できるのか。この疑問に応えるためにも、メンバーの公表は当然である。しかも、北海道警など全国の状況から見ても「組織ぐるみ」の裏金づくりが疑われているだけに、真相を解明するためには、第三者による調査委員会を作って調査することが求められている。

  また、この調査に関し、知事は「監査委員会に特別の監査を要請した」としているが、そうであるなら本来地方自治法199条6項による特別監査でなければならないのに、監査委員は「199条5項による監査」としており、これは監査委員の「随時監査」であり、知事の要請にもとづく「特別監査」ではない。北海道をはじめ真相究明に大きな役割を果したのは、知事の「不正は許さない」とする決意にもとづく199条6項による監査である。ところが、山田知事は「監査委員任せ」というもので、知事の姿勢が問われるものである。

  第二に、府警はわが党議員の質問に対し、旅費の一括管理の実態についても、当事者に確認しただけであり、帳簿など資料を示して事実を公表するのではなく、「帳簿はなかった」「担当者からの聞き取り」と、本来明らかにしなければならない「どの班・係でいくらが親睦に使われていたのか」については、すべてうやむやにして終わらせようとしている。 

また、捜査報償費についても6月議会で「25%が仮名であった」と答えながら、「その総額はいくらか」については答弁を拒否している。一人一人については「捜査上の支障がある」との言いわけしているが、総額が明らかにできない理由はどこにもない。また、「残りの75%は実名か」の問にも「イニシャルがある」とほかにも仮名があることを認めており、誠実に真相を明らかにしようとする姿勢がないといわなければならない。しかも、これまで「捜査費、捜査報償費も監査委員の監査を受けたが、指摘は受けていない」と答弁してきたが、監査委員は「昨年度の後半から監査を行っており、それまではしていない」と答えており、捜査報償費などは「捜査上の秘密」を口実に、これまで監査されていないことが明らかとなった。

さらに、警察学校研修卒業生の旅費について、警察車両で送迎しておきながら旅費を請求していた問題についても、卒業生が請求したのではなく、「事務担当者がおこなったミス」と答弁している。公用車を使いながら旅費を請求する「不正請求」を事務担当者がおこなっていたこと、さらに、これまでのすべての研修卒業生に対しておこなわれていたことから見て、「組織ぐるみの不正請求」ではないかとの疑惑がますます強まっている。

このように、不正な経理がおこなわれていた疑いのある捜査費、捜査報償費、旅費はこの5年間で41億円にも上るもので、しかも個々の警察官が不正をおこなっていたのではなく「組織ぐるみ」でおこなっていた疑いがますます強まっている。ところが、公明党や民主党は警察委員会の審議で「旅費支給のシステムに問題があった。これからが大事」と疑惑にフタをすることを容認する態度を取っている。これは行政を府民の立場からチェックする議会の機能を投げ捨てるものであり、ましてや多額の税金の使途に疑惑があるだけに許されない態度である。

わが党議員団はひきつづき、徹底した究明のため全力をあげるものである。

 

6、山田府政が府政を「変質」させる動きを強めているもとでも、住民の運動と世論、府議会でのわが党議員団の積極的な提案、論戦が「自治体らしい自治体」をつくる力であることをあらためて示した。

その一つは、舞鶴での高潮被害対策である。これまで府議会はもちろん、舞鶴市議会でもわが党以外はまともに取り上げない状況が続いてきたが、昨年来のわが党議員団の現地調査をもとにした具体的追求や提案で、舞鶴市議会では9月議会ですべての会派がその対策を求める状況となり、府議会でも自民党と公明党がこの問題を取り上げざる得なくなった。

  この結果、これまで府道、国道のかさ上げについても、「舞鶴市から要望がない」とまともに対処しなかった京都府が「国道177号のかさ上げをおこなう。吉原地区の府道については今後も地元の合意、協力の得られたところから、かさ上げなど実施したい」と答えた。これは長年の住民の願いが議会と府政を動かしたものである。わが党議員団はひきつづき住宅のかさ上げについても、現行の融資制度にとどまるのではなく、補助制度の実現、浸水被害を防ぐためのフラップゲートなどの事業実施に向け全力をあげるものである。

二つには、「和装産業・伝統産業の振興を図る条例」の検討を表明したことである。これについてもわが党議員団は98年に「和装・伝統産業振興条例大綱案」を発表し、関係者とともにその実現のために奮闘してきたが、これまで府は「条例を制定しなくとも和装伝統産業振興はやっている」と拒否してきたものである。しかも、和装・伝統産業については「衰退産業」としてまともな対策を講じてこなかったが、今回「和装・伝統産業を産業として再生、発展させていくために府が取り組むべき基本方向を条例化」するというもので、伝統産業を支える貴重な技術等の継承支援なども含まれている。今後この条例が実効あるものとなるよう奮闘する。

三つには、若年者就業支援センターの機能強化を図るとして「府北部センターの設置検討」を表明した。これについても「北部地域の青年の雇用が深刻。青年の働く場の確保は地域の活性化にとっても重大」と指摘し、「北部でのセンターの設置」を求めてきたものである。青年のキャリア訓練をはじめ、青年の雇用対策に役立つものとなるよう青年の要望も取り入れ、早急に設置されるよう奮闘するものである。

 

7、今議会に、府立学校授業料値上げの条例改正が提案された。長引く不況で高校授業料が保護者の重い負担となり、授業料貸与予算を増額しなければならない事態にあるにかかわらず、国いいなりで3年毎の値上げを繰り返すものであり、また、教育費負担が少子化の大きな要因の一つになっていることからも、少子化対策にも逆行するものとして反対した。

  同時に、これまで無料であった府立看護学校を有料とし、府立高校と同額の入学金、授業料などを徴収する条例改正もおこなわれた。これについては、北部地域で看護師として5年間働けば、事実上無料とする条例も同時に提案された。わが党議員団は、看護学校の授業料徴収には反対であるが、貸与・免除制度が同時に提案されていることから、北部地域の看護師確保の積極策を講じることを求めるなど問題点を指摘するにとどめた。

 

8、今議会には、わが党議員が紹介議員となった「BSE対策」や「郵政の民営化反対」など、  17件の請願が提出された。

BSE対策では、新婦人や食健連など消費者団体から出された請願と自民党など4会派が紹介議員となった京都府獣医師会の請願は「清浄化が確認されるまでの全頭検査の継続とわが国と同一基準による安全措置が確立されるまで米国産牛肉の輸入は再開しないこと」を求めている点では、まったく同趣旨の請願であった。ところが、自民党は請願文書の中に「狂牛病との言葉が使われているから」といい、民主党は「日本人のもつ遺伝子はBSEに感染しやすいというのは、不安をあおるもの」とまったく理由にならない理由で、京都府獣医師会以外の請願は不採択にした。消費者の不安に応え、食の安全を守る立場から検討するのではなく、党利党略で府民の請願をもてあそぶもので許されるものではない。

  しかし、国政では、米国の圧力に屈して全頭検査の見直し、米国産牛肉の輸入再開に道を開こうとする自民、公明も世論と運動におされて、「全頭検査の継続と輸入禁止措置の継続」の請願の採択、意見書提出に賛成せざるを得なくなっている。

  郵政の民営化問題では、自民党など与党会派が賛成して採択した請願、意見書は「国民合意の下に郵政事業の改革を進められるように」としながらも「民間でできることは民間に」と民営化推進を前提にしたものであり、わが党議員団は反対した。しかし、ここにも強引な郵政民営化推進と国民との深刻な矛盾が示されている。

  地方財政をめぐっても自民党など4会派は「地方財政の破綻防止を求める意見書」を提案したが、政府のすすめる地方財政切捨ての「三位一体改革」を前提としているため、地方6団体の「国庫補助負担金等に関する改革案」と同様に、矛盾に満ちたものとなっている。わが党議員団は、「三位一体改革」の名による地方財政の切捨てを許さず、本来、国の責任である「義務教育費国庫補助負担金制度の堅持」、「地方交付税の財政調整機能、財政保障機能を維持充実すること」を求める意見書案を提出した。

  また、4会派は京都府に対し「市町村財政への支援の強化を図ることも求める」決議を提案した。これは今年度の政府の一方的な地方交付税等の削減で「予算編成ができない」など、市町村長など自治体関係者の深刻な声があげられる中で、京都府も補助金の削減など市町村に財政困難を押し付けていることへの批判の声を反映したものであり、わが党議員団は、府が市町村財政支援を強化することは当然として賛成した。

私学助成についても、4会派は私学助成補助金の廃止には一言も触れずに、私学教育の振興を求める意見書案を提案したが、今日、私学助成補助金が廃止されようとしていることについては、まったく触れないもので、わが党議員団は、この不十分さを指摘しつつ、国に私学振興の充実を求めるものとして賛成するとともに、私学関係者の願いである「私学振興補助金制度の堅持と増額」を求める意見書を提案した。

  これら一連の財政問題をめぐっての意見書の提出は、地方財政や市町村財政、そして私学補助金など国の地方財政切捨てが深刻な矛盾を引き起こし、オール与党会派も無視できなくなっていることを示している。

  わが党議員団は、市町村関係者や教育、私学関係者などとの共同を強め、地方財政切捨てを許さないたたかいをさらに強めるものである。

 

9、いま府議会では、3月以来、議長の提案による「犯罪のない安心・安全のまちづくり条例」の検討がすすめられている。わが党議員団は、犯罪をなくすためには、犯罪の要因となっている生活不安の解決や青少年を犯罪に巻き込む性や暴力を露骨に扱った情報、深夜営業などへの自主規制などの対策、さらには警察の警備公安中心から市民生活の安全確保優先への転換、暴力団対策などが必要であること、また、犯罪防止を理由にした防犯カメラ設置などで、プライバシーなど人権侵害があってはならないこと、府民の取り組みはあくまで自主的なものであり、条例の制定が、警察や行政への協力を府民に強要するものではあってはならないことなどを主張してきた。

 今回、発表された「条例素案」は、こうした議論の経過を踏まえて「たたき台」としてまとめられたもので、「プライバシーの保護」など一定わが党の意見も反映しているが、まだ多くの問題点を持っており、さらに多くの府民の意見をもとに、その改善のために力を尽くすものである。

 

山田知事1期目の折り返し点を過ぎ、知事が国・総務省の意向を受け、府政の「構造改革」をすすめようとしているとき、今議会では、これに対抗して「住民の福祉の増進」を基本的役割とする「自治体らしい自治体」をつくるため奮闘しているのが、わが党議員団であることはますます明らかとなった。

 今後とも、府民の暮らしを守る議員団、自治体らしい自治体をつくる議員団、悪政を許さず府民とともにたたかう議員団として、いっそう奮闘するものである。