前窪 義由紀  (日本共産党 宇治市・久御山町)  2004年2月26日

日本共産党の前窪義由紀です。通告している数点について知事ならびに関係理事者に質問します。

 

宇治小事件 あってはならない痛ましい事件

人的措置抜きに、現場教員にこれ以上の安全対策を求めるのは無理

【前窪】まず、学校・幼稚園等の安全対策についてです。

去る1218日の昼すぎ、宇治市立宇治小学校で給食時間中に突然外部からの侵入者によって、1年生の子ども2人が教室内で刃物により切りつけられ負傷するという事件が起きました。現場教員の勇気ある行動で大事には至らなかったものの、命をも奪いかねない犯行に許せない思いです。この事件で傷を負わされた子ども、また、事件を目の当たりにし大きなショックを受けた子どもたち、ご家族、関係者の皆さんに心からお見舞いを申し上げます。

事件から2ヵ月が経過したとはいえ、恐怖にさらされた子どもたちの心の傷はあまりにも大きく深刻です。心身に深い傷を負った子どもたちの一日も早い完全な回復を願うものです。 

今回の事件は、子どもたちの成長を支え、最も安全であるべき学校でのあってはならない痛ましい事件です。199912月の京都市伏見区の日野小学校で、また、2001年7月、大阪池田小学校で子どもたちが殺傷される事件の後、再発防止のため各学校等で監視カメラ、センサーの設置など、様々な対策がとられてきた中で繰り返された事件として、全国に大きな衝撃を与えました。

私は、事件後、宇治小学校を訪問させていただきました。学校では、「職員室にあるモニターテレビに常時映像が流れているが監視する人がいない。職員室の警報も校門の警報も人の出入りが多く鳴りっぱなしになり、仕事にならない。近所からの苦情などで、ほとんどスイッチを切っていた」と実態を説明されました。今の学校は、構造上どこからでも侵入が可能であり、人的措置を抜きに、現場教員にこれ以上の安全対策を求めるのは無理があると実感しました。

事件後、子どもたちの安全確保のため登下校の安全や巡回など、自主的な活動を続けている保護者の皆さんや、「子ども110番」などで協力をいただいている地域の方々、自治会、子ども会などとの協力したとりくみの大切さが、あらためて認識されています。学校が門を閉ざして閉じこもり、地域と分断されることではなく、地域に開かれた風通しの良い学校づくりを基本にすえることが重要です。今、社会状況は、経済的にも文化的にもいっそう荒廃がすすみ、社会全体が病んでいる状況にあります。子どもたちをはじめ、弱い立場にある者への攻撃的風潮も広がっています。

安全確保の要員をすべての学校に配置すべき

教員配置の是正とともに、教職員の配置基準の改善を

私は、社会のゆがみを正すこととあわせ、子どもたちの命と人権を守るため、学校・園を安心・安全の場とするため、学校・地域・家庭のいっそうの連携を強めることはもちろん、人的配置を含めた教育諸条件の改善を強く求めるものです。教育長のご所見を伺います。

池田小学校の例でも今回でも、事件は白昼に起こりました。この間、機械警備になった学校が圧倒的で、不審者の出入りや夜間の緊急事態の対応は、監視カメラの設置や警備会社まかせになっています。今回の事件は、監視カメラなど機械警備に頼っていた盲点をさらけ出しました。人の目で見て安全を確認し、不測の事態が発生してからでなく、未然に防ぐための現実的な対応が求められています。そのために、安全確保の要員をすべての学校に配置すべきだと考えます。どうされますか。お答えください。

また、宇治小学校は普通学級24、障害児学級2の26学級で府内でも最大規模の学校ですが、教員は国基準31人のところ30人しか配置されていませんでした。少なくとも、国基準を満たしていない学校の教員配置を、この際、直ちに是正するとともに、教職員の配置基準の改善をすべきだと考えます。いかがですか。

【教育長】昨日の稲荷議員の質問に答えたとおり、今回の宇治小事件の教訓を生かし、学校独自の危機管理マニュアルの作成、防犯機器の管理・運用、防犯教室・防犯訓練の実施等についてさらに徹底し、子どもたちの安全確保に万全を期すため、警察など関係者の協力も得ながら、平成13年7月作成の「手引き」を改訂したところである。今後、校園長や安全担当者の会議で、この「手引き」にもとづき、各学校・幼稚園が保護者、地域社会、関係機関・団体と一致協力し、凶悪な犯罪から子どもたちを守るため、学校の安全管理に万全を期すよう指導していきたい。

 本府では、学校規模に応じた配置を基本としながら、各学校の教育課題に適切に対応できる教職員を配置している。宇治小に配置している教員数は、仮に標準法により積算した教員数と比較した場合でも上回っており、今後とも、適切な配置につとめたい。

 

緊急の連絡方法の確保、自治体の安全確保の独自措置に府の支援を

宇治小への人的配置の継続を

【前窪】緊急の対応を求められるときの連絡方法の確保は当面の重要課題になっています。各教室、保健室、特別教室などと職員室を結ぶインターホンなどの設置を行うこと。同時に、職員室や教室の配置についても、安全・警備上・防犯に配慮して再検討が必要です。いかがですか。

宇治市は、事件が発生した宇治小学校だけでなく、「学校運営支援員」などの人的配置や安全対策を、市内すべての学校・園などに措置するため、来年度7500万円の予算を計上しました。このように子どもの安全確保のために独自措置を行う全ての自治体に対し、府として財政支援を含め積極的に対応すべだと考えます。いかがですか。

事件後、府として行った臨床心理士の派遣、加配教員・養護教員の配置を、宇治小学校の要望もふまえて、子どもたちの心身の状況が完全に回復するまで、当然継続すべきだと考えます。いかがされますか。お答えください。

【教育長】学校の安全を確保するための人的要員や財政措置も含めた市町村支援については、学校設置者である市町村が、予算措置も含めてそれぞれの地域の実態に即した最も有効な対策を講じられるものだが、府教育委員会としても、そのとりくみを側面から支援するため、1月上旬に、府青少年育成協会、府老人クラブ、府民生児童委員協議会など関係8団体にたいし、登下校時の安全確保や地域のパトロールなどへの協力要請を行った。

インターホンなどの設備については、市町村に対して地方交付税措置がなされており、必要に応じた整備が進められている。

宇治小に現在も措置している臨床心理士や加配教員などについては、宇治市教育委員会や学校から、児童や保護者の状況を十分聞きながら、必要な対応は継続していきたい。

 

【前窪・再質問】文部科学省が今年1月20日、緊急アピ―ルを出しました。この中では、「人による管理を徹底することが大事である」ということを述べて、それぞれ対処を求めています。府内の学校で、安全確保のための要員を配置しているのは、宇治市、舞鶴市、精華町、園部町、このように伺っていますが、私は、文部科学省の意気込みからすると、まだまだこれは普及していない、徹底されていないと思います。ですから、府は、府内の自治体と協力して安全確保の要員を何としても確保し、府内各自治体でも子どもの命と安全を守るために、これは大事なことですから、大いに普及していく必要があると思います。財政的支援も含めて、一気に推進するための教育長の決意を伺います。

【教育長】設置者である市町村の責任で、地域の実態に即した最も有効な対策をされるべきもの。府教員委員会としては、関係機関・団体等に子どもの安全確保のための協力要請を引き続き行うなど、側面から支援していきたい。

ダム計画の見直しを  「流域委員会の最終意見書」への態度は

【前窪】次に、ダム計画と水利権問題について質問します。

国土交通省の専門家会議「淀川水系流域委員会」は、昨年12月9日、国土交通省近畿地方整備局が提示した「淀川水系河川整備計画基礎原案」に対する最終意見書をまとめ同整備局に提出しました。同委員会は、滋賀や京都など五つのダム建設・再開発計画について、昨年1月に「計画・建設中のものも含め、ダムは原則として建設しない」と提言し、今回の意見書でも「中止も選択肢の一つとして抜本的な見直しが必要」と結論づけています。

意見書は、ダム計画について、自然環境への影響が大きいことなどから「提言の趣旨を尊重して抜本的な見直しが必要」とした上で、利水・治水のみに目を向けてきた従来の河川行政に、生態系の維持保全など環境面の視点を加えることを強く促す内容になっています。

ダム見直し論の背景には、環境重視のほかに、治水・利水効果への疑問などがありますが、とりわけ、当初の過大な水需要計画に比べ水需要がそれほど増えない現実が大きく影響しています。加えて「ダム建設ありき」のこれまでの公共事業のあり方に、国も自治体も財政難のなか再検討をせまられているものです。大阪府や阪神水道企業団はダム計画から撤退し、来年度予算にダムの建設にともなう負担金を計上しない方針だと報道されています。国の来年度予算では、丹生ダム・天ヶ瀬ダムに関連する予算は半分以下に縮減され、ダムへの対応にようやく変化の兆しが感じられます。

京都新聞の社説は、ダム見直しについて「国には『治水と利水』一辺倒からの転換が求められている。環境保全と住民意見の反映は、新河川法で自ら認めたところでもある。受益者である国民、地元、自治体もダムのあり方を真剣に考えるべき時期にきている」と指摘しています。

そこで、淀川水系流域委員会の最終意見書について、知事のご所見を伺います。

【土木建築部長】淀川水系流域委員会の意見書は、昨年9月に近畿地方整備局により示された河川整備計画の基礎原案に対して、昨年1月の流域委員会提言の趣旨をふまえ、今後の検討の方向性や検討すべき課題について、具体的意見書としてとりまとめ、近畿地方整備局にたいし提出されたもの。近畿地方整備局の基礎原案においては、「事業中の五つのダムの実施の妥当性について調査・検討を行うこと」とされている。今後、近畿地方整備局により、地元自治体や地域住民の意見等もふまえ、事業中の五つのダムの建設の是非についてもよく調査・検討がなされ、河川整備計画の案が作成される。府としては、今後、近畿地方整備局により示されるダムにたいする調査・検討結果と河川整備計画の案にたいして必要な意見を述べていきたい。

三つのダムの新たな水利権なしでも、府営水道の供給は可能
【前窪】さて、本府の水需要計画について、この間、人口予測と一人当たりの水需要予測について過大だと指摘してきましたが、給水人口70万人など当初見込みの見直しを行わず、ダム建設に固執してきました。私は、現在の水需要から見て三つのダムの新たな水利権なしでも、府営水道の供給は可能と考えます。

現在の府営水道施設の供給能力は日量19万トン、2002年度の1日平均供給水量は約10万5千トンで、季節的要因を見ても7月では約11万6千トンとなっています。年間の基本水量に対する実績水量は55%に過ぎません。現行の水利権は日吉ダムで毎秒116トン、天ヶ瀬ダムで03トン、比奈知ダムで06トン、合計206トンとなっており、給水可能水量は日量約18万トンに相当するものです。今の確定水利分だけでも日量6万トンに近い余裕を待っています。しかし、1985年の南部広域水道計画以後、5回にわたる見直しが行われましたが、給水人口70万人、計画水量236800トンは変わらず、70万人に達する時期の見直しをしてきただけでした。

淀川水系委員会によるダム計画の原則中止・見直しの意見書を受け、国土交通省がダム計画を再検討する過程で、当然、水利権の整理も行われると思われますが、現行の水利権の再配分と活用で府営水道は維持できることを明確にすべきではありませんか。いかがですか。

 

ダムを聖域にするのではなく 水利権の転用などの工夫を

莫大な税金投入を伴うダム建設の抜本的見直し・中止を

府営水道の水利権の活用について、二つの問題点を指摘し具体的な提案をするものです。

その一つは、乙訓浄水場の水利権、日吉ダムの毎秒086トンについてです。

住民や自治体からは受水量の見直しの声が強く出ていますが、今回「給水に関する協定」で決めている日量4万6千トンに達する目標年次を、2006年度から2010年度へと4年間延長する措置にとどまりました。結局、安い地下水を減らすことになり、長岡京市、向日市、大山崎町の水道会計の赤字が膨らみます。「協定」を見直し、市町の必要な府営水の供給に転換するとともに、府営水を企業に活用させるよう府も責任を持つことが求められています。この整理をすれば、使われていない06トン程度の水利権の移動は可能になります。

二つには、木津浄水場の比奈知ダムの水利権06トンの活用です。木津浄水場の水利権は日吉ダムの03トンと比奈知ダムの06トンの毎秒09トンで、料金には転嫁されていますが、現行では03トンが活用されていません。木津浄水場がフル稼働しても056トンしか使用しないもので、水道懇5次提言で、木津浄水場の拡張をしないことが決まっていることから、この03トンの水利権の移動も可能となるものです。この二つの水利権を転用すれば、宇治浄水場の暫定水利権の解消も可能ではありませんか。

さらに、使われていない民間企業の水利権や農業用水の水利権などとの調整の余地もあります。ちなみに宇治のユニチカには毎秒2トンの水利権が設定されています。宇治浄水場の水利権は暫定も含め1〜2トンですからずいぶん大きなものです。

かつて前知事は、「丹生ダムの水利権を放棄すれば、宇治市などの水道が止まる」と、まったく根拠を示さず恫喝的な答弁をしましたが、今では国土交通省自身がダム見直しに着手しているではありませんか。660億円の収支不足を解消するため、苦労して内部改革・施策を見直し約270億円も削減しながら、ダムは聖域にするのでは筋が通りません。水利権の転用などあらゆる可能性を追求し、宇治浄水場の水利権を確保して、ダム計画への本府の財政負担を避けるべきだと考えます。ご所見を伺います。

大阪府は丹生ダム・大戸川ダム、阪神水道企業団は丹生ダムから撤退します。計画当初の事業費1100億円の丹生ダム、740億円の大戸川ダム、330億円の天ヶ瀬ダム再開発から本府も撤退表明を行い、莫大な税金投入を伴うダム建設の抜本的見直し・中止を国に求めるべきでありませんか。どうされますか。お答えください。

【企業局長】ダム計画と水利権問題についてだが、府営水道が確保している水利権は、宇治、木津および乙訓の3浄水場のそれぞれにおいて、最大需要量を基本に、将来の水需要を見込み手当てを行ってきたもの。宇治浄水場では、淀川水系のダム計画に係る暫定水利権を得て、宇治市をはじめとする3市1町へ安定した給水を行っている。こうした観点から、府が利水参加しているダム計画については、安定かつ効率的な水運用を基本に考えながら、できる限り府の負担が少なくなる方向で、必要なものについては確保し、府民生活への安定給水に支障が生じることがないよう、総合的に検討すべきものと考えている。

 

【前窪・再質問】水利権と水需要の問題ですが、日経新聞にこういう記事が出ていました。「相次ぐダム建設から撤退していることについて」ということで、京都府の企業局がこう言っているということです。「暫定水利権の問題があるので、自分からは進んで撤退できない。『脱ダム』が全国の流れであっても、それは言えない」と。

こういうことでは、自治体の主体性が問われると思うのです。知事は、先ほどの議員の答弁に、「定義にこだわると変化についていけない」と言われました。水利権問題というのは、まさに「水利権」という定義が一人歩きをしている、そういう状況に現在あるのです。これを見直すかどうかということが、今、大論議になっている。この時に意見を言わないというのは、私はどうかと思います。淀川水系全体で、現在63%しか水利権設定の水量を使っていない状況にありますから、私は、この水利権の見直しは絶対に必要だと言っているのです。水利権を転用するというのは、1965年以降100件以上も既にあるのです。これを真剣に検討すべきではありませんか。再度、お答え願いたいと思います。

【企業局長】水利権は浄水場毎に確保しているもので、宇治浄水場では毎秒09トンの暫定水利権を含めて12トンの水利権で3市1町に安定した給水を行っている。すでに、毎秒10トンの取水に相当する給水実績があるので、安定給水の維持が大事だと考えている。

乙訓府営水道  割高な府営水の供給で市町の水道会計は大きく赤字に転落し、大幅な水道料金の値上げを余儀なくされている

【前窪】次に、乙訓の府営水道の問題について質問します。

府営水道事業経営懇談会は、去る1125日、乙訓浄水場の供給料金について、現行暫定料金の適用が本年度末で終了するのを受けた措置として、現行料金を減額するための新たな料金体系を盛り込んだ「提言」をまとめ、知事に提出しました。これを受け、本議会に条例の改正案が提出されています。提言では、基本料金は1立方メートルあたり税込み94円、従量料金は36円とすることとしていましたが、提案は、基本料金を若干緩和して92円としています。

いずれにしても、市町の水道事業の現状を直視する必要があります。乙訓2市1町が地下水の安全汲み上げ量としている水量は、年間1952万トンであり、2002年度に使った水量は、1989万トンでほぼ同じ水量となっています。府が企業の水に責任を持てば、住民の生活用水は地下水だけで賄える量です。2市1町は、日量4万6千トン、年間1679万トンの責任水量分を基本料金として、149400万円を府に支払っています。しかし、実際受け入れている水量は、2002年度で42%です。長岡京市では4億7200万円、向日市で2億3800万円、大山崎町で1億5600万円、合わせて8億6600万円が、水を使っていないのに料金を払っていることになります。

2市1町では、「協定」による責任水量制により、割高な府営水が2000年度より供給が開始され、市町の水道会計は大きく赤字に転落し、大幅な水道料金の値上げを余儀なくされています。

長岡京市では、2001年4月から市民2905%、企業19%と大幅値上げしたが、決算は赤字に。向日市は、2002年6月から平均2495%の値上げを行ったにもかかわらず欠損金は6億円余になり、今後2005年に15%、2008年に10%の値上げを決めています。大山崎町は、約3億円の黒字だった水道会計が、府営水導入1年半で3億4千万円の赤字に転落し、15年度末には5億円を超える見込みです。一昨日、大山崎町では実質約34%の大幅な値上げになりました。

すでに、大山崎町議会は、「水道料金の大幅値上げ反対、京都府との協定の見直しを求める陳情」を可決。向日市議会は、「府営水道に関する協定の見直しを求め、水道事業の健全化を図る決議」を採択し、2市1町は、「基本料金単価の軽減、受水水量等への格別の配慮」を、大山崎町議会は「企業使用の予測水量は、契約水量から除外すること」等の要望書を知事に提出しています。

基本水量の「協定」をいったん白紙に戻せ

過大な水需要計画の見直しで府民負担の増大を防ぐべき

今回の水道懇の第6次提言は、現行の基本水量を前提とした諮問に答えたもので、水源費償還期日の55年間への変更など、当面する料金算定の軽減措置として一定の効果が期待できるものの、今後2市1町の水道料金は、料金改定・値上げが避けられません。

本府は、2市1町に、過大な受水計画の実行や自己水施設の老朽化と水質悪化を理由に地下水の放棄をあくまで迫るのですか。また、自己水の経営の広域化や事業統合などを求めるのですか。自己水の活用を否定して、府営水の導入を押し付けるのでは問題は解決いたしません。本府の姿勢が問われています。

そこで伺います。市町の水道事業の存続と住民の暮らしを守るためには、京都府と2市1町で交わした基本水量の「協定」をいったん白紙に戻し、現実の水需要に見合った検討が必要です。その際、工場用水分は府が責任を持つべきだと考えます。いかがされますか。お答えください。

条例提案されている新料金は、3浄水場の接続までとされていますが、2010年度以降になれば抜本的な解決の道はあるのですか。明確にしてください。いまこそ過大な水需要計画の見直しを行い、府民負担の増大を防ぐべきと考えます。いかがですか。

【知事】乙訓浄水場の整備にあたってだが、これは受水市町からの段階的要望を受けて3分の2の規模に縮小して整備してきた。開業後は、激変緩和措置とてし、一般会計の支援により89円の暫定基本料金を適用し、さらに給水に関する協定に定めた目標年度を4年間延長するなど、これまでから、京都府として精一杯の支援を実施してきた。

しかし、浄水場の稼動運営計画など供給料金の主要な積算要素に変更が生じたことから、改めて水道事業経営懇談会に料金改正を諮問し、水道懇では水源費の負担方式の抜本的な変更、人員削減や民間委託を含む徹底したコスト削減などを検討され、提言された。

いただいた提言では、基本料金、従量料金ともに大幅な引き下げであったが、受水市町にとっては、これまで延長して適用してきた基本料金の暫定措置からすれば実質負担増となるため、厳しい水道事業の経営の実情をふまえて、2市1町は、なんとか従来の水準に留めてもらえないかと府に支援要望があった。府としても、この要望を受け、水道事業の効率化や共同化を検討し、事業経営の健全化をはかるという2市1町の取り組みを支援する観点から、基本料金の更なる引き下げを講じて2市1町の負担増を解消するための条例案を今議会に提案しているところである。府としては、給水協定の見直しについては、基本水量は施設整備に要した経費の分担金に相当するものであり、「受益と負担」の観点という公営企業の原則からすれば、これを他の府民の方々に転嫁することに理解が得られるのか、私は疑問に感じている。また、企業に対する上水道の受水促進については、市町の水道事業の基本的課題だが、府としても受水市町に協力していきたい。

新料金の算定期間については、水道懇で3浄水場の接続も視野に入れて決定されたもので、3浄水場接続後の総合水運用については、水道懇で中・長期的課題として整理されており、今後、水道懇における検討もふまえながら、適切に対応していきたい。

水需要の予測については、受水市町の総合計画や水道統計など最新のデータをもとに、社会経済状況等の変化に応じて、概ね5年毎に水道懇に諮りながら見直しをしていきたい。

 

【前窪・再質問】2市1町に対する企業の水需要が伸びない、減っている。これが企業会計を圧迫しているということであります。受水市町はがんばって企業に要請に行っておりますが、なかなか思うようにいかない。ですから私は、知事が先頭にたって、京都財界にも幅広い人脈をお持ちですから、大企業などに知事みずから要請をしていただきたい。このことを求めますが、いかがですか。

そして、使用しない企業の水の分まで2市1町が支払うということについては忍びがたい。京都府も何らかの支援をすべきだと、このように考えますが、いかがですか。

【知事】企業に対する浄水場の受水促進については、先ほど答えたとおり市町の水道事業の基本的課題だが、府としても、受水市町に協力していきたい。支援については、いままでも支援してきたし、今回も提言以上の引き下げの条例提案を行うなど、これからも水道経営の健全化のために、府として精一杯の努力をしていきたい。