松尾  孝 (日本共産党・京都市伏見区)  2004年2月27日

 

コメ生産の国際的な協力呼びかける国連「国際コメ年」

小規模農家の切捨て、稲作の縮小再編をすすめる「新しい米政策」は、

「国際コメ年」の理念に反するもの

 

【松尾】日本共産党の松尾孝でございます。通告により知事ならびに関係理事者に質問いたします。農業問題について2点伺います。先ず国連の「国際コメ年」についてです。

世界のコメ生産は60年代後半から飛躍的に伸び、ほぼ10年ごとに1億トン増え、2002年には5億7600万トンに達しましたが、ここ数年は伸び悩んでいます。一方、FAOの見通しによれば、現在の地球人口60億が83億に達する2030年には、今のコメ生産量の14倍が必要とのことであります。このような中で国連は、「世界の半数以上の人々の主食であるコメの持続可能な生産システムこそ、世界の食糧安全保障のカギである」として、今年を「国際コメ年」に設定し、コメ生産の国際的な協力を呼びかけました。日本でも「国際コメ年日本委員会」が発足し、取り組みが進められることとなっています。

国連は、その時々重要課題で国連の年を設定してきましたが、コメという一つの作物だけで国連の年の取り組みが展開されるのは異例のことであります。この「国際コメ年」の設定について、知事はどうお考えでしょうか。また、本府としてどう対処されますか、伺います。

時を同じくして日本では、「コメ改革元年」と称し「新しい米政策」がスタートします。その中心は、大規模農家や法人経営がコメ生産の大半を担うようにする、これが「稲作のあるべき姿」だとして、そのために徹底した構造改革をやろうというのでありますが、これは結局、小規模農家の切り捨て、稲作の縮小再編につながるものと懸念されております。輸入しながら減反を拡大する米政策によって、わが国のコメ自給率は96パーセント、食料自給率も40パーセントにまで落ち込み、国民の9割が将来の食料供給に不安を抱いているのですが、これをさらに進めるコメ改革は「国際コメ年」の理念にも反するものと思われますが、あわせて、知事の見解をお聞かせください。

【知事】国際コメ年ですが、コメが単位面積あたりの人を養う力が高く、また、世界の半数以上の人口が主食としていることを背景に、平成1412月の国連総会において、貧困及び栄養不足の提言におけるコメの必要性を確認し、食料安全保障の確保と貧困撲滅にコメの果たす役割について世界の注意を改めて喚起するために決議された。今年一年、「rice

is life」と言うメッセージのもと、世界各国が連携して、コメについて関心を高める取り組みが取り組まれている。

日本においても、去る1月20日に国際コメ年日本委員会が設立され、コメ、水田、稲作が遠い昔から世代を超えて、日本人の生活を支えてきたこと、日本の美しい農村景観や日本の社会・文化の基礎を形作ってきたものであること、更には、わが国が世界一の長寿国であるのは、ご飯を中心とした日本型食生活によるものであることを、広く国民に再認識していただくための普及啓発などを予定している。

農地の約8割を水田で占める京都府は、丹後の棚田をはじめとする水田が織り成す景観を有し、また、水田が洪水を保持するなど多面的機能によって地域の環境が維持保全されているという現実等を踏まえ、私としては、この国際コメ年にかかる取り組みは、持続性のある水田農業の確立につながることのみならず、府域の将来にわたる良好な環境を守る上からも、大変重要な取り組みであるとして、PRしていきたい。

一方、平成16年度から始まる国の新たな米政策では、生産者の主体的な判断に基づいたコメの需給調整の実施と、需要に応じたコメ作りの推進等を通じて、水田農業経営の安定・発展と担い手の確保、育成等をはかることとしている。

このような中で、特に中山間地域を多く抱える京都府としては、農業の高齢化が進んでおり後継者不足が深刻であるなど、これからの水田維持に多くの問題を抱えており、国の事業をできるだけ取り込むとともに、府独自の単独事業である地域農場作り事業などにおいて、受託組織をしっかりとしたものにし、組織的な後継者作りを進めていくことにしている。

さらに、平成16年度からは、京都独自の京都環境こだわり米、仮称だが、安心安全な京都産米の供給を推進することにより、京都米に対する信頼を高め、需要拡大と水田の農業の振興に努めることにしている。

 

「新しい米政策」は地域農業振興に逆行するもの

府は、転作助成や担い手対策等の強化・改善をはかれ

農家の声を反映させ、地域合意で「地域水田農業ビジョン」作成を

 

【松尾】次に「新しい米政策」の実施について、いくつかお尋ねいたします。

第1に、今後の地域農業の方針となる「地域水田農業ビジョン」の作成についてです。先日発表された農水省の調査では全国的に遅れており、たたき台ができたのが約8割、農家への説明会をやっているところが3割、ほぼ合意がえられたのは1割とのことです。本府ではどうなっていますか。素案の作成状況、農家への説明会の開催状況を明らかにして下さい。

また、計画の内容についてですが、作付け・販売計画、担い手育成計画、産地作り交付金の使い方など大変大事な内容です。農家の声を十分に反映させ、しっかりした地域合意をはかることが必要ですが、その状況も合わせてお答え下さい。

 

大幅減の産地作り交付金(転作助成金)。府独自にも支援を

第2に、産地作り交付金についてです。これは、いままでの転作助成金に代わるもので、すでに昨年末、その予定額が市町村におろされています。聞くところによりますと、この金額が非常に少ない。昨年の転作助成金に対して約7割位とのことです。しかも、この交付金は担い手対策にも当てられますから、個々の農家への交付額は昨年の転作助成金に比べ大きく落ち込むことになり、農家の所得減につながります。いままで長年にわたる取り組みの中で、市町村がとも補償への助成など、精一杯の独自措置を講じてきましたが、多くのところでこれが廃止されます。これでは農家の生産意欲をそぎ、ビジョンに盛りこまれた計画は実施できません。農家を激励する措置がどうしても必要です。国に産地作り交付金の拡充を求めるとともに、府としても市町村とよく協議し積極的に支援すべきと考えますがいかがですか。お答えください。

 

担い手対策  法人化強制は集落営農を破壊するもの

第3に担い手対策です。いま水田農業にとって最大の課題は担い手の育成・確保です。地域水田農業ビジョンでも担い手の育成計画が重要な内容の一つになっていますが、簡単にはいきません。そこで国も、当初渋っていた集落営農を担い手として認め、さらに20ヘクタール以上としていた基準要件を、中山間地域では、知事特認で半分の10ヘクタール以上とする要件緩和も行ないました。ところが、農水省経営局長通知では集落営農の要件として、面積基準以外に5年以内に農業生産法人にすること、中心になっている農家の所得が相当に高いこと、地域内農地の3分の2以上を利用集積することなどが付されています。しかしこれらの要件、特に法人化については、北陸農政局の調査でも77%が「現状維持」、つまり、法人化に否定的な回答をしているように、相当困難です。集落営農は、個々の農家がその経営を基礎に、条件に応じて共同の体制を作り、規模拡大のメリットも生かしながら、地域農業を守っている組織であります。自らの経営も活きているからこそ集落営農は成り立っているのに、それをやめさせ法人化をせまることは、農家の意欲をそぎ、結束を弱め、集落営農を壊すことになりかねません。法人化要件はなくすよう、強く国に求めるべきであります。また、専・兼業を問わず、意欲ある個々の農家・家族的経営への支援を強め、集落営農の維持発展を図るべきであります。お答えください。

転作体系を崩す「生産数量の配分」は手直しを

第4に、今年の生産調整目標についてです。今年から生産数量配分となったことはご承知のとおりです。つまり、「幾ら減反しなさい」という減反面積の配分から、「これだけ作りなさい」という生産数量の配分に変わったのです。その中で、府全体の生産数量目標は昨年の配分と殆んど変わらないのに、地域や市町村によって昨年とかなりの違いが出ています。減反率が30数%から20数%に10%以上も下がっているところと、逆に、かなり増えているところがあります。作付けの増えた町では、集落によっては目標面積が消化できない状況が生まれています。また、昨年並みの減反を予想して、すでに麦の作付けを終わっているところもあります。麦は契約栽培ですから、今から変えられません、どうするのか、関係者は頭を悩ませています。

転作条件が悪く、耕作放棄が増えている中山間地域でコメの作付けが増えること自体は良いことですが、せっかく定着している転作体系が崩れ、麦や特産の野菜や黒大豆の作付けが減るようなことになれば大問題です。府としてこのような状況を把握していますか。また、どうしてこういうことになっているのか明らかにしていただきたい。昨年と10パーセントも違うという激変はさけるべきです。一定の手直しが必要と思いますが、お答えください。

【農林水産部次長】新しい米政策の取り組みについてですが、地域農業の将来像を示す重要な地域水田農業ビジョンはすでに全ての市町村で素案が策定されており、担い手育成や産地作りに多くの農業者の声が反映されるよう、現在アンケートや集落座談会等が実施されているところ。本年度中には、関係者からなる市町村地域水田農業推進協議会で合意形成がはかられるものと考えている。

産地作り交付金は、昨年度の9割程度は確保できる見込みであり、これを最大限活用して、地域の実状に応じた輪作体系の推進など魅力ある多様な担い手の連携による水田農業の維持発展を図ることとしている。また、府独自の措置により、地域特産物の生産に必要な機械の整備等きめ細かい支援を行っていく。

さらに、集落型形態につきましては、これまでから国に法人化要件等について地域の実態に即したものになるよう強く要望し、経営規模要件の緩和が一定なされてきたところであるが、さらに要望を継続している。

尚、16年産の市町村別生産目標数量については、前年並みの配分を行ったところだが、具体的な配分面積については、JA、市町村において決められるものであり、地域によっては昨年との格差が生じるケースもあると認識している。

新たな米政策においては、市町村内での調整が困難な場合には、米の生産目標数量について、JAを窓口に市町村間の調整ができることとなっている。

 

【松尾・再質問】農業問題で、生産調整目標が昨年と若干違いがあるということは、次長が御答弁なさいました。かなりの違いがあって、到底、町では消化できない。JAが調整をするということですから、そういう方向もあろうかと思いますけれども、要はこの間、長年にわたって特産振興、転作の体系をつくってきた。それが壊れてしまうような状況が一部のところでは出ているということを私は指摘しているわけでございまして、これは地域農業振興に大変なマイナスになりますから、一定の見直しが必要ではないか。配分を行ったから変えられないということではなしに、ぜひ検討をしていただきたいと思います。これは、強く要望をしておきます。

 

200万人もの感染者 C型肝炎対策の強化を

フィブリノーゲン使用の追跡調査、感染確認の推進を

独自の医療費助成で患者の負担を軽減すべき

 

【松尾】次に、C型肝炎問題についてです。

この問題の重大性は、なにより170万人から200万人といわれる感染者の多さと、しかもその多くが輸血、予防接種その他の医療行為による感染であるということにあります。そして、いま、肺ガンに迫る勢いで急増している肝ガンの80パーセントがC型肝炎によるとされていることが、この問題を一層深刻にしています。

今必要なことは、国がエイズ同様に抜本的な医療体制整備をはかることです。エイズの場合、国が本腰を入れ始めた95年には35病院しか対処できませんでしたが、翌96年にはACC東京センターをはじめ全国8か所に拠点病院が設定され、治療対応は350病院へと一気に拡大されました。すべての感染者は感染経路の如何を問わず全員無料となり、95年から96年にかけての死者60人は激減していきました。この転機となったのがあのエイズ薬害訴訟判決でした。国の薬事行政の間違いが厳しく指弾され、これが状況を一変させたのです。

現在、東京、大阪、福岡、名古屋、仙台で60人の原告が国と三菱ウェルファーマーを相手に薬害肝炎訴訟をたたかっていますが、この訴訟はエイズ訴訟同様、個々の原告の補償問題ではなく、C型肝炎問題の根本的解決をめざす重要な訴訟です。

ウェルファーマーは80年以降7004の医療機関に止血剤フィブリノーゲンを供給したことを明らかにし、30万人余の人に投与され、3パーセント程度、約1万人が肝炎ウイルスに感染したとしていますが、実際には10倍、10万人ぐらいではないかと推計されています。ところが訴訟の原告は60人しかいません。医療機関のカルテによる感染経路の証明ができないからです。厚生省がフィブリノーゲンを禁止したのは1998年、ついこの間のことです。7千余の医療機関がすべて公表され、関係するカルテが開示されていたならば、事態は大きく変っていたでしょう。

先日、厚生労働省は内閣府情報公開審査会の、「感染の可能性がある人には肝炎検査の早期実施が重要で、公開の必要性は大きい」とする答申を受け、フィブリノーゲンを使用していた全ての医療機関を4月中にも公表することを発表しました。遅きに失したとはいえ、大きな前進です。これを機にC型肝炎対策が大きく前進することを強く願うものであります。

そこで、お尋ねいたします。フィブリノーゲン使用の全ての患者をトレースし、感染確認を急ぐことが必要だと思います。府立病院についてですが、昨年9月定例会での島田議員の質問に対し、保健福祉部長は、府立医大病院と与謝の海病院でのフィブリノーゲン使用を認め、「わかる範囲での確認を続けており、現在までのところ感染確認事例はないが、引き続き調査を続ける」と答弁されました。使用実績はそれぞれ何件だったのか。現在どれだけ確認でき、どれだけ残っているのか。確認の方法についても具体的にお答え下さい。また、あわせて、府内の全ての公的病院、主な民間病院等に対しても、使用の有無、カルテの開示、感染確認など積極的対処を要請していただきたいと考えますがいかがですか、お答えください。

次に、C型肝炎感染者の治療対策について伺います。C型肝炎は近年の著しい治療法の進歩のなかで、肝炎ウイルスのタイプによっては、肝硬変や肝ガンへの移行を食い止め、治癒することが可能になってまいりました。そのためには早期発見、早期治療が何より肝要です。しかし、各種検査の受診率はまだまだ低いのが実態で、治療の前提となる検査受診の向上が必要です。本年度予算で啓発パンフレットの配布が計画されていますが、市町村への指導を強め、その取り組みを抜本的に強化する必要があります。いかがですか、お答えください。

その上で、適切な高度な治療が受けられる医療体制の整備が必要です。病院、診療所など患者が訪れるすべての窓口医療機関と専門医が配置された中核的医療機関を結ぶ地域ネットワークの確立など、治療体制の抜本的強化を図る必要があると考えますが、あわせてお答えください。

また、医療費の患者負担にたいする助成の問題ですが、高額な医療費のために治療が受けられない患者も少なくありません。しかし、金がなくて治療が受けられないなどということは絶対にあってはなりません。国の公費助成を強く要求するとともに、さしあたって、本府独自にも、ぜひ助成制度をつくって頂きたいと思います。島田議員の「少なくとも特定疾患に準ずる制度を」との求めにたいし、保健福祉部長は「治療法の進歩によって治癒することが可能になったC型肝炎は特定疾患治療研究事業にはなじまない」と答えられましたが、C型肝炎の8割近くを占める1b型ウィルスによるものは、いまだに治癒困難であります。特定疾患に準ずる扱いは十分に可能ではないでしょうか。C型肝炎はまさに難病であり、指定がないからと言ってこれ以上放置することは許されません。北海道や富山、長野、東京、愛知などでは難病対策に準じた助成措置が講じられているのです。ぜひ、京都でもこの対策を実施して頂きたいと思いますが、いかがですか、お答えください。

【保健福祉部長】C型肝炎対策についてだが、府立医科大学付属病院や府立与謝の海病院において、C型肝炎防止の不活化処理をする前のフィブリノーゲンの購入実績があり、これを踏まえて薬剤の使用状況を調査した結果、平成4年度以降の使用の実績は無かったことが判明している。

さらに、わかる範囲での使用の掌握に努めるが、カルテの保存年限等の問題もあり、個人の特定が極めて困難であるため、フィブリノーゲン製剤投与の可能性がある方に広く検査を受けるよう呼びかけるとともに、患者からのカルテ開示の請求があれば対応をしていきたい。

一方、京都府においては、国に対しC型肝炎感染に係る継続調査の実施および感染者の実態を踏まえた対応を要望してきたところであり、国においては情報公開審査会の答申を受け、こうした要望に沿う形でのフィブリノーゲン納入医療機関の公表と公表後の対応を含め検討が進められているところ。今後、京都府として国と十分調整するとともに、感染者の早期発見に向け検査受診等の勧奨等をはかっていきたい。

感染ウイルス検査については、現在、市町村の実施する老人保健事業とあわせて実施されており、保健所でも検査を行っているので、市町村と協力し、受診の促進に努めていきたい。

また、近年の治療法の進歩と普及により、地域の中核的な医療機関において治療が実施されているところであり、医師会など医療関係団体とも連携し、治療を実施している医療機関にかかる情報の提供に努めていきたい。

現在、単費助成をしている都道府県では、昭和50年代にC型肝炎が原因不明で治療方法がない中で助成されるようになったと承知している。今日、C型肝炎の原因がわかり、一定治療法が確立していることから、原因が不明で治療法が確立していない疾病を対象とする特定疾患治療研究事業にはなじまないものとされているもの。

なお、平成1312月に、リバビリンとインターフェロン、いずれも抗ウイルス剤であるが、この併用療法が保険適用されるとともに、一昨年からインターフェロンの使用期間の延長も行われ、患者負担の軽減が図られている。

 

【松尾・再質問】保健福祉部長の答弁で、府立病院の関係でいろいろと調査をやっているという旨の答弁が昨年9月定例会でありました。それで具体的にお聞きしたわけでありますが、お答えは全く具体的ではない。投与がどれくらいの件数あって、そして確認調査をしている旨おっしゃられましたから、どこまで進んで、どれだけ残っているかということをお聞きしているわけですが、お答えがない。これは府立病院の関係ですから、府がその気になればやれないことではない。要望が患者さんからあればということではなくて、大変重要なC型肝炎の対策、感染を知らない人が知らない間に重症化していくということを防ぐためにも、府が府立病院で率先してその対策をやっていただく必要があるということを強く求めたいと思います。これは、もう一度ご答弁をいただきたい。

同様の趣旨を、民間病院についても、府内公的病院にも、ぜひ府として、府の責任で府民の命・健康を守る、文字どおり安全・安心を守る立場から強く要請をして広げていただきたいということをあわせて要望しておきます。

【保健福祉部長】両病院においては、現在、フィブリノーゲンを購入していないが、過去に購入実績があるため、使用があったことを前提に調査を進めてきた。可能な限りさかのぼって納品状況などを詳細に確認調査して、現在までの調査状況として、先ほど申し上げたように、平成4年度以降について、使用は無かったことが確認された。

 

 

鳥インフルエンザ 通報・初動防疫の遅れの原因究明

防疫・監視体制確立、経営支援対策に全力を

 

【松尾】最後に、本日未明、明らかになりました鳥インフルエンザの問題についてです。

先ほど知事からご報告をいただきましたが、私どもの意見を述べ、若干の要望をさせていただきます。畜産課の発表によりますと、この20日頃から毎日1000羽、合計1万羽が死亡とのことであります。発生から1週間たって、当該養鶏場からの届出でなく、匿名の電話で分かったとのことであり、最も機敏な対応が求められる大問題が、事実上1週間放置されていたわけで、事態は誠に重大であります。

なぜこういうことになったのか。業者の判断、対応に問題があることは論を待ちませんが、府の指導、監督責任も免れないのではないでしょうか。

去る1月12日、山口県阿東町で鳥インフルエンザの発生が確認されたのを受けて、府も直ちに全養鶏場への立入調査を行い、安全確認を行ったのですが、その後、継続して調査をしていたのかどうか。また、異常があればただちに通報させるよう徹底していたはずですが、どうなっていたのか。今回、我々としては考えられない事態が起こっているのであります。

2月17日、山口につづき大分でわが国2例目の発生が確認されましたが、ニワトリでなくチャボであったこと、感染ルートは山口と異なるであろうということで、2月19日、山口県が安全宣言を行いました。このような中で、日本での鳥インフルエンザは終息したとの空気が流れていたのでありますが、本府においても同様の判断があったのではないか。いわば、油断・甘さがあったのではないかと言わざるを得ません。京都新聞のホームページによれば、府は19日に調査を行っていたとのことですが、その翌日に1千羽も死んでいるのです。どういう調査を行っていたのか、大変疑問です。この間の経過、取り組み状況をよく点検する必要があると考えます。

今後の対策についてですが、先ほどの報告のとおり対策本部が設置され、部外者の発生現場への立入制限、卵の出荷自粛と出荷先の調査・回収、半径30キロメートル以内の移動の自粛など初動防疫措置が講じられたところですが、この徹底はもちろん、全域の緊急調査をただちに実施するとともに、モニタリング調査など必要な監視体制をとる必要があると考えます。また、周辺養鶏農家、関係者への影響、被害は避けられませんが、経営支援対策についても万全を期していただきたいと考えます。

これらにつきまして、府として万全の対策を強く求め、私の質問を終わります。

ご清聴ありがとうございました。