高病原性鳥インフルエンザ対策を求める意見書
本府丹波町において、高病原性鳥インフルエンザの発生が確認され、関係農家はもとより府民に大きな衝撃を与え不安が広がっている。
京都府においては、高病原性烏インフルエンザを疑う事例が発覚した時点から、直ちに対策本部を設置し、発生農場への指導と併せて半径30キロメートル以内の区域における移動自粛と立入調査などの初動防疫措置を行うとともに、農林水産省の防疫マニュアルに基づき、関係機関との連携のもとにまん延防止の措置を講じたところである。
しかしながら、現時点において周辺への感染の危険性はなお解消されず、関係農家の経営及び府民の食に対する不安が更に増大することが懸念される。
国においては、山口県において発生が確認された高病原性烏インフルエンザについて、まん延防止の緊急対策として支援策を講じられたところであるが、こうした家畜伝染病については、家畜伝染病予防法に基づく国家防疫の観点から、国の責任による法改正を含む抜本的かつ恒久的な対策が求められるところである。
よって、国におかれては、関係農家の経営の安定を図るとともに、国民の健康や消費生活への不安を払拭するため、次の事項について特段の措置を講じられるよう強く要望する。
1.防疫対策の強化及び新たな発生の未然防止のため、感染ルートの早期解明及びウイルス確認検査等の迅速化並びに高病原性鳥インフルエンザワクチンの開発と確保に努めるとともに、調査体制の確立を図ること。
2.家畜伝染病予防法に基づく移動制限に伴う鶏卵・鶏肉の価値損失を国の責任において全面的に補填する支援制度を早急に確立すること。
3.風評被害防止のため、国においても国民、関連事業者等に対する啓発の強化を行うなど、所要の対策を講じること。
4.京都府及び府内市町村の高病原性鳥インフルエンザ対策に要する経費について、財源措置を講じること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成16年3月1日
衆議院議長 河野 洋平殿
参議院議長 倉田 寛之殿
内閣総理大臣 小泉純一郎殿
総務大臣 麻生 太郎殿
厚生労働大臣 坂口
力 殿
農林水産大臣 亀井 善之殿
京都府議会議長 田 坂 幾 太
高病原性鳥インフルエンザ対策に関する決議
丹波町の養鶏農場において、高病原性鳥インフルエンザの発生が確認されたことは、府民に大きな衝撃を与えた。
本府議会は、この度の事態により、府内外の養鶏農家をはじめ関連業者への影響、養鶏業従事者の健康被害及び府民の食に対する不安の拡大を強く懸念するものである。
高病原性鳥インフルエンザがまん延することのないよう。また、風評によって府内産の鶏卵・鶏肉そのものの信頼が損なわれることのないよう、万全の措置を講じることが重要である。
よって、京都府においては、府民生活の安心・安全を十分に確保するとともに、府内の養鶏農家及び関連業者を守るため、国、関係府県、市町村及び関係者と十分に連携し、府民の協力のもと、次の対策を強化するよう求めるものである。
1.高病原性鳥インフルエンザの発生が疑われるような事態が生じた場合は直ちに届け出るよう府内養鶏農家への指導を徹底すること。
2.府内の全養鶏農場等のモニタリング調査など必要な調査を早急に実施すること。
3.家畜伝染病予防法に基づき移動制限区域に指定された半径30キロメートル区域内の病死の鶏に対する検査を行うなど必要な措置を講じること。
4.関係機関相互の緊密な情報交換や近隣府県への情報提供を行うとともに、府民の不安を解消するため、十分な情報の提供と相談への適切な対応に努めること。
5.国、市町村等と連携し、高病原性鳥インフルエンザの感染ルートの解明に努めること。
6.鶏舎等の消毒やネットの展張など、外部からの高病原性鳥インフルエンザウイルスの侵入防止対策を促進すること。
7.高病原性鳥インフルエンザワクチンの開発と確保を国に求めること。
8.移動制限に伴う鶏卵・鶏肉の価値損失を全面的に補填する支援制度の確立を国に強く求めるとともに、当面、京都府としても、今回の事態に伴い経営困難に陥る事業者に対し、緊急融資等の財政支援措置を講じること。また、鶏卵・鶏肉の一時保管場所の確保に対する支援措置を講じるとともに、移動自粛要請への協力農家に対して特段の配慮を行うこと。
9.国、市町村、関係団体等と連携し、風評被害の防止に努めること。また、風評被害を被る養鶏農家や関連業者に対する支援措置を講じること。
10.京都府及び府内市町村の高病原性鳥インフルエンザ対策に要する経費への財源措置を国に求めること。
以上、決議する。
平成16年3月1日
京 都 府 議 会