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山内よし子議員が行った一般質問と答弁の大要をご紹介します。
山内 よし子(日本共産党、京都市南区)2005年2月23日
地球温暖化防止へ実効ある取り組みが必要
【山内】
日本共産党の山内佳子です。最初に地球温暖化防止対策についてより実効ある取り組みを進める立場から数点質問いたします。2月16日の京都議定書発効記念シンポジウムで気候ネットワークの浅岡代表は「議定書には不思議な生命力がある。それは将来世代から私たちに託された命だ」とのべられました。温室効果ガスの微妙なバランスが私たちの命を太古の時代から今につないできたのです。世界中の人々が手をつないで地球の命、人類の命を守る壮大な取り組みに、大急ぎで取り組む必要があります。
さて本府では温室効果ガスの排出量の状況を95年に調査して以降、10年間把握しておられませんがこのことは大変重大な問題です。排出量の調査をこれからおこなうとのことですが、調査と結果の公表に当たっては、わかりやすいということ同時に、分析をしっかりと行い、府民が排出削減の議論に加われるようなものにしていただきたいと思います。
自動車交通量の思い切った削減を
京都市内高速道路の建設はストップを
また具体的な取り組みが遅れていることも問題です。
具体的な取り組みの重要な柱に自動車交通量の思い切った削減が必要です。本府の15年度の環境白書によると、「道路の整備にあわせて自動車交通量も年々増加傾向で、平均交通量が6年と11年を比較すると4,6%ふえている」「とくに京都市内と幹線道路が走る南部地域の交通量が多い」という現状把握をされています。城陽市では市民団体が13年間、年に2回二酸化窒素の濃度測定をおこなっていますが、昨年秋の調査では296箇所のデーターのうち24箇所から国の基準を超す数値が検出されています。京都市内でも市民グループの調査で、4割で国の基準を超す数値が検出されていますし、京都市が市内16箇所でおこなっている常時監視測定でも国の基準を2箇所で上回り、全箇所で市の環境基準を達成していません。二酸化窒素の濃度が国の基準を超す地点が増えているということはということは自動車の交通量が増え、環境に重大な影響を与えているということです。
そこで知事に伺います。
自動車は1キロメートル走ると100gから400g程度のCO2を排出します。本府の温室効果ガスの排出状況は運輸部門で90年と95年を比べると全体のCO2排出量の23・9%から25・2%と増えていますが、そのことから見ても公共交通の充実や産業界への働きかけなど自動車の交通量を削減する実効ある取り組みが必要だと思いますがいかがですか?
また1997年地球温暖化防止京都会議が開催されたときに、会員200万名を有するドイツの自然保護連盟から「京都市内高速道路を見直すことが、地球温暖化防止会議開催地の自治体として、歴史的な遺産を受託した京都の責務だ」という抗議文が知事と市長あてに寄せられました。
京都高速道路は京都市内に車を呼び込み、交通渋滞を悪化させ、ますますCO2の排出量を増加させます。京都議定書の名前に恥じない、本格的なCO2削減を実行するためにも京都高速道路の建設はやめるべきであり、こうした環境破壊の事業に本府として出資金を出すべきではありません。いかがですか?知事の答弁を求めます。
【知事】地球温暖化対策についてだが、温室効果ガスの削減を進めるうえで自動車からの二酸化炭素の排出抑制は極めて重大な課題と考えている。京都高速道路については、現に国道1号などが混雑が生じ、渋滞のなかで自動車のガソリンがムダに燃焼され二酸化炭素を排出するという現実があるわけで、いかに生活を守る物流をスムーズにおこない、また山陰本線の複線化とか市営地下鉄にも京都府は支援を行っており、公共交通機関との連携を深め、総合的な交通体系を考える上で必要なものと考えている。京都高速が、ただちに二酸化炭素排出の源になることではないと考えている。
すべての事業所にCO2削減計画策定の制度を
廃棄物発電はストップを
【山内】
つぎに温室効果ガスの削減計画の具体化について伺います。
新京都府総合計画の中ですべての日常活動・事業活動における地球環境の保全に向けた取り組み計画が示されています。そのなかで事業所に対してCO2の削減計画を作成し、届け出る制度を検討するとあり、有効な制度だと思いますが、現在の検討状況はいかがですか? お答えください。
また同じ新京都府総合計画の中に、廃棄物発電と廃棄物のRDF化事業の促進がもりこまれています。
真の循環型社会の形成は廃棄物をできるだけ出さないこと、そして再使用、再利用することです。しかしバイオマス以外の廃棄物発電は、高温で24時間ごみを燃やし続けなければなりません。高温を維持するために、プラスティックもまぜなければなりません。そのために廃棄物をふやし再利用を妨げるものです。また大量の廃棄物の焼却でCO2を発生させ、地球温暖化対策にも逆行します。廃棄物発電やRDF化事業の促進については見直すべきだと思いますがいかがですか?お答えください
【知事】 CO2削減計画の作成・届出制度についてだが、昨年の12月に見直しを行った「地球温暖化対策プラン」において重点施策として、大規模事業者等における温室効果ガスの排出状況の報告の公表制度の導入の検討を行なうとしている。現在その導入に向けた検討を行なっている。
廃棄物発電については、廃棄物の焼却段階において廃棄物の持つエネルギーを無駄にせず電気エネルギーとして有効利用する方法であり、熱回収という形で循環型社会の形成とともに温暖化対策に寄与するものである。ごみのリサイクルに逆行するものだとの指摘だが、例えば一般廃棄物の例をとると、京都府では現に、これは平成10年だが、年間110万トンを越える一般廃棄物が出て、このうち80%を越える量が焼却されている現実がある。こういった現実を踏まえた形で、もちろん減量やリサイクルも必要だが循環型社会を形成することも必要ではないかと思っている。
地球温暖化に有効な自然エネルギーの活用
【山内】つぎに自然エネルギーの利用促進について伺います。
現在、日本のエネルギー供給の半分を占めるのは石油で、そのほぼ100%を輸入に頼っています。しかし2002年に石油鉱業連盟は、石油資源がこのままで行くと33年で枯渇するという推計を示しました。世界人口の2%を占める日本は、エネルギーでは世界全体の5・8%を消費しており、一方でその自給率は5・6%にすぎません。
小泉内閣は2003年10月に今後10年間程度のエネルギー政策の方向を定める「エネルギー基本計画」をきめました。そこでは中東に9割の石油を依存している脆弱なエネルギー供給構造の現状について指摘し、エネルギー源の多様化が強調されています。しかし、その対策として示されたのは、原子力発電を基幹電源と位置づけるものでした。原子力発電は、放射能という大きな環境負荷を伴い、またCO2排出量が少ないと宣伝されていますが放射性廃棄物の最終処分や、また数千年から数万年に及ぶ放射能の管理などに、どれだけのCO2を排出するかは計算に入っていないのです。原子力に依存したエネルギー政策を、自然エネルギーを軸とするものに転換することは地球温暖化対策にとって大変有効であるばかりでなく、他国の石油に依存したわが国のエネルギー自給率の向上にも大いに寄与するものであります。
新エネルギーの促進に関する「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」いわゆるRPS法が2003年4月施行しました。電力供給者はその販売電力量に応じて一定割合以上の新エネルギーなどから発電される電気の利用が義務付けられました。しかしその目標は2010年時において、年間使用電力量のわずか1・35%となっており、ドイツの12・5%、イギリスの10%、フランスの21%と比べてもあまりにも低い目標値であり、そのことが、かえってわが国の自然エネルギーの利用を妨げているとの指摘もあるところです。
しかもわが国では新エネルギーの買い取り価格を電力会社が一方的に定めることになっており、発電電力に対して安定した買い取りが保証されていないことや、新エネルギーの定義の中に循環型社会に逆行する廃棄物発電がふくまれていることなどの問題を含んでいることから、わが党は2002年5月、「RPS法」の国会審議に当たって、環境保全への取り組みの重視、固定価格での買い取り方式の導入、廃棄物発電の除外などを盛り込んだ修正案を当時の野党3党と共同で提出しました。そこで伺います。
自然エネルギー導入へ具体的対策を
RPS法が施行されて来年で3年を迎えようとし、法の見直しがおこなわれますが、先に述べたように地球温暖化対策を具体的に実行していくために、RPS法の抜本的な見直しを行い、太陽光や風力などの自然エネルギーの利用目標をたかめることとあわせて、電気事業者にたいして安定した自然エネルギーの買い取りを義務付けるように国に要望すべきだと考えますがいかがですか?
また宮城県や岩手県では自然エネルギー利用促進の条例を定め、自治体の責務や事業者の責務を規定し、電気事業者に対して自然エネルギーの買取を義務付けています。
本府においては、自然エネルギーの導入については1997年に作成された京都新エネルギービジョンで2010年度の導入目標を450万ギガカロリーとされています。2001年の導入量はそのうち76,9万ギガカロリーで目標の17%にすぎません。そもそも新エネルギービジョンの目標そのものが、CO2換算でどうなるのか検証が必要ですし、またビジョンに掲げた目標を達成する具体的な取り組みが求められています。
本府においても温暖化対策を具体的に実行するために、電気事業者に安定した価格で自然エネルギーを買いとるよう、実効ある措置をとる必要があると思いますがいかがですか?また同時に太陽光発電などの一般家庭への導入促進に向けた補助制度が全国的に広がっていますが、本府でも実施する必要があると思いますがいかがですか?
2010年度の京都議定書目標達成は地球温暖化対策の第1歩に過ぎません。しかしその1歩を確実に踏み出し、5年後の2010年の削減目標を達成することが将来世代に対する私たちの責任であると思うのです。
そのためにも京都議定書採択の地である京都に住む私たち府民一人一人が家庭から、地域から努力を始めていく、そして行政も企業も事業者も府民と力をあわせて地球の環境を守る取り組みに必死で取り組むことが求められている、そういう思いを申し上げて次の質問に移ります。
【企画環境部長】 自然エネルギーの利用促進については、地球温暖化防止の観点から、RPS法にもとづく利用目標の設定や実行を含む新エネルギーの導入拡大・加速化について国に要望を行っている。RPS法は、電気事業者に新エネルギーの一定量以上の利用を義務づけ、不履行に対する勧告・命令と命令違反に対する罰則を規定し、利用目標については新エネルギーの普及状況に応じて引き上げることとされている。法そのものによって実効性が確保されていると考えているが、府としては関電など電気事業者に対してRPS法にもとづく積極的な取り組みを機会あるごとに求めている。一般家庭への導入支援については、太陽光発電については技術開発による大幅な設備価格の低下にともない、府内の年間の導入数はこの五年間で約五倍に増加している。このような状況を踏まえ、引き続き国の助成制度の継続拡充を要望するとともに、府民参加型の自然エネルギーの導入支援などを通じて太陽光発電の一層の普及を図っていきたい。来年度からは多様な新エネルギーの普及にむけた先駆的モデル事業である「風のプロジェクト」の一環として一般家庭の風力発電に対する支援にも取り組み必要な予算を計上している。
【山内】
何点か再質問させていただきます。
まず最初に、廃棄物発電の問題ですが、これはRPS法が国会で審議をされましたときに、衆参両議院で附帯決議がつけられています。その中身というのは、廃棄物発電というのは新エネルギーの導入を阻害するかもしれない、そういう可能性があるということで、廃棄物発電は抑制的に利用するということが国会の附帯決議の中でつけられているわけですけれども、そこのところはどういうふうに御認識されているのか、知事の答弁をもう一度求めます。
【知事】 RDF発電についてだが、いま府内の廃棄物発電は5ヶ所ぐらいあり、すべて市町村が行っている。まさに市町村の現状を踏まえて、RDFが環境やごみの減量化に影響を及ぼさない形で促進をしていくということが、国会の付帯決議にも通じるものと思っている。
生活保護制度など低所得者支援策について
【山内】
つぎに低所得者に対する支援策について伺います。
最初に生活保護制度に関して伺います。14年間にわたって争われた学資保険裁判が昨年3月の最高裁判決で終止符を打ちました。「生活保護費を切りつめて積み立てた学資保険金を資産とみなし、福祉事務所が保護費を減額したのは違法」だとの福岡高裁判決を、最高裁が確定したのです。裁判の直前に母親が49歳で病死、父親が1年後に62歳で病死されたなか、ご両親の遺志を継いだ長女の中島明子さんが20歳になったばかりでしたが裁判を引き継ぎ、勝利をしたのです。
判決では第一に、憲法25条がうたっている人問の尊厳にふさわしい生存権とは何かについて、「自らの生き方を自ら決めるという自己決定権は、国民誰もが行使できる権利である」と述べたことです。第二は、憲法25条が保障している「健康で文化的な最低限度の生活」水準は、時代とともに変化発展するものであり、今日では高校教育は、実質的に義務教育に含まれると判断しました。この判決を受けて、4月から高校修学費用があらたに生活保護制度の給付対象となり、大いに歓迎するものであります。
本府においては昭和38年、蜷川民主府政の時代から、国の生活保護行政を補完する形で、低所得者に対する高等学校修学奨学金の制度がつくられ、生活保護世帯を含む低所得世帯の多くの子供たちの高校進学に道を開いてきました。学資保険裁判の判決をふまえたとき、あらためて本府の独自制度の先駆性と、果たしてきた役割の大きさを実感するものであります。
高等学校修学奨学金制度は、来年度から生活保護を受給している公立高校に行く子供たちは国の制度に移行するということです。しかし生活保護の基準は一昨年0・9%その後さらに0・2%と引き下げられ、さらには高齢者の加算や母子加算も廃止する、多人数世帯の基準も削減する方向であり、生活保護世帯の生活はますます苦しくなってきているのが実態です。そこで伺います。
生活保護基準改悪をやめるように国に要望を
高齢者に対する加算の廃止に続く母子加算の廃止などの生活保護基準の改悪をやめるよう国に要望すべきだと思いますがいかがですか?
また、今回の予算案で本府の生活保護世帯への見舞金を廃止することが盛り込まれていますがとんでもありません。現在、たとえば最高の基準額である京都市内においても、70歳以上の1人暮らしの生活保護基準は家賃を除くと79530円です。節約に節約を重ねて生活しているのです。こうした国のあいつぐ基準引き下げの中で生活保護世帯への見舞金を廃止することは、冷たい国の政治に追い討ちをかけることであり絶対に許せません。見舞金は存続するべきです。知事の答弁を求めます。
【保健福祉部長】 生活保護制度については、従来から国民生活の最後のセーフティネットとしての機能を国に要望してきた。社会保障審議会に設置された専門委員の報告を受けて、制度設計に責任がある国が母子老齢加算について一般の母子世帯や高齢世帯の消費支出の状況をもとに検討を行なった結果、加算を除く生活保護支給額は一般低所得世帯の消費支出額と概ね均衡していること、などを考慮して生活保護基準全般の見直しを行うこととされた。
生活保護見舞金は国の専門委員会報告においても、現在の生活保護基準については一般低所得者世帯との適切な均衡が果たされているとされているところであり、生活保護基準を補うという制度創設時の見舞金制度の役割は果たしたと考えられることから本年度かぎりで廃止したい。府内市町村においては現在すべて廃止されている。他府県においても同様にほとんどの府県が廃止してきた状況となっている。
高校修学奨学金の更なる充実について
【山内】
第2に高等学校修学奨学金の更なる充実について伺います
来年度から生活保護世帯の場合は、国の制度が創設され、平均すると現行水準は確保されるとのことですが、通学費のいらない世帯など、世帯によっては現行水準を下回る世帯が出てきます。世帯の実態を踏まえて現行水準が維持されるような何らかの対策をとっていただきたい、これは要望しておきます。
またこの奨学金の支給対象には生活保護世帯以外であっても市民税非課税でかつ母子・父子世帯、または障害者世帯、長期療養世帯が含まれています。ところが世帯の認定に当たって20歳を超える兄弟などが同居していると母子世帯や父子世帯とはみなされず、奨学金を受給できないのです。現実に20歳をこえる兄弟が同居していて大学に通学しているために奨学金を受給できないといわれた世帯があります。世帯の自立助長を図ることが目的にあげられていますが、親子兄弟がいっしょに力をあわせて生活していくうえで、世帯に20歳をこえるものがいても状況に応じて奨学金を受給できるように検討していただきたいと思いますがいかがですか?お答えください。
【保健福祉部長】 低所得者にかかる高校奨学金制度は、特に援護が必要な子どもが未成年である一人親世帯を対象としている。さらに母子家庭奨学金の申請にかかる証明については、公的書類を提出してもらうことに負担がかかることから、すべての母子家庭にとって簡便な方法である一番身近な地域の民生委員または母子福祉推進委員の証明によることとしている。民生委員は民生委員法により守秘義務が課せられている。
母子世帯に対する支援制度の充実を
【山内】第3に母子世帯に対する現在の支援制度をさらに充実させるために、2点伺います。
支援策の大きなもので母子家庭の奨学金事業があります。幼児で年間11000円から高校生では年間64000円の支給と小額ですが大きな役割を持っているものです。昨年の決算特別委員会でも質問しましたが、この奨学金の支給対象者であることの証明に、母子福祉推進委員または民生委員さんの証明と、市町村長の証明が必要になっています。児童扶養手当の申請にも民生委員さんの手を煩わし、母子奨学金の申請のために毎年民生委員さんにお世話にならなければならないのは、大変心苦しいというこえがあります。また本府の個人情報保護条例によって母子家庭や父子家庭だという情報が民生委員さんにも公開されていない中で、証明をおこなうのは困難ではありませんか。客観的な証明。たとえば戸籍謄本や児童扶養手当の写しがあればよいのではありませんか?答弁を求めます。
またこの母子奨学金を受給していれば、府の高校学校等修学資金貸与事業の対象になりません。年間64000円の奨学金だけでは子供を高校に進学させることは困難です。母子家庭の奨学金を受給しながら、京都府の修学資金をかりることができるようにするべきだと考えますがいかがですか?
【保健福祉部長】 高等学校奨学資金貸付制度における母子家庭奨学資金等との影響については、貸付制度が経済的理由により修学が困難な高校生等の教育の機会均等を図ることを目的としており、同種の資金が一部の対象者に重複することの無いようにしている。母子家庭については母子福祉資金貸付制度も合わせて利用していただいている。
【山内】
もう1点は、保健福祉部長に伺います。現在の生活保護基準が一般世帯と比べて同様になってきたというふうな御答弁でしたけれども、例えば低額年金者がいるわけですけれども、憲法25条で定められた最低限度の文化的生活に満たない低額の年金を基準にして、生活保護基準がそんなに低くないという、そういう認識というのは、低額年金を容認し、さらに国民の生活水準を引き下げようとするものであります。生活保護基準は実質的に年々減っているのでありますが、そこのところの認識はいかがか、もう一度伺います。
【保健福祉部長】 生活保護制度についてだが、先程も言ったとおり、生活保護制度は国の責任において国民生活の最後のセーフティネットとして設計されるものであると承知している。その国において、社会保障審議会の専門委員会の一年半に渡る検討を経て、生活保護を受けていない他の一般の低所得者との均衡を図ることが必要である、との提言・報告を受けた形で見直しがされるものと承知している。
府警本部の捜査報償費の監査結果にかかわって
【山内】
最後に京都府警察本部の捜査報償費の監査結果にかかわって警察本部長に伺います。
そもそも監査報告書では、99年、2000年度の捜査報償費の監査において、現金謝礼のうち、75%743件1840万5千円分の領収書がなかったという報告がなされました。本来領収書のない支出は認められません。適正に支出したという立証義務は警察本部にあるのであり、北海道や福岡では、領収書のない支出については返還対象としています。警察本部に立証を求め、立証がない限り返還を求めるべきではないか!!との昨日の光永議員の再質問に対して知事は答弁をしませんでした。
全国で不正支出の事実が次々と明らかになっている捜査報償費が、本府では刑事部の三課だけで二年間で1800万円以上も領収書もなく支出されているのに、知事は見過ごすのですか。府民の税金がこのように使われているのを放置しておいて府民の納得は得られません。改めて強く指摘しておきます。
また報告書では領収書があってもマスキングされていてメモもできなかった。とのことですが、国の会計検査院が昨年秋におこなった全国13の警察本部を対象にした実地検査では京都府警も含め支払い先が隠されていたものは一切なかったとのことです。そこで伺います。
会計検査院には支払い先を明らかにしながら、なぜ本府の監査委員には領収書の支払い先をかくしたのですか。監査委員が信頼できないのですか?
地方自治法198条の3の2項に「監査委員は職務上知りえた秘密をもらしてはならない。その職を引いたあとも、同様とする」と守秘義務について厳しく規定しています。監査委員の守秘義務と会計検査院の検査官の持つ守秘義務のどこに違いがあるのですか?府警本部長の答弁を求めて私の質問を終わります。
【警察本部長】 協力者の氏名に対するマスキングの件だが、捜査費の支出証拠書類には個人に関する情報の他、事件捜査に関する情報が記録されており、個人のプライバシー保護はもちろんのこと、犯罪捜査等の警察活動に支障が生じることの無いよう充分な配慮が必要である。守秘義務に関しては会計検査院の調査官、実地に検査をしているのは調査官と事務職員であるのでそれを前提に言うが調査官というが、調査官と監査委員とは、違反に対して罰則があるかという点では違いがあるが義務の規定等は同様のものであると認識している。警察としては、監査委員の監査に対して真摯に対応し、予算の執行状況について十分検証していただくのは当然のことで、現在までの監査においても特に必要なもの以外は特にマスキングもせず、マスキングを施したものでも監査委員の要請に応じてマスキングをはずして氏名等を開示して確認していただいている。捜査員に対する聞き取り調査についても、監査委員のご要望どおりのメンバーに応じさせるなど特段の配慮をし、可能な限り全面的に協力をしてきた。
【山内】
それから、警察本部長に伺います。個人のプライバシー保護でマスキングをされているというふうなお答えがございました。まさに個人のプライバシーを保護しなければいけないからこそ、監査委員にだけ監査の権限が与えられてのではありませんか。また、マスキングは一部はがして監査委員に見てもらったということですけれども、捜査協力者に対する聞き取り調査は拒否をされたということですが、監査委員を信頼されていないのですか。監査委員はこれまでも多くの本府の監査を行ってきたものであります。守秘義務が同じであり、権限が国の会計検査院と同じなのですから、監査委員にすべてを明らかにするべきだと思いますが、いかがですか。再答弁を求めます。
【警察本部長】 先程も答えたとおり、監査委員の要請に応じてマスキングをはずして見ていただいている。したがって監査委員に対する協力は国の会計検査委員に対する協力と比べても同じようにやっていると考えている。