本庄孝夫(日本共産党 京都市山科区)2005年3月18日

洛東病院の廃止

廃止で多くの府民が困っている。知事は府民の医療に責任を持て

【本庄】

日本共産党の本庄孝夫です。まず、知事が3月末で廃止と決めた洛東病院についてお伺いします。知事は「患者の皆さんの意向に沿った医療が提供・継続できるようにしたい」と述べられました。

そこで知事にお伺いします。洛東病院では昨年10月以降、ほかの医療機関に約1300通の紹介状が出されていますが、すべての患者さんが安心して医療を継続して受けられるようになったとお考えですか、いかがですか。                     

【知事】 患者の医療保障ですが、患者の症状、心理、必要な医療というものはそれぞれ違うので、お医者さんと患者の二人がしっかりと話し合って納得いく解決を探るのが良いと思う。入院患者は131日に転退院が完了した。外来患者は、10月以降約1400通の紹介状が発行され、現在色々な面で、患者が通いたい医療機関と相違が最初はあったと聞くが、現在においては、患者の希望に沿った対応がなされていると聞いている。それだけでは十分ではないので、これからもずっと、無料の患者相談をしばらくの間継続し、最後まで患者の医療保障に万全を期するよう努力したい。

【本庄】

患者は、わずか2ヶ月あまりの間に、患者さんは人生を踏まえた決断がせまられた。実態は、決して知事のいわれるような状況ではありません。患者さんは、第一日赤病院でも「脳神経外科や神経内科は満杯で受けられない」、専売病院でも「こんな患者は診られません」と返され、多くの患者さんが困っているではありませんか。府立医大附属病院でも同じです。本会議質問でわが党の光永議員が、「リハビリはできない」と断られた患者さんの知事宛の手紙を紹介しました。すると、保健福祉部長さんから断りの手紙が届き、ところが次に、断られた附属病院からは「主治医の紹介状を持って来てください」という電話があったそうです。その患者さんは、「私一人の問題ではない。ほかの患者には何の対応もないのではないか」と憤慨されています。今回の洛東病院廃止問題で、知事が言われる「住民の目線・住民発」とはどういうものかが明らかになりました。患者不在、住民不在そのものです。患者さんや府民の医療に責任を持って対応されるよう強く求め、次の質問に移ります。          

【知事】 私たちは最後まで、医療保障を責任もってやっていく覚悟。本当に不満のある方、問題のある方は無料の医療相談の方に是非ともお越し頂きたい。患者の切り捨ては行ないません。

 

人間的成長阻害する、習熟度別授業

府教委は、少人数学級の本格的実施に踏み出せ

【本庄】

次に、教育委員会にお伺いします。「京都式少人数教育」の習熟度別少人数授業についてです。習熟度別とは「できる子」「できない子」に分けることです。「どうせできひんのや。僕は」と傷つきあきらめの声をあげる子、「家では落ち込んでいます」と心配そうなお母さんの声。このような習熟度授業の弊害をどのように把握されていますか。お伺いします。

【教育長】 学校が児童生徒の状況をみて最も効果的な方法と判断して取り組んでおり、基礎基本の徹底や学力の向上に大きな効果を上げていると考えている。実施にあたっては、児童・生徒の意見や希望を聞いたり、学習の状況に応じて相談を親切に行なう等十分配慮して適切なグループ分けがされていると理解している。

児童・生徒のアンケートからも、一人一人に応じて丁寧に教えてもらえると、高い評価を得ていることがうかがえる。今後とも、習熟度別の少人数授業がきめ細かな配慮のもとに実施をされ、効果を上げるよう、市町村教育委員会とも連携して行きたい。

【本庄】

習熟度別授業が与えている問題を全くつかんでおられない答弁です。先ほど紹介しました、劣等感や優越感を与えるだけではありません。学級という生活集団と勉強する学習集団とを分けることに問題があります。「ゆっくりコース」や「ぐんぐんコース」などの習熟度別の編成、算数や国語・総合の勉強の時間には、学級の友だちとも担任の先生とも切り離され、さらに単元ごとにも編成が替わります。その移動の多さに、戸惑いや不安感を持つ子どもも多く、落ち着きません。その結果、子どもと先生との人間的な信頼関係、子ども同士の教えあう・学びあう力や交流が崩されバラバラとなる、子どもたちの本当の人間的な成長を阻害しています。

そこで再度お伺いします、このような少人数授業の問題、与えている弊害について何故把握されていないのですか。お伺いします。

【教育長】 教員の中でも複数の目で生徒を指導することが大事であるという気運も高まってきておりますし、子どもたちや保護者のアンケートでも、「学級を分けて、他の学級の子どもたちと一緒に勉強するのも非常に良い」という、そういう声も、保護者で8割以上寄せられている。子どもたちも6割以上がそういうアンケート結果を寄せている。色々な学習集団の場合、同じクラスでやる場合と、他のクラスと一緒にやる場合と、これは非常に効果が上がっていると考えている。

【本庄】

私は、少人数授業の押し付けをやめるべきだと思います。山形県ではこの3年間で、小学校の全ての学年で33人以下の少人数学級が実現しました。不登校の児童数や児童の欠席日数が大幅に減少し、国語・算数の学力も高くなっています。生活集団と学習集団が同じ少人数学級は、全国44道府県まで広がりました。その教育効果は、教育委員会も認めておられる。だからこそ、「少人数授業、ティームティーチング、少人数学級の選択については、市町村教育委員会や学校が主体的に選択する」とされたと思うのです。

そこでお伺いします。市町村教委や学校の「主体的な選択」を本当に尊重されているのですか。学校現場からは、例えば少人数学級を選択した学年に、そのまま少人数授業ができるのに、その学年に習熟度別に学級編成し直すように押しつけられ、その異常なやり方に驚きの声があがっています。結局、選択できるとしながら、選択させないようにしているのではありませんか、いかがですか。                           

【教育長】 このやり方に関しては、本庄幹事も言われたように、少人数授業、ティームティーチング、少人数学級の3つを、市町村や学校の判断で選んで実施するのが私どもの方針。これはダメだとか、こういう形でやりなさいという強い指導力はございません。

【本庄】

京都では、少人数学級を実施している学校は約1割、しかもごく一部の学年だけです。全国と比較しても、極端に実施率が低く、最低レベルです。これは小学校の段階から「できる子」「できない子」に分ける教育を押し付けるためではありませんか。生活集団と学習集団が同じ、自然で適切な環境である「少人数学級」の実施こそ、子どもたちを差別することなく確かな学力をつけて、という父母や府民の願いに応えるものです。教育委員会も「加配教員782人を活用すれば、すべての小・中学校で35人の少人数学級ができる」と説明されているではありませんか。少人数学級の本格的な実施を強く求め、次の質問に移ります。

                       

 

 

「採算性」「経営的視点」で府立高校廃止を進めるのか

学力による輪切り進める、府立高校再編はやめよ

【本庄】

「府立高校再編」の問題です。山城通学圏で12校のうち2校を廃止すると発表されました。その基準は「1学年8学級規模」です。全国では4〜8学級、6学級が多い中で京都が突出しています。かつて生徒数が最大規模であった15年前、山城地域の12校はすべて1300名以上、10学級以上の超マンモス校でした。その時に一度も「適正規模」を口にせず今になって言い出す。まさに「高校つぶしの基準」でしかありません。

そこで知事にお伺いします。知事は1月の新聞での座談会で、「経営の視点」から、警察署と並べて学校も「効果的な再編、再整理を」と主張されています。いま府立高校は何校ありますか。いくつに再編・整理されるおつもりですか、いかがですか。       

【知事】 現在教育委員会において、府立高校改革推進計画に基づいて鋭意検討が進められている。教育委員会からは、学校経営を行なう者として、生徒数が大幅に減少する中、講座の展開や弾力的な教育課程の編成など、あるいは部活動や学校行事など様々な面で活力のある教育活動が難しくなってきているとうかがっている。

そこで教育委員会に対し私は、幅広い府民の皆様のご意見をよくうかがいながら、10年20年後の子ども達の姿を見据えた、効果的な学校経営を進めてもらえるようお願いをしているところ。

府民の皆様から期待され、魅力ある高校教育活動が推進されるよう、教育委員会の検討を十分尊重しその取り組みを支援していきたい。

従って、府立高校は48校ありますが、それを何校にするべきと言うことは、まず、教育委員会が基本方針をもって対応すべきものでありまして、これがまさに、教育委員会制度。私たちはをそれを踏まえて、できる限りの支援をしていきたい。

 

【本庄】

知事のいわれる「経営の視点」とは、洛東病院廃止の理由と同じ採算性・効率性で、地域に根ざした高校を切り捨てるということではありませんか。

次に教育委員会にお伺いします。1月の府教委主催の「府民説明会」で、あるお母さんは「府立高校の良さは地域制の良さであり、それが崩されてきている。部活動のためといわれるが、高校の推薦入学で子どもがバラバラにされている。学校の特色の反面、置いてきぼりやランク付けが心配。中学校の先生は入れる高校探しに苦労されている」と批判されました。マスコミも「府立高校でも学力による『輪切り』がはじまった」との声を紹介しました。この声をどのように考えておられるのですか。いかがですか。

【教育長】 山城地域における高校の再編整備についてだが、これまでから懇談会や、説明会を通じまして、幅広いご意見をうかがっているところ。その中には、幹事から紹介のあったものもあったし、それ以外にも、活力あふれる学校を作ってほしい、対象校だけでなく、すべての高校を良くしてほしいなど様々なご意見をいただいており、すべて真摯に受け止めているところ。

再編整備の目的は、活力ある教育活動を行なう中で、生徒一人一人の個性や能力を最大限に伸ばして行けるよう、学校規模の適正化と特色ある学校づくりをすすめていこうというもの。今後とも、これらの趣旨について府民のみなさんに良く理解して頂けるよう、さらに努力してまいりたい。

【本庄】

私は、全国的にも異常な「8学級基準」を見直し、すべての高校生に必要な基礎学力を保障する、地域に根ざした高校教育をすすめることを強く求めて、質問を終わります。