意見書案についての討論  原田 完(日本共産党 中京区) 2005年7月8日

 

日本共産党の原田完です。日本共産党府会議員団を代表して、ただいま議題となっております意見書案について、自民党はじめ四会派提案の「第二名神高速道路及び京都縦貫自動車道の整備促進に関する意見書(案)」に反対し、わが党提案の「サラリーマン世帯への大増税を実施しないことを求める意見書(案)」に賛成の討論をおこないます。

まず、わが党提案の「サラリーマン世帯への大増税を実施しないことを求める意見書(案)」についてです。

政府税制調査会は、6月21日、「個人所得課税に関する論点整理」を発表しました。この影響額は、給与所得控除の半減だけで5兆円の増税、各種控除の縮減、定率減税の全廃とあわせると12兆円との試算もあり、年収500万円の4人家族では年間42万円の増税、丸々1ヶ月分の給与が吹っ飛んでしまいます。2007年、消費税増税による大幅引き上げも日程にのぼっており、文字通りサラリーマン・子育て世代への大増税と言っても過言ではありません。

 政府税調は、その理由の一つに、5年前の中期答申で「複雑な税制を簡素化する」として諸控除の見直しを打ち出していましたが、所得税は、それぞれの負担能力に応じて課税する累進課税が基本原則であり、各種の控除が設けられています。それを「制度が複雑」との理由で切り捨てるという、こんな乱暴な話はありません。

 すでに日本の所得税の課税最低限は、主要5カ国でもっとも低く、4人世帯で、325万円です。これが104万円にまで下がってしまうのです。これは生活保護基準の半分程度にあたります。政府税調の総会では、石会長は「生活保護世帯から税金をとってもいいのではないかという議論もある」と発言していますが、国民の最低限度の生活保障さえ無視するこうした暴論は絶対に許せません。

 この間、政府は、高額所得者にたいしては、所得税・住民税の最高税率の引き下げとともに、2003年の税制改定で、株式配当・株式売却益への税金を劇的に減らすなど、いたれりつくせりの大企業・大金持ち優遇の税制を行ってきました。その一方で、額に汗して働く低所得者層には増税を押しつけてきたのです。 

 いま、生活不安を抱える国民が増加し、年に3万人もの人が自殺しています。これ以上の苛酷な庶民増税の道を突き進むなら、社会不安をいっそう増大させ、深刻な少子化傾向にますます拍車をかけることは、火を見るより明らかです。

さて、今回の東京都議選の中で、この税調報告が大問題になりましたが、自民党都連の「緊急アピール」では、サラリーマン大増税について「断固反対」を表明されました。また、公明党は神崎代表が、「あくまで学者の意見であり、参考意見だ」と弁明し、公明新聞紙上でも、「政府与党が『大増税』路線を決めたわけではありません」と書いています。さらに、民主党は、「サラリーマン増税対策本部」を設置し、各地で「増税反対」の宣伝を徹底して行いました。

 自民・公明・民主の各党がこの間とってきた実際の増税路線とは矛盾する内容ではありますが、東京都議選で有権者に述べられた姿勢や公約が本当であるならば、本意見書(案)に当然ご賛同いただけるものと思います。是非ご賛同を賜りますようお願い申し上げます。

 

 次に、自民党はじめ四会派提案の「第二名神高速道路及び京都縦貫自動車道の整備促進に関する意見書(案)」についてです。

そもそも、この第二名神の計画というのは、第4次全国総合開発計画で位置付けられたものですが、4全総では「交通体系の具体的な整備目標」を定めて、「大都市相互など国土の中枢部において複数ルート、複数機関による多重系交通網を形成し、交通機能の低下や大規模な災害等の発生による交通途絶の防止をする」と掲げています。

しかし、現在では、第二名神の当該区間については、京滋バイパスの供用により複数ルートが確保されており、4全総に言う「交通機能の低下の防止」「大規模災害等の発生による交通途絶の防止」という目的は、すでに達成されています。

この点については、日本道路公団自身が、名神高速道路と京滋バイパスの「2ルート化の完成により、渋滞の緩和だけでなく、「事故災害時等の補完機能の向上など多くの整備効果が期待される」と、京滋バイパス完成の効果を語っている通りです。

こうしたことを受け、国会では、昨年5月、わが党議員の質問に対し、国交省の道路局長が「京滋バイパスが完成したため、(第二名神については)需要見通し等も含め考え直すことが必要になった」と答弁し、石原国土交通大臣も、名神と京滋バイパスに加えて「三重のルート」となる第二名神は、4会派提案の意見書(案)で言われる経済効果も含め、その建設効果が極めて低いと、認めているのです。

第二名神建設は、すでに当初の整備目的もなくなったばかりか、大津〜高槻間で1兆2千億円、1Kmあたり300億円もの巨費を投入する計画であり、関係自治体に多額の負担を強いることは明らかです。よって、この意見書案には反対です。

なお、京都縦貫自動車道については、わが党議員団は、丹波綾部間の早期完成をこれまでから要望してきましたが、野田川以北は当面凍結し、地元要望の強い国道312号線の五箇谷バイパスや、蒲入トンネルその他、丹後半島一周道路の整備を急ぐべきことを申し添えておきます。

以上で私の討論をおわります。ご清聴まことにありがとうございました。