議案に対する討論 梅木 紀秀(日本共産党 左京区) 2005年7月8日
日本共産党の梅木紀秀です。日本共産党府会議員団を代表して、ただいま議題となっております議案23件のうち、第4号、6号、8号、10号、13号、16号、17号および第21号議案の議案8件に反対し、他の議案15件に賛成する立場から討論を行います。
まず第4号議案「指定管理者制度の導入に伴う関係条例の整備に関する条例制定の件」についてです。そもそも指定管理者制度は、2002年12月にオリックスの宮内義彦氏が議長を務める「総合規制改革会議」が「官製市場の民間への全面開放」を求め、続いて、日本経団連の奥田会長が2003年の「奥田ビジョン」で「官製市場の開放」を求めたことを受けて、同年6月に地方自治法が改正され、指定管理者制度が導入されるという経過が示すとおり、「官製市場の民間への開放」、つまり、公的責任を放棄して、地方自治体の施設を民間に開放し、民間に設けの場を提供しようと言うもので、こうした「民間開放」に私どもは反対してきました。同時に、法改定が行われたもとで、個々の施設への導入にあたっては、住民の福祉の向上をはかるという観点から、個別具体的に、是非を検討するという立場に立っています。とりわけ、公共的役割の強い福祉施設や社会教育施設への適用については、施設によっては、直営に戻すことも含め、慎重な検討が必要であります。知事は本会議で「一つ一つの施設の特性を踏まえ」「施設ごとに検討していく」と答弁しましたが、今回の条例提案では、30施設について民間企業の参入も可能とする指定管理者制度を導入するという大枠が示されただけで、具体的検討は選定委員会にゆだねられます。公募か非公募かをはじめ、選定基準と導入の基本方針が議会に示されるべきであります。また、民間企業の参入によって、コスト削減競争に拍車がかかり、人員削減や不安定雇用が拡大し、福祉施設や社会教育施設などでは職員の熟練度や専門性の低下など、府民サービスの低下につながりかねません。以上の理由から本条例案に反対です。
関連して第13号議案「京都府営住宅常団地整備等特定事業契約締結の件」についてです。山田知事は、PFI事業の導入で、建設から管理まで一括発注することにより、27%の経費を削減できると自慢していますが、契約相手は「民間開放」を求めるオリックスの参加する特定目的会社です。これまでの地元中小業者の仕事確保に配慮した「分離分割発注」からの180度の転換です。今後は、中小業者への配慮よりも、「経営の観点」から府の財政を優先する、大企業に開放するという宣言そのものではありませんか。また、「VFM=バリュー・フォー・マネー」について、算出根拠を議会に示すよう繰り返し求めたにもかかわらず、「入札に影響する」などと理由にならない理由で、判断材料を議会に示さないまま、今回、結果だけを議会に押し付けようとするものであり、反対です。
次に第10号議案「京都府立高等学校等設置条例一部改正の件」についてです。私の地元、洛北高校への中高一貫教育の導入の際に、一部の学校への導入は、エリート校をつくり受験競争の低年齢化を招くものであると厳しく指摘しましたが、結果は、指摘したとおり、受験競争の低年齢化がすすんでいます。子どもたちに、早くから「勝ち組」「負け組」の競争を持ち込む、一部の学校への中高一貫教育の導入は、京都府の教育をいっそう歪めるものであり、反対です。なお、今議会を前に、教育委員会は城南高校と南八幡高校の廃止を発表しましたが、生徒も府民も議会も無視した乱暴なやり方は許せません。次代を担う子どもたちの教育に、「競争」や「効率」、「経営」の視点から、乱暴な混乱を持ち込むべきではありません。知事が「府民発・府民参画・府民協働」というならば、廃止統合計画を白紙に戻し、府民の声を聞くべきであります。
次に第8号議案「京都府屋外広告物条例一部改正の件」についてです。美観や景観を守ることには賛成ですが、これまでから、屋外広告物条例違反を理由に、労働組合や市民団体等の活動を規制し、逮捕・干渉するという事例もあり、政治活動の自由、および基本的人権の侵害に口実を与える条例の適用範囲の拡大には、反対です。
次に第6号議案「京都府府税条例一部改正の件」は、高齢者の非課税措置の廃止や定率減税の縮小で20億円を上回る負担を府民に押し付けるものであり、反対です。第21号議案「京都府府税条例の一部改正の専決処分について承認を求める件」についても、小泉内閣のすすめる土地流動化策を後押しするものであり、反対です。
次に第16号、第17号および第18号議案3件は、「市町の廃置分合」に関わるものですが、市町村合併は、住民の暮らしと住民自治に関わる重大問題であります。住民への十分な情報提供と説明、住民参加のもとで行われなければなりません。ところが、第16号議案「三和町、夜久野町、大江町の福知山市へ編入」、および第17号議案「南丹市の設置」については、いずれも住民投票を求める強い要求があったにもかかわらず、これを拒否して強行されたものであり、反対です。第18号議案「与謝野町の設置」については、府が押し付けた1市4町の枠組みに反対し、一部不十分さはあるものの、全体として住民の意見を聞いてすすめられたものであり賛成します。
最後に、第1号議案「平成17年度京都府一般会計補正予算(第1号)」について、一括議案であり、全体としては賛成いたしますが、中高一貫校設置費については、反対であることを申し添えておきます。また、KTRの安全対策事業については、一日も早く実施するよう求めておきます。同時に、JR西日本に人員削減など「儲け優先」の体質を改めるよう求めるとともに、わが党が改善を求めた具体的な危険箇所について、府として実態調査をおこない、JRをはじめ関係機関に対策を求めるよう改めて要求し、私の討論を終わります。