日本共産党の松尾です。議員団を代表し、ただいま議題となっております議案24件中、第9号、10号、13号の3議案に反対、他の21議案に賛成の討論を行います。 

 

京都府立学校授業料等徴収条例一部改正について

まず、第9号議案、京都府立学校授業料等徴収条例一部改正の件ですが、府立大学、府立医科大学の学費、聴講料の値上げであり、学費は52万800円から53万5千8百円に1万5千円の値上げとなります。国の値上げより1年遅れとはいえ、民間給与が7年連続下がり続けている中での値上げであり、家計を大きく圧迫するばかりでなく、いま重要な課題となっている少子化対策にも逆行することとなり、反対であります。   

 

京都府立都市公園条例の一部改正について

次に第10号議案、京都府立都市公園条例の一部改正は「海と星の見える丘公園」の一部供用開始に向けて、同公園を府立都市公園として位置付け、研修室、宿泊施設などの利用料金を設定しようとするものですが、私どもはこの公園建設自体に反対であり賛成できません。

公園建設の目的として「21世紀は環境の世紀であり、環境学習の場として広く近畿一円で利用してもらう。これは観光など丹後の振興にも役立つ」といわれてきましたが、環境学習の場がなぜこの公園でなければならないのか、其の合理的必然性は全くありません。あえて言えば、『海と星が見える』という立地条件かもしれませんが、それならば、宮津湾、栗田湾を眺める程度でなく、大浦半島から遠く能登半島まで若狭湾を一望できる場所、また、“頭上の星”を見上げるのでなく、“満天の星空”が居ながらにして視界にはいる、こういった場所は丹後縦貫林道沿いにいくらでもあります。丹後半島そのものがまさに学習の場であり、何十億もかけて新たな公園を作る必要は全くありません。  

また、丹後の振興を図るというのなら、舟屋の里の伊根湾、カマヤ海岸から丹後松島、なき砂の琴引き浜や夕日ヶ浦など各地の優れた自然景観、あるいは天女や浦島伝説、“丹後王国にまつわる多くの貴重な古文化財など、他に類を見ない歴史と文化遺産を生かし、積極的な観光振興を図ることであります。そのために今必要なことは、府中バイパス、伊根バイパス、蒲入トンネルや五箇バイパスなどの早期完成、浜丹後線、間人大宮線の整備促進などを急ぐことであります。委員会審議の中で藤城企画環境部長から公園への入れ込み予想が示され、夏場の日曜日などで一日最大1000人、年間5万人から10万人とのことでしたが、あじわいの郷の前例もあります。この公園が丹後振興に本当に役立つのか、その保証は全くないのではないでしょうか。

そもそもこの公園は丹後リゾート構想の中核施設に位置づけられていた“丹後リゾート公園”から出発したものであります。本来、構想破綻の時点で当然中止されるべきものが、「先ずは公園ありき」ということで見直しを重ね今日に至っているものですが、掲げられている事業目的にも沿わない、結局は破綻したリゾート計画の後始末というべきものであります。知事が本当に「府民の目線」に立たれるのなら、今からでも遅くありません、きっぱりと中止されるよう強く求めるものであります。

 

臨港道路和田下福井線橋りょう新設工事請負契約締結の件について

次に13号議案「臨港道路和田下福井線橋りょう新設工事請負契約締結の件」ですが、和田埠頭建設自体が無駄な公共事業であるとの立場から反対してきたものであり、その埠頭への橋梁建設には反対であります。国土交通省が一定の手直しを行いましたが、いま建設中の1号バースだけで500億円もかかります。繰り返し指摘してまいりましたように、なんの根拠もない貿易量拡大予測にもとづくムダな事業であり、中止を強く求めるものであります。

 

一般会計補正予算

「京都産業立地戦略21特別対策事業」補助金の増額について

その他の議案には賛成ですが、いくつか問題点を指摘し、改善を求めておきたいと考えます。

まず一般会計補正予算中、商工部関係の「京都産業立地戦略21特別対策事業」補助金の増額についてであります。の事業は「企業立地・育成条例」にもとづき雇用の創出と地域経済の活性化を図ろうとするものです。代表質問でも指摘しましたように、実施以来昨年度までの4年間に11億5千万円を投入してきましたが、補助対象雇用人員は608人、その他を合わせ、雇用人員増は1254人です。これは補助対象雇用人数が5人から10人と非常に少ないからです。これを大幅に引き上げ、いっそうの雇用創出となるよう改善を求めるものです。

なお、知事は代表質問への答弁で6700人の雇用確保に結びついている旨答えられました。これは直接の雇用1254人に下請けや物流関係での雇用をあわせると4700人の雇用が見込まれるとの推計し、さらに、この事業を使って移転立地した府内企業が、もし補助金がなければ他府県に出て行っていたかもしれないと仮定し、それらの企業の既存雇用2000人を加えると6700人になるというものであります。産業連関表にもとづいて試算したというのですが、業種によって波及効果が大きく異なるものを、製造業一本で試算するという杜撰なものであります。知事は「心が広いか狭いかの問題」などと言われましたが、まことに失礼なまったくのすり替え、言い逃れです。成果を大きく見せるためには不正確でも大きい数字を使うなどというやり方は許されません。厳しく指摘しておきます。

 

アスベスト対策について

もうひとつはアスベスト対策についてですが、最大の問題は健康対策です。予算化されました特別検診事業を直ちに実施するとともに、二次検診についても助成を行うこと、中皮腫による死亡者、治療中のひとの職業・居住履歴の追跡調査をおこなうこと、診療体制を拡充することなどが必要であります。さらに、アスベスト関連事業所関係者だけでなく、建築現場で被曝されている何万人とも予想される作業員、職人の皆さんに対する対策に万全を期していただきますよう強く求めるものであります。

解体作業に伴う対策でありますが、提案されている条例を真に実効あるものとするためには、飛散防止対策や濃度の測定、周辺住民への周知徹底などの義務づけが必要であり、罰則規定も当然もりこむべきであります。同時に、これらの対策は業者にとっては大きな負担でありますから、業者が安心、納得して協力できるよう、特別の支援が必要であります。資金援助については低利融資にとどまらず、無利子、無担保・無保証人のアスベスト対策融資を創設されるよう強く求めておきます。

 

文化力による京都活性化推進条例について

次に条例についてですが、「文化力による京都活性化推進条例」につきましては府民の文化芸術活動の向上とその支援を図るものであり賛成です。しかし、文化力による京都活性化を強調するあまり、「府民の自主的で多様な文化・芸術活動が軽視されることになっては大変」との声もあり、そのようなことにならないよう要望しておきます。

 

国民健康保険調整交付金に関する条例について

国民健康保険調整交付金に関する条例です。国から交付金の算定に際し、資格証明書未発行自治体を対象から除外するなどの留意事項が示されていますが、こうした行過ぎた滞納者対策をそのまま市町村に押し付けることがあってはなりません。このことを強く求めておきます。

 

統と文化のものづくり産業振興条例について

統と文化のものづくり産業振興条例ですが、多くの関係者が強く求めてきたものであり、わが党議員団も97年12月議会に条例大綱を提案してきた経過からして、もちろん賛成であります。財政措置が盛り込まれていることなど評価するところであります。条例制定を機に伝統産業振興予算の大幅な増額、後継者育成制度の確立など、施策の抜本的拡充を図られるよう強く要望しておきます。

 

豊な緑を守る条例について

最後に豊な緑を守る条例についてです。この条例は多くの公益機能を持つ森林を府民ぐるみで守り、不適正な小規模開発を規制する制度つくろうとするもので賛成でありますが、2点について意見を述べておきます。

豊な緑を守る上で林業振興が何よりも重要であります。ところが、いま、外材の無秩序な輸入と木材価格の低迷、林業労働者の高齢化の中で林業は危機的な状況に陥っています。必要なことは外材輸入の規制、国産材・府内産材の需要拡大、山林労働者の労働条件の改善や後継者育成、森林組合への支援強化など林業振興対策の強化です。条例制定を機に本府の取組みを抜本的に強化されるよう強く求めるところであります。

 また、運用に当たっては、土砂搬入禁止などの規制措置は災害防止上必要な場合に限定されていますが、水質の安全性確保や自然環境保全などの点からも当然必要であり弾力的運用を強く求めておきたいと思います。

以上で討論をおわります。ご清聴ありがとうございました。