日本共産党の光永敦彦です。

日本共産党府会議員団を代表して、ただいま議題となっております九意見書案について、四会派提案の「地方の道路整備の促進と財源の確保に関する意見書」(案)、「障害者自立支援法案に関する意見書」(案)および民主党提案の「個人所得課税における各種控除の安易な縮小を行わないことを求める意見書」(案)の三件に反対し、他の六件に賛成の立場から討論します。

 

「消費税大増税を行わないことを求める意見書案」と

「サラリーマン増税など庶民大増税の中止を求める意見書案」について

まず我が党提案の「消費税大増税を行わないことを求める意見書」(案)および「サラリーマン増税など庶民大増税の中止を求める意見書」(案)についてです。

今議会に、三二五件にものぼる「消費税の増税に反対することに関する請願」が、聴覚障害者協会や青果仲買共同組合、協同組合京都中央農協市場、セメント・生コン卸共同組合、綾部ショッピングプラザ共同組合、福知山建築工業共同組合、山城運輸事業協同組合など、広範な方から寄せられました。しかし、我が党以外のすべての委員の反対によって不採択とされました。その審議の中で、自民、公明、民主の各委員から「大増税計画などはない」「税体系全体の中で論議するものだ」との発言がありました。

そもそも政府の「骨太方針」では、「おおむね今後一年以内を目処」に「歳出・歳入一体改革」の選択肢と行程を明らかにするとのべ、「税制改革」について、消費税増税を含む「税体系の抜本改革を実現する」とした与党税制「改正」大綱をふまえて、二年以内に「結論を得る」としています。これは今後一年以内に消費税率引き上げの具体化に着手することを宣言したものです。選挙直後にも谷垣財務大臣は、〇七年度税制「改正」のなかで「消費税等々も考えていこうということ」と述べ、消費税率の引き上げを検討することを明らかにしました。

同時に、政府税制調査会が今年六月に「個人所得課税に関する論点整理」を発表し、定率減税の廃止をはじめとするサラリーマン増税など庶民大増税の方針を提起しました。これは昨年十二月にまとめられた政府与党による「税制改革大綱」で、自民党と公明党が増税の号令をかけ、政府税調が答えたものです。小泉首相も国会答弁で「増税を絶対にしないという可能性はない」とまで述べているのです。

定率減税の廃止、配偶者控除、扶養控除の廃止による増税は総額六・四兆円。消費税が十%になれば十二兆円の新たな増税、これを大増税計画といわずしてなんというのでしょうか。

ところが、自民党は、総選挙のマニフェストにおいて、「『サラリーマン増税』を行うとの政府税調の考え方はとらない」と明記し、国民に公約をしました。選挙中に配布された自民党候補者のビラには、「サラリーマン増税は絶対に許しません」、「政府税調が発表した、給与所得控除、配偶者控除の縮小と廃止を盛り込んだサラリーマン増税は許しがたい内容です」、「サラリーマン増税断固阻止。政府税調案を廃案へ」などとまでのべて選挙を闘った方もおられました。

にもかかわらず、選挙後の特別国会で小泉首相は「定率減税はサラリーマンのみならず自営業者などすべての所得税納税者を対象とするもので、サラリーマン増税とは異なる」と答弁したことは、全くの詭弁です。まさに国民だましの公約違反そのものではないでしょうか。

一方、大企業・大資産家への減税は、法人税の減税に加え、研究開発減税、IT投資減税という大企業向けの特別の優遇減税を実施、これによりトヨタ一社で、年間研究開発減税だけで五百億円。また、分離課税にして売却益を一律一〇%とする株式投資減税を行い、自社株売却で一四〇億円を得たライブドアの堀江氏への課税は僅か一四億円。こうした大企業・大資産家への減税は、この四年間であわせて二兆二千億円もの大盤振る舞いです。しかも小泉首相は、「大企業をいじめればいいという状況ではない」などと、大企業への減税路線を続けることを述べたのです。大企業の既得権益は守り、庶民には大増税−こんな計画は絶対に認められません。我が会派提案の意見書案こそ、広範な府民の願いに応えるものです。

一方、民主党提案の「個人所得課税における各種控除の安易な縮小を行わないことを求める意見書」(案)は、各種控除の縮小・廃止による庶民増税を前提としているもので、反対です。

 ところで、請願審査の中で、公明党委員から「共産党は消費税に対して態度を変えている」と我が党の立場をねじ曲げる発言がありましたので一言申し上げます。

我が党はこれまで一貫して消費税に反対してきました。公明党は九二年の参議院選挙の重点政策で「消費税の廃止」と明記し、かつては消費税廃止法案の共同提案をされた実績をお持ちです。九〇年二月、公明党坂口氏の選挙公報では「公平な税とは『所得の多い人からはより多く、少ない人からはより少なく』が原則です。消費税はこの原則から大きく外れているので廃止をいたします」と明記されていました。ところが、九九年八月に神崎代表が「消費税は将来的に引き上げざるを得ない」と消費税増税の立場を述べられました。まさに態度を変えたのは公明党ではないでしょうか。

同じく公明党委員から「この請願は広範な府民と装っているだけ」との主旨の発言もありました。これは、時代遅れの反共の色眼鏡で府民を色分けし、府民の切実な願いに背を向けるものであると、厳しく指摘しておきます。

 

「障害者自立支援法案の撤回を求める意見書案」について

次に、我が党提案の「障害者自立支援法案の撤回を求める意見書」(案)についてです。

先の通常国会で、多くの関係者や国民の反対の中で廃案となった「障害者自立支援法」案について、政府が再び応益負担を柱とする同法案を提出し成立をめざすことは、全く道理がありません。

この法案では、障害ある方の働く通所施設では、減免されたとしても利用者負担は一万二千六百円で、平均の工賃七三〇〇円を超えること、入所施設でも個別減免制度を使ったとしても、入所者の収入のうち手元に残せる生活費は月二万五千円、一日わずか八〇〇円を残して、あとはすべて負担となる仕組みです。しかも負担軽減措置とされる内容も、三年間の暫定措置となるなど、応益負担の導入が深刻な事態を招くことは明らかです。

こうした中、十月二日、京都市内で開かれた「われわれ自身の障害者施策を考える市民フォーラム」に、障害者、家族、関係者五〇〇人が参加されました。そのなかで障害者自立支援法案は「これ以上負担できないところへ更なる負担を強いる法案である。応益負担には断固反対であり、精神通院公費や育成・更正医療の自己負担増など問題が山積している。審議を差し戻してやり直すべき」とするアピールが採択されました。意見書案は、こうした障害者・家族・関係者の切実な思いと要望を反映したもので、賛同をお願いいたします。

なお、先に述べたとおり、いくら政府が「低所得者に配慮している」とのべても、障害が重くサービスを多く受けなければならない方ほど負担が重くなる応益負担は、制度そのものが社会保障になじまないものです。障害のある方へのサービスは必要に応じて、負担は能力に応じてという憲法二五条の原則こそ堅持すべきです。その点で四会派提案の「障害者自立支援法案に関する意見書」(案)は、応益負担の導入を是認した上で、慎重審議を求めるだけの意見書案であり反対です。

民主党のみなさんには、介護保険改悪法案の採決の際、最終的に賛成に回ったように、この障害者自立支援法案で同じことを繰り返されないように求めておきます。

 

「道路特定財源の見直しと生活関連道路等の整備を求める意見書案」等について

次に、我が党提案の「道路特定財源の見直しと生活関連道路等の整備を求める意見書」(案)についてです。

小泉首相が九月下旬に、「道路特定財源」の見直し方針を策定することを指示したことをうけ、その論議が本格化されはじめています。しかし、報道によれば、その内容は「財務省は一般財源化」「国土交通省は一般財源化反対」「環境省は環境税への振り替え」「全国知事会は税源移譲」など、「見直し」という総論で一致しているといわれているものの、思惑が複雑にからみあい、難航しているようです。

もともと道路特定財源は、二〇〇五年度予算で国・地方合わせて五兆八〇〇〇億円にものぼるなど、創設以来ふくらみ続け、その結果、巨額の税収を使い切るために不要不急でムダな高速道路建設などの公共事業が膨らんできました。我が党はこの道路特定財源について、一九七七年から、廃止し一般財源化することを求めるとともに、社会保障や教育、生活密着型の公共事業に使えるようにすべきと求めてきました。同時に、高速道路優先の道路行政を改め、生活関連道路の整備を急ぐことを求めるものであり、みなさんの賛同をお願いいたします。

なお、四会派提案の「地方の道路整備の促進と財源の確保に関する意見書」(案)について、これまでムダな高速道路建設の温床となってきた道路特定財源を実質的に続けようとするものであり、反対です。

 

「私学教育の振興に関する意見書案」について

 次に四会派提案の「私学教育の振興に関する意見書」(案)についてです。

私学助成は「教育の機会均等」を補償する制度です。しかし現実には公立との公費負担の格差が大きく、学費の負担が重くのしかかっています。また、今日の深刻な不況のもと、家計急変で学費納入が困難な家庭も増えています。昨年、知事宛に六十万を超える「私学助成の拡充を求める」署名が提出されたように、父母負担の軽減は多くの保護者と府民の切実な願いです。公教育の一翼を担う私学振興のために、国が私学助成の国庫補助制度を堅持し大幅に増額することが求められており、賛成するものです。

ところで、本府の私学助成は、昨年度決算では192億4千万円で、5年前、99年度との比較では9億円増額されています。その内訳を見ますと、国庫は20億4千万円から29億3千万円に8億9千万円増えていますが、府の一般財源からの支出は1千万円増えているだけです。国に対して、私学助成増額を要求することは引き続き必要ですが、京都府の努力こそ求められていると言うことを付け加えておきます。ちなみに、全国に誇った、京都府の授業料直接助成は、かつて総額15億円の助成が行われていましたが、昨年度決算では7億5000万円、見事に半額に縮小されています。直接助成の充実も求めておきます。

 

「あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律並びに関係法令の遵守と違法者取り締まりの徹底強化に関する意見書案」について

最後に、四会派提案の「あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律並びに関係法令の遵守と違法者取り締まりの徹底強化に関する意見書」(案)については、これまでから我が会派が求めてきた視覚障害者の働く権利の保障と場の確保という観点から賛成するものですが、本府として新たな働く場の確保などの支援策の充実をもとめておきます。

以上で討論を終わります。ご静聴ありがとうございました。