松尾孝(日本共産党、京都市伏見区)2005年11月15日
不要・不急な公共事業は、今こそ見直しを
【松尾】
日本共産党の松尾です。先ず公共事業の見直し問題についてお尋ねいたします。
知事はダム・公園・道路建設などの見直しで1000億円支出を減らしたと強調しておられます。しかし、まだまだムダがあると私ども考えます。いままで何度も指摘してきましたが、この際、改めてそれらの見直しを強く求めたい。
和田ふ頭 計画貨物量の半分にも達しない現状
ふ頭さえできればよいというやり方は改めるべき
その一つが舞鶴港の和田ふ頭の建設問題です。平成16年度も6億1000万円、今まで全体として約150億円投入されてきたわけです。
この計画は5万トン級のコンテナ船がコンテナをいっぱい積んで接岸できる岸壁、ふ頭を作ろうというもので、水深14メートルの岸壁を作ろう。そのもとになっています舞鶴港振興計画で、今年度、平成17年の舞鶴港の貨物量を1940万トンと予測、見込んでいます。また、入港する最大の船舶は7万重量トンとしています。
昨年度、16年度の貨物量は外国貿易221万トン、国内貿易613万トン、合計834万トンが昨年実績。計画量1940万トンの半分以下です。外国貿易の中身は、昨年から始まっている舞鶴石炭火電所の石炭160万トンとその他木材の原木36万トン。こういった物がほとんどです。
入港船舶も1万トン以上は346隻ですが、全体入港数の6〜7%、殆どが3万トン以下。4万トンを越えるのは石炭運搬船だけです。これは港内へは入らず舞鶴火電のふ頭につきます。
ここにこの10年間の舞鶴港に入る貨物の量を表にして持ってまいりましたが、ずっと横ばいで、少し増えているのは今もうした石炭です。17年度の見込み量の半分以下であると言うのが舞鶴港の実状なのです。コンテナ船も、コンテナ数は少し増えていますが、貨物量は平成12〜13年に比べると減っています。
こういった状況に照らし、我々はこのままで良いとは思っていませんが、コンテナバースさえ出来れば良いということには決してならないわけです。こういう予測とかけ離れた舞鶴港の実態を、知事としてどうお考えですか。まずお答えいただきたい。
【知事】
貨物の計画量は和田ふ頭ができていることが前提のもの。関西電力の方も石炭の第二火力発電所のものが入っています。問題は、内貿が伸びていない状況がある。内国貿易を中心にがんばっていかないといけない。
計画量については、卵か鶏かの問題だが、他のライバル港、日本海側、太平洋側の港の規模を考えた時、今の舞鶴港での建設状況を考えた時、着実に建設するのが一番良い。
【松尾】
知事の答弁は、コンテナバースができればもっと貿易量が増え、外貿も増えるというものだ。この間の推移は示した通りだが、知事も言ったとおり、後背地の状況等、舞鶴にどんどんコンテナが入って、それがどこに行くのか。
ご承知のように、日本に入ってくるものは、太平洋側の神戸、名古屋、横浜へ、中国等からは福岡あたりに入るわけですね。舞鶴に大量の物が来て、それを捌くということが今の状況に合っているのか。合っていない。舞鶴港の振興と言うなら、こういう単純な事ではなく、もっと総合的な検討が必要な時期に来ている。
そういう点では、書面審査の中で担当者から、舞鶴港振興計画の見直しと言うことにも言及が有りました。是非、見直しもやり、和田ふ頭建設計画は一旦ストップすべきでないか。これからなお、府は、舞鶴市を含め、100億円投入しなければならないのです。いかがですか。
【知事】
就任以来私は、公共事業については私自身で見直してきまして、その中で累積しますと1000億円になります。
北部の発展を考えた場合、舞鶴港の振興は大変大きな意味がある。長田野工業団地、これは福知山の議員から指摘があるように共産党が反対したという話しが合ったが、あのような投資をしたからこそ、それが核となってしっかりとした物ができる。わたしは、舞鶴港が有ることによって単に舞鶴港だけでなく、地域全体にモノ、人が流れて、関西も潤ってくる。勿論努力は必要。だから、この間も中国にプロモーションをした。
こういった総合的な活動の中でしっかりと考えていきたい。舞鶴港を抜かして、北部の発展を考えることは難しい。
【松尾】
舞鶴港を必要ないとか、振興を否定する立場ではない。今の状況が実態に合っていないのではないかと指摘し、振興計画を見直し、ふ頭さえできればよいというやり方は改めるべきだと申している。このことは強く求めておきたい。
畑川ダム 人口予測も水需要予測も過大
伏流水、地下水利用の新水源で対応は可能
【松尾】
公共事業の関係では畑川ダムの問題もある。府が計画した用水ダム3つの内、2つは中止されました。水需要計画がまことにズサンな南丹ダムでありますとか、福田川ダムも合併によって水の融通が出来るようになったから必要ないのだというお話だが、やっぱりこれは、府が地域の全体の調整をはかる立場でもっと慎重に計画をすべきものだ。簡単に用水ダムということで飛びついて、この間投入された13億円が無駄になったわけですから、府の責任は大きいと思うのですよ。畑川ダムも本質的に同じ問題があるのではないかと言っている。人口予測もデタラメと言っても良いほど、今1万4000人が減っていっている訳ですね、両町合わせ。ところが、2万2000人を想定して、1日あたり2600トンと言う水需要計画を盛り込んでいるとか、実態と全く乖離した計画となっている。水需要についても、同じようなことが言える訳で、検討委員会のなかでは、事業所の水需要については電話で聞いて集計して出したと担当者が言っているぐらいお粗末なものだ。こういう、畑川ダムにつきましても、「ダムありき」というやり方は改めるべきです。
総事業費は40億円が77億円に跳ね上がって、地元は14億2000万円持たねばならない。これは水道料金に跳ね返ってきます。この際、もう一度全体を見直して、検討し直すべきと思うがいかがですか。
【知事】
私は徹底的に公共事業の見直しをしていくべきであると、3つのダムの内、福田川ダムなども見直した。しかし、畑川ダムについては、首長さんと話しをしたが、丹波の地域の悲願なのですね。水が安定的にない。水源があっても不安定である。そのために生命を脅かされ、発展についても脅かされてきたということを見聞きしてきて必要だと考えたわけです。
今、京都市の人たちが水に不自由せずにいられるのか。琵琶湖疎水です。琵琶湖疎水にかけたお金は、当時の予算60万円の時代に125万円のお金を掛けたのです。今の予算規模で言えば、1兆6000億円くらい。それによって、京都市民は水に不自由しない生活をしている。やはり水という府民の生命という一番の基本に関わるところ、この問題については地元の厚い要望に応えることは知事としての大きな責任と思っている。
【松尾】
丹波高原地域が水の少ない地域であることは、私どもも認識している。しかし、新規水源3600トンが開発されているのですが、これは伏流水、地下水利用で、費用も二つ合わせて4億円台ですね。あの高屋川流域、豊田などの平坦地で新たな水源開発ができないということはない。私どもはこの際、そういったダムによらない水源確保など含め検討すべきだと言うことを強く求めておきたい。
大型クラゲ被害は深刻
被害補償と改良漁網の早期開発と導入に支援を
【松尾】
次に緊急の課題となっています大型くらげ対策です。書面審査でも農林水産部に聞きましたが、いまなお深刻な状態が続いておりますので改めて知事に伺います。
私どもこの間、京丹後の三津、伊根町蒲入、舞鶴市野原、田井などを訪問し調査を行って参りました。現地ではどう言っておられるか、「台風もひどかったけどそれ以上の災害だ。毎日台風が来ているみたいなものだ」、「去年の台風の時は府がすぐ来てくれたけど今度はだれも来ない、クラゲぐらいと思っているのと違うか」という声が聞かれました。これは知事にしかとお聞き頂きたい。
被害の状況ですが、網の損傷、錘が動いて網の形が崩れ、魚が入らなくなる、魚が傷む、網揚げに時間がかかって、やっと揚げて魚市場に持っていったら仲買さんがいないという状況も起こっている。何より、漁ができないという状況がなおあるわけで、これは確かに台風よりひどいなあと、実際に見てきまして痛感いたします。知事は今回のクラゲの被害問題どうお考えですが。
【知事】
昨年台風により大きな被害を受けた定置網について、9月以降大型クラゲの増加により休漁する網もでき、漁獲高の減少が見られる。10月末までの漁獲量は過去5か年平均に比べ約15%減となっており、漁獲高で約10%にあたる1億5000万円の減少になっている。
大型クラゲによる被害については、農業災害補償法に基づく共済制度があり、漁業者の方々がそれぞれの経営に応じて設定している共済金額前の減収分は補填され、網の破損に対しても共済金が支払われるが、これから寒ブリ漁を迎える中で、水揚げに対し危機感を持っている。
そういった中で、6月に行政機関や漁業団体などの関係者で構成する定置網経営に係る協議会を設置し、そこで経営分析などを行うと共に、経営安定化方策などを含め多角的な検討を行っているところ。
【松尾】
被害対策については、共済があるという事だが、昨年の23号台風被害で共済支払いをうけ、限度額が下げられている訳です。クラゲ被害が発生する前に、その限度額以上の水揚げがあるからクラゲ被害については使えないという生産組合、有限会社の状況です。
そういう中で、浜詰などでは、やっと入れたがまた破れたと、昨日聞いた。このようなことも起こっている。
府下全体34の定置網があり京都の沿岸漁業の中心になっている。これが、去年の袖志のようにどんどんやめていくところが出てくれば、京都の沿岸漁業としては大問題ですから、やはり被害補償対策が必要だと思う。知事はどう思うか。
【知事】
まず、大型クラゲの被害を食い止めることが大切。これがこのまま続き、来年、再来年も続くと、単に色々な面でやっていても追いつかない。そこで、府立の海洋センター中心に防除対策に一生懸命取り組んでおり、改良定置網は一定の効果があることは確認しており、こういったもので大型クラゲの防除ができるようにできるだけ早く改良を加え実用化に向けて鋭意取り組むことが一番始めに求められると思っている。
その上で、これから漁業者のみなさまが、安定的に経営できるようにするにはどうすれば良いかだが、そのために、先ほど申したように、定置網経営に係る協議会を設置し、経営安定化方策について検討しているところであります。
【松尾】
食い止めるのが先決というが、中々うまくいかない訳で、毎日被害が起こっている。湾内の養老の定置でも起こっている。大きな被害は3年目になるのです。今年初めてのことではないのです。漁師のみなさんは何とかならないかと、言い続けてきた訳ですが、できていないのです。
海洋センターで研究中と言うことだが、すでに網の業者と協力し定置網の入り口に設置しているところもあるのですが、なかなかうまくいかないのが実態です。このままでは、11月の給料が払えないという状況もあります。府としてしっかり検討して頂く必要が有ると言うことを指摘し強く求めておく。
07年度からの国の新しい経営安定対策の実施
京都農業を守り、振興をはかるため、府の対策実施を
【松尾】
もうひとつ農業問題を質問する予定だったが時間がない。
国の新しい経営安定対策ですね。10月末に決まり、2007年度から実際にこれが動いて行くことになる。知事も、「あんな通り京都でやったら大変だ。京都の農業は持たない」と言われている訳ですから、これは具体的にどうするのかと言うことを、京都農業を守る、なんとか振興をはかるという立場でしっかり検討して頂きたい。
これは、今後の問題として、12月定例会引き続きやらせて頂きたい。以上で終わります。