■島田けい子(日本共産党 京都市右京区)

限界にある府民のくらし。これ以上の負担増、医療制度改革悪に反対せよ

【島田】日本共産党の島田けいこです。

私たちはいま、住民のみなさん方にアンケート調査を行なっています。福祉・くらしに対するご要望をお聞きしていますが、こんな声が寄せられております。

「国民年金とわずかな貯金を取り崩して毎日暮らしていますが、いつまでお金がもついかわからない」「毎日の暮らしが本当に苦しい」「生きていくのがつらいです」という声。また「商売が大変です」「無年金。夫婦心中を考えることもしばしばです」「病院にいく回数を半分から3分の1にへらしました」など、本当に読んでいるだけでも心配になり、胸が詰まる訴えが沢山ありました。

年金が一円も上がらないのに、国保料や介護保険料が上がり、医療費の窓口負担が上がって、本当に暮らしていけないという住民の悲鳴にも似た声が多数寄せられています。来年、定率減税が全廃されると、税負担が40倍にも増える高齢者世帯まであることが国会でも明らかになりました。知事は、これまでの税制改革や医療制度改革について、「持続可能で安定的なわが国を作る上で当然だ」とされてきましたが、今でもこの様な認識か、まずお尋ねしたいと思います。

【知事】私が申し上げたのは、受益と負担のあり方というものを十分に含めて、全体のバランスを考えて、これは講じていかなければならない問題だということを申し上げたわけで、どこが認識の問題とつながるのかよく分らないが、これは将来の国家問題ですから、どういう負担を国民に求め、どういう受益をそれに対して講じていくかということを、国においてしっかりと議論をして、将来を見据えた制度を構築して頂きたい。その中で、国に対しては、弱者にしわ寄せがこないよう、地方の実状を十分に踏まえた改革と改善を要請してきたところです。

【島田】確かに知事は、安心して医療が受けられるように、あるいは、低所得者に配慮してほしいという要望を国に上げておられますが、これまでの議会の答弁では、繰り返し、受益と負担ということと同時に持続可能な制度にと答弁をされてきた。しかし、先程言った事例は、正に生きていくこと、暮らしの持続が不可能になっている府民が増え続けているという問題なんです。私は、この点で、すこやか長寿プランやいろいろ、中期ビジョンの中に書かれていますが、府民は立ちゆかなくなっている。ですから、命を奪うような医療制度改革にはきっぱり反対すべきだ、このように求めたいと思います。知事の認識はいかがでしょうか。

【知事】今、申し上げた様に、国に対しては、弱者にしわ寄せが来ないよう、地方の実状を十分に踏まえた対策等改善を要請するとともに、正に、障害者自立支援法については、私どもは、全国の都道府県でトップを切って支援を行なうなど、地方公共団体として、セーフティネットを構築し、住民生活を守るために全力をあげている。

【島田】障害者の問題は、後ほど伺いますが、社会保障制度が本来セーフティネットであり、そのセーフティネットそのものが、ボロボロになっているということです。医療改革関連法も含め、今、国民の不安が高まっていますが、私は、いろんな現場にお訪ねし、お医者さんからも、障害者のみなさんからもお聞きしました。これまでの負担増だけではなくて、正に、生きてさえいけないという事態をうんでいる。そういう事態にあると思います。

具体的に伺いますが、障害者自立支援法についてです。

障害者団体の各種調査で、所得が低い人ほど、利用を減らす傾向が強く、障害が重い人ほど重い負担がのしかかるという、「応益負担」の問題が浮き彫りになっています。

私は、府下の施設にお話を聞きました。130名規模の施設では、4月からこれまで10名もの方が施設を退所し、10名の職員が退職した。施設の報酬は半年で2700万円も減収したとのことです。

「応益負担は撤回していただきたい。」「障害者施策に日割り方式を導入したことは間違い」と切々といわれました。問題は明らかになっています。国に対し、「応益負担」の撤回と自立支援法の抜本的見直しを要求すべきです。いかがですか。         

【知事】先程申し上げた様に、障害者自立支援法については、障害がある方々にとって、必要なサービスが受けることができない状況が生じないように、国に対し、しっかりと要請をするとともに、その中で私どもは、都道府県の全国でトップを切って障害者自立支援法の支援を府として単独で行なったわけです。これについては、近畿府県でも、滋賀県が9月に追随したし、他府県でも追随をする動きがあるという事ですから、正に京都が率先して、そういう状況を引っ張っているということを言えると思います。そうでしょう。

障害者への「応益負担」の導入撤回を、なぜ知事は求めないのか

【島田】必要なサービスが受けられない事態が進行をしているのです。先日、京都新聞が報じていた。西右京の社協の集会で、精神障害者で、共同作業所利用者の方が、経済苦、悲観をして自殺をしたということを報じておられました。正に、命まで奪われている事態です。先程、滋賀県の例をお話されましたが、滋賀県の緊急プログラムは私も見させて頂きました。先程の施設経営問題では、日割り方式による激減する報酬を加算制度で補填をするとか、あるいは、これまでの委員会でも指摘をしたように、障害がある子どもたちが通う通所施設、療育施設等、市町村が無料で行なう児童デイサービスの事業を継続するということで、県が市町村を応援する緊急プログラムになっている。京都府の場合は、施設に対しては貸し付けの制度に止まっているわけで、私は、この点を含めて、今、障害者のみなさんの声に真摯に向き合って改善を図って頂きたい。そもそも、障害者のサービスが、目のご不自由な方の移動支援が受益なのか、あるいは、発達障害がある子どもの教育・療育を保障する制度が、どうして受益なのか。この根本問題をしっかりと改めることが必要だと考えています。いかがですか。

【知事】正に、滋賀県の制度等についても、私どもが引っ張ったんでしょ。京都がね。これは認めて頂けると思います。違いますか。その上で、私どもは国に対して、利用者負担について、低所得者の実態を十分に勘案し、地方自治体の独自軽減措置を踏まえた見直しを行なうこと、事業者の報酬については、良質なサービス提供や、利用者の経営安定化を図るため、報酬額や人員配置策について適性水準を確保することについて、強く要請を行ないました。また、一昨日の近畿ブロック知事会においても、障害者自立推進についての緊急提言を採択し、近畿府県が一致して国への働きかけを行なっているところです。

【島田】いくつか改善点を求められている事は結構だと思うし、京都府の障害者の軽減策については私どもも評価をしました。しかし、施設経営について、今、共同作業所も含め、存続の危機に有るわけですから、更なる改善を求めていますし、根本問題である応益負担を撤回せよというのが、今、障害者の一番の願いでして、このことについては、知事は何ら答弁をされていません。この立場が間違っている事を指摘しておきたいと思います。

お年寄りから介護ベッドを取り上げ、何が「介護予防」か

【島田】次に、軽度介護者から介護ベッドや車いすが取り上られる問題です。

南区社会保障推進協議会の介護シンポでこのような発言がありました。「私のベッドを返してほしい。ベッドがなければ起き上がれず、夜中に一人でトイレにもいけない。喘息の持病があり苦しいときはベッドを起こしてもたれていた」京都市の介護保険課に相談したが「国の法律で決まったことだ」と冷たい返事。とうとう、10月24日、ベッドが引き上げられたそうです。そのほかにも、ベッドが取り上げられたため、起き上がりや寝返りができなくなって介護度が上がった方もあります。寝たきりを増やしていて、どうして「介護予防」なのでしょう。

口丹波では150人が車いすや介護ベッドを原則的に返却せざるを得なくなったと報道されましたが、知事は実態をつかんでいますか。南丹市では低所得者に限り介護ベッド貸与料の補助や京丹波町では社協が無料貸与するとしていますが、本府としても市町村と連携して独自の対策を実施すべきです。お答えください  

【知事】応益負担、応能負担の問題ですが、京都府は、所得の低い方々、低所得者の方については上限を引き下げて応能にしているんですよ。そして、それを国に対して、我々の制度を見て下さいと要請しているんですよ。島田委員は、私どもの制度は、それでも応益だとおっしゃるのか。それとも応能だとおっしゃるのか。そこを明確にして頂かないと困ると思います。

 先程もお答えしたが、福祉用具の貸与については、私どもも、今、実態調査を行なっていまして、それを踏まえて、しっかりと国に対しても制度の改善等について要望していきたいと考えています。

【島田】上限制を設けて、その枠に入って軽減された方は実際にいらっしゃいますが、先程言いました様に、児童デイサービス等は、その枠外に外れて、負担が4倍、2倍となり、現実に抑制が起こっているのです。制度そのものがバラバラで問題があるのですから、そのことを指摘します。根本問題は応益負担が間違いなんです。

介護ベッドの問題ですが、京都市の発表した見込み数では介護ベッド3948台、わたしどもの調査で途中集計だけでも京都市を除く19自治体で、575台もベッドが引き上げられています。これまで知事並びに理事者は、こうした介護予防、介護保険制度の改定について、「こんなことをしたら、車いすが取り上げられたり、軽度介護者からホームヘルプサービス等が取り上げられるではないか」、この様に指摘しましたら、「介護予防に重点を置く方針は、本府の健康長寿日本一プランと一致する」「新予防給付は、現行制度と同様のサービスメニューが用意されている」と言って国の先取りをしてきたのです。私は、改めてこの責任を厳しく指摘しておきたいと思います。その責任も含め、現時点で、市町村が様々に努力していることについて、これを応援することは京都府として当たり前のことと思います。ぜひ、検討して頂きますよう強く要望します。                               

「医療難民」つくるリハビリ医療の打ち切り。国に撤回を求めよ

【島田】次に、リハビリ医療の制限問題です。この4月から医療保険を使って受けられるリハビリテーションの期間が最大6ヶ月に制限されました。全国保険医団体連合会の調査で全国6873人、京都で375人の方がリハビリを打ち切られたとのことです。厚生労働省は「症状が安定したら医療保険でなく介護保険のリハビリを利用せよ」といっていますが、介護施設に専門のリハビリスタッフが少なく十分なリハビリが受けられない事は京都府の調べでも明らかではないでしょうか。医療を制限してリハビリを奪うという様なことをやるなと、国へ白紙撤回を要求すべきと考えます。知事の見解をうかがいます。   

【知事】私は、介護予防は大切だということを申し上げたので、介護予防を徹底したら必要な人が受けられなかったら、それは問題だから、国に対して強く要請をするということを言っている。介護予防で応援をしたからと、そんな変な言い方は私は無いと思います。介護予防は島田委員も大事だと思いませんか。そう思いますでしょ。その中で、どういう制度をつくるかということが大切なので、そこは国に対してしっかりと要望しているということをご理解頂きたい。

 次に、リハビリテーションに関る問題だが、今回の場合は、リハビリが出来るように報酬は一方で引き上げられている。ただ、算定日数の上限設定が行なわれた時に、医療リハビリを継続することにより、状態の改善が期待できると医学的に判断された場合は摘要除外となっている。私は、こういった中で、実態がどうなってくるのかという事については、制度設計と財源の権限と責任を有する国において、しっかりと調査の上に決定して頂きたいということを、これからも国に対して意見を伝えていきたいと思います。

【島田】介護予防という言葉で遊んでいる訳ではないのです。実際に介護保険制度の見直しの時に、要介護区分認定を変えて、これまで必要だったからあるベッドを引き上げた。その名目にされたのが介護予防だったわけです。ですから、私は、制度で使われている介護予防と、一般的な介護予防の問題とひっくるめて、すり替え答弁をしてはいけないと思います。介護予防という点では、早期発見、早期治療、そして必要な介護が、望まれる方にちゃんと提供されなければならないということが大前提です。体の基準に基づいて、区分を決めて、今回のような寝たきりを助長するような、介護ベッドの取り上げがおかしいと言っているのです。先程紹介した事例で、ベッドを取られた人のお気持ちを、知事はどういうふうにお考えになりますか。独居で、お一人で頑張って暮らしておられる方々のベッドを取り上げたことについて、どの様な痛みをお感じなのかお聞かせ下さい。

【知事】私どもは、支援が必要な方については、適切な支援が必要である、そういう観点から、国に対して要望しているのです。さっきから、言葉の遊びといっておりますが、すれちがいはそちらではないかと思う。介護予防は大切なんです。筋力トレーニングとか、寝たきりにならない予防をしていく、これはこれからの健康長寿の時代にとって非常に重要なことです。ただ、おっしゃる様に、そうした制度を構築する中で、必要な介護支援が受けられない人があってはならない。その点については、国に要望していると私は言っているのです。

【島田】制度の矛盾はいろいろ有りますので、知事がしっかりと国へ要望して頂いて、制度の抜本的見直しも含めてご努力をして頂きたいと思います。

 先程のリハビリの件ですが、20年前の寝かせきり医療への逆戻りになると、医療関係者からも 厳しい批判の声がありますので、これも含めて国に対して白紙撤回をするよう求めていただきたいと思います。

 いくつか緊急課題について質問をいたしました。知事が府民の痛みが本当にわかるなら、今言ったような課題について、意見を上げて頂きたいと思いますし、やはり、憲法25条、国民の生存権を保障するという理念に基づいて、医療と社会保障について、国がしっかりと責任を果すよう求めて頂きたい。要望します。

舞鶴医療センターへ緊急の医師派遣を行い、府北部の周産期体制の確保を

【島田】最後に、舞鶴医療センターの北部周産期医療センターについて、医師の努力も限界に近づいています。何度か伺いました。現場はぎりぎりの運営を強いられています。一日も早く産婦人科医師を確保し、北部周産期医療の体制を整えて頂きたいと思います。知事の決意をうかがいます。

【知事】北部の医師確保の問題については、大変深刻な状態に陥っていると考えています。このため、先程も巽議員にお答えした様に、現在、緊急対策を講じると共に、医療対策協議会で幅広く議論頂いているところであり、北部の周産期の医療体制の整備充実も含め、地元市町村や国とも積極的に連携して取組んでいきたいと考えています。

【島田】医師確保の緊急提言については、私どもも発表させて頂き、知事にもお届けしました。そして医療関係者と幅広く懇談をさせて頂いています。先日の決算特別委員会現地調査では、バプテスト病院に伺いましたが、周産期医療体制の問題については、奈良の様な事態が起こりかねないのではないか、こんなご指摘もありました。もちろん、第一日赤に総合周産期医療センターをつくり、情報システムを整備して、随分と改善をされましたが、北部で奈良の様な事態が起こらないように、妊産婦が亡くなる様な事態が、決して起こらないように、全力をあげて頂きたい。このことを強く要望して私の質問を終わります。