意見書討論

島田 けい子(日本共産党 京都市右京区) 2006年12月15日

日本共産党の島田けい子です。党議員団を代表し、ただいま議題となっています意見書案10件について、すべてに賛成する立場から討論をおこないます。

まず、わが党提案の「難病対策の縮小でなく充実を求める意見書」(案)についてです。

難病患者は生涯が病との闘いです。原因が分からず治療が困難で長期にわたるため、医療費の負担は大変重いものです。しかも病気で仕事を失う人が多く、生活が苦しい。だからこそ、医療費の助成が始まりました。今回対象になった潰瘍性大腸炎は20歳代前半の若年者を中心に発症します。

入院退院をくりかえす中で、退職に追い込まれるなど約2割の方が職を失なっています。また、パーキンソン病の切り捨ての対象とされた中等度症例の方々の場合も、失業率は五割をこえています。若年から壮年期の患者は一家の大黒柱の方が多いにもかかわらず、病気で仕事を失うなど、現在でも困窮家庭が多い現状です。このうえに、医療費は増えれば、必要な医療が抑制され病状が悪化することとあわせ、家庭の崩壊すら招きかねません。予算を抜本的に増やし、補助対象の縮小をやめ、新たな疾患にも対象を拡大すること、長期的には総合的な難病患者の医療や福祉を支える体系をつくることを求める意見書に、ぜひとも賛同をおねがいします。

四会派提案の「特定疾患治療研究事業の見直しに関する意見書」案について賛成です。ただ、意見書案の記述にある1211日の特定疾患対策懇談会については問題があります。意見書は、補助対象を見直す理由に「患者が5万人を上回り、希少性の要件を満たさない」とする懇談会の取りまとめについて、なんら批判的見解があきらかにされていませんが、5万人の基準に医学的根拠がないことが国会審議で明らかになっており、患者会からは「あまりにも患者の実情を無視したやり方、希少性についても理論的に説明がつかないもの」との批判の声が出されているところであります。指摘しておきます。

 次に、4会派提案の「社会保険京都病院の存続に関する意見書」についてです。

社会保険京都病院は京都市北部地域の中核病院であり、60年間、命と健康の守り手として地域に大きく貢献してきました。住民にとってなくてはならない病院です。健康管理センターの併設による疾患の予防事業や、医学生・薬学生、看護学生をはじめ医療従事者の教育の場を提供してきた病院でもあります。現在、地域医療の確保上で焦点となっている救急医療や小児科、産婦人科などの診療科も備えており、まさに住民の命を守るとりでです。京都病院をはじめとする全国の社会保険病院も含め、拡充強化こそ求められています。

今回の社会保険病院の整理統廃合計画は、公的な医療機関をつぶしていく一環であり、すでに国立病院・療養所80施設が廃止され、残るほとんどの病院も国の直営から切り離されました。その上、地方自治体病院にも民営化や統廃合が押しつけられています。京都病院をはじめとする全国の社会保険病院も含め、拡充強化こそ求められています。地域医療の確保を担う公的医療機関として社会保険京都病院の存続拡充を求める意見書に賛同します。

次に、「リハビリテーションの診療報酬算定日数制限を中止するよう求める意見書」(案)についてです。

四月の診療報酬改定から8か月。全国で20万人以上の患者がリハビリテーションを打ち切られていることが全国保険医団体連合会の調査で明らかになりました。「呼吸器リハビリをうちきられた患者が一週間後には自分で痰を出すのが難しくなり、夜中に痰がつまって死にそうになった」「リハビリを打ち切られて経験したことのない痛みが続くようになった」「体の機能が目に見えて低下してきています」など悲痛な患者の声とともに、機能低下や閉じこもりからあらたな疾病を併発する恐れがあるなど、医療関係者からも指摘をされています。政府・厚生労働省が日数制限をする口実は「効果を見込めないリハビリが漫然と続けられる例が少なくない」というものですが、これは、病状の悪化を防ぐために必要な維持期のリハビリを事実上切り捨てる措置です。国がこれら患者の受け皿としてきた介護保険は、日数制限により医療保険の対象外とされた何万人ものリハビリ中断患者を受け入れるだけの施設もマンパワーも整っていないのが現実です。障害者や患者から生きる希望を奪うひどい仕打ちをやめ、一日も早く日数制限を中止し、診療報酬の改善を求める意見書に賛同をお願いします。

次に、「療養病床再編・廃止方針の撤回と診療報酬の改善を求める意見書」案についてです。

この7月、療養病床から退院を余儀なくされた女性が10日後亡くなられました。診療報酬改定で、報酬が大幅に削減され、経営危機に直面した病院が月に3万円の差額ベッドの導入を決めたことでやむなく退院された結果の事態です。

私立病院協会の調査では4月から9月まで府内の療養病床の314床が一般病床に転換したとのことです。国の想定以上のベッドがへるのではとの指摘がされています。また、京都療養病床協会が67月に行なった患者への直接調査では、現在入院中の患者の内、病状や状態から自宅での介護は不可能という回答が9割にのぼっています。1025日、日本医師会も全国で六万人が、「実際はケアが必要なのに退院を迫られる」とする試算を発表しました。診療報酬改定で月に3百万円の減収がでるなど病院経営にも深刻な影響をあたえており、地域医療にも重大な支障をきたしはじめています。「医療難民」「介護難民」をこれ以上ださないために、緊急に診療報酬の見直しをおこない、療養病床再編・廃止計画を撤回し、必要な医療や介護の体制をつくるよう求めるものです。賛同をお願いします。

次に、「介護ベッドなど福祉用具の取り上げの中止を求める意見書」案についてです。

介護ベッドなど福祉用具は、障害がある方や高齢者の自立を支援するばかりか生活そのものの向上におおきな役割をはたし、人々の尊厳を保障するものです。ところが、政府・厚生労働省は、「自立の妨げになる」と、現場や利用者の声を無視して制度改悪をおこない、文字通り福祉用具の貸しはがしをおこなってきました。

本府の実態調査でも必要な方から福祉用具が取り上げられた実態があることや、介護ベッドがなくなって逆に寝たきりになり介護度が上がった方もあるなど制度の矛盾も明らかになりました。京都府としても近畿府県に呼びかけてこれらの方を対象にするよう、国に対し緊急要望をおこなったところです。府議会としても制度改善の意見書をあげるのは当然のことです。賛同をおねがいします。

次に、「障害者自立支援法の『応益負担』を撤回し、抜本的見直しを求める意見書案についてです。10月から全面施行された障害者自立支援法について、6日、衆議院厚生労働委員会において参考人質疑と集中審議が行われ、自民党の議員からは「見切り発車だった」との発言、公明党議員からも「問題がある」との発言がだされるなど支援法を強行可決した与党の中からもこうした声がだされました。

障害者のみなさんが不自由な体をおして京都を始め、全国各地でたたかってこられた結果、全国の自治体で次々と独自軽減策が打ち出されていますが、今回の障害者自立支援法がいかに欠陥法であったかを裏付けるものです。障害がある人々の生活を直撃しているのは「応益負担」の導入です。障害者と家族ら15,000人が参加した「出直してよ!障害者自立支援法1031フォーラム」で障害者が求めたのも、「応益負担」の抜本的見直しです。

「障害者も働いている人も施設もみな不幸になった」これが関係者の声です。

わずか8か月の間に、負担を苦にした親子心中や自ら命を絶つ障害者が後をたちません。命は帰らないのです。一日も早く応益負担を撤回し、障害区分認定のみなおし、報酬単価の引き上げなどの抜本的見直しを国へ強く求めようではありませんか。ぜひ、賛同をお願いします。

以上、7件の意見書案は府民の命にかかわる緊急課題です。

この間、自民党、公明党政権下で進められた医療・福祉・介護の諸制度の連続改悪によって、社会的に弱い立場にある人たちが制度の枠組みから排除されるという、あってはならない事態が起こっているのです。だからこそ、福祉の増進を目的とする地方自治体の議会および議員が地方から声を上げることが今もとめられているのです。このことを強く指摘しておきます。

次に、わが党提案の「品目横断的経営安定対策」と米価対策に関する意見書(案)についてです。

品目横断経営安定対策が京都の農業の実状に合わないことは知事も繰り返し述べておられる通りであり、国に対し強く見直しを求めているところであります。来年度からの本格的実施を目前にして、いま、あらためて抜本的見直しを求め、府内の意欲ある全ての農家が対象になるよう、また、引き続き営農が続けられるよう価格保障を基本に据えた対策となるよう求めることは当然です。その点からも土台となる米価対策として不足払い制度の確立が必要であり、ぜひ賛同をお願いします。

次に、「森林・林業・木材関連政策の推進を求める意見書」案についてです。

今日の木材価格低迷の原因は、国の木材輸入自由化政策にあります。発展途上国の違法な伐採もそういうもとで起こっている問題です。これが、林業振興にとって最大の問題であることを指摘せざるを得ません。意見書はこの点がまったく触れていない問題がありますが、国、自治体が一体となって必要な予算を確保し、林業振興の抜本的拡充を願い賛同をするものです。

以上で討論をおわります。ご静聴ありがとうございました。

 

 

 

議案討論

梅木のりひで(日本共産党 京都市左京区) 2006年12月15日

日本共産党の梅木のりひでです。ただいま議題となっております議案21件について、9月議会提出の第15号議案「一般会計及び特別会計決算認定の件」と第17号議案「水道事業会計決算認定の件」、及び今議会提出の第3号議案「認定こども園の認定基準に関する条例案」の3件に反対、他の議案18件については賛成する立場から討論を行います。

まず、決算認定議案についてです。

15号議案「平成17年度一般会計及び特別会計決算」についてです。平成17年度予算案の提案にあたって知事は、三位一体の改革のもと、国庫支出金63億円減、地方交付税と臨時財政対策債は、前年の306億円の減額に続き、71億円の減額になる、府税収入も伸び悩み、財政が大変だから、「事業のいっそうの集中と選択をおこない、総額250億円にのぼる経営改革を断行した」と強調しました。そもそも、知事は「地方の自由度を高める」と三位一体の改革に期待を寄せていましたが、それが、地方交付税の大幅な削減等、逆に「地方の自由度」を奪い、地方を切り捨てるものであったことは今や明らかです。

また、小泉構造改革によって、府民の暮らしと地域経済が大変になっているこのようなときにこそ、住民の暮らしを守る地方自治体の役割の発揮が求められているにもかかわらず、知事は、逆に市町村合併のおしつけ、洛東病院の廃止、284人の職員減など、地方自治と住民サービスの切り捨てをおしすすめたのであります。

以下具体的に、反対理由を述べます。

反対理由の第一は、府税収入が予算に比べて伸びているにもかかわらず、府民サービスの切捨てをすすめたことです。府税収入は予算に比べて決算では383億円増、地方交付税は124億円も増えています。結果として、約500億円歳入は増えたにもかかわらず、住民サービスの切り捨ては、予定通り実行しました。

予算特別委員会の知事総括質疑で、私は、健康保険料や介護保険料、定率減税の縮小・廃止など府民の負担が雪だるま式に増えるという実態をパネルで示して、府民の暮らし応援に積極的に取り組むよう求めましたが、税収増は府民の暮らし応援のためには使われませんでした。政府が緊急雇用創出基金も、繊維活性化基金も廃止したもとで、府独自に不況で苦しむ中小業者・伝統地場産業への支援や緊急雇用対策の強化が求められていましたが、十分な支援はありませんでした。また、福祉分野でも生活保護世帯等への夏季・年末見舞金2億6千万円が削減され、敬老祝い品の縮小などもそのまま実行されました。また、子育て世代を中心に、要望の強い子どもの医療費助成の拡充や、景気対策としても有効である、耐震改修はじめ住宅改修助成制度の創設も、その気になれば実施できたにもかかわらず、実施しようとはしませんでした。

その中にあって、企業誘致補助金は、最高5億円を20億円に増額し、府内で工場を拡大する場合も対象に追加し、補正予算で8億円も積み増しました。リストラと不安定雇用の拡大、長時間労働と賃金切り下げなど、勤労者世帯の生活は苦しくなる一方で、大企業は、人件費コストを減らすことによって収益を上げているのであります。「業績が良い」から、工場を拡大する「勝ち組」の企業に補助金を出し、応援をすることは、府民の目線からすれば、応援をする相手が違うのではないかという疑問が出て当然であります。わが党は、「雇用のための誘致補助金というならば、正規雇用の拡大こそ重視すべき」であり、「不安定雇用を拡大することでいいのか」「雇用実態の調査を」と要求しましたが、理事者は当初、「そんなことをしたら、京都から企業が逃げ出す」などと答弁しました。企業誘致そのものに反対するものではありません。企業誘致は、府民の雇用を拡大し生活を豊かにすること、京都の地域経済を発展させることが目的なのですから、その目的を見定めて、その達成状況は、しっかりと検証されなければならないということを、あらためて指摘しておきます。

反対理由の第2は、「財政が厳しい」と府民サービスの切捨てを行う一方で、不要不急の事業に、相変わらす貴重な府民の税金が投入されていることです。和田埠頭建設費27億5千万円、京都市内高速道路出資金11億6千万円、丹後リゾート公園に6億2千万円、畑川ダムに3億5千万円、木津川右岸運動公園に3億1千万円、学研都市建設費7400万円、関西空港2期工事出資金5600万円などです。また、平安建都1200年協会に3934万円、世界人権センター運営助成4300万円の支出は中止すべきであります。さらに、同和奨学金償還対策事業に17年度だけで3億4500万円支出しています。今後なお64億円、京都府の負担が21億円ということですが、同和特別扱いは直ちに中止すべきであります。

そのほか、17年度の新規事業について、高校の教師が塾の講師から指導を受ける「授業の達人」や「心の教科書」、1000名の低賃金非常勤講師を前提にした「京都式少人数教育」、京都南部での高校の廃止・統合など多くの問題をもつ決算となっています。また、増額の要望が強い私学助成についても、高校生の授業料直接助成が、知事選挙を前に8年ぶりに4千円増額されましたが、8年前、平成9年度決算では、直接助成総額は13億4千万円でしたが、17年度決算では7億7千万円で4割以上の減になっています。格差と貧困が拡大しているときだけに、私学助成の充実が強く求められています。

以上の理由から、第15号議案に反対します。

次に、第17号議案「水道事業会計決算」についてです。府営水道の問題が、大山崎町の町長・町会議員選挙で大きな争点となりました。さらに、長岡京市長選挙でも、大きな争点になろうとしています。乙訓2市1町住民の高すぎる水道料金を値下げしてほしいという願いは切実であります。過大な水需要予測に基づく施設建設のつけをおしつけられ、使ってもいない水の料金を負担させられている住民の不満は当然であります。給水実績の2倍近くの受水協定は見直すべきであり、反対です。本府の責任で、企業による水道水利用を拡大することや、一般会計からの繰り出しを含め検討すべきであります。

なお、第16号議案「電気事業会計決算」についてですが、賛成はしますが、電気事業開始以来はじめて純損失を計上する事態となっています。落雷等により太鼓山の風車が故障したためとの説明でした。企業局の書面審査で指摘しましたが、静岡県東伊豆町では、600kw3機、計1800kwの能力で年間5100万円の売電収入がありますが、太鼓山はその2.5倍、4500kwの能力で、売電収入は5900万円と差がありません。東伊豆町の担当者は、「風力発電に雷は大敵、雷が多いから太鼓山と言うんでしょ」と首を傾げていました。自然エネルギーの活用は大いにすすめなければならない課題であるだけに、導入時の検討がコンサルまかせで、ずさんであったとしか思えません。計画時に、主体的かつ十分な調査・検討が必要であったことを強く指摘しておきます。

次に、今議会提案の議案についてです。

3号議案の反対理由については、光永議員が述べたとおりです。 

他の議案については賛成するものですが、数点、指摘・要望します。長岡京市で児童虐待死事件が発生し、決算特別委員会でも今議会でも、児童虐待への本府の体制強化が大きな課題となりました。補正予算で児童虐待への緊急対応予算を組み、検証委員会で現在検討されていますが、検証を待つまでもなく、児童福祉司の変則勤務体制の中止、京都児相・福知山児相の虐待対応専門チームの専任化は、直ちに行うよう強く求めるものです。また、今回の事件を通じて、現地現場での機敏な対応と市町村や住民との連携強化が課題であることが明らかになり、乙訓・南丹地域を担当する京都児童相談所の所在地が上京区でよいのか、という疑問が出されました。にもかかわらず、本府は、東山区の洛東病院跡地に計画されている家庭支援総合センターに統合する方針を変えようとしていません。乙訓あるいは南丹地域に移転すべきです。再検討を強く求めるものです。また、呉服販売大手の「たけうち」の倒産対策で、「匠の公共事業」2千万円が前倒し発注されますが、西陣・友禅など伝統和装産業の実態は深刻です。さらに特別の支援強化を強く求めておきます。

次に、第7号議案、「交通巡視員の警察官への身分替えに伴う警察職員の定員に関する条例の一部改正」についてです。知事の提案説明では、「女性警察官が増えることで、児童虐待やドメスティック・バイオレンス対策などが充実する」ということですが、身分替えだけで、増員されるわけではありません。これまで交通巡視員のみなさんが専門職として果たしてきた、子どもや高齢者などの安全を守る仕事、交通安全教室や広報啓発活動などが、後退することのないよう、念のため警察本部に求めておきます。また、身分替えにあたっては、これまでの勤務条件や職務内容が大幅に変わるわけですから、団結権や団体交渉権がない職場だけに、十分な説明と同時に、一人ひとりの希望を十分に聴取するよう求め、賛成するものです。

最後に、昨日、自民党と公明党は、参院特別委員会で、教育基本法の改悪案を強行採決し、本日本会議で強行成立させようとしています。これは、圧倒的多数の国民の「子どもの未来にかかわる問題であり、慎重な審議をつくすべき」という世論を無視する暴挙です。このような勢力に、子どもの未来は託せません。強く抗議し、廃案にするよう求め、私の討論を終わります。

ご清聴ありがとうございました。