島田 けい子(日本共産党・右京区) 2004年12月10日
【洛東病院問題】
患者や専門家の声に耳を傾け、洛東病院の廃止条例を撤回せよ
【島田】日本共産党の島田けい子です。私は、先に通告しています2点について、知事ならびに関係理事者に質問いたします。
まず、洛東病院とリハビリ医療体制の問題です。
8月4日、「洛東病院の存廃を含めて検討」という突然の新聞報道からわずか4ヶ月、今定例会に廃止条例が提案されましたが、住民の声を全く無視したあまりにも乱暴なやり方は他に類例をみません。また、わが党のかみね史朗議員が代表質問で指摘した「雨漏り」問題の中心は、老朽化を放置してきた府の責任を厳しく指摘し、反省を求めたものですが、知事は全く無責任な態度に終始されました。患者さんの医療確保についても、「大阪や奈良と探したが入院を受け入れてもらえない」という患者さんの苦しみの声を聞いてもなお、「順調に転院が進んでいる」と言われる知事の態度には、弱者への配慮が全くありません。自らは府民や患者にまともに説明責任を果たさずに、後始末を担当医師や職員に押し付けるやり方も、全く無責任です。厳しく抗議をするものです。
今、京都の遅れたリハビリ医療を何とかしたいと努力を重ねてこられた方々から、「洛東病院を廃止してはならない」との声が日増しに高まり、特に、リハビリ医療の専門家から貴重な意見が寄せられています。
京都府地域リハビリテーション協議会の委員で、京都府老人保健施設協会理事の角谷増喜(かどやますき)先生は、「いま、ようやく、広域支援センター指定にこぎつけたところです。私達としては、京都乙訓圏域の広域支援センターとして洛東病院を推薦します。施設、スタッフ、経験とも優れた洛東病院を廃止することは歴史的禍根を残します」とおっしゃっています。
日本リハビリテーション医学会専門医で高次脳機能障害治療の第一人者である原寛美先生は、「全国的にも洛東病院のような高次脳機能障害など重度障害のリハビリ医療に本格的に取り組む病院は多くないのが現状。この分野の政策医療性が最近ますます認知されてきており、各自治体は、財政的に厳しくとも、そうしたリハビリ医療の場を一つでもつくろうと努力している。地方自治体は採算性よりも地域医療ニーズを第一にしていただきたい」とおっしゃっています。
洛東病院の総合リハビリテーション施設は、日本のリハビリテーションの草分けである、東京大学名誉教授で元国際リハビリテーション医学会会長の上田敏先生の設計で作られたものです。その洛東病院で20数年間、診療にあたられた佐藤能史元副院長は、「洛東を残していただきたい。それがかなわなくとも即時廃止は避け、患者さんの治療が継続できる保障をつくっていただきたい。大学にリハビリ医療の教室を設けていただきたい。これは、京都でリハビリ医療に携わる者すべての願いです」と発言されています。知事は、こうした方々の声にどうお答えになるのですか。お聞かせください。
廃止条例を撤回し、関係者の英知をあつめて洛東病院を存続し、府立医大病院や府内医療機関とのネットワークを構築して、リハビリ先進地京都をつくることが一番効果的で現実的と考えます。知事の見解をうかがいます。
【保健福祉部長】リハビリテーションに取り組む病院が急増し政策医療性が低下していること、施設の老朽化の進行、周辺に多数の医療機関がある中での東山区の高齢化、人口減少の進行、患者数の減少など状況の変化のなかで、民間医療機関では取り組むことが困難な政策医療を担うという府立病院の基本的な役割をふまえた抜本的なあり方の見直しが求められている。こうした中で、今年度、包括外部監査や府立病院のあり方検討委員会からも、「全病棟廃止が適当」など厳しい提言をいただき、これらをふまえ、「廃止」することにした。廃止にあたり最も重要である患者の医療保障については、主治医等からも医療ケアについて十分、説明していく中で、必要に応じて、適切な医療機関を紹介する等、対応してきており、今後の医療保障についての一定の見通しが立った今日の状況をふまえ、関係条例の改正を提案させていただいた。リハビリテーションの推進については、京都乙訓医療圏だけでなく、各地域で展開されているリハビリを担う多様な主体と連携し、府全域のリハビリテーション施策の総合的推進をはかるため、来年4月から、府立医大付属病院の人材も活用し、センターを整備するための補正予算の審議をお願いしている。
遅れているリハビリ医療体制の充実をはかり、リハビリ先進地・京都を
【島田】次に、リハビリ医療の具体的な課題について、何点かうかがいます。
第1に、マンパワーの問題です。私は、決算特別委員会でリハビリ専門医の不足についてお尋ねしたところ、府立医科大学学長は「リハビリの医師は不足しているのは事実であり、これから大学が取り組むべき大きな問題だと思っている。ぜひ、保健福祉部と大学と一丸となり努力したい」と答弁されました。府立医科大学にリハビリ医学の教室を設置し、専門医の養成に取り組くむべきと考えますが、学長の決意に知事はどのように応えようとされますか。お聞かせください。
また、理学療法士や作業療法士についてですが、本府のリハビリテーション資源現況調査でも、医療機関、介護施設、訪問・通所リハ等の事業所の5割から6割が「人員の確保」を課題としています。決算委員会で、保健福祉部長は「人材の量的確保および地域支援をふくめて確保していきたい」と答弁されましたが、現在の需要に対する供給の状況、および、量的確保の数値目標をどのように考えていますか。お聞かせください。
次に、2次医療圏域ごとに、リハビリ医療の中核的施設を整備する課題です。回復期リハビリ病棟が京都市宇治市以外にありません。この間、舞鶴日赤、京丹後市立弥栄病院、公立山城病院が広域支援センターに指定されましたが、残る3圏域でも早急に指定し、これら医療機関に回復期リハビリ病棟の設置と人材確保等のリハビリ体制強化が必要だと考えます。さらに、府立与謝の海病院についてですが、病院には現在、理学療法士が2名しか配置されていません。外来患者にも週1回程度のリハビリしか行えず、やむなく豊岡の病院へ通院されている患者さんがあります。また、現地の何人かの保健師さんに話をききましが、「与謝の海病院が急性期病院になり、短期間で退院して地域に帰ってこられた患者さんが、自宅で寝たきりになっています。老人保健施設も満杯で、橋渡しの機関がないのです。伊根町、岩滝町、宮津市には理学療法士が1人もいません。何とかしてほしい」と悲痛な声でした。宮津与謝地域の唯一の公的病院である与謝の海病院に回復期リハビリ病棟を設置するなど体制を強化し、そこから市町へ支援をしてはいかがでしょうか。知事は、医大病院を地域のリハビリ支援の拠点とするとしていますが、そもそも、支援する先の地域資源の整備がなければ「絵に描いたもち」です。知事の見解をうかがいます。
また、医大病院の急性期リハビリの充実は緊急の課題ですが、問題は、歴代保健福祉部長がお答えになってきたように、その後の回復期、維持期、職業リハ等の一貫した体制をどのようにつくるのか、また、民間が受け入れることが困難な脊髄損傷や高次脳機能傷害、切断、重傷熱傷など、重度障害者のリハビリ医療の確保のために本府の公的責任をどう果たすのかということです。平均在院日数が21日といわれる医大病院ですが、急性期の病院の入院期間はさらに短縮されそうです。そうなりますと、急性期を脱した重度障害の患者さんの受け皿をしっかり確保する必要があります。医大病院の中に回復期を作るなら話は別ですが、私は、洛東病院と連携すれば、より効果的かつ公的な役割がしっかり果たせると考えますが、この際、知事のお考えをお聞かせください。
公明党や民主党の会派のみなさんは、洛東病院の整備拡充や総合的リハビリ体制の確立を要望されてきましたし、また、この間、病院にも足をお運びだと伺いました。患者さんが議会を注視されています。慎重な審議をお願いするものです。1998年2月定例会、1999年9月定例会で公明党の池本議員は、「リハビリ医療の需要は今後増大の一途である。日本のレベルは欧米各国と比べてきわめて手薄な状況であり、寝たきりや訪問看護患者の4割は脳卒中が占めており、適切なリハビリ医療の供給不足が要介護老人増加の一因にもなっている。洛東病院を本府におけるリハビリ医療の中核施設に整備することが府立病院の役割を果たす見地からも現実的な方策」と提案されました。保健福祉部長は「リハビリテーションに対する需要は、今後ますます増大していく」と答弁、当時の荒巻知事は「京都府保健医療計画においても、京都府内に置ける中核として整備の検討をすすめる」と答弁されました。また、2000年6月定例会では、民主党の田中卓司議員の質問に対しても、「高齢者の方が寝たきりになることなく、住み慣れた地域で生き生きとした生活をおくれるようにするために、寝たきり予防、閉じこもりの高齢者、脳卒中患者など、それぞれに応じたリハビリテーションが継続的に行われる必要がある」。森野保健福祉部長は「洛東病院の医学的リハビリテーションについて、社会復帰促進に大きな力になっている」と答弁されておりました。池本議員が指摘されたとおり、寝たきりの高齢者は増え続けています。京都府全体で2000年の介護保険制度スタート後の4年間で、要介護4、5の高齢者は1万4053人から2万315人と約1.5倍に増加しました。回復期リハビリの受け皿がなく、地域で寝たきりの高齢者が増え続けているのは、先ほど紹介した与謝地域だけでなく、医療機関が集中する京都市内でも同様です。とても、「洛東の回復期リハは必要がない」という状況ではありません。かさねて、洛東病院廃止条例の撤回と慎重審議を求めるものです。
【知事】人口の高齢化が進展し、リハビリテーションは急性期・回復期・維持期など患者の症状に応じた対応が求められているとともに、保健分野、介護分野でのリハビリテーションなど、ニーズが高度化・多様化している。こうしたニーズに対応していくためにも、地域での基盤整備などの体制強化とともに、人材の育成・確保、資質の向上、とりわけ医療スタッフの要となる専門医の育成が重要。府としては、公立南丹病院や現在、整備中で新たに回復期リハビリ病棟を整備する福知山市民病院等にたいし、地域医療を担う中核病院が実施する施設等整備について、国庫補助に対する上積みや軽減助成など府独自の助成措置も講じながら、リハビリテーションの基盤整備の充実をはかっている。
今議会で補正予算をお願いしているが、府立医大を府域のリハビリテーションの拠点と位置付けして、来年4月から、脊髄損傷、小児等にたいするリハビリも含めて、急性期リハビリを飛躍的に充実するとともに、京都府リハビリテーション支援センターを設置して、地域リハビリを担う人材の育成、関係施設の連携の推進などをはかることにしている。専門医の養成については、府立医大において、授業の中で整形医科学のカリキュラムに取り入れるとともに、付属病院にリハビリテーション部を設置し、診療を通じ、専門医の養成に取り組んできたが、田中卓司議員の質問に答えた通り、専門の講座の設置も含め、府立医大における人材の育成のあり方を検討し、京都府のリハビリテーション医療の充実をはかる。
【保健福祉部長】増大・多様化するニーズに対応するため、民間医療機関等さまざまなリハビリ実施主体と連携して推進する必要がある。
OT・PTは、全国的には国の需給見通しを大幅に上回る水準で増加しているが、京都府でも年々増加しており、現在、約900人が従事しており、人口10万人対従事者数は、全国とほぼ同様の数字である。ここ1〜2年の間に複数の養成施設が設置される予定となっており、今後、こうした条件も生かして確保をはかっていきたい。
リハビリテーションは、急性期・回復期・維持期など医療リハビリの他、保健分野、介護分野でのリハビリなど多様化しており、京都府だけでなく、民間医療機関、福祉施設、市町村など様々な主体が関わっている。こうした機関の連携を推進するため、現在、3医療圏で支援センターを指定したが、他の3医療圏についても、来年度に指定を行うよう関係機関と調整中。今後とも、充実した体制のある病院を指定していきたい。今回、府立医大に設置することとした京都府リハビリテーション支援センターは、これらの広域支援センターと連携し、関係者に対する研修・教育や実地研修などにより、様々なリハビリの実施主体の活動を支援するもの。
与謝の海病院について、急性期医療を中心に展開してくるなかで、これまでから、リハビリテーション化を要望する管内3病院との役割分担と連携のもとに、リハビリテーション医療に対応してきた。今年11月から、地域の45診療所に参加していただき、かかりつけ医制度を発足させたところ。リハビリテーションを含めた医療の継続と確保をはかることにしている。
府立医大病院については、民間医療機関との役割分担のもと、急性期医療を担う特定機能病院として、再生医療など高度医療に支えられた脊髄損傷など急性期ハビリテーションを実施することとしている。
【島田議員の再質問】
「現場の実態をつかみ,府の責任を果たせ」 改めて、知事の答弁を求める
【島田】先ほどから、「命の重み」を語ってこられたが、洛東病院は、患者さんの命を支え、生きる喜びを多くの方々にもたらした大切な病院であります。
地域医療の実態について、リハビリを行う機関が急増している等々と言われましたが、これは、書面審査や9月の常任委員会、そして知事総括質疑などで指摘してきましたが、現場の実態は、急性期病院から患者さんが在宅にそのまま帰ってこられて、寝たきりになる患者さんが増えていると、医師会でも大問題となっています。回復期リハビリは、まだまだ足りませんし、さらに、リハビリの質が問われています。日本リハビリテーション専門医学会の中では京都のリハビリの質も問題となっているそうです。
これまでも指摘したように、現場のリハビリ専門医から「洛東病院を残して、京都乙訓地域の広域支援センターに指定して、これまでの経験を十分に生かせるように」という声や「最近、政策医療性が認知された高次能機能障害など重度障害の患者さんのリハビリ、急性期ではなく回復期等も含めて一貫したリハビリテーションを行うための施設として、洛東を拡充すべき」という声が出されていますが、知事は、このような声を聞くべきだと考えます。改めて、知事の答弁をお願いします。
宮津・与謝地域の実態は本当に深刻です。一度、うかがって、保健師さんの話を聞かれてはどうでしょうか。「連携をとっている」と言われましたが、寝たきりの患者さんが増えていることは、宮津・与謝地域の実態です。現場をよく調査していただきたい。
患者さんの医療確保について「順調だ」と言われましたが、「廃止」報道以来、患者さんの中に不安が高まって、うつの症状が出ている方も増えています。転院先が見つからない患者や、「紹介状をもって府立医大の外来にいったら、開業医を紹介された」と再び、洛東の外来にこられた患者もいます。
どこの病院にも転院できない、自宅にも帰れない患者さんは、「府庁の知事室にベッドを置いてもらおうか。その位の責任を知事はとるべき」との声も出されていますが、知事はどのように受け止められますか。知事の答弁をお願いします。
リハビリ専門医の養成・確保について、講座にかかわらず、独立したリハビリテーション医学教室を設けるべきだと思いますので、これは強く要望しておきます。
【保健福祉部長】先ほども答弁したとおり、京都府域のリハビリテーションは、京都府と民間医療機関、社会福祉施設、市町村等が役割分担をすすめながら、全体として進めていきたい。洛東病院の患者さんの医療確保について、12月1日現在、58人の入院患者がいるが、主治医から懇切丁寧に説明させていただいている。
【介護保険の見直し問題】
「まず財源ありき」の見直し、介護サービス切り捨て、負担増は許せない
【島田】次に、介護保険制度についてです。
今、政府は介護保険法施行後5年目の見直しに向け、来年の通常国会に提出する法案の取りまとめ作業を行っています。今回の見直しについて、識者から、「まず財源ありきの議論が先行している」と指摘されているように、もっぱら、国の財政支出を抑制するための、利用の抑制と国民負担増が中心です。
第1に、在宅介護サービスの利用制限、第2に、介護サービス利用料の大幅な値上げ、第3に、「支援費制度との統合」を大義名分にした保険料徴収対象の拡大、第4に、低所得者に対する「特別対策」の廃止です。これは、少ない年金から保険料が天引きされていながら、必要と認定された介護サービスがうけられないという社会保険制度の根幹にかかわる矛盾を一層激化させ、介護に対する国民の願いに真っ向から反するもので、およそ、「改革」の名に値しないと私は考えます。知事の見解をお聞かせください。
誰もが安心できる介護制度へ、ただちに改善にとりくむべき
【島田】見直しにあたっては、この4年半に明らかになった課題をはっきりさせる必要があります。私は、本府が行った利用者アンケートなどの調査結果をふまえながら、改善の提案をさせていただきます。
まず、第1に、保険料・利用料のあり方を支払能力に応じた負担の方向に見直すことです。
アンケートでは、利用料の負担が「大きい」「やや大きい」が3割近く、「負担が大変だから、限度額以下しか利用していない」人が18.3パーセント、「負担があるから利用を減らした」人は16パーセントとなっています。現在でもこの様な実態なのに、2割・3割と負担を増やせば、利用はさらに大幅に減ります。特別養護老人ホーム入所者には「ホテルコスト」がかかり、月10万円をこえ、個室では13万4千円にもなります。6万6千円の国民年金満額受給者でも入所ができません。そもそも、介護保険以外の福祉施設、たとえば保育施設や障害者施設は「所得に応じた負担」になっており、生活の場である特養ホームの利用料が所得にかかわらず一律ということがおかしいのです。こうした利用料について、所得に応じた額に改めるよう、国へ意見をあげるべきです。また、府として、利用料減免制度を支援する制度を市町村と協力して作ってはいかがでしょうか。来年度から、社会福祉法人の減免制度も国の補助がなくなると関係者の危機感が広がっています。もし、国が打ち切った場合でも存続させるべきです。いかがですか。
保険料についてですが、現在65歳以上の介護保険料は5ないし6段階の定額制と定められていますが、たとえば、所得が200万円の高齢者と1000万円をこえる高齢者の保険料が同額であるなど、所得税や住民税、国保料にくらべても逆進性が著しいものです。「負担は能力に応じて。給付は平等に」は社会保障制度の原則です。各自治体が、定率制や多段階制など所得に応じてきめ細かく設定できるよう改正を行うこと、国庫負担割合を引き上げ、保険料の自治体間格差を調整するよう、国へ提案していただきたいと考えます。また、市町村の独自減免についても、国の3基準を押し付けず、制度改善の努力を求めますが、いかがですか。お答えください。
そもそも、保険料や利用料が高くなる最大の原因は、介護保険制度導入の際に、国庫負担を50パーセントから25パーセントへと大幅に引き下げたからです。私どもは「調整交付金」5パーセントを別枠にし、国庫負担全体を緊急に30パーセントに引き上げることを求めてきました。知事は、低所得者対策について国へ提案しているとの答弁を繰り返してきましたが、具体的な提案の中身と、その結果についてお答えください。
第2に、在宅・施設両面で安心して暮らせる基盤の整備を進めることです。
「介護が必要になっても、出来れば住み慣れた自宅ですごしたい」と願う多くの高齢者の願いに応え、在宅で暮らせる基盤をつくることが必要です。それは、施設不足の解消にも役立ち、介護費用の節減にも役立ちます。4年半たってもなお、地域には十分なサービス基盤がそろっていません。先のアンケート調査で、「希望しているのに利用できないサービス」の第1がショートステイですが、いま、どこも満杯の状態です。「3ヶ月、4ヶ月前に申し込みが必要では、急の必要に間に合わない」という声が出されています。介護家族にとって、いざというときに支えてくれる所があることがどうしても必要です。緊急ショートステイを自治体として確保するための対策を講じるべきと考えますが、いかがですか。
次に、特養ホームの計画的整備です。6月定例会で知事は、「17年度の見直しに向け調査が必要」と答弁されましたが、調査はされたでしょうか。私は府内市町村に聞き取り調査をしましたが、あきらかに、前回の3640人を上回っています。国は、「介護保険施設が充足している圏域での施設整備については国庫補助の協議対象外」として宇治市、亀岡市の申請を門前払いしました。現在まで、京都で17年度の新規整備は1ヶ所しか認められておりません。また、「三位一体改革」で、施設整備補助金が交付金化される予想もあり、総額の抑制にも拍車がかかります。こうした事態に知事はどのように対処されますか。国に対して、地域の計画的な整備が出来るよう財政支援を求める必要がありますが、いかがですか。また、地域の実情に応じて安価で質の良いサービスが提供できる施設として、長野県の「宅幼老所」の事業は大変ユニークな取り組みです。本府としても検討されてはいかがですか。お答えください。
第3に、介護予防事業についてです。政府は、現在、国と自治体の負担で行っている健康診査や機能訓練などの老人保健事業、高齢者の給食サービスや送迎サービスなどの介護予防・地域支えあい事業などを再編成して、介護保険内に組み込む方向を検討しています。これで国の負担を400億円削減す一方、国民の介護保険料負担は1000億円も増えます。国の負担と公的責任を後退させることは「介護予防」に逆行することです。今必要なことは、国の財政支援や地方自治体の責任を明確にして、介護、医療、福祉、公衆衛生の連携を強め、保健所が核になって、市町村や関係団体との連携を密にし、高齢者の健康づくりを進めるべきことだと考えますが、知事の見解をうかがいます。
第4に、介護労働者の労働条件改善の取り組みが急務です。制度の矛盾が集中しているケアーマネージャーについて、独立性、公共性を持って、最も適切なケアプラン作成に専念できるよう、担当件数の削減が必要です。それらの裏づけとなる介護報酬の引き上げなど適切な条件整備を国へ要望すべきと考えます。いかがですか。見解をうかがいます。
以上で、質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。
【保健福祉部長】保険料・利用料は、社会全体で介護の必要な高齢者を支え合うという制度の趣旨から、高齢者や現役世代の方に保険料・利用料を負担していただくとともに、国・都道府県・市町村のそれぞれが公費で負担するもの。府としては、低所得者に配慮し、通常5段階設定の保険料を6段階とする制度の活用について市町村に助言してきたが、府内では7割以上の市町村が6段階制を導入している。
介護保険は、制度の設計や財源措置など、国の責任において解決すべき課題も多く、国に対して、地方公共団体の財政負担の軽減については、調整交付金を国庫負担金25%の別枠で措置すること、保険料・利用料については低所得者対策の充実を、特別養護老人ホーム等の施設整備については、「三位一体改革」による補助制度の動向にかかわらず必要な施設整備を行える財源確保を、ケア・マネージャーについては、資質向上のための支援策や介護報酬の見直しなどを積極的に提案し、要望してきた。なお、低所得者対策については、今回の制度「見直し」の中で、保険料の設定区分の細分化や利用料の負担限度額の引き下げなどが検討されており、社会福祉法人による利用料減免措置については、現時点で「見直し」が行われるとは聞いていない。
ショートステイについては、従来から、特養ホームの整備にさいし、必ず併設するよう努めてきたが、その結果、平成15年度、介護保険事業支援計画の目標数を上回る利用がされている。
特別養護老人ホームの計画的整備のための調査については、平成18年度からの次期介護保険事業支援計画の改定に向けて、平成17年度の早期に実施できるよう準備している。
京都府においては、小規模で地域密着型のデイサービスを基本に、複数のサービスを提供する「ふれあいホーム整備事業」を府独自に実施している。
介護予防については、介護予防対策を含む総合的な健康づくりの方向性を示すものとして、平成15年度から、健康寿命を日本一に伸ばすことを目標に、「京都健康長寿日本一プラン」の策定に取り組んでいる。今後とも、府・市町村など関係者が一体となり、高齢者の健康づくりや介護予防等を推進する。
【島田議員の再質問】
【島田】利用者負担の問題ですが、社会福祉法人や市町村を支援してきた京都府の支援について、国の制度が打ち切られた後も、国庫負担がなくなった後も、継続すべきだと考えますが、知事の答弁を求めます。