2003年 3月12日 2月定例府議会
●2月定例会に提出された意見書案・決議案の全文と採決の結果を紹介します。
医療費3割自己負担の実施凍結を求める意見書(案)
可決(与党3会派提案、公明党・府民会議だけが反対)
給与所得者本人の医療費自己負担については、本年4月から、現行の2割を3割に引き上げられることとされている。
少子・高齢化の進展に伴い、医療保険財政が非常に厳しい状況にある中で、医療費自己負担のあり方の見直しも必要であるが、現在の厳しい経済・雇用情勢の中、自己負担の引き上げは、給与所得者の生活を一層悪化させるとともに、受診の抑制を招き、健康にも影響を与えかねないことが懸念される。
また、現在、診療報酬の引き下げや、保険料総報酬制の導入等の医療制度改革により、政府管掌健康保険の収支見通しにおいて好転が見込まれるとの試算も出されており、こうした一連の医療制度改革の効果を見極めることが重要である。
よって、国におかれては、給与所得者本人の負担増により一層の景気冷え込みに至る事態を回避するとともに、国民の健康を守るため、医療費3割自己負担の実施を凍結されるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成15年3月12日
衆議院議長 綿貫 民輔 殿
参議院議長 倉田 寛之 殿
内閣総理大臣 小泉 純一郎 殿
厚生労働大臣 坂口 力 殿
京都府議会議長 坪内 正一
乳幼児医療費助成制度の拡充を求める決議(案)
否決(日本共産党提案、賛成
日本共産党)
就学前までの乳幼児医療費助成制度の拡充は、府民の切実な願いであり、新年度予算案で、一定の拡充がはかられたことは前進である。
同時に、通院の場合、「月8000円までは自己負担」となっているが、「月8000円をこえるのは、1000人のうち6〜7人にすぎない」との調査結果もあり、このままでは、多くの子どもが対象外となる。
長引く不況のもとで、子育て不安の深刻化など子どもや家庭をとりまく環境はきびしさを増しており、子どもが安心して医療をうけ、健やかに育てることのできる環境を整備することが強く求められている。
よって、入院だけでなく、通院についても無条件で就学前まで拡充すべきである。
以上、決議する。
平成15年3月12日
京都府議会
WTO農業交渉等に関する意見書(案)
可決(与党4会派提案、賛成
全会派)
平成12年3月から開始されたWTO農業交渉は、21世紀の農産物貿易ルールの方向を決定する極めて重要な交渉であり、将来にわたる我が国の食料・農業・農村のあり方に深く関わるものである。
しかしながら、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業分野での合意に基づき、平成7年から実施されているWTO農業協定においては、食料の輸出国と輸入国の権利義務において、不公正、不公平な内容となっているばかりか、農業協定の実施状況についても農業の多面的機能や食料安全確保の保障など公平、公正な状況が形成されているとは言いがたい。
さらに、モダリティ(交渉大枠)確立に向けた議論においても、すべての関税を25%未満に削減し、その後廃止することや、輸入数量の大幅な拡大などが農産物輸出国グループから提案されている。このことは、先のドーハ閣僚宣言における非貿易的関心事項への配慮を無視したものであり、到底受け入れられないものである。
また、自由貿易協定締結を目指す流れが一段と加速する中で、国内農業が大きな打撃を受けることが懸念されることから、食料安全保障に自由貿易協定が与えうる様々な影響を考慮しつつ、農林水産物の貿易は、WTO農業交渉との整合性を十分に図ることが重要である。
現在、WTO農業交渉は、本年3月末のモダリティ確立に向け、WTO農業委員会特別会合議長から第一次案が提示されるなど、重大な局面を迎えている。
よって、国におかれては、今後のWTO農業交渉や自由貿易協定において、生産者が将来に自信を持って営農できるよう強い姿勢で臨むとともに、食料の輸入国と輸出国、先進国と開発途上国のいずれにとっても公正で公平な農産物貿易の確立に努めるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成15年3月12日
衆議院議長 綿 貫 民 輔 殿
参議院議長 倉 田 寛 之 殿
内閣総理大臣 小 泉 純一郎 殿
外務大臣 川 口 順 子 殿
財務大臣 塩 川 正十郎 殿
農林水産大臣 大 島 理 森 殿
経済産業大臣 平 沼 赳 夫 殿
京都府議会議長 坪内 正一
WTO農業交渉等に関する意見書(案)
否決(日本共産党提案、賛成
日本共産党)
WTO農業交渉は、3月末のモダリティ合意にむけて山場を迎えている。わが国は「多様な農業の共存」を基本に、農業の多面的機能を含む非貿易的関心事項の配慮を強く求めている。
ところが、先の東京会合でしめされた第一次案は米関税を最低でも45%削減し、MA(ミニマム・アクセス)米輸入も増やすというものであり、到底受け入れられるものではない。もしこのようなモダリティが確立されるような事態になれば、わが国の家族農業は崩壊の危機に直面することは明白である。
また、検討がはじまっている自由貿易協定についても、WTO農業交渉におけるわが国提案内容を十分踏まえた対応が必要なことは当然である。
よって国におかれては、24日から再開されるWTO農業交渉等にあたっては次の事項を貫かれるよう強く求めるものである。
1「多様な農業の共存」というわが国提案の基本を達成できるよう、農業の多面的機能などの「非貿易的関心事項」が配慮されるよう強く要求すること。
2 アメリカやケアンズ諸国の提案を断固拒否するとともに、MA(ミニマム・アクセス)制度を改善し、米の総合的な国境調整措置を堅持すること。
また、関税については、品目ごとに柔軟性を確保できる方式とすること。
3 WTO農業交渉は、生産者だけの課題ではなく、国民的な課題であることから、理解促進のための対策を積極的に展開すること。
4 自由貿易協定については、食料自給率の極端に低い現状や、将来の食料需給に関する国民の懸念に十分配慮し対応すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成15年3月12日
衆議院議長 綿 貫 民 輔 殿
参議院議長 倉 田 寛 之 殿
内閣総理大臣 小 泉 純一郎 殿
外務大臣 川 口 順 子 殿
財務大臣 塩 川 正十郎 殿
農林水産大臣 大 島 理 森 殿
経済産業大臣 平 沼 赳 夫 殿
京都府議会議長 坪内 正一