新井 進 (日本共産党 京都市北区)   2003年12月5日

 

府民のくらしを守り、食料確保、自然環境の保全のためにも農山村・中山間地域の切り捨てに反対する

 

【新井】日本共産党の新井進です。私は先に通告しています数点について知事ならびに関係理事者に質問をいたします。

まず、農山村、中山間地域を守る問題についてです。

いま、政府が強引に進めている市町村合併の押し付けは、農山村、中山間地域を切り捨てるものとして、農山村に住む人々から怒りの声が上げられ、全国町村会も、「町村は、国土の大半を占める農山村地域を抱え、これら町村の活動によって、空気、緑、水、土壌など生命の営みに不可欠な自然環境の維持が可能になっている」として、こうした町村の役割を否定し、その自治権すら奪うやり方に、繰り返し抗議の声をあげています。

地方制度調査会が「合併勧告」の対象とした1万人以下の自治体に住む人口は、わずか7%に過ぎませんが、自治体数の47%、国土の約半分、48%占めています。

いってみれば、この7%の人々が農山漁村で暮らし、営みを続けているからこそ、国民の食料の確保にとどまらず、国土の荒廃を防ぎ、自然環境を守ることができているのではないでしょうか。 

農山漁村に、人がいなくなり、放置され、荒れ果ててしまえば、これらの機能も失われてしまいます。だからこそ、そこに住民の暮らしがあり、小さくてもきちんと町村があり、自治があることが欠かせません。

そこでまず、知事にお伺いしますが、この農山漁村に暮らす人々の営みによって、国土と自然環境が守られているということについて、どのように認識されているのか、お伺いいたします。

【知事】農地や森林は、農林水産業の展開の場であるとともに、農業などの生産活動を通じて食糧の生産はもとより、国土の保全、水源の涵養、生物多様性の確保など、多面的な機能を発揮して都市を支える社会基盤であり、次の世代に大切に継承していくべき府民の共通の財産である。そのなかで近年過疎化や高齢化による所帯数の減少などにより、農山村を取り巻く環境はきびしく、そういった中で多くの府民がこの豊かな農地、森林を支えていくことが大変重要である。

特に京都では、農地、山林が面積の約8割を占めており、まさに、私たちの生活環境を維持していく上での農地、森林対策は欠かせないものとして「緑の公共事業アクションプラン」等をはじめ、就任以来、積極的に取組んできた。市町村のあり方については、まさに地域の将来をどう維持し、確保し、振興していくかという観点から、今、市町村が熱心に議論を深めているところであり、その議論を支援していきたい。

 

農地保全のために「中山間地域等直接支払制度」を拡充せよ

 

【新井】いま、こうした政府の農山村切り捨てに対し、合併ではなく「小さくても元気な自立した町や村をつくろう」とがんばる町村が広がっています。また、このままでは村や集落の将来が危うくなると地域起こし、村おこしにがんばるとりくみも広がってきています。私は、いま大事なことは、合併の押し付けで、農山村を切り捨てるのではなく、こうしたとりくみを支援し、農山漁村で、これからも人々が暮らし、生活できるようにすることだと考えます。

そのために、いくつかの課題について提案し、知事の御所見をお伺いいたします。

まず第一は、「中山間地域等直接支払制度」の拡充についてです。この制度は、食料・農業・農村基本法にもとづき、中山間地域で農業を営むことが、農地の保全、ひいては国土保全に役立っているとして、生産条件不利地域での農家所得を補填しようとして発足した制度です。

この制度がスタートして、すでに4年目を迎え、多くの問題もありますが、集落や営農組合を中心に、自分たちの地域の農地をどう守っていくのか、真剣に話し合われ、そこからさまざまな農業振興策や村おこしの取組みが始まってきていることは、貴重なものです。これをさらに前進させ、大規模農家も、兼業農家も、高齢者も含め、そこに住むすべての人々が、農地と農村を守るため力をあわせる仕組みを定着させていくことが重要です。

しかし、この制度は、来年度までとなっていますが、基本法35条2項にもとづき、当然、継続を国に求めるべきだと考えますがいかがですか。さらに、農林水産省は、小泉内閣の国庫補助金一兆円削減対策として、この中山間地域直接支払交付金を2割以上も削減しようとしています。とんでもない話です。知事として、この交付金削減計画にきっぱりと反対を表明すべきだと考えますがいかがですか。

また、いま、この制度のいっそうの拡充が必要です。

そのひとつは、この制度が対象農地を傾斜度で決めているため、実態にそぐわない不平等が起こり、地域全体が協力しあう障害になるという事態を招いています。こうした中で美山町などでは、国の基準にならない農地も、『守るべき農地』と定め、町独自の措置を講じています。また、夜久野町でも「守るべき農地」を定め、夜久野町の農地の97%を対象にした「中山間地域活性化事業」を推進しています。

地域の農家が力を合わせて、耕作放棄地を出さず、農地を守っていこうとする集落挙げてのとりくみとするためにも、「傾斜度」だけを基準にするのではなく農業委員会などが認めた「守るべき農地」はすべて対象とするよう国に求めるべきだと考えますがいかがですか。同時に、本府としても「守るべき農地」すべてを対象にした助成制度をつくっていくべきではありませんか。

二点目は、現行制度は、傾斜地など生産不利地が対象となっていますが、多くの農地、そして森林も環境や景観維持のための大きな役割を果たし、府民の生存に欠かせない役割を果たしています。こうした役割を正当に評価し、これらの維持、保全のためにも、直接支払い制度を拡充することを検討すべきだと考えます。

すでにEUでは、条件不利地の直接支払いとともに、環境支払い制度が実施されていますし、お隣の滋賀県では、環境保全のための直接支払い制度―「環境農業直接支払い制度」の具体化もはじまっています。また、棚田や北山杉、里山のように日本の原風景である農村の景観を保全する上でも農地や森林の保全が重要との意見も多く出されています。こうした環境や景観保全も対象にした助成制度への拡充を検討すべきではありませんか。知事の積極的な答弁を求めるものです。

 

耕作放棄地の拡大につながる「中山間地規模拡大支援事業」廃止に反対する

 

【新井】さらに、この制度に関連して、本府が実施してきた「中山間地規模拡大支援事業」についてです。本府は国制度が実施されたことをもって、この事業を廃止しようとしていますが、知事はいま農村で何が起こっているかご存知でしょうか。これまで水田に利用権を設定し、地域の農地を守ってきた認定農家が、相次ぐ米価の下落のうえに、この支援制度が打ち切られることで、期限のきた水田を地主に返還し、返還された農家は耕作できず、困っている状況が生まれているのです。このままでは、耕作放棄地が増えることになってしまいます。中山間地の農地をまもるためがんばっている担い手農家を支援するためにも、この事業は継続すべきではありませんか。いかがですか、お答えください。

【農林水産部長】「中山間地域等直接支払制度」は耕作放棄地の増加が懸念されている中山間地域の農地について、平坦地との生産状況の差を補正し、農業生産活動の維持をつうじて多面的機能を確保するために設けられたものであり、直接支払いという性格上、明確かつ客観的な基準を厳格に運用していくことが重要。交付金は集落共同活動などに活用され、農地の保全や集落機能の維持、強化のほか環境保全型農業の推進や農村景観の保全など地域の多様な取組みもおこなわれており、地域の活性化に寄与している。本制度は現在、国において見直しに向けた検討がおこなわれているが、中山間地域の多面的機能を将来にわたって維持していくには制度の継続が不可欠であることから、既に必要な財源の確保をふくめ、国に対し強く要望している。

なお「中山間地規模拡大支援事業」については、直接支払い制度にその事業主旨が受継がれている。

 

開発型でなく、市町村が主役になる経済振興を

 

【新井】第二に、農山村を守っていくためには、その地域で暮らす住民の生活を支える地域経済や産業の振興をどう図っていくのか、これが大きな課題です。これまで本府が進めてきた「リゾート開発」のような外部からの開発ではなく、内発型の経済振興を図る方向こそが求められています。

いま、農村は若者が都会に流出する社会的減少だけでなく、高齢化による自然的減少によって集落がなくなるという状況に直面しています。これを食い止め集落を守るためにも、その地域で暮らせるようにすることです。

今「日本一の田舎づくり」をめざすとがんばっている美山町では、住民参加の村づくり運動をすすめ、美山町自然文化村やカヤぶきの里作りなど、ふるさとの資源を生かした住民の知恵と努力で、入り込み客も85年の10万人から今では60万人に達しています。

美山町への新規参入者が町行政対応だけでも、この10年で68世帯233人、全体では300人をこえていることは注目すべきことです。美山町のもっとも奥にある芦生は、一時は13戸まで減少しましたが、ここでも、芦生原生林など自然を生かした「芦生なめこ生産組合」を中心としたとりくみで、現在では19世帯60人となり、高齢化率も22・9%と美山町では最も若い集落となっています。

このように住民の自治と協働を大切にし、地域の資源を育て、磨き上げることで、農山村を守っていくことができることを示しています。

知事もこれまでから「地域の自立」が大事だといわれてきましたが、府県の役割も、こうした市町村や地域の「自立」をめざす主体的な取組みを支援することではないでしょうか。代表質問で梅木議員が紹介しましたが、長野県では地域の自立を支援するためあらたに「集落再生交付金」制度を設けています。

高知県では、町村や地域の「自立」を支援することに力を入れ、「元気のでる市町村総合補助金制度」を設け、県の支援のあり方も、県が机の上で考えた事業ではなく、それぞれの地域にあった事業を一緒に考え実施していく方向に変え、補助制度も「市町村総合活性化事業」として、地域にあった活用ができるものへと改善しています。地元の町長からも「県の支援事業は、総合的で、弾力のあるものが増え、使いやすくなってきた」と評価されているように、あくまでも主役は市町村と地域住民となっています。

ところが本府の市町村振興補助金を見ると、平成10年度決算では15億円であったものが、昨年度10億4千万円あまりと3分の2に減らされています。しかも、内容的に拡充されたのは、「合併支援対策事業」で、「地域の自立支援」とは逆行するものです。

知事が「地域の自立」を言われるのなら、市町村や地域が主役の「自立」をめざすとりくみを支援する制度へと抜本的に拡充すべきではありませんか。いかがですか。

【知事】農業、農山村の振興にあたって京都府では、新京都府総合計画を具体化し府民や生産者、消費者、企業団体、行政等のお互いの役割分担のなかで農林水産業と農山漁村を守り、振興していくための指針として「新京都府農林水産振興構想ふるさとビジョン」を策定し足腰の強い農山村漁村をつくるため、これまでから生産基盤生活環境の整備などに着実に取組み、より収益性の高いブランド野菜等の生産振興による経営基盤の安定化をはかるとともに、地域資源を活用し、加工品開発や都市農村交流をはじめとした観光等、新たな産業への取組みを支援するなど、各種事業を地域の実情に応じて推進しているところである。

 

農山村の役割を認め、「農業・農村振興条例」を制定せよ

 

【新井】第三に、本府に「農業・農村振興条例」もしくは「中山間地域振興条例」をつくることです。これは、府民の安全な食料の確保、国土保全、環境保全の上で果たしている農山村の役割を明確にし、農山村で暮らしていく上で必要な、経済活動を支援し、医療や福祉、道路整備、交通の確保を図るなど、京都府として市町村や住民と協力してつくり上げていく方向を府民の前に明らかにすることです。

いま、多くの府民が安全な食料の確保や環境問題に大きな関心を示しているときだけに、府民的な合意をうることは十分可能です。

すでに全国的に見ても、島根県や岡山県では「中山間地振興条例」を、福島県では「農業・農村振興条例」を、秋田県では「農林水産業と農山漁村を元気づける条例」など、多くの県で農林漁業と農山村・中山間地域の振興を目的にした条例を制定しています。京都府としても早急に具体化を検討すべきではありませんか。知事の御所見をお伺いいたします。

【知事】9月議会で近藤議員の質問にお答えしましたように、森林を守るための条例化の検討も進めているところであり、両者あいまって総合的な農産漁村の振興として環境保全ができるよう努めていきたい。

 

府と市町村の協働を否定する知事の「中央集権的」発言を批判する

 

【新井】これらに関連して、一昨日の梅木議員の代表質問に対する答弁で知事は、日本共産党が「大変、中央集権的な考え方だと思う」との発言をされたので一言申し上げておきます。

地方自治法に明記されているとおり、地方自治体の役割は「住民の福祉の増進を図る」ことにあり、地方自治の基礎は市町村にあります。この地方自治体の本来の役割を果たすため、府県が市町村と協働することは当然のことではありませんか。これを求めることが「中央集権だ」といわれるのなら、いま全国の都道府県が行っている乳幼児医療費助成をはじめ、数々の市町村助成はすべて、中央集権化を狙ってやっているとでも知事はいわれるのですか。その場しのぎの答弁で、言い逃れしようとすることは許されません。

また、今回の地方制度調査会の答申を「自主的な合併を促すための方途」とか「単にバリエーションを少し増やそうということかなと受け止めている」という答弁は、一昨日の町村会大会での決議や多くの知事が「自治権を否定するもの」と強い批判の声をあげているのとは大違いです。結局、知事は、いつまでも総務省の立場から、地方自治を考えておられるのではないですか。このことを厳しく指摘しておきます。

【知事】自治振興補助金については、全体として単独事業が減ってきたなかで額が落ちてきた。また、府も柔軟性を図るためにソフト事業についても色々工夫してきたけれども、ソフト事業については、どうしても額がでないということもあり、そういった中で減少しているものであって、ご指摘の点は違うと思う。

 私は補助金について申しているが、例えば住宅改修助成について梅木議員の質問がありましたから、そういったものについて補助をするということは、まさに補助という上下関係を作るのではないか、そして、それは例えば地域が本当にそういうものが必要だとしても、この地域は住宅助成をやりたい、この地域は違うものをやりたいというときに、それがそういう補助金を作れば、他の市町村においても、ではこれをもらえば、こういった形で補助金が入るから、それによってやりましょうという、こういう事がずっと今まで国・地方を通じて行われてきたから国が補助金を作る、これをもらわなければ損だ、こういう形で今の奨励的な補助金があるからこそ補助金行政というものの弊害を作ってきたわけである。

つまり、誰かの意向によって本当に地域の住民の欲しいものがなかなかならないことに補助金行政の問題点がある。これが、今、地方分権を進めるうえで大変な弊害になっているからこそ、我々は補助金削減、三位一体のものをやっている。もしも、そういった中で支援ができるのならば、私は、税源移譲やそういった中でやっていくべきだと思っている。それに対して先ほど申したように、「個別の補助金を補助金を」とおっしゃるので、これは古い考え方であり、上下関係を作る中央集権的な考え方だと申し上げたところである。

 

中小企業への官公需発注を拡充せよ

 

【新井】次に、中小企業への官公需発注についてお伺いします。

長引く不況のもとで、中小企業にとって仕事確保が大きな課題となっています。これまでからわが党議員団は、公共事業の中小企業への発注率を高めるためにも生活密着型への転換、分離・分割発注、官公需適格組合の積極的活用などを求め、府としても「臨時生活関連施設整備事業」の実施など一定の努力がされてきたところです。

しかし、残念ながら官公需適格組合の活用については、見るべき改善がされないまま、今日まで推移しています。

官公需適格組合は、個別の企業では資本力、技術力、管理体制などが弱小であっても、組合として結束することによって大きな事業でもこなせるところに最大のメリットがあり、共同受注によって、官公需の中小企業への受注を拡大しようとするもので、政府もこれを推進する立場をとっています。

 わが党議員団も繰り返し、「適格組合になったが指名競争入札にも呼ばれない」「案内すらまともにない」など、関係者から批判の声が出されていること指摘し、官公需適格組合の活用など改善を求めてきました。その都度、知事も商工部長も「適正に運用している」と答弁してきました。しかし、現実の事態は、いっこうに改善された状況にありません。先日も知事と中小企業団体中央会との懇談会が開かれ、その場で官公需適格組合協議会代表から知事への要望も出されたと聞いています。

これまで、なぜ改善がはかられなかったのか。その最大の理由に、土木建築部は「個別企業への指名に努力しており、適格組合への指名は二重カウントすることになる」としています。しかし、これはまったく道理がありません。ひとつの公共事業で適格組合も指名され、そこに参加している個別企業も指名されるという事態は、起こりえないことです。さらに、Aランクの企業が適格組合に加入することにより、特Aランクへの参入を可能にし、その他の中小企業に仕事が確保されること、また適格組合が受注することにより組合内の多くの中小業者の仕事確保につながるなど、中小企業への官公需発注を拡大しようとする、この本来の制度の趣旨を正しく理解していないものといわなければなりません。ここには国の方針とは違って、官公需適格組合を正当に位置づけ、育成を図っていこうとする姿勢が欠けていることを示しています。

そこで具体的に質問いたします。

まず第一は、国は毎年度「中小企業者に関する国等の契約の方針」を閣議決定し、中小企業向け契約目標を定めるとともに、官公需適格組合等の活用方針も明らかにしています。さらに、国は「地方公共団体に対し、国等の契約の方針を参考として、措置を講ずるよう要請」しています。

 こうした要請を受け、東京都では「官公需についての中小企業者の受注機会の確保について」との方針を策定し、関係部局に徹底を図っています。

本府としても、こうした国の方針をもとに、中小企業への官公需発注の拡大のための方針を明らかにすべきではありませんか。そして、その中に官公需適格組合の位置づけや、その活用と育成の方針を明確にすべきではありませんか。お答えください。

第二に、京都府が「官公需確保法」や「国の方針」にそって適正に運用するというのであれば、官公需適格組合協議会との協議の場を設け、具体的な改善方向を協議するようにすべきではありませんか。

第三に、国は、「官公需適格組合の競争入札参加資格審査に当たっては、総合点数の算定方法に関する特例のいっそうの活用に努める」としていますが、本府の場合、これが十分適用されていません。中小企業の受注機会の拡大を図る立場から、その積極的活用を図るべきではありませんか。お答えください。

以上、官公需適格組合の活用について質問しましたが、本府の中小企業への官公需発注については、昨年度でも67・3%であり、この間後退もしくは横ばいという状況が続いています。公共事業総枠が減少しているだけに、中小企業への官公需発注総額を確保する特別の努力が求められています。その抜本的改善のため、本格的に取組みを強めていただくよう要望し、質問を終わります。

【商工部長】京都府では毎年閣議決定される中小企業者に関する国等の契約の行使について官公需庁内連絡会議など様々な機会をつうじて全庁的に周知を図り、分離・分割発注の推進、銘柄指定の廃止、官公需適格組合の活用などの徹底に努め、中小企業向け官公需発注の拡大に努力している。また、発注者、受注者双方が出席し、近畿経済産業局において毎年開催される官公需確保対策地方推進会議に京都府としても出席しているほか、中小企業団体との懇談会など様々な機会をつうじ官公需適格組合協議会の皆様のご意見を伺っているところ。

官公需適格組合の建設工事指名競争入札参加資格の審査における総合点の関係につきましては、京都府も国と同様の特例条項をさだめ、適用しているが、官公需適格組合の構成員の多くの方が府の単独指名を受けていることから重複指名とならないよう適切に対応しているところ。今後とも、中小企業者に関する国等の契約の方針の趣旨をふまえ、中小企業への官公受発注に努めていきたい。

 

いま府政にとって大切なのは府民の暮らしをどのように守るのか。補助金をめぐる知事の間違った考えをただす

 

【新井・再質問】知事から、ただいまご答弁をいただきましたが、いわゆる補助金の問題をめぐって、明らかにわれわれとの見解の違いもありますし、間違った考えがあると思います。

一つは、現在の府民の暮らしをどのようにして守っていくのか、これが市町村にとっても京都府政にとってもきわめて重要な課題です。だからこそ知事も少子化対策として子育て支援として乳幼児医療費の助成制度などをやってこられたわけです。そして今不況の中で、暮らしが大変、仕事の確保ができない、こういう中で住宅改修助成制度なども含めてわたしどもは住民のみなさんの暮らしをいまどのようにして守るかそのために市町村と京都府が協力し合う関係、これをしっかり作っていくべきだ、このことを申し上げているんです。そういった意味では中央集権などはまったくあたらない、このことを申し上げておきたいと思います。

 もう一点は、今後の地方分権なり地方自治を確立していくうえで、今何が大事か。知事も自立、自立といわれます。しかし市町村にとっていま自立をするうえで一番重要な問題は、財政的自立ができるかどうかです。その時に国は地方交付税の削減を目的にして、そして市町村への国庫の負担を減らしていく、そのために今三位一体改革という形でいわれる。しかも一昨日の町村会の全国大会の決議で明らかにされているように、今自立だといって交付税をなくしていく、そんなことをすれば税源がない自治体ではやっていけない、結局合併しかないではないか、そういう方向に導くものだということで批判の声があがってるんです。今、必要なことは地方自治体が自立できるだけの財政をどのようにして補償するのか、その制度の検討は当然いるんです。しかしそのことと先ほどいった現時点で府民の暮らしを守るために助成制度をどう作るか、この問題とのすり替えをしないでいただきたいと思います。

最後にもう一点申し上げておきますが、知事は京都にこられて日が浅いですからご存知ないかもしれませんが、荒巻前知事のときにさだめた第一次行政改革大綱では「地方分権を推進するうえで基礎的自治体としての市町村の機能充実は不可欠であり、市町村のより実質的で積極的なとりくみが活発に展開されるよう支援する。」「京都府は地方自治の総合保障機関」だ、このように言っていたんです。ですから、そういう意味で言うと、いま今日の支援体制をつくることについて求めることを中央集権などという言い方でごまかそうとするやり方はまったくあたらない、このことを申し上げておきます。以上です。

【知事・再答弁】私が申し上げているのは、補助をつくるという仕組み、そういったことに今、大きな問題点がありますよ。従って、そういった役割分担とかきちんとした基本原理をふまえずに財政支援をしていけいけと言うのはおかしい、この前の答弁でも申し上げたように、まず市町村がしっかりした形での住民要望をつかみ、そして、そのなかで市町村ができないことを府が支えていく、そういう共同関係を作っていくべきであって、補助金という形で金をくれとか金をよこせという話になりますと、これは必ず、国に対しても補助金を作れという話になってきてしまう。そういう連鎖はおかしいということを申し上げておりまして、そのなかで、私はまさに、荒巻知事の第一次行政改革でのろしを上げたような、地方自治の中でも特に京都の連帯を守る総合保障機関としての京都府を作ってまいりたいと考えている。