加味根史朗議員の「議案に対する討論」

 

日本共産党の加味根史朗です。私は、日本共産党府会議員団を代表して、ただいま議題となっております議案25件のうち、9月定例会提出の決算認定議案、第16号議案と第18号議案の2件、ならびに11月定例会提出の第9号議案、舞鶴和田埠頭建設工事請負契約締結の件に反対し、他の22件に賛成する立場から討論をおこないます。

 

 まず第20号議案、京都府民の生活環境等を守るための硫酸ピッチの規制に関する緊急措置条例制定の件について、賛成でありますが、意見を述べておきます。知事は、条例案の議案説明の中で、「軽油の密造過程において生成される硫酸ピッチが、不法投棄される事案が後を絶たず、地域の環境や府民生活に深刻な影響を与えている」と述べられました。わが党議員団は、すでに9月定例会において、山内議員が京田辺での硫酸ピッチ入りドラム缶の不法投棄の問題を、現地調査を踏まえて質問し、大住内山の事案についてはただちに行政代執行に入ること、同市水取地域の事案については期限を切って撤去の指導を行い、従わないときは告発すべきであることを強く求めました。

同時に、昨年の早い段階から地元住民の皆さんやわが党京田辺市会議員団が、大住内山で放置された危険な廃油系産廃・硫酸ピッチの存在を指摘し、撤去に向けた指導を再三にわたり強く求めてきたにもかかわらず、本府は事態を知りながら1年近くも放置してきたのであります。わが党議員団は、こうした本府の姿勢をただすとともに、厳正な対応が必要であることを指摘してきたところであります。

今回、硫酸ピッチの規制条例が提案されたことは、生活環境を守るよう求めてこられた住民の皆さんの願いにこたえるものであり賛成であります。今後、京田辺と瑞穂町の事案について、行政代執行を含む事態の早急な解決に全力を尽くすとともに、生活環境を守るため、条例の厳正な運用に万全を期すよう求めておきます。

 

 次に、9月定例会提出の第16号議案、平成14年度京都府一般会計及び特別会計歳入歳出決算の反対理由を述べます。平成14年度は、12月の有効求人倍率が0.52倍、府内の失業者が9万人、負債額1000万円以上の企業倒産が539件と史上最高を記録する。高齢者の医療費の負担増で受診や医療の中断が相次ぐなど、暮らしと経済はかつてなく深刻な状況でした。こうしたときこそ、本府は暮らしの防波堤となって、府民生活と営業・雇用を守るために全力をつくすとともに、無駄な大型公共事業を見直し、暮らし優先の府政をすすめることが求められました。

 ところが、平成14年度の予算執行において、こうした府民の期待にこたえる財政執行がおこなわれたとは到底いえません。第1に、府民の切実な暮らしの願いに冷たく背を向けてきたのであります。介護保険料と利用料について、お年寄りや家族から負担が重い、何とかしてほしいと負担軽減が強く求められ、市町村で独自の減免対策を実施しているにもかかわらず、本府として独自の負担軽減を実施しようとしませんでした。そのうえ決算総括質疑で知事は、今年度に介護保険料の大幅な値上げがおこなわれ、お年寄りの負担がさらに重くなっている状況を指摘したのに対し、「京都府も20億円負担が増えた」といってお年寄りの痛みに心を寄せようともされませんでした。また、平成13年12月の特別養護老人ホームの待機者が3640人もおられたにもかかわらず、14年度に増やした定員は府市あわせて260人にすぎません。このテンポでは全員が入所できるには14年もかかってしまいます。ところが、知事は必要な方はすでに措置しているという驚くべき答弁をおこないました。お年寄りと家族の入所への必死の思いを切り捨てる非常に冷たい姿勢があらわれたものであります。

私学助成については、助成総額は前年度より2億4400万円増えていますが、その内訳を見ると、国庫補助金は2億2200万円増えているのに対し、本府の一般財源は2200万円しか増やしていません。先ほど島田議員が指摘したとおり、授業料直接助成の増額など、本府のいっそうの努力が求められています。

子育て支援のために「子どもの医療費無料化を就学前まで」という大きな声が広がってきましたが、平成14年度中には実施にいたりませんでした。今年9月から入院については無料化が実施されましたが、対象者がほとんどいないにもかかわらず、通院の医療費助成の8000円以上という制限をあくまでも改善しようとしていません。30人学級でゆきとどいた教育をという願いにも答えようとされませんでした。

 

第2に、深刻な経済のもとで、府民の期待にこたえる不況・雇用対策がおこなわれませんでした。平成14年度の京都府の就業構造基本調査では、府内の完全失業者9万2000人のうち15歳から34歳までの青年の完全失業者が43000人で半数近くを占めています。しかも20歳から24歳までの青年の正社員の割合はわずか47%。京都でもフリーターにしかなれない深刻な実態が広がっています。社会の健全な発展や企業の活力のために、この現状を改善し、青年の正社員としての雇用を拡大することが、本府にも強く求められています。本府は「雇用創出・就業支援計画」にもとづき、平成14年度に1万4186人の雇用実績が上がったとしていますが、その8割以上が臨時や短期の雇用であり、しかもその雇用実績のなかで、青年がどれだけ雇用されたのかまったくつかんでいないことが明らかになりました。これでは失業者や青年の雇用対策を真剣にやっているとはいえません。

平成14年度1年間で中小企業向けの貸し出しが2250億円も減少し、貸しはがし・貸し渋りをやめさせてほしいという声が京都の経済界から強く出されましたが、本府として銀行に是正を求めたり、110番などの相談体制をとることもおこないませんでした。改善がぜひとも必要です。わが党議員団が強く求め続けてきた中小零細業者のためのあんしん借換融資制度が今年1月から実施され、大きな成果を上げていることは大変喜ばしいことであり、いっそうの制度の継続と充実を求めるものであります。

住宅改修助成については、京田辺市、網野町、加悦町など3市町あわせて3000万円の予算でおよそ6億円の工事がおこなわれており、中小零細業者への仕事確保のうえで20倍の効果があります。14年度においても、数万人の府民の皆さんから実現を求める要望が寄せられましたが、本府はこたえようとしていません。即効性のある不況対策として、改めて実現を強く求めておきます。

 第3に、府財政が大変きびしいもとで、公共事業のむだをただしていくことが府民の強い期待となっているにもかかわらず、大型公共事業のまともな見直しをおこなっていないことであります。畑川ダムの問題でも、丹波・瑞穂両町の給水実績は平均日量4500トンで推移していますが、工場など事業所用も含め昨年給水実績の2倍以上の9100トンの水がすでに確保されています。知事は、今議会で「人口増を見込まなくても1万1700トンの需要は確実にある」と述べられましたが、既存事業所の要望3780トンは内訳すら示すことができませんでした。過剰な水需要予測のもとに77億円もかけて、畑川ダムをつくる必要はありません。代替案を含めて再検討すべきであります。 

丹後リゾート公園、「丹後海と星のみえる丘公園」についても、75億円もかけて今緊急に整備する施設ではありません。木津川右岸運動公園についても、50億円かけての新たな用地買収は凍結し、当面はすでに買収した地域での公園計画として検討すべきです。さらに京都市内に大量の車を呼び込み、莫大な財政負担となる京都市内高速道路計画や関空の必要のない2期工事への出資金、学研都市への新たな財政負担などは中止すべきであります。以上が平成14年度京都府一般会計及び特別会計歳入歳出決算に反対する理由であります。

 

 次に、平成14年度京都府水道事業会計決算を認定に付する件についてであります。当初予算では、過大な水需要予測に基づく浄水場建設が住民負担を重くしていることから、本府として住民負担の軽減を図ること、企業に対し府営水を使用するよう働きかけることを強く求め賛成しましたが、乙訓2市1町の水道料金値上げが深刻になっており、指摘した企業による使用増の効果も現れていないため、反対であります。住民の負担軽減措置を引き続きおこなうよう求めるものであります。

 

 次に、11月定例会提出の第9号議案、舞鶴和田埠頭建設工事請負契約締結の件についてであります。舞鶴港の取扱貨物量は、ここ数年60万トン台へと落ち込んでいるにもかかわらず、港湾計画では、2005年の外国貿易の計画取扱貨物量を710万トンとしています。舞鶴火力発電所の専用岸壁で取り扱う石炭を除いても320万トンということです。わが党議員団は、この計画が、現実に沿わない過大な見込みに基づくものであることを指摘して、500億円から600億円もの大金をかけて大水深バースをつくる和田埠頭の建設にいっかんして反対してきました。この不要不急の予算は、舞鶴を含む北部の産業振興のために振り向けるべきであります。したがって、和田埠頭建設工事請負契約締結の件に反対であります。

 

最後に、一言申し上げます。知事は、わが党議員団梅木議員の地方制度調査会の答申についての代表質問に対して、「単にバリエーションを少し増やそうということなのかなという風に受け止めている」と答えました。こうした知事の受け止めは、全国町村会のみなさんの受け止めと大きくかけ離れたものであります。全国町村長大会において全国町村会長の山本文男氏は、地方制度調査会の答申について、このように述べられました。「新しい合併特例法のあり方に関しては、どうしても納得しかねる事項も残されております。その第1は、都道府県が策定する合併構想において、合併が期待される小規模な市町村として『おおむね人口1万未満を目安とする』とされたことであります。具体的に1万未満と人口が明示されれば、そのような町村は、一人前の基礎自治体ではないとみなされるという思いを持つのではないでしょうか。第2は、知事が合併協議会の設置を勧告したときは、市町村長は、これを議会に付議するか住民投票をおこなうという制度の導入についてであります。このような都道府県の関与の強化は、関係市町村の自己決定権を著しく制約するだけでなく、都道府県との対等・協力の関係を損なうものになりかねません」。全国町村長大会は、こうした立場から、緊急重点決議を採択し、「人口の大小にかかわらず、すべての市町村を基礎自治体と位置づけ、権限の剥奪・制限・縮小は行わないこと。いかなる場合においても強制的な合併は行わないこと」を強く要求しているのであります。知事は、こうした全国町村長会の思いを正しく受け止めるべきであります。

以上で、私の討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。