2004年10月14日
京都府警察本部長 米田 壮 様
日本共産党京都府会議員団
団 長 松 尾 孝
府警本部の報償費、旅費等の情報公開と不正経理疑惑の真相究明を求める申し入れ
先の9月議会において、府警本部から「旅費一括管理」に関する内部調査の結果について、「不正請求、不正流用はない」との報告があった。しかし、なんら具体的証拠となる情報の公開はなく、警察常任委員会での審議等を通じても、疑惑は解明されるどころか、深まるばかりであった。
さらに、捜査報償費についても、答弁に重大な食い違いが生じるなど、真相究明への警察本部の姿勢を疑わせる事態となっている。
税金の使途をめぐって「不正があったのではないか」との疑惑を払拭し、警察への府民の信頼を回復するためにも、次のとおり、情報の公開と真相究明を求めるものである。
記
1)旅費の一括管理問題にかかわって
@調査委員会の委員名簿の提出を求める。
先の9月議会・警察常任委員会において、総務部長は「60人の調査委員会のメンバーに、一括管理に関わった当事者はいない」としながら、調査委員会の委員名簿の提出は「できない」と拒否した。しかし、警察本部の内部調査でも101係・班で「旅費の一括管理」がおこなわれていたとされているとおり、多くの部署で「不適切な処理」がおこなわれていたもので、60人の調査員が、これにまったくかかわりのない人物が選ばれていたかどうかは、調査の客観性にかかわるものである。
これを「公表できない」とすることは、府民に、この調査自身の信憑性をも疑わせることになる。あらためて、調査委員会委員の名簿の提出、公開を求める。
A内部調査はずさんではないか。第三者による徹底した調査を求める。
「旅費一括管理」に関する調査は、「旅費通帳管理の実態調査表」を各所属に配布し、調査票の提出求めておこなわれている。この調査票に、「本人が管理していた」とチェックがあれば「一括管理はなかった」とされている。
この報告のとりまとめだけでは、「一括管理はなかった」とする根拠にはならない。担当者が「不適切な処理」をおこなっていながら「そうした事実がない」と報告すれば「それでよし」とするもので調査の名には値しない。
また、一括管理していた部署で、警察官一人一人に対する調査を行ったというが、上司がおこなったのでは、真相が明らかにされない恐れがある。客観性を確保するためにも、弁護士等第3者が入った調査の実施を求めるものである。
B「不正流用はなかった」とする具体的な証拠資料を示して「説明責任」を果たすことを求める。
4日の警察常任委員会で総務部長は「一括管理されたお金の使途について、帳簿で確認し、不正流用はなかった」と答弁したが、翌日のマスコミ報道では、「不正請求の有無が焦点だったので、使途の全部は確認できていない」と答えている。
さらに、5日の委員会では、「帳簿のないところは、管理していた者に聞いて確認した」と答弁した。これでは、「不正請求、不正流用はない」という結果に、府民が納得できるわけがない。
「調査をした」とするなら一括管理されていた旅費の班・係ごとの総額はいくらで、本人に支払ったのはいくらか、プールされたお金は、何のために、いくら使われていたのか。このことを帳簿など関係書類を開示して、説明することを求める。
C本当に「旅費の不正請求」はなかったのか。疑惑に誠実に答えることを求める。
警察学校の研修卒業生が、警察車両で帰ったにかかわらず、旅費が支給されていた問題は、単に「過払いミス」とはいえない。
研修卒業生が警察車両で帰ったにかかわらず、本人が請求し、本人が受け取っていたならば、これは明らかに不正請求である。
しかし、総務部長は、「本人は請求事務を知らないので、事務担当者が書類を作り、本人が印鑑をついた。事務処理のミスである」「旅費は本人に支払われている」と答弁している。これは、6年間932件すべての研修卒業生の不正請求を事務担当者が組織的に手伝っていたことになる。単なる「事務処理のミス」ではなく、組織ぐるみで「不正請求」をおこなっていたことになる。
また、「今年度分8800円は、すでに返却している」とのことであるが、不適切な事務処理だとすればなぜ、府警本部は、すべての研修卒業生にいっせいに返還を求めず、今年の分だけ処理したのか。こうした疑惑にはまったく応えていない。
警察官の旅費の請求にあたっては、この事案と同様に、すべてを事務担当者が一括しておこない、「裏金」としてプールした上で、実費のみ支払うことが常態化していたのではないかの疑惑をもたれても仕方がない事態である。
旅費請求関係書類、過払い金の返還を求めた文書や返還されたお金の領収に関わる一連の書類を提出し、納得のできる説明を求める。
2)捜査費・捜査報償費問題にかかわって
@捜査費、捜査報償費の仮名領収書の正確な人数と金額の公表を求める。
3月23日の警察常任委員会で、当時の総務部長は「協力者の数のうち、仮名による領収書を提供する人が全体の約25%」と答弁しているが、9月議会で総務部長は「25%は、件数のみを調べたもので、人数ではない」と答えた。先の「協力者の数」という答弁は、人数ではないのか。「件数」とすれば、人数はもっと異なってくるはずであり、議会の答弁に重大な食い違いを生じることになる。
また、総務部長は、「残りにもイニシャルがある」と答えたが、イニシャルも仮名ではないのか。こうした食い違いについて、釈明を求めるとともに、仮名領収書の人数を明らかにするようあらためて求める。
同時に、「仮名の分の金額はいくらか」との質問に対し、3月23日の警察常任委員会で、当時の総務部長は「今手元に資料を持っておりませんので、必要がありましたら、委員長を通じてご相談させていただきたい」と答えている。ところが9月議会では、総務部長は「調査は行っていない」と答えた。さらに、「金額は調査できない」とも答えた。しかし、仮名領収書が約25%あるとしているのであるから、その領収書は特定でき、金額を合計すれば、明らかになるものである。総務部長は「仮名であるかどうかは、捜査員と幹部しか知らない。だから、領収書を特定できない」とも答えたが、これは3月議会での答弁をも覆すものである。
議会での答弁をこのようにいとも簡単に無視することは、許されない。あらためて仮名領収書分の金額はいくらになるか、明らかにすることを求める。
A監査委員による捜査報償費の厳正な監査を受けることを求める。
北海道警で明らかとなったとおり、捜査協力費が「協力者」に支払われておらず、「仮名の領収書」で「裏金」に回されていたこと、しかも、これが全国の警察本部でおこなわれているのではないか、こうしたことにいま国民の厳しい批判の声が高まっている。
京都府においても、総務部長は「報償費についても監査を受けており、指摘はなかった」と答弁しているが、監査委員会事務局長は「報償費の監査は、昨年度の後半から実施した。それまでは監査していない」と答えており、府警本部は明らかに虚偽答弁をしていたことになる。
京都府警本部は、「捜査上の秘密」を口実に、真相に蓋をする姿勢を根本的にあらため、最大限の資料を示し、捜査員への聞き取り調査を含めて監査委員の監査への協力を行い、府民の信頼回復に努めるべきである