前窪義由紀(日本共産党  宇治市・久御山町)   2003年2月13日

 

医療改悪の凍結、貸し渋り対策、ダム建設中止

府民と力をあわせ「自治体らしい自治体」の実現を

 

【前窪】 日本共産党の前窪義由紀です。私は、日本共産党府会議員団を代表して知事並びに関係理事者に質問します。

 

医療改悪の実施凍結を国に働きかけよ

 

京都府保険医協会が行ったアンケート調査では、昨年10月からの高齢者負担増により、六割の病院・診療所が「患者が減った」と回答し、医療費の負担増による受診・治療の中断が「あった」との回答が3割をこえています。全国的にも、昨年10月の老人保健支払い確定額は、通院でマイナス17・9%、歯科でマイナス15・1%と大きく落ち込んでいます。  とくに、月1万円以上の高額な自己負担を求められる在宅酸素療法の中止を申し出るケースが目立ち、在宅酸素療法中の患者さんが、家族の希望で10月から治療をやめ、呼吸不全などから死亡したケースも生まれています。別の調査では、京都市・府南部の酸素吸入患者3400人のうち、昨年10月だけで104人の方が「経済的理由」により契約を解除しています。

この上、4月からサラリーマン本人の3割負担が実施されれば、国民の健康破壊を招き、国民皆保険制度を根底から崩壊させることは必至です。日本医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会の医療4団体は、医療費の患者負担増凍結を求める「共同声明」を発表しました。京都医師会の油谷会長は、「医療界は小泉独裁政権により危機的状況に陥っている」として、強力な運動をよびかけています。

このように、いま、医療改悪の実施凍結を求める声は、大きな国民的世論となっており、日本共産党と民主党、社民党、自由党の四野党は共同して「健保本人3割負担の実施凍結」を求める法案を提出しています。

こうした世論におされて、昨日の自民党・清水議員の質問は、医療費3割負担の凍結・延期を求めるものでした。12月議会でわが党が提案した同趣旨の意見書には自民党は反対されましたが、どちらがまともな態度であったかハッキリしました。今後、選挙めあてといわれることのないように望むものです。あわせて厚生労働大臣を出している公明党の態度も厳しく問われています。

府民の命と暮らしを守るべき知事として、「医療費の患者負担増の凍結・見直し」を国に強く働きかけるべきではありませんか。お答えください。

 

【知事】医療制度改革により財政負担が増える中、地方公共団体の立場から、地域や府民の実情をふまえ、医療制度のあり方について国に提案・要望を行ってきた。今後も、府民生活や医療保険財政、地方財政に与える影響を見極め、抜本的改革をすすめるよう国に提案していく。

 

府独自の福祉・医療制度のいっそうの拡充を

 

予防に力を入れ、国保の3割自己負担を軽減している自治体が19町村に広がっている長野県では、男性の平均寿命が全国で1位、女性も3位の長寿県ですが、1人当たりの老人医療費は全国最低です。この例からも、長寿を負担増の口実にする議論に道理はありません。窓口負担を軽減してこそ、早期発見・早期治療につながり、医療費を抑えることも可能になります。患者負担増の実施凍結を国に強く働きかけるとともに、府独自の福祉・医療制度の拡充をはかることが必要です。

その第1は、社会問題となっている在宅酸素患者の問題です。在宅酸素患者等の在宅重症患者の急激な自己負担増を救済するために、重度心身障害者老人健康管理事業の対象を身体障害者3級まで拡大すべきではありませんか。府内44自治体のうち21自治体が身障者3級まで拡大しています。全国的にも21県が拡大しています。府としてもただちに実施すべきです。いかがですか。

2に、高齢者の負担を少しでも軽減することです。高齢者の自己負担限度額をこえる医療費について、北海道や新潟県では「市町村の判断で窓口払いを免除できる」との答弁を行い、その後、夕張市では窓口払いの免除を決めています。京都でも宇治市では、昨年9月議会で「国保で実施している高額療養費の委任払いは民間で有効に機能しており、老人保健制度でも対応していきたい」と答弁しています。高齢者の窓口負担を軽減するため、府として、積極的に対応すべきですが、いかがですか。また、自己負担限度額の8000円が払えない低所得者の医療費を軽減する措置をとるべきではありませんか。お答えください。

第3に、国民健康保険証の取り上げをやめさせる問題です。府内の資格証明書発行は4308件と2年前の1・9倍に急増し、短期保険証の発行も1万7千件をこえています。静岡県では、国保の資格証明書発行にあたっては、倒産・失業、病気・高齢の家族をかかえる場合など特別の事情を考慮するようにと明記した「通知」を出しています。府としても、こうした経験に学び、国保証の取り上げ、資格証明書・短期保険証の発行をおさえるべきではありませんか。ハッキリ、お答えください。

【知事】@重度心身障害者老人健康管理事業は、国の年金制度や他府県における同様の制度との均衡をふまえて、心身身障手帳1・2級の方を対象としているもの。在宅酸素療法をうけている呼吸器障害者、呼吸器機能障害者をはじめ、内部障害者の障害実態や生活実態をふまえ、その改善について、国に提案・要望している。

A高齢者医療は社会全体で支えあうことも重要であり、高齢者にも現役世代と負担を分かち合うため、窓口で一定の額を負担していただき、その限度額を超えた場合について償還を受ける仕組みとなっている制度であり、ご理解をいただきたい。低所得者に対する軽減措置については、府もこれまで提案してきた。負担限度額の低所得者への配慮など、一定の措置がなされたが、今後とも、ひきつづき国に提案・要望していく。

B国保の資格証明書は、事業の休廃止等の特別の事情がないまま、保険料を長期間滞納されている被保険者に限り交付されるものであり、短期保険証は、窓口できめ細かな相談を行うため交付されているもの。府としては、保険者である市町村にたいし、被保険者の個別の実情をふまえ、積極的な制度の運用をはかるよう要請している。

 

民医連中央病院問題を利用した党利党略は許せない

 

さて、昨日またも自民党・公明党議員が、民医連中央病院の医療事件をつかって、民医連とわが党を繰り返し攻撃しましたが、国民の命と安全を政争の具にするもので、許されません。

民医連中央病院は、事件発覚後ただちに自らすすんで公表し、責任者の処分と原因究明、再発防止、患者への謝罪と信頼回復に真剣な努力を行っています。しかも、現在、患者の治療に影響があったかどうかについても、自らの判断だけでなく、行政指導を受けて第三者機関による調査を受けるという真摯な態度をとっているところです。

今回のように、医療事故・事件を起こした医療機関が、二度とこうした事件を起こさないよう、真相究明と再発防止に全力をあげるのは当然です。この間、京都府内でも民間・公立を問わず、少なくない医療事件・事故が起こっていますが、該当病院では再発防止にむけた関係者の努力が行われてきたところです。これらを支援し、医療への信頼回復に努めることこそが政治の責任です。

ところが、今回、民医連の問題だけを取り上げ、こうした問題を自分たちの選挙のための材料にし、議会で医療機関を名指しで攻撃するような乱暴なやり方は、今日、日本の社会全体の課題となっている医療事故をなくしていこうとする立場とはまったく無縁の党利党略そのものです。また、医療事故・事件を隠ぺいする風潮を助長する結果となりかねません。国会でも、自民党議員の同様の発言に対し、野党が一致して抗議しています。

しかも、まったく事実をねじまげて、民医連を日本共産党の「集票マシーン」などという発言はためにするものです。わが党は、自民党のように団体や企業にお金も票も頼って選挙をやるのではなく、国民一人ひとりの思想信条、政党支持の自由を何よりも大事にしている党です。

自ら公約を破って医療費の大幅引上げをし、在宅酸素治療の患者から酸素ボンベを取りあげ、命を奪う医療改悪をおしつけている自民党、公明党が、命と健康を守るために懸命に奮闘している民医連とわが党を党略的に攻撃する資格はあるのでしょうか。結局その本質は、医療改悪にガマンせよ、国民は文句をいうなというところにあることを厳しく指摘しておきます。

入院だけでなく、通院も、就学前まで無料に

 

次に、乳幼児医療費助成制度の拡充について、伺います。

府民の切実な願いである乳幼児医療費助成の拡充について、新年度予算案で、現在の3歳未満の助成から、「入院については就学前までに拡充し、通院についても、就学前まで月8千円をこえる自己負担分を助成する」ことが提案されています。これまで、「小学校入学前まで無料化を」との要求に「絵に描いた餅」と冷たい態度をとってきた府が、ようやく重い腰をあげて制度の拡充に踏み出したことは、府民の要求と粘り強い運動が実ったものです。

同時に、通院について「8千円までは自己負担」という制約が残されましたが、3歳以上〜就学前までの医療費の自己負担は、ほとんどの病院・診療所で、月1000円〜2000円が圧倒的に多く、京都小児科医会の協力を得て、乳幼児ネットが行ったアンケート調査では、月8千円以上の対象となるのは1000人のうち6〜7人にすぎません。

いま、求められているのは、府民の切実な願いにこたえて、入院だけでなく通院も無条件に就学前まで拡充することであり、京都市内高速道路、関空2期工事、丹後リゾート公園など不要不急の大型公共事業を中止・見直しすれば可能です。なぜ実施しないのですか。

知事の見解を、ハッキリお聞かせください。

【知事】医療保険制度における3歳未満の乳幼児への配慮や世代間の負担のバランスの考慮の上、制度の対象者を現行の3歳未満から、小学校就学前までに拡大し、精神的にも経済的にも負担の重い入院については、すべての方を対象とし、通院については、医療費負担が特に重くなる方を対象に、負担の上限を明らかにして安心して医療を受けていただけるよう配慮した。きびしい財政事情の中、所得制限をもうけることなく、全国的にも高い水準の助成措置を講じる懸命の努力をした。今後とも、子どもを育てる親子さんの視点にたって、制度の実施につとめてまいりたい。

 

保険料値上げをストップし、介護保険制度の抜本的改善を

 

次に、介護保険制度の改善について、お尋ねします。

市町村の2・3月議会に65歳以上の介護の保険料値上げがいっせいに提案されようとしていますが、こうした事態が生まれている根本的な原因は、介護保険制度の実施とともに、国庫負担の割合が半分の25%に減らされたことにあります。介護費用の2分の1を保険料でまかなうという仕組みとなったため、サービス利用者が増えれば増えるほど保険料が高くなり、今後も際限ない引き上げが繰り返されることになります。

保険料の引き上げをストップし、自治体の介護保険財政をこれ以上悪化させないためにも、国庫負担の割合を元に戻し、引き上げるよう国に強く要求すべきです。同時に、市町村の保険料値上げを抑えるため、府として、一般財源を投入してでも、財政的支援を行うことが必要です。また、市町村が実施している保険料・利用料の減免制度を拡充するためにも、府独自の保険料・利用料の減免制度を実施することが必要です。知事の見解をお聞かせください。

【知事】社会全体で介護が必要な高齢者を支えあうという趣旨から、保険料や公費による負担の割合が定められている。府でも毎年、負担が増加し、来年度、20億円の大幅な増加により、約150億円を負担するなど、全力をあげて制度を支えている。保険財政に不足が生じた市町村への財政安定化基金貸付金について、保険料の著しい上昇を緩和するため、償還期間を延長する条例改正を本義会に提案するなど、市町村への支援につとめている。

保険料・利用料の減免について、低所得者に配慮し、通常5段階設定の保険料を6段階とする制度など現行制度の積極的な活用を市町村に促すとともに、国にたいし、高齢者・低所得者の経済的負担の軽減について積極的な提案を行っている。

 

障害者の「支援費制度」について

 

  次に、障害者の「支援費制度」についてです。

4月から始まる障害者の「支援費制度」で、厚生労働省がホームヘルプサービスに「上限」を設ける方針を打ち出したことにたいし、障害者にとっては、事実上の利用制限となり、支援費制度の目的である「自立支援」に逆行するものだとの強い抗議の声が上がり、厚労省は「上限」の撤回に追い込まれました。

また、障害児の保育や療育を支援する事業や障害者の地域生活の総合的な相談事業について、補助金を打ち切り、一般財源化する方針もうち出されています。これらの事業は、いっそうの充実強化が求められているもので、補助金打ち切りは、事業の継続や新規実施に困難をもたらします。

京都府は、昨年末に戸田保健福祉部長名で、これら二事業の補助金の一般財源化について、撤回を求める「要望書」を提出されましたが、厚労省が未だに撤回を表明していないもとで、知事として、国に強く抗議の意思を表明すべきです。いかがですか。

「支援費制度」は、障害者自身がサービスを選べるようにするという点にありますが、現実には、施設やサービスが十分ではなく、「選択できる」状況にはなっていません。「支援費制度」に移行しても、現行のサービス水準を維持し向上をはかるため、本府が実施している知的障害者地域就労援助事業など単独補助事業は継続し拡充すべきです。また、障害者施設や在宅サービスなどの基盤整備をすすめるため、市町村にたいする財政的支援と援助を強めるべきではありませんか。知事の見解をお聞かせください。

【知事】市町村障害者生活支援事業等の一般財源化については、地域の実情や障害者の現状を踏まえたものになっていないことから、全国都道府県に先駆けて国にたいし「撤回」を強く要請するとともに、府内市町村や関係団体にもよびかけ、歩調をあわせてとりくんできた。これらをうけ、国においては全国都道府県担当課長会議で、この間の経過、配慮不足についての陳謝とあわせ、新たな経過措置が示された。府としては、現在の措置に満足しておらず、ひきつづき、国にたいし従前の制度に復元するよう強く働きかけるとともに、これまで積極的に事業にとりくんできた市町村にしわよせがいくことのないよう、独自の支援措置を講じることにした。府の独自施策については、今回の支援費への移行にあたっても独自の円滑移行のための助成措置を講じた。これまでから幅広くとりくんできたが、新年度予算案でも、重度心身障害者通所援護事業の単価アップをはかるとともに、新たに、重度障害者にたいするサービス支援や授産製品の販売促進対策など、精一杯の対応をしている。サービス基盤の整備について、「京都府障害者基本計画」にもとづいて、施設整備や運営にたいする独自加算を講じるとともに、人材養成、相談体制の強化などの支援措置を講じ、市町村の意向もふまえて努めてきた。今年度中に全市町村で障害者計画が策定され、計画的にサービス提供基盤の整備にとりくんでいる。府として、今後も、市町村とさらに連携しながら、いっそうの充実につとめていきたい。

 

「貸し渋り・貸しはがし防止条例」の制定を

次に、地域経済の問題についていくつかお聞きします。

昨年10月、向日市にある創業明治45年の老舗井上電機が突然倒産しました。1億円の融資をみずほ銀行に拒否され、自己破産に追い込まれたものです。まさに突然のことで、朝出勤した200人の従業員を食堂に集め、社長が「政府の不良債権早期処理の影響だ。万策が尽きた」と述べたということです。南区の従業員67人の八洲電機も、昨年6月、民事再生を断念し自己破産しました。この会社は自己技術も持ち「中小企業の鏡」といわれた堅実な企業でした。

この5年間、京都の事業所の減少率は大阪についでワースト2、製造業では5件に1件以上の減少で全国最悪です。負債額が1000万円以上の企業倒産が3年連続で500件を突破し、昨年は、539件と過去最悪の事態です。なかでも地域の文化、地域経済の屋台骨を背負ってきた老舗の倒産が異常に増加しています。

京都府内ではこの一年間で、中小企業向けの貸出しが2250億円も減少し、5年前の63%まで落ち込んでいます。京都府中小企業団体中央会の渡辺隆夫会長は、「本業以外の分野に手を染めた放漫経営の結果、バブル崩壊後に息絶え絶えになっている大企業と、地道に生業を守ってきた中小企業を同列に不良債権者として扱うとは何事か」と述べ、利用者の立場に立った金融が必要と強調しています。                       

中小企業や零細業者が要望し、わが党議員団も提案してきた「借換融資制度」の改善がはかられ、喜ばれていますが、セーフティーネットだけでは不十分です。貸し渋り、貸しはがし、さらに貸しえぐりすら行われている実態への実効性ある対応が緊急に求められています。

そこでお聞きします。

知事は、昨年12月議会で「金融制度は国の法律で決めるべきもの」と金融機関への指導等について、本府の責任ある対応を拒否されましたが、そもそも金融庁の検査や監督は、金融機関の「健全性」のみに着目したものであり、今求められているのは地域経済の発展、京都経済への貢献という立場からの金融機関の評価です。府内のある信用金庫の役員も、「われわれは、どこかの県の景気がいいからと、そこに移動して営業することはできない。うちの信金は小口の出資者から成り立っており、経済を元気にするのはどうするかを考えるべきだ。地域を疲弊させてはダメだ」と語っています。京都経済への貢献という新しい物差しによって、地域に根ざした金融機関を育成、評価することが必要です。

そのために、@地域の金融機関については、正当な理由のない貸し渋り・貸しはがし等を禁止すること。A府に第三者機関として、住民、事業者、金融機関の代表者らによる「地域金融活性化委員会」を設置すること。B本府と委員会は、金融機関から中小企業への融資状況について、必要な報告をうけ、その結果を評価・公表するとともに、貸し渋り等の苦情相談や金融機関への改善要請を行うこと。などを内容とする「貸しはがし・貸し渋り防止条例」を制定すべきと考えるが、知事の見解を伺います。

また、長野県では「貸付110番」を設置し、県内の中小企業の金融実態をすべて把握するとともに、貸し渋りや貸しはがしがあれば金融機関に改善を申し入れるとしています。条例制定に先立ち、知事の権限でやる気さえあればできる「貸付110番」の設置を求めますが、いかがですか。

【知事】中小企業者の円滑な金融を確保するため金融機関を十分に指導するよう、指導監督権限を有する国にたいし繰り返し働きかけてきた。金融機関にたいしては、中小企業者に円滑な資金供給が行われるよう強く要請し、整理回収機構にたいしても、中小企業へのできる限りの財政支援や弾力的な対応を要請を重ねてきた。相談窓口についても、中小企業総合センターや織物機械金属振興センター、各地方振興局に中小企業経営緊急相談窓口を設置し、中小企業者の相談にきめ細かく対応している。府としては、きびしい経営環境にある府内中小企業者の実態をふまえ、可能な限りの対応をしてきたが、金融取り引きには府や県の境もなく、国際間にも及ぶ問題であり、金融制度は法律で定めるのが適当。府としては、安心借り換え制度融資や中小企業関係融資の大幅な改善を講じるとともに、今後とも、融資制度や相談窓口などの充実により、最大限の支援を行っていきたい。

 

府として、「住宅改修助成制度」を実施せよ

 

次に、「住宅改修助成制度」について伺います。

昨年、網野町に続いて京田辺市でも住宅改修助成制度が実施され、126件の申込みがあり、市の助成金1102万円で、工事費総額2億1000万円にのぼる仕事が、市内業者を中心に生まれるなど、20倍以上の経済効果をあげています。不況型倒産が倒産全体の76%を占める現在、地域に直接お金が回る施策として、マスコミでも「経済効果は抜群」と評価されています。

本府が、市町村の実施する住宅改修制度の2分の1を助成する制度を作れば、仮に府の助成金5億円で200億円の仕事が地元の業者に回ることになります。税金のムダ使いをやめ、住宅改修助成に振り向けるなら、それが呼び水になり大きな経済効果を生み出すことは明らかです。知事は、地域経済への効果を認めつつ「経済効果の数字は過大だ」と言い逃れの答弁をしましたが、これは実態を無視するものです。期待の高い住宅改修助成の実施について知事の決断を求めます。

さらに、住宅の耐震化の問題です。阪神・淡路大震災は、多くの教訓を残しました。静岡県では、家屋の倒壊等による死者をゼロに近づけることをめざしたプロジェクトを立ち上げています。それは、県民自ら簡易耐震診断を行い、安全が確認できなかった住宅に対し専門家を派遣し、個人負担なしで耐震診断と補強の相談を実施、危険性の高い住宅の耐震補強工事に対し、30万円の助成制度を実施しているものです。

せまる東南海・南海沖地震から府民の生命を守るためにも急がなければならない事業です。耐震住宅改修も急ぐべきと考えます。いかがですか。

【知事】各市町村では、経済事情や財政状況をふまえ、様々な雇用・不況対策がとりくまれている。府としても、様々な雇用・不況対策を講じる中で、府営住宅ストック総合活用事業等にもとりくんでいる。こうした種々の施策があいまって、府内中小企業者の仕事確保につながるよう努めていきたい。耐震改修については、平成15年度から、住宅改良金融融資制度において、耐震補強等の改修にたいして特利制度をもうけ、利率の引き下げを行うこととしており、その利用促進により、耐震補強改修が進むように努めていきたい。

 

「長時間労働・サービス残業根絶110番」の設置を

 

次に、雇用問題についてお聞きします。

昨年の近畿の完全失業率は7%台で推移し、府内の失業者数は推計9万人。全国平均5・4%を大きく上回り深刻です。12月の有効求人倍率は0・52倍と働きたくても2人に1人しか仕事がない事態です。今春卒業予定の高校生の就職内定は京都府内で54%と過去最悪、若者の就職難は深刻で将来に暗い影を落としています。

政府は、セーフティーネットを講じたといいますが、完全失業者の5割が無収入、雇用保険の失業給付を受けている人は2割にすぎません。政府と自民、公明など与党は、雇用保険法改悪を今国会で行い、最大180日から150日にするなど、受給者をさらに減らそうとしています。このような雇用保険法改悪に反対すべきだと考えますが、いかがですか。

長時間労働の実態も深刻です。私は、宇治市の中小企業に勤め、2人の子供がいる30歳代の男性から、お話を聞きましたが、少ない従業員で親会社からの注文を無条件で受けなければならない実態や、深夜12時を超える残業が続くことなど、「これで体がいつまで持つのか」と心配しておられました。

「サービス残業」や深夜までの異常な長時間労働がはびこっています。豊田労働基準監督署の調査で、「世界のトヨタ」とその関連企業で、年間3650時間という驚くべき長時間労働が存在していることが明らかになりました。政府目標の1800時間まで減らすには27300人の働き手が新たに必要になるもので、是正勧告も出されました。府内でも、617件摘発されています。 

府として「長時間労働・サービス残業根絶110番」を設け、京都労働局と連携して、相談の受付、実態調査を行い、大企業等に是正を求めるべきでありませんか。いかがですか。

また、大企業の解雇・人員削減・工場閉鎖などが地域経済に大きな影響を与えていることから、企業の都合だけで実施されるリストラ計画に対して、事前の届出、地域経済と雇用への影響調査、地元市町村や商工会議所など関係者との協議を求める「リストラ規制条例」をつくり、府として雇用の確保に最大限の努力をすべきと考えます。知事の見解を求めます。

【知事】深刻な雇用・失業情勢をふまえ、中高年齢者やパートタイマー等の雇用促進と安定のための施策の推進など、雇用対策の積極的推進について国に要望してきた。今後とも働く方々の生活が守られるよう、あらゆる機会をつうじ、国に働きかけていく。サービス残業・長時間労働について、監督権限を有しないという制約の中で、府として、京都労働局と連携し、各種セミナーや労働ニュース等により、事業主への周知・啓発に努めるとともに、中小企業労働相談所に労働相談フリーダイヤルを設置して、相談に応じている。権限を有する労働基準監督署において、適正に調査・指導勧告がなされるよう要請している。「リストラ規制条例」の制定については、企業活動が都道府県の区域をこえて行われる中で、府において解雇を規制する条例を定めることは、法制度上むずかしく、企業が府内の立地を避けることにもなれば、かえって雇用の場を減少させることにもなる。

消費税の増税計画と免税点引き下げに反対せよ

次に、消費税増税問題について伺います。

日本経団連の奥田会長は、消費税率を16%にする「提言」を発表し、賛同する政治家には企業献金で目配りすると言っています。企業献金で消費税率の引き上げを狙うなど絶対に許すことはできません。

重大なことは、小泉首相は「消費税の議論は結構」と消費税増税発言を容認する一方、来年度の国の予算案で消費税の免税点を売り上げ3000万円から1000万円に引き下げることです。中小業者の多くが価格競争の中で消費税を価格に転嫁できずに苦しんでいる上に、さらに140万の業者が納税を迫られ「身銭を切る事態」がすすむのです。経済産業省の調査でも、52・3%が価格に転嫁できない結果となっています。

さらに問題なのは、公明党の坂口厚生労働大臣が、公明党が92年の参院選重点政策で、「消費税廃止」を公約していたにもかかわらず「公約は未来永劫ということではない」と開き直り、増税を容認していることです。16%にすれば4人家族で86万円の大増税になる消費税増税と、中小業者の死活問題である免税点の引き下げについて、知事は府民の暮らしと、中小企業や零細業者の経営を守る立場から、きっぱりと反対表明をすべきと考えますが。いかがですか。

【知事】公的サービスとその費用をまかなう租税負担は表裏一体の関係にあり、少子高齢化の進展、企業活動や個々人のライフスタイルの多様化といった経済社会の構造変化の中で、税負担のあり方についても、これらの変化をふまえ、受益のあり方と連動して考えていく必要がある。消費税のあり方についても、それだけを述べるのではなく、まず国の行政水準全体にかかわる「受益と負担」の問題として、十分な議論がなされることが重要。                                                  

 

府立高校の統廃合とランクづけこそ「高校改革計画」の真のねらい

府教委は閉鎖的体質を改め、高校生・府民の声に耳をかたむけよ

 

次に、教育についていくつか質問します。

昨年末に「府立高校改革計画案」が発表されました。府下4ヵ所で開催された5回の説明会には、急な設定にもかかわらず、約1200人が参加し、この問題に対する府民の関心の高さを示しました。会場からは「子どもや親は『多様化』や『特色』を望んでいない」「中学生の段階で将来をみすえてコース選択するのは困難だ」という意見と同時に、「これで府民の声を聞いたといえるのか」など、府教委の閉鎖的・形式的なやり方への批判も少なくありませんでした。

トップダウン的な手法の最たるものが、洛北高校の中高一貫校計画です。これには京都市立中学校長会、小学校長会も「一方的で一切説明がない」と白紙撤回を求めており、府教委の閉鎖的な体質をはからずも府民の前にさらすことになりました。

唐突な発表に地域の小・中学生や父母の間では、「自分たちは洛北高校に入れないのか」と不安と混乱が起きています。そもそも今回の計画は、現場の教職員にすら直前までまったく知らされず、計画発表後も、高校側からの提案は府教委によってことごとく否定されるという強引なやり方です。また内容も、中高一貫教育というのなら全員入学と地域制にこそ進むべきですが、今度の計画は該当校のエリート校化をねらうものであり、地域の中学生を分断し、受験競争の低年齢化を促すものです。まさに義務教育を破壊するもので、改めて撤回を求めますが、いかがですか。

高校改革というなら、いま何より緊急に解決が求められているのは、生徒数減少のもとでも一向に減少していない不合格者数や、高校中退者の増大、狭き門となっている定時制、超過密状態の通信制等の深刻な問題です。また、「国公立大学の合格者を増やすために」と体育祭や修学旅行などの学校行事を次々と中止し、0時間目や7時間目の補習授業で生徒を受験競争に駆り立てている実態です。

これらの問題の根本には、一方で、子どもの教育よりも財政を優先し、生徒数の減少を少人数教育や高校全入の方向に生かすのでなく、逆に府立高校の募集定員を減らし続け、もう一方で、「特色づくり」の名のもとに、府立高校間で大学進学実績を競わせるといった教育行政の歪みがあるのではないですか。府教委が発表した今回の改革案は、矛盾をいっそう拡大し、安上がりの高校統廃合と学校間の格差拡大・ランク付けをねらうもので、多くの高校生や父母、教職員の期待にこたえるものではありません。

いま、府民が本当に願っている高校改革の方向は、高校を減らさず希望するすべての子どもに高校教育を保障することや少人数学級の実現、「特色づくり」競争をやめて基本的な学力を保障すること、類・類型制度を廃止し地域に根ざした公立高校普通科の充実、遠距離通学を強いる通学圏拡大をやめて合理的な学区制に改めること、高校生・保護者・府民参加の地域に開かれた学校づくりなどにあります。それは先に紹介した、説明会の参加者の声からも明らかです。今回のように、一方的な計画発表と短期間の説明会で事足れりとするのでなく、「100年の大計」にふさわしく、結論を急がず、府民参加でおおいに討議していくべきです。

教育長も教育委員も実際に地域に足を運んで、高校教育について高校生自身と府民の声に耳をかたむけるべきです。いかがですか。

小泉内閣は、株式会社の学校経営など教育分野を構造改革・規制緩和の突破口に位置づけ、実施に執念をみせていますが、この「構造改革特区」に、本府も「フレックス・ハイスクール」設置を提案しています。最大12時間目までの授業を選択できる「多様で柔軟な教育システム」と宣伝されていますが、安易な定時制・通信制の再編・リストラを意図したものではないかとの関係者の指摘もあります。現在、京都の定時制・通信制には、本来は全日制を希望していた生徒や、全日制の中退者が多くふくまれています。全日制を希望する生徒は全日制で受け入れることを基本にして、全日制の募集定員の改善をはかることや、超過密状態となっている朱雀高校通信制の問題を解決するために、南部分校を設置するなどの対策が求められますが、いかがですか。

また、来年度には具体的な府立高校の再編・統合計画が発表されますが、すでにこの間の校舎・施設の改修状況をみても、学校間の格差がハッキリしています。また、教員配置についても、同じ学級数でも「特色加配」による格差が生じていますが、「特色加配」の配置基準はどうなっているのですか。明確にお答え下さい。英語や数学、理科の専任教員がいないという分校もありますが、教育の機会均等を保証し、教育条件の整備に努めることに公教育の大事な役割があり、安易な統廃合をすべきではありません。お答えください。

 

【教育長】

中高一貫教育についてだが、中教審答申をふまえ、生徒一人一人の個性や能力を最大限に伸ばすことをめざし導入中のものであり、入学試験で学力検査を行わないこととされており、受験競争の低年齢化などの懸念が生じないよう十分配慮しながら進めてまいりたい。

府立学校改革推進計画案は、平成12年度から2年間をかけ各界の幅広い委員により検討された、府立学校のあり方懇話会のまとめをうけて、策定したものであります。さらに今回は広く意見募集を行うとともに、府内各地で5回の説明会を実施し、府民から寄せられた多数のご意見もふまえ、教育委員の会議において現在慎重に検討を重ねているところ。

高校改革はじめ府民の方々の教育に対するご意見については、様々な機会をとらえ直接お伺いしているところ。

  フレックスハイスクールについてだが、多様化する生徒のニーズに対応するため、新しいタイプの単位制高校の設置が必要であると考えており、あわせて定時制・通信制の今後のあり方についても検討する必要があると考えている。定時制高校の募集定員は、公立と私立が協調して収容枠の改善をはかっており、朱雀高校通信制についても、施設設備や教員配置など必要な教育条件の改善に努めているところである。

  府立高校における加配教員についてだが、各学校の特色づくりや教員加配について校長と十分協議を行った上で配置しており、一律的な基準は設けていない。

  高校の再編整備についてだが、生徒数減少の中で活力ある多様な教育活動が展開できる適正な学校規模を確保する観点から慎重に検討されているところである。

 

生活指導にも少人数の必要を認めるなら、30人学級こそ実現すべき

 

次に、少人数学級について伺います。

小学校低学年の31人以上の複数担任制を、今後は学習指導だけでなく生活指導にも広げるとのことですが、これまで「少人数授業で」といっていた府教委が、生活指導にも少人数の必要性を認めるのなら、学習と生活を一つにした単位である学級集団でこそ30人学級を実施すべきですが、いかがですか。

また、南部養護学校について、宇治市、城陽市、八幡市にも必要であることは教育委員会も認めており、早期建設が求められますが、整備への決意をお聞かせ下さい。

 

【教育長】 少人数教育についてだが、今年度から導入した小学校1年生における2人の教員による指導が、保育所や幼稚園から小学校生活への円滑な移行や学習規律の早期確立に非常に効果があるとの意見が多く、来年度はこうした取組みをさらに拡充し、小学校低学年における指導をいっそう充実してまいりたい。

  南部地域における府立養護学校の再編整備については、ノーマライゼーションを推進する観点から、関係する市町村の意見を聞きながら、設置方法や設置形態等について引き続き検討しているところである。

 

食の安全に逆行する保健所統廃合をやめ、食品衛生監視員の増員を

 

 次に、食の安全対策の問題です。昨年は、牛海綿状脳症、いわゆるBSEや産地・品質の偽装、輸入農産物からの残留農薬の検出など、食の安全や信頼を失う事件が相次ぎました。昨年12月に実施された全国世論調査では、食の安全に68%が不安を持っていると答えています。いまや食の安全をどう確保するのかということは、国政、地方政治で重要な課題となっており、今国会には、食品安全基本法案と食品安全委員会設置の法案が提出されようとしています。 

わが議員団は昨年6月議会で、食品衛生監視員による施設の監視率が2割程度であり、増員すべきこと、食品検査の充実や食品表示のチェックの強化、食品衛生法の改正問題などについてただしました。知事をはじめ理事者は、いずれも適正におこなっている旨の答えをされました。しかし、例えば、食品添加物製造工場についての監視は年6回となっているのに、「おおむね年2回程度実施している」と平然と答えるなど、求められている課題についての認識も対応もきわめて不十分です。だからこそ、府民の食の安全に対する不安は引き続き高いのです。もちろん国の責任も重大ですが、国に対する強力な要請も含めて、本府の対応は問題です。そこで伺います。 

食品衛生監視員による検査・監視は、食品衛生法で定められたものの2割程度しかできておらず、法定の検査・監視をするためには、食品衛生監視員の大幅な増員が必要なことは明らかです。ところが、本府では、専任の食品衛生監視員をおかず、他の仕事と兼務にしています。これでは検査・監視が十分できないことははっきりしているではありませんか。しかも知事はいま、12ある保健所を6〜8ヶ所に減らすことを検討していますが、こうした状況のもとで、保健所の再編・統廃合を行うなら、食品の検査や監視がさらに困難になり、食の安全確保にも逆行するものです。保健所の縮小再編をやめ、いっそうの充実こそはかるべきです。知事の見解をお聞かせください。

 また、農産物の輸入が増えているもとで、輸入農産物・食品の検査体制の充実も緊急・重要課題です。国は今年度予算案で輸入食品の検査員を若干増やしましたが、サンプル検査中心のいまの検査体制の抜本的な改善が必要です。検査員の大幅増員をはじめ検査体制の強化を、国に強力に求めるべきと考えますが、いかがですか。

金沢市は、国の輸入検査が不十分ななかで、輸入野菜等の農薬検査を市独自で昨年12月からおこなっていますが、本府としても検討すべきと考えます。あわせてお答えください。

 【知事】 食の安全対策についてだが、京都府においては今年度、食品衛生監視員として新たに15名任命して91名に増員し、大規模な食品製造施設など大量消費施設の重点化、広域監視機動班による迅速な対応、京都府食品衛生協会との連携など、実施方法にも創意と工夫をこらしながら効率的、計画的に監査を実施しているところだが、15年度には新たに食品衛生推進制度を導入し、さらに機動的かつキメ細かな監視体制の充実をはかる予定。食品監査員の現在の法定回数は、昭和20年代から30年代にかかげられたものであり、国においては食品衛生機構の普及、食品製造技術の飛躍的進歩などをふまえ、食品衛生法についても法改正を行うべく今通常国会に法案が提出されているところ。また輸入食品の検疫体制については、その任務にあたっている国に対し、本府としてもいっそう充実について具体的な提案をしてきたところであり、これをうけ順次、審査の強化がはかられてきているところ。本府においても逐次、検査体制の整備を行い、残留農薬や遺伝子組換食品等について計画的に検査を実施しているところだが、さらに15年度においては、液体クロマトグラフ質量分析計の導入など検査体制のいっそう強化をはかっていく所存。なお、保健所の再編については、京都府新しい行政推進懇話会の第3次提言で職員の専門性、技術力の向上等をはかり、広域的専門的拠点としての機能強化をめざすこととされており、現在この提言をふまえて再編のたたき台の検討をすすめているところであり、これをもとに府議会をはじめ、府民ならびに市町村など幅広く意見を聞いてすすめてまいりたい。

 

合併おしつけでなく、小規模自治体の自立への支援こそすべき

 

次に、市町村合併についてお聞きします。

昨年11月、地方制度調査会の西尾勝副会長が小規模自治体の権限を縮小する私案、いわゆる西尾私案を発表しました、これは、私案と名づけられていますが、地方制度調査会や政府の意向を反映していることは明らかです。小規模自治体の権限を制限し、合併に追い込もうとするこの「私案」に対して、全国の自治体の関係者は怒りに燃えて小規模自治体を守れ、押しつけ合併反対の声を上げています。

全国町村会は、「西尾私案に対する意見」を発表、「人口規模の少ない町村を切り捨てるという横暴極まりない論旨であり、絶対容認できない」と厳しく非難、11月27日に開いた全国町村長大会では、「市町村合併は自主的におこなうべきであり、強制しないこと」「権限を制限・縮小することは絶対におこなわないこと」と緊急重点決議をあげました。府内の町村議会でも、すでに半数を超える18の議会で西尾私案反対の決議があがっています。そこで知事にお聞きしますが、小規模自治体をつぶす西尾私案を知事は賛成されるのですか。明確にお答えください。

府内の押しつけ合併に反対する世論と運動は、昨年末からまさに劇的とも言える広がりを見せています。昨年12月7日、木津町議会は、住民のアンケートの結果を受けて党派を超えた議員の方が相楽7町村の法定合併協議会への参加を否決、相楽の任意協議会は解散を宣言。さらに、宇城久・綴喜の4市3町合併では、1月30日、京田辺市で62・5%の市民が、久御山町では81%の町民が反対であることを理由に法定協議会に参加しないことを表明、南部7市町の合併も頓挫しました。和知町では、1月28日投票の和知町長選挙で、「合併は町民の声を良く聞いて」と訴え、日本共産党も支持した堀郁太郎さんが「合併推進」の現職町長を破り当選、久美浜町議選でも、「押しつけ合併反対」「国保久美浜病院の存続」を訴えたわが党5人の候補が全員当選しました。

 府が「市町村の独自の判断を尊重して」と言いながら、合併推進に都合の良い材料を押しつけてきた例に「財政シミュレーション」があります。単独ではやっていけない証拠として出されているこのシミュレーションを府は「市町村からの要望」としてきましたが、それが偽りであることが明らかになっています。福知山市の昨年12月議会では理事者が「府の指導で作った。非常に不確かなもの」と答弁。岩滝町でも「独自で作りなおす」と町の関係者が言う始末です。知事はこのような動きをどう受け止められますか。合併推進のためにおこなっている市町村の自治への介入などを直ちにやめるべきです。いかがですかお答えください。

いま府民が本当に望んでいるのは、押しつけられた合併ではなく、自らの町が輝いて発展していくことです。そのための具体的援助が必要なのです。長野県では、研究チームをつくり特色ある地域づくりをすすめています。2月15日には、県が小規模自治体の町村長とひざを交えたシンポジウムもおこないます。福島県では、合併しない自治体のために消防や介護などの広域的行政確立の相談に力を入れ、人的支援もおこないます。

ところが本府は、小規模自治体の存続発展にはまったく手を打たず、それどころか今年度予算では、「市町村自治振興補助金」は1億円もカットしているのです。都合のよい材料だけ押しつけて合併に追い込む、小規模自治体への支援はなし、これでは西尾私案の狙いそのもの、先取りです。知事は、府民の願いに応えて、小規模自治体の自立への支援策を急いで具体化すべきです。お答えください。

 【知事】 市町村合併についてだが、西尾私案は基礎的自治体のあり方に関する今後の議論のたたき台として論点を整理されたものであり、現在、国の地方制度調査会でこの私案を材料の一つとして議論が行われているところ。私は地方自治というものが住民自治と団体自治から成立する中で、制度論としての制約はあっても自治の基本である住民の選択がどう確保されているか、これが一番大きな論点ではないかと考える。こうした観点から西尾私案をみると、例えばそこに示された小規模市町村のついての事務配分特例方式においては、住民による選択の余地が奪われてしまうのではないかといった疑問を感じているところ。西尾私案はあくまで一つの私案だが、今後、地方制度調査会全体の議論としては、団体のあり方とともに、住民の選択をどう確保するかについて明確な議論がすすめられるべきと考える。

  次に、府内各地域における合併議論の状況についてだが、何度も申し上げているように、市町村の将来を決めるのは市町村自身であり、住民のみなさん自身なので、府としてはできる限り的確な情報や見通しを示して、地域の議論が十分に、また深く行われるよう支援していくことが京都府の役割と考えている。その一つとして京都府としては市町村からの要請をうけて、法律や制度に基づいた条件を明示した形で、財政的支援を材料として提供してきたものであり、このような材料や住民アンケートなど様々な資料をもとに、各地域で自主的な議論がすすめられ、法定協議会の設置等について各地域の実情をふまえた様々な論議がすすめられている。私は大切なことはこの大幅な社会経済の変化する中で、いずれの地域においても、これからの市町村や地域のあり方について真剣に考えていかなければならないとの意識が高まってきており、これをふまえ地域の将来をしっかり見据えた議論がさらに続けられていくよう支援していきたい。

 

水フォーラム開催地として「水と水環境を守る条例」制定もとめる

 

次に、水フォーラムに関連して、いくつかお聞きします。

まず、「水条例」の制定の問題です。わが党は水の問題を府民の生活と環境を守る重大な問題として一貫して追及してきました。昨年の12月議会で、わが党の光永議員は府内の河川の原流域が重大な汚染に瀕していること、貴重な環境が脅かされ、飲料水の汚染の危機も明らかにして「水と水環境を守る条例」の制定を提案、水フォーラムの開催地の知事としてその実現を求めました。このような動きを受け、知事は新年の記者会見で「府県を超えた連携と水条例」の制定に言及されましたが、その内容と実現の決意についてお答えください。           

【知事】水問題についてだが、水環境を保全していくためには、一府県にとどまらず水を育む森林から都市地域にいたる流域全体で水源の涵養や水質の保全など各分野の取組みを総合的に決めていくことが重要と考える。このため琵琶湖・淀川流域において水環境保全ネットワークの構築を提案し、行政のみならず、NPO、企業など様々な主体が役割分担をしながら連携した取組みを発展させ、流域での立体的な水管理にむけて検討していく必要があると考える。こうした取組みを進める中で、流域の自治体として実効性のある規制措置がとれるのであれば、条例も一つの手法と考えているが、今後、滋賀や大阪をはじめ関係府県とも十分議論し、流域全体としての水管理を進めていく中で検討していく必要がある。

 

過大な水需要予測を改め、天ヶ瀬ダム再開発計画は中止すべき

 

次に、「ダムの建設問題と府営水道の問題」についてお聞きします。                      すでに多くの報道がされているように多方面の専門家が参加し公開でおこなわれてきた「淀川水系流域委員会」の答申が1月17日発表されました。「淀川水系に今後原則としてダムを建設しない」「現在計画中のダムも見直す」としたこの答申は大きな衝撃をあたえています。私たちは、この答申がムダな大型公共事業、ダム建設のストップを提案したことを評価するものです。

今、全国でダム建設の見直しが進められています。脱ダム宣言の長野県、熊本県では既成のダムの取り壊しも決定されました。これは、「治水、利水に欠かせない」とされてきたダムが、自然破壊を進める一方、ゼネコンなどの稼ぎどころになっていること、ムダな公共事業であることが明確になってきたからです。

ダムがムダな公共事業だと判断されたもう一つの要因は、水需要を過大に見積もっているからです。これは国自身が認めていることです。2001年7月、総務省は「水資源に関する行政評価・監視結果に基づく勧告」を発表、全国の水資源の活用状況、水系計画が過大な見通しでおこなわれている実態を明らかにし、その改善を求めたのです。淀川水系流域委員会の答申はこのような中で検討されてきたのです。

具体的な問題でお聞きします。答申は現在計画中の天ヶ瀬ダムの再開発、滋賀県の丹生ダム、大戸川ダムの建設見直しを求めていますが、これらのダムの建設費を治水分と利水分として京都府が負担することになっています。それに加え、国土交通省のダムである天ヶ瀬ダム再開発と大戸川ダムについては、国の直轄事業負担金として多額の負担が予想されます。また京都府営水道は水利権を設定しているため、今後、水源費が激増し水道料金の値上げは必至です。丹生ダムも大戸川ダムも当初の計画から着工が大きく遅れ、いまだに本体着工にいたらず、総工費は大きく膨れ上がると思われます。

そこで知事にお伺いします。「現在計画中のダムも見直す」というこの淀川水系委員会の答申をどうお考えですか、お答えください。また、府が水利権を設定しているダムの総工費と府の負担分はいくらか、総工費の膨張分も含めてお答えください。

次に、天ヶ瀬ダムの再開発問題について、お聞きします。

天ヶ瀬ダムの再開発計画は、洪水時に毎秒1500tの水量に耐えられるように巨大なトンネルを作り、その流量に耐えうるように宇治川の掘削や整備をおこなおうとするものであり、府営水道で毎秒0・6tの水利権を確保しようとするものです。府は本体工事の費用分担とともに、白虹橋の架設などを負担し、宇治市も大きな負担増を迫られています。この計画が強行されると、宇治川は1メートル以上掘削され、中の島や亀石などの宇治川の自然破壊、景観破壊につながるものであり、観光資源にも重大な打撃をあたえるものです。

まず治水の問題です。毎秒1500トンの流量確保は、150年に1度の洪水を想定しています。この計画は、琵琶湖総合開発で定められたものですが、琵琶湖の整備により洪水の危険性はきわめて低くなっており、専門家もこの想定に疑問を呈しています。さらに、環境破壊のダム下流の川底掘削より、漏水がある填島堤防など洪水危険箇所の改修を急ぐことが求められているのです。すでに、巨大トンネルについては中止する方向が国交省から示されており、府としても見直しが必要です。

利水の問題はどうでしょうか、本府は合計で、毎秒2・96t、日量23万5600tの給水が可能な水利権を持ち、その分のダムの建設費や使用権を今後払おうとしています。ところが実際に供給しているのは、2001年の平均で日量約10万6000t、季節的な要因を考えて最も多い7月でも日量で7万tも余裕がありながら、過大な水利権を確保し、ダムの建設が必要といっているのです。

そもそも、府営水道の水需要予測はきわめて過大です。1985年以来4回の見直しがされたとしていますが、給水域の人口70万人、給水量23万5000tはほとんど変わっていないのです。また、つじつまを合わせるために市町村が独自に利用している地下水などの自己水の利用を押さえつけ、府営水を責任水量として押しつけようとしています。市町村の自己水活用、社会経済状況の変化を考慮するなら、府営水はこんなにいるはずがありません。

過大な水需要予測は、ダム建設の擁護といっても過言ではありません。知事は、天ヶ瀬ダム再開発計画の中止を申し入れるべきでありませんか。いかがですかお答えください。

 【知事】 淀川水系流域委員会の提言についてだが、この提言は淀川水系の直轄管理区間を対象とした河川整備計画の案の策定に先立って、河川環境の保全と再生という観点から、新たな河川整備の理念を、学識経験者で構成された流域委員会がとりまとめたものであると受けとめている。今後、近畿地方整備局により、この提言をふまえて淀川流域における地域や河川の状況をもとに、個別の河川事業やダム事業の妥当性等について十分な検討がなされ、河川整備計画の案が策定されるものと理解している。正直いって、治水の面では最近の例をみていると、今までの対応でよいかは大変心配をしているが、それとともに府としては現在、宇治浄水場で暫定的な水利権によって修正を行っており、もしも宇治浄水場の利水の安定確保ができない場合には、宇治市をはじめとする3市1町の市民生活にただちに大きな影響が及ぶ恐れがあり、作成された案に対しこの点をふまえ、必要な意見をのべていきたいと考える。

なお、丹生ダム、大戸川ダムおよび天ヶ瀬ダム再開発議論に関する総需要費だが、丹生ダムについては約1100億円、大戸川ダムについては約740億円、天ヶ瀬ダム再開発費用については約330億円になっており、これらダムについての京都府負担額は丹生ダムについて約19億円、大戸川ダムについて約83億円、天ヶ瀬ダム再開発費用について約55億円となっている。

 

イラク攻撃反対・平和解決をと知事も声をあげるべき

 

最後に、平和にかかわる問題についてです。

「毎日」の世論調査では、イラクへの米軍の軍事攻撃に対し、反対が80%、賛成は13%と反対の世論が増えています。ワシントンでの50万人の集会をはじめ、フランス、ドイツなど世界30ヶ国以上で平和を求める抗議行動が行われ、国際世論と各国政府の大多数が、戦争回避と平和解決を求めています。

ところが、自民党の山崎幹事長は、国連決議なしの米軍のイラク戦争に賛意を表明。公明党の冬柴幹事長も、アメリカに理解を示し、「公明党の看板『平和の党』は色あせてきた」とマスコミも指摘しています。国連無視のアメリカの武力行使に「ノー」と言えず、有事法制の強行をねらい、イージス艦派遣で戦争を後押しする日本政府の行動は、世界でも突出した対米追従であり、アメリカによる自動的な武力行使を排除する国連安保理決議にも反するものです。知事は、一方的なアメリカの武力攻撃に反対し、政府・アメリカにその意思を伝えるべきです。知事の明快な答弁を求めます。

 【知事】 大量破壊兵器などの無条件、無制限査察にかかわる先の国連安全保障理事会の決議にもとづき、国連監視検証査察委員会、国際原子力機関によるイラクの査察が行われているところだが、きたる2月14日には国連安全保障理事会において、査察団からの経過報告がなされることとされている。わが国政府も小泉総理が先の施政方針演説において、イラクの大量破壊兵器は国際社会全体の脅威であり、イラクが大量破壊兵器の破棄をはじめ、関連する国連決議を履行することが重要であり、わが国としても国際的な外交努力を継続すると表明され、川口外務大臣も国際社会と緊密に連携し、イラクが査察妨害をしないだけでなく、能動的に疑惑を解消し、自ら武装解除を行うよう求めているとしているところ。  私も、イラク政府による国連査察決議の完全履行と査察への全面協力が行われるとともに、この問題が平和のうちに解決されることをのぞむところであり、この地球上で世界のすべての人々にとってたたかいのない恒久平和な社会が1日も早く確立されることをつよく願っているところ。

 

謀略政党「公明党=創価学会」に頼らざるえない自民党の衰退ぶり

 

昨日、自民党の議員は、昨年の知事選挙での候補一本化の経過をリアルに述べられました。明らかになったことは、政権政党であり府政でも与党第一党と豪語してきた自民党が、選挙になれば国政野党の民主党の動向に一喜一憂し、さらに、謀略政党の公明党、創価学会に頼らざるを得ないという、政党としての衰退ぶりを自ら証明したことであります。                          

今オール与党体制が、全国で国民の厳しい批判を受け、長野県や熊本市、尼崎市、陸前高田市など全国でムダな大型開発ストップ、暮らし・福祉優先、「住民が主人公」の「自治体らしい自治体」が広がっています。今度の一斉地方選挙で、日本共産党と府民のみなさんの新たな共同をさらに広げ、わが党の躍進・勝利で、21世紀の新しい政治の流れを大きくするために全力をあげる決意を申し上げまして、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

  

知事は、なぜ医療改悪凍結を言わないのか

【前窪・再質問】

再質問させていただきます。医療の改悪でありますが、昨年、福岡市で年金暮らしのお年寄り夫婦が、医師らの入院の勧めを経済的理由、お医者さんにお金がなくてかかれない、入院できない、こういうことで断念をし、2人とも死亡されたということです。こんなことを絶対繰り返してはならないと思います。

  私は、知事が本当に府民のみなさんの命を守る、こういう立場に立つならば、今こそ国に向かって医療費の改悪の凍結こそ言うべきです。なぜ凍結を言わないのですか、はっきりお答えください。

天ヶ瀬ダムの再開発事業についてです。この事業は、主に琵琶湖の浸水被害を解消させる治水対策として取組まれておりますが、しかし現在、琵琶湖湖畔の治水対策が進んで、昭和47年と平成7年の同程度の豪雨による洪水を比較すると、冠水面積が3377ヘクタールから742ヘクタールに、そして床上・床下浸水が755戸から7戸に激減しています。むしろ、1500tを流す方が下流の住民にとっては大変危険が大きくなるというものです。また、利水については、人口予測が過大であったということは、昨日の乙訓浄水場の水需要の答弁でも明らかです。水利権がなくなれば、水の確保ができないという知事の答弁ですが、現在の水利権でも十分だと私は先ほど指摘しました。仮に、知事の答弁を認めるとしても、水利権の設定は未来永劫だということではありません。

 

大阪府で、臨界工業用水道企業団の水利権を府営水道に転用する方針を固めて、現在、大阪府は国土交通省と協議をしています。宇治川には、ユニチカが毎秒約2tの水利権を設定しておりますが、現在、府営水道の暫定水利権は0・6tですから、十分私は調整が可能だと考えます。現に国土交通省は特定多目的ダム法、水資源開発公団法に基づいて水源転用のできる制度があると、可能だと言っているんです。330億円もの大規模な公共事業、天ヶ瀬再開発事業の見直しについて、知事は道理ある答弁をしてください。以上で再質問を終わります。

 【知事】医療制度改革については、地域や府民の実情をふまえての医療制度のあり方について、国に対し提案や要望を行ってきたところであり、今後とも府民生活や医療保険体系、地方財政に与える影響を見極め、抜本的な対策を進めるように国に提案していきたい。

  天ヶ瀬ダムの問題だが、府としては住民生活の安全が第一であり、そのためにも利水の安定確保が不可欠と考えており、まず近畿地方整備局が提言をうけて提示される案の内容に対し、この立場から必要な意見を述べてまいりたい。

  

「議事進行」で反共攻撃  新井幹事長 自公に反撃

 

13日、日本共産党の前窪義由紀議員の代表質問中、公明党議員が口汚ないヤジを繰り返し、自民・公明両党の議員が「議事進行」に名を借りて議場内から反共攻撃を行いました。日本共産党の新井進府議団幹事長が、議事進行に関する動議を行い、公明党の謀略性を告発するとともに、企業・団体に資金も票も依存する自民党の体質を指摘し、ヤジを制止しなかった坪内正一議長の運営を批判しました。

日本共産党の前窪議員が代表質問で、自民、公明両党による悪政を批判したことにたいし、両党議員が「議事進行」の名目で、「独善」などと事実をねじまげ反共攻撃を行い、取り消しと謝罪を求めたことが発端です。

新井議員は、公明党・創価学会の関係者が盗聴事件や選挙で謀略ビラ配布などを起こしたことなどの事実を示し、同党の謀略性をあらためて強調。自民党が、公共事業の受注企業を含む多くの企業・団体から献金を受け取り、党友や票を各団体に割り振り押しつけている事実を指摘し、取り消しや謝罪はまったく必要ないことを強調し、自民、公明両党の議事進行発言の取り消しと謝罪を要求しました。

議事進行に関するそれぞれの動議は、坪内議長が預かり検討することになりました。

(『しんぶん赤旗』03年2/14付より)