予算特別委員会 知事総括質疑

三双 順子(日本共産党 南区)2003年3月4日

 

乳幼児医療費は、通院も入院と同様に、就学前まで無料にせよ

【三双】乳幼児医療助成制度についてです。今議会に提案されている制度の拡充は、府民のねばり強い要求と運動が府を動かしたものであり、「前進」と評価しますが、通院について、自己負担が月8000円をこえるものと制限されていることについて、「2000円、3000円が大変なのに」と、失望の声さえたくさんきかれます。小児科医会の協力もえて実施された実態調査では、月8000円をこえる対象者は、1000人のうち6〜7人にすぎないではありませんか。知事は、予算の提案者として、月8000円をこえる子どもたちがどの位おられるか、調査されたのですか。

このようなやり方を改めて、通院についても、入院と同様、無条件に小学校入学前まで無料にすべきです。保健福祉部の書面審査では、国の制度改定による本府の負担減が4億円であるのにたいして、今回の制度拡充による府の負担増は「通年ベースで3億円、来年度予算では1億円」と答弁されました。府民の願いにこたえ、ただちに改善すべきだと考えますが、いかがですか。

【知事】2年間で600億円をこえる税収減の中で、所得制限を設けることなく、全国的にも高い助成措置を講じているわけですから、一生懸命努力しているということをご理解願いたい。他(の医療制度)にも助成措置を講じておりまして、今後とも、子どもたちの健康を守るために精一杯の支援を行っていきたい。

 

【三双】乳幼児医療費助成制度についてですが、どれだけ多くの子どもたちが利用対象になるのかが、制度改善の尺度ではないかと考えます。「これなら!子育て支援として実感できるわ!」と、うれしい声が若いお母さんから聞こえる内容にすることこそ、ホンマモノではないでしょうか。

実態調査をされてないということですが、これはどういうことなのか。予算を提案される以上は、どれ位の子どもさんが対象になるのかということを、改めて調査されることを求めますが、知事のご意見をお聞かせください。

【知事】我々としては、レセプト等の抽出の調査をしております。今後、今回の上限を8000円としたことについて、異論があろうかと思いますので、それについては、適時いろいろな面で調査をしていきたい。基本的には、全国的な制度を見て頂きたいのですが、入院についてはしっかりと手を打っている。通院については、我々の厳しい財政事情の中で少しでも府民の方に安心して頂ける制度を構築していくということで、今回制度をつくっておりますので、ご理解いただきたい。

 

【三双】乳幼児医療制度についてですが、入院、通院とも安心の実感が湧くものにしていくということで、(自己負担8000円の)制限は撤廃すべきです。知事の再考を強く求めるものです。

 

 保険料・利用料負担を軽減し、安心して利用できる介護保険に

【三双】保健福祉部の書面審査で、宇治・城陽などの南山城圏域については、特別養護老人ホームの入所待機者が406人おられるが、今後2年間の建設計画はゼロとなっている。亀岡・船井・北桑などの中部圏域についても、待機者が116人おられるが、今後3年間は建設ゼロの計画となっていることを保健福祉部長が認められましたが、知事として、このような府民に冷たい計画でよいと考えておられるのか、ハッキリお答えください。

また、保険料の値上げにストップをかけ、利用料の負担を軽減するために、府独自の保険料・利用料の減免措置を講じ、市町村に対する財政支援を強めるべきではありませんか。また、これまで「特別対策」としてとりくまれてきた訪問介護利用料を3%に軽減する措置を継続するよう国に求めるとともに、国で措置されるまでの間、本府の独自措置として財政支援すべきだと考えます。いかがですか。

【知事】次期計画期間における特別養護老人ホームの整備については、各市町村が算定した利用見込み者数を踏まえて、必要な入所定員を設定している。南山城圏域では、平成15年度から17年度にかけて新たに必要な入所定員がゼロになっているのは、市町村が見込んだ利用者数にたいして、すでにこれを満たす整備が現在進められており、それぞれ120人分が本年4月以降順次開設し、加えて南山城圏域では、平成15年度当初予算案に新規70人分を計上している。入所申込者数について、京都府全体としては、京都市を除いた1570名が担当となるが、将来の利用に備えて申込んだ方なども含まれていて、現在整備中の施設と合わせますと、平成19年度までの実施計画において必要な入所定員約1500人分を確保することにしている。今後とも、積極的計画的な整備に努めたい。

介護保険料等についても、京都府の負担が毎年増加していて、来年度は、約150億円を負担するなど財政状況が大変厳しい中、全力をあげて制度を支えている。ホームヘルプサービスの利用者負担の軽減措置についても、制度導入前からサービスを利用されている低所得の高齢者について、負担が急に増えないように経過的な措置として、10%の自己負担を3%に軽減している。当初の予定に沿って平成157月から6%にするもので、このような軽減措置の役割を踏まえたものだと考える。介護保険は、みんなでこの制度を支えていかなければならないという中で、府も相当の負担をしていることをご理解いただきたい。

 

【三双】先ほど質問しました数字は、本府が今年1月に発表された「きょうと高齢者あんしん21プラン」にハッキリと書いてある数字です。特別養護老人ホームの待機者がたくさんおられるのに建設計画が2年も3年も先になるということは、とても「あんしんプラン」とはいえません。要介護認定をうけたお年よりが、特別養護老人ホームに入所するのに2年も3年も待つということが、どういう意味をもつものかということを、知事はお分かりでしょうか。そういう方々と家族のお気持ちを。是非お答え頂きたい。

また、保険料が高すぎるために保険料の滞納者が1万3千人を超えていて、内閣府の調査でも、10%の利用料負担が重くのしかかって低所得者層では利用率が低下していることなど、サービスをうけたくても利用できず、保険料を払いたくても払えない人が大勢いることが明らかになっているではありませんか。保険料・利用料の軽減措置は「待ったなし」です。責任ある答弁を求めます。いかがですか。

【知事】特別養護老人ホームについては、各市町村の見込み人員にもとづいて、計画をつくっている。府としても、特別養護老人ホーム建設について、単独で上乗せ措置を講じるなど、整備に一生懸命努めているので、その中で、一定の措置がなされてきていることをご理解いただきたい。軽減措置についても、これはみんなで役割分担を決めて、支えあっていく。その中で、府も大きな負担をおって、今の厳しい財政事情の中でしっかりと支えていく。こういう努力をしているわけですから、役割分担を踏まえた中でどういうやり方をしていくのかということを考えていかないと、なかなか難しくなると考えている。

 

【三双】介護保険についてですが、「介護を地域で支える」とうたっていますが、現実には70歳の娘さんが、93歳の親を介護する老々介護など、娘さんや息子の奥さんが介護の中心を担っておられるということがたくさん聞かれます。介護激励金の復活も重要です。実施することを強く求めておきます。

 

ただちに、少人数学級を実現すべき

【三双】京都市教委は新年度から35人学級の実施にふみだしましたが、この流れを京都府内全域に広げることが求められています。府としても、ただちに少人数学級を実現すべきではありませんか。知事ならびに教育長のお考えをお聞かせください。

【教育長】今年度から小学校1年生の31人以上の学級で2人の教員による指導を実施したところ、「一人一人の子どもにきめ細かく対応できる。」「学習期日が早期に確立できた。」など高い評価をいただいている。こうしたことから、来年度は、複数教員による指導を1年生の全授業時間に拡大するとともに、2年生の1学期まで延長して、小学校低学年における指導を大幅に拡充することにより、基礎学力を身につける上で最も大切な学習習慣や生活習慣を早期にしっかりと確立させ、子どもたちの学力の充実向上に努めたい。来年度も、引き続き、少人数学級や習熟度別授業、教科担任制など、子どもの発達段階に促した効果的な指導のあり方について、市町村教育委員会の意見も十分聞きながら検討していきたい。

 

【三双】少人数学級は、いまや全国的な流れとなっています。子どもたちにとっては、その11年と毎日毎日が成長にとってかけがえのないものであるだけに、安定した30人学級の実施こそが必要だと考えます。30人学級を実施されている先発の県では、いずれも知事の決断で踏み切っておられる。ですから、知事が決断をされる時にきているのではないかと思います。早期の実施を求めますが、お考えをお聞かせください。当面、少なくとも、京都市に足並みをそろえる努力を求めておきたいと思います。

【知事】教育の内容については、まず専門家の教育委員会において、どういう少人数教育がいいのかという議論をしっかりして頂いて、それを踏まえて、府として財政的にできるのかとか、どういうものができるかという判断をしたので、今回についても、アクションプランを踏まえて実施した。そういった教育委員会のこれからの意向を踏まえながら、府としてもできるかぎりの教育の充実に努めていきたい。

 

京都市内の高速道路建設計画を凍結・中止せよ

【三双】京都市内に5路線もの高速道路をつくり、今よりも110万台も多い車を京都市内中心部に流入させる計画で建設がすすめられています。

京都市内に交通渋滞と公害をもたらす計画に、京都府は来年度も18850万円もの予算をつぎこもうとしています。府の出資額はトータルで63億円もの負担となっています。こんなことは、ただちにやめるべきではありませんか。いかがですか。

【知事】大都市の交通対策については、地域の土地利用や交通測定に合わせて、地下鉄、バス路線や幹線道路整備などが総合的に取り組まれることが必要。京都市南部地域においては、大量に発生する物流、業務交通などを処理するとともに、大阪方面から京都市中心部へ向かう交通の円滑化をはかるために、都市高速道路の整備をはかることとしている。渋滞の著しい国道1号などの混雑を緩和することを通じて、この道路が環境改善や地球温暖化の防止にも役立つものだと考えている。出来るだけ地元の負担が増加しないように、国や阪神高速道路公団に要請しながら、府市協調のもと、この整備推進に努めたい。

 

【三双】阪神高速道路公団の財政状況から見て、出資金の比率が今後引き上げられない保証があるのですか。総事業費は、当初計画で4千億円と答弁されましたが、今も、その金額で出来ると知事は考えておられるのですか。知事は、東京に住んでおられましたが、高速道路のはりめぐらされた東京の空はきれいな空気でしたか。高速道路自身が渋滞し、ランプも渋滞していたのではありませんか。大都市の中での高速道路は大きな問題があるから申し上げているのです。

【知事】東京もまさにいま渋滞の中で、一生懸命、高速道路を大都心の地下につくるとか、本当に頑張っているところです。渋滞が続く限りなかなか難しい点がある。渋滞解消についての方策を考えるとともに、国道1号の渋滞というものの改善措置を講じていかないかぎり、なかなか環境改善に向かわないのではないかと思う。そういう観点から、京都市と連携して、高速道路の整備の促進に努めていきたい。

 

【三双】高速道路問題についてですが、大都市のまち中につくった高速道路は、二酸化炭素、窒素酸化物、浮遊粒子状物質が沿道で生活する人々に深刻な被害をもたらすことは、尼崎をはじめとする道路公害裁判でも証明され、法的にも決着済みです。環境に過大な負荷を強いる自動車優先の道路建設と都市開発への暴走を、もうやめるべきであり、公共交通優先、人と環境にやさしいまちづくりをすすめるべきです。

世界遺産に指定された歴史都市のまん中に高速道路はいりません。ただちに、高速道路建設を凍結・中止することが「京都議定書」に名を記すCOP3開催地としての責務です。

 

実効ある男女共同参画条例を早期に制定せよ

【三双】知事の公約の一つでもある「男女共同参画条例」策定のためのとりくみが、今、すすめられており、府民労働部の書面審査では、事実上、これにブレーキをかけようとする立場からの質問もありましたが、これは、男女共同参画社会の実現をめざす世界の流れに逆行する議論ではないでしょうか。改めて、実効ある条例の早期制定にむけた知事の決意と基本的な考え方をお聞かせください。

【知事】男女共同参画社会の推進の為に、男女の人権が尊重され、家庭で地域で社会で、男女がお互いに大切にしながら共に語らい、それぞれの個性や能力を十分に発揮できる環境整備をはかるため、現在、女性政策推進専門家会議で男女共同参画社会基本法の理念や趣旨、京都府の特性など、幅広い観点から、鋭意ご検討頂いている。また、同会委員にパネラーとなっていただき、これまでに6回のべ約600名の府民の参加を得て、幅広い観点から府民の意見を伺わせていただいた。さらに、幅広い府民団体からの意見を伺っていきたい。今後、専門家会議での取りまとめを踏まえて、府議会をはじめ府民のみんなで、こういう男女共同参画社会をつくっていこうという理解と共感が得られるような条例づくりに努めていきたい。

 

【三双】これまでから「あけぼのプラン」を策定し、女性の地位向上にむけた施策にとりくまれてきましたが、こうした実績をふまえ、女性の労働環境や暮らしの現状の打開・改善につながる実効ある内容で、早期に条例を制定すべきです。改めて、知事の決意、具体的な内容についてもお聞かせください。

【知事】男女共同参画社会基本法の前文に男女平等の実現に向けた取組みが国際社会における取組みとも連動しつつ着実に進められてきた。なお、いっそう努力が必要とされていると規定されており、性別により、待遇に違いが生じている現実とか、子育てや介護について、女性の負担が大きいのではないかといった指摘がされているのが現状だと思っている。こうしたことから、今回検討している条例においては、男女の人権が尊重され、家庭で地域で社会で、男女がお互いを大切にしながらともに支え合う、その中で、それぞれの個性や能力を十分に発揮できる環境整備をはかることを基本としていきたいと考えている。