島田けい子議員の「意見書案・決議案についての討論」

 

日本共産党の島田けい子です。私は、日本共産党府議会議員団を代表して、ただいま議題となっております意見書案12件、決議案1件のうち、5件に反対、その他に賛成の立場から討論を行います。

 

 まず、わが党提案の「イラクへの自衛隊派兵の中止を求める意見書案」についてです。

政府と自民党、公明党の与党が、イラクへの自衛隊派兵「基本計画」閣議決定を強行したことに対し、国の内外から、怒りの声があがっています。

 戦後初めて、現に戦争が行われている地域へ1000人を超える自衛隊を派兵する「基本計画」は、国際社会の道理にてらしても、日本国憲法にてらしても、何の大義もない最悪の選択であり、イラク派兵は断固中止すべきであります。

「計画」は、「人道復興支援」とともに、「安全確保支援」として米英占領軍への支援活動も明記し、自衛隊が無反動砲や対戦車弾などで装備することを盛り込みました。これは、米英軍の無法な侵略戦争と不法な占領支配に軍事力を持って加担するものであることは明白です。イラクでは米軍などへの憎悪が広がり、米軍のサンチェス現地司令官も「全土が戦闘地域」と発言しているのです。ここに自衛隊が出て行けば、復興支援どころか、泥沼の戦争をいっそう深刻にするだけであり、自衛隊も占領軍の一部とみなされ、攻撃の対象になる最悪の事態になることは避けられません。イラクへの自衛隊派兵は「戦闘地域には送らない」という特措法の建前にも反し、憲法を踏みにじる暴挙であることもまた明白です。

いま、イラクの事態を打開する道は、一日も早く米英軍主導の占領支配をやめ、国連中心の枠組みによる人道復興支援に切り替えること、その枠組みのもとで、イラク国民に速やかに主権を返還し、米英軍を撤退させることです。このことこそ、道理ある解決の道筋です。そして、日本がなすべきことは、自衛隊の派兵でなく、憲法九条を生かした外交努力であり、国連主導の非軍事の民生支援であります。再び、日本国民が戦争で尊い命が奪われることのないよう、歴史を逆行させることのないよう、わが党提案の意見書案に賛同をお願いします。

 

自民・公明・新政会提案の「イラク復興支援に関する意見書案」ですが、そもそも、自民党・公明党の小泉内閣が、国連決議もなく世界の平和の願いに逆らって、米英が始めた無法な戦争をいち早く支持し、公明党冬柴幹事長は「スプーンいっぱいで200万人の殺傷能力がある化学兵器や大量破壊兵器がある」とあおりました。ところが、大量破壊兵器は見つからないばかりか、何の罪もない1万人ものイラクの人々の命がうばわれたのです。それらについて何の反省もなく、さらに、孤立するアメリカのブッシュ政権に言われ、自衛隊員の若い命を危険にさらす「イラク特措法」を与党の数の力でごりおしし、基本計画の閣議決定をしながら、人道的支援とはあいた口がふさがりません。特措法こそ廃止すべきです。

民主党案についてですが、表題は「イラク派遣に反対」としながら、その内容では、「『イラク特措法』に基づく自衛隊派遣を見合わせよ」というものです。民主党菅代表は「危険だから送るべきではない」といっているのではない。大義名分があれば危険でも覚悟していかなければならないことはある。最大の問題はそういう正当な理由がないこと」とのべ、本府議会総務常任委員会請願審査の際も、民主党議員は、「復興支援は米英中心でなく国連中心で考えるべきだが、危険だから派遣中止という請願には賛成できない」という旨の発言をされました。 すなわち、「いまのイラク特措法の枠組みでの派兵は見合わせるが、別の枠組みでは賛成」という自衛隊派遣容認の民主党の立場をしめすものです。これは、憲法九条に反するものです。よって、反対です。

 

次に、我が党提案の「新たな雇用の創出を求める意見書」(案)および4会派提案の「新たな雇用を創出するための起業・創業環境の早急な整備を求める意見書」(案)についてです。

 今日の深刻となる雇用不安の最大の原因は、小泉内閣がこの間すすめてきた、「構造改革」路線による 中小企業を倒産、廃業に追い込む不良債権の処理の強行や、大企業による横暴なリストラ、違法なサービス残業、過労死まで生み出す長時間労働の押し付けなどにあります。こうした中、完全失業者は350万人を超え、青年にいたっては、完全失業者のうちの5割近くにもなっています。このことは、ヨーロッパと比べても異常であり、21世紀の持続可能な経済社会を展望しても重大な事態であり、対策はまったなしです。

 世界では、すでに“弱肉強食”から“ルールある経済社会”への新しい流れが生まれています。今年のエビアン・サミットでは、「企業の社会的責任を重視する」という経済宣言が採択されました。今、緊急に求められていることは、4会派提案にある起業・創業環境整備にとどまらず、抜本的な対策です。そのためには、経済全体に巨大な影響力をもっている大企業に、雇用・地域経済・環境・下請け企業・消費者などにたいする社会的責任をはたさせることこそ必要ではないでしょうか。深刻となる雇用情勢を打開し、新たな雇用を創出するために、我が党提案の意見書案への賛同をもとめるものです。

 

次に、自民など4会派提案の「地方税財政制度の『三位一体改革』の推進に関する意見書案」についてです。

いま、「三位一体改革」と称して政府がすすめていることは、本来の地方財政の確立ではなく、財政負担を地方に転嫁し、国の地方自治体への支出を削減しようとするものであります。現に、今回の国庫補助負担金の1兆円削減も、義務教育費の国の責任を地方に転嫁しようとするなど、「削減先にありき」は明らかです。しかも、国庫補助負担金の約8割は生活保護などの社会保障費や義務教育などの教育費であります。これの削減は、住民の福祉や医療、教育の水準の低下を招くものであり、許されるものではありません。

今日、国庫補助負担金の見直しというのなら、これまで政府が進めてきたムダな大型公共事業を地方自治体に進めさせるための「ひも付き補助金」や画一的な基準による補助制度などこそ見直すべきです。

また、政府は「税財源の移譲を図る」として、地方交付税の削減・廃止を進めようとしていますが、税財源の乏しい地方都市や農山村を抱える町村の財政をいっそう困難に落としいれるものです。先日の町村会大会で決議がされたように、財源調整・財源保障機能を持つ「地方交付税の充実・強化」こそ、求められているのです。

よって、こうした地方自治、地方財政の確立に反する「三位一体改革」の推進を求める意見書案には反対です。

 

 わが党提案の「国庫補助負担金等の削減に反対する反対する意見書案」は、福祉や教育など行政サービスの後退につながる国庫補助負担金の削減に反対し、地方財政の充実強化を求めるものでありますが、4会派提案の意見書案も、今回の国庫補助負担金の削減について「国の財政負担を減らし、地方に押し付けるだけの単なる地方への負担転嫁であり、福祉、教育など住民生活に大きな影響を与えるため、到底認められない」と述べておられますので、当然、賛同していただけるものと考えます。

 

次に、わが党提案の「高速道路優先でなく生活関連道路等の整備を求める意見書案」についてです。

いま、生活関連道路の整備を進めることは府民の暮らしを守るためにも、また、地域振興を図るためにも必要不可欠な喫緊の課題となっています。とりわけ、国道27号、162号、163号、178号、307号、312号、477号をはじめ、一般国道や府市町村道、奥地道等について整備が急がれます。一例を申し上げますと、丹後半島を周回する国道178号線について、狭隘なため離合ができず、住民の不便となるばかりか観光バスが通過できず、観光・地域振興の大きな妨げとなっています。中でも伊根養老バイパスの開通は長年の地元の悲願であり、知事も代表質問で積極的に取り組んでいる由、答弁されました。ところが、総合交通対策特別委員会で、私が、完成のメドをお聞きしたところ、「分らない」とのことでした。結局、国も京都府も道路財源の多くを高速道路中心に投入してきたため、生活道路の方はなかなか進まないというのが現状です。府域の均衡ある発展のために、高速道路中心の道路特定財源方式を改め、地域の切実な生活関連道路の整備を急ぐべきであり、ぜひとも賛同を願います。

4会派提案の「高速道路網の整備促進に関する意見書案」については、とりわけ、第二名神、第二東名などを10数兆円もかけて作ることは反対です。

また、「道路整備の財源措置に関する意見書案」については、道路特定財源の温存をもとめるものであり、賛成できません。

 

次に、わが党提案の「私立学校助成充実に関する意見書案」および「同決議案」についてです。

今年も知事あてに、72万人近くの「私学助成の拡充を求める」署名が提出されました。深刻な不況の中で、学費滞納による中途退学者が昨年を上回るような実態の中、父母負担の軽減はこの署名の数にも現れているように多くの保護者と府民の切実な願いです。公教育の一翼を担う私学振興のため、国が一層その予算を確保し、助成を拡充することが求められています。

一方、本府の努力も求められています。98年度と比較しますと、2002年度決算では、国庫補助金が8億4300万円増えているのに、一般財源からの支出は逆に3億5900万円も減額となっています。昨年、12月議会で本府の助成充実を求める決議を議会として全会一致であげましたが、昨年度も国庫補助金は2億2200万円増えているのに、一般財源は2200万円増に留まっています。よって、本府の一層の努力を求める決議を上げようとするものです。以上で討論を終わります。

御静聴ありがとうございました。