新型コロナ感染症の拡大が急速に進む中、京都府議会8月臨時会が6日に開かれました。ワクチン接種や感染症医療、飲食事業者等への緊急支援を含む「令和3年度京都府一般会計補正予算(第11号)」が審議されました。
日本共産党府会議員団は補正予算に賛成し、島田けい子議員が議案討論に立ち、保健所や医療現場の実態や中小業者の厳しい事態を示し、緊急に対策を求める指摘要望を行いました。
島田議員の討論全文
2021年8月臨時府議会 島田けい子議員 議案討論.pdf
島田 けい子議員(日本共産党・右京区)議案討論 8月6日
日本共産党の島田敬子です。
党議員団を代表いたしまして、ただいま議題となっております、第1号議案「令和3年度京都府一般会計補正予算(第11号)」に賛成の立場で討論を行います。
補正予算案については賛成するものですが、何点か指摘要望をさせていただきます。
第一に、急拡大する新型コロナ感染症への対応についてです。
新型コロナウイルスの感染拡大がとどまることなく、各地で医療崩壊の危機に直面しています。5日、国内では新たに1万5263人の感染者が確認され、東京では最多の5042人と初めて5000人を超え、京都でも4日には過去最大の277人となるなど、専門家からは、「経験したことのない感染拡大」と警鐘が鳴らされています。これまで、菅首相が、東京五輪を強行して誤ったメッセージを発し、根拠のない楽観論を振りまいたことが、感染拡大を招く重要な要因となりました。
一方、菅政権は、8月2日、コロナ患者の入院について重症患者や重症化リスクの高い人に重点化する方針を突然打ち出したことに対し、医療関係者をはじめ、国民の厳しい批判の声が上がっています。これは、入院や施設療養を制限し、命を危険にさらすことを国民に強いる本末転倒のやり方で許されません。
デルタ株では無症状者や軽症者も短期間で悪化するケースもあり、自覚症状が顕著に表れなくても病状が進行している場合も少なくありません。
府内でも感染者が急増し、在宅療養者が増え続けています。対応する保健所は濃厚接触者の調査などに追われ、自宅療養者にきちんと連絡を取ることが限界に達してきています。医療機関による在宅患者への往診も、京都市内でも2チームにとどまるなど、地域は限られています。安心して自宅療養できる仕組みを万全に整えないまま、「入院制限」を持ち出すのはあまりに無責任であります。いのちを置き去りにした方針は撤回しかありません。政府答弁も二転三転する無責任ぶりです。我が党議員団として、知事へ緊急の申し入れをさせていただきました。府としては「従来通りの入院調整を行う」とのことですが、知事として、明確に今回の方針の即時撤回を求めていただくよう、重ねて要望を致します。
第二に、中小企業への支援策についてです。
今朝の駅前で定例の議会報告をしておりますと、近所の飲食店の店主が出てこられ、「協力金が4月までやっと来たがその後は来ない。協力金だけで息を繋いでいる、早くしていただきたい」とのことでした。店のガラス窓には「8月2日から酒類提供解禁まで休業します」との張り紙が張られていました。「老舗のクラブはみんな廃業してしまった。祇園はもう繁華街とは言えない」「これだけ、長期間、店を開けていないと、復帰してもお客さんが戻るか心配」「仕事への意欲が失われていく。心が折れそうだ」「先の見通しが立たないので廃業を考えている」等等、1年半以上にわたって、営業時間の短縮や行動自粛が繰り返される中、飲食業や観光業はもちろん、幅広い業種に深刻な影響が広がり、事業の継続そのものへの不安が広がっています。
今回の補正予算の新型コロナウイルス感染症拡大防止推進費255億円余について、営業時間短縮に協力いただいた事業者に対する協力金の支給を行なうものですが、国に合わせて、本府でも前払いを実施するとのことです。その体制を整えて早急に実施することを求めます。そのことにより、これまでの協力金の支給が遅れるなどの支障がないように要望を致します。
新型コロナの影響を受けるすべての中小企業が事業継続を見通すことができるよう、持続化給付金や家賃支援給付金の再給付を早急に行うよう求めるとともに、月次支援金などの各種支援制度について、減収要件が50%となっていることは、20%30%の減収でも経営危機に瀕している中小企業が多数存在する実態とはあまりにもかけ離れているのであり、必要とする中小企業や事業者が利用できるよう、抜本的な制度の見直しを求めます。
第三に、ワクチンの早期接種とPCR検査体制や患者受け入れ体制強化についてです。
政府の「高齢者ワクチン接種を7月までに」との要請を受け、各自治体、医療現場では様々な努力が続けられていますが、そうした中で、ワクチン供給が滞り、先行きも見通せず、現場に大きな混乱と負担を強いることになっています。市町村の後押しとして、大規模接種会場の設置を行うということですが、場当たり的な進め方がさらに現場を混乱させることのないよう求めるものです。
ワクチン接種の促進と一体に、大規模検査をセットで実行し感染を封じ込めることが重要です。
PCR検査について、高齢者施設、障害児者施設の従事者に対する検査について8月のも継続するとのことですが、本府として、頻回定期検査の方針をもつことなど、デルタ株などに対応して今日時点でふさわしい検査戦略を持って、取り組むべきです。また、現状でも濃厚接触者になっても検査までに4,5日待ちなどの状況があります。症状がある人が速やかに検査できるようにするなど、保健所の体制を強化すべきです。
酸素投与ステーション(仮称)の設置については、コロナ感染陽性者で自宅療養中の患者さんが病状悪化により入院が必要になった際、搬送先が直ちに決まらない場合に一時的な酸素投与等の措置を行うステーションの設置を行うものです。デルタ株の感染力はこれまでにないものであり、感染者が増加すれば重症者が増えることは必至であり、予断を許しません。1年半を超える新型コロナへの対応は、患者受け入れ医療機関はもちろん、すべての医療・福祉の現場への大きな負担となっています。コロナ感染症患者を受け入れたくても対応できない医療機関の現状があります。病床不足を打開していくためにも、いまだ実施されていない医療機関への減収補填等、財政支援を求めるものです。
本府として、やむなく自宅療養となっている患者に必要な医療を保障する体制の構築を緊急に進めること、保健所の組織の見直しを含む現場体制の抜本的強化並びに、施設療養における入院、治療環境のさらなる整備拡充を進めることを求めます。
お盆期間中の医療体制の確保についても、医療機関に対する協力金の支給を行う等万全の体制をとられるとのことですが、府職員の皆さんの適切な休養などにも配慮されることなど含めて、府の組織・体制についても見通しをもって現場が対応できるよう、強く求めます。そのためにも、不要不急の事業を見直し、コロナ禍から府民の命暮らしを守ることへ集中されるよう強く求めます。
最後に一言、申し上げます。本日、8月6日、広島への原爆投下から76年を迎える日です。被爆者の命がけのたたかいが世界の市民社会を動かし、核兵器禁止条約が今年1月22日に発効しました。被爆者の願いに応え、日本政府が速やかに条約に署名批准することを強く求めます。また、広島への原爆投下直後に降った放射性物質を含む「黒い雨」をめぐる訴訟で広島高裁は歴代政府の被爆者行政に根本的な見直しを迫る画期的判決を出しましたが、一刻も早く、すべての被爆者の救済を進めることを求めます。
以上で討論を終わります。
補正予算の内容
https://www.pref.kyoto.jp/yosan/documents/0308yosangaiyou.pdf