議員団活動

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「2022年9月定例議会を終えて」 団長談話

2022/11/10 更新
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2022年9月定例議会を終えて

2022年11月10日

2022年9月定例議会を終えて

日本共産党京都府会議員団

団長 原田 完

 

9月12日に開会した9月定例議会は、京都府総合計画特別委員会、決算特別委員会をはさみ11月2日に閉会した。

今議会は、故安倍元首相の国葬の強行や、統一協会・勝共連合と自民党との癒着への国民的批判の広がりに加え、コロナ禍と物価高、さらに10月から実施された後期高齢者医療制度の窓口負担二倍化等、暮らしと経済への大打撃への責任ある対応のなさに対する岸田政権への強い憤りや不信感が広がる中で開催された。

わが党議員団は、深刻となる府民の実態と切実な願いに寄り添い、調査し、見える化、共同の力で政治を動かす立場から、公の役割を真正面から問うとともに、再選以降いっそう明確になった西脇府政の暴走ともいえる、府民不在で国出先機関のように国施策を強引に府民に押し付ける姿勢と方針を厳しく批判し、府民の立場から、そのゆがみの転換を求め運動と結んだ論戦を攻勢的に行った。

 

1、9月27日の故安倍元首相の「国葬」に際し、西脇知事が「先例にならう」として出席の意向を示したため、府議団は、政府が「地方自治体や教育委員会の協力は求めない」との閣議決定を行ない、地方自治体に対する協力依頼文書も送られておらず、「参加」の表明は知事独自の判断のため「知事の参加中止と府施設での半旗掲揚の撤回を求める」申し入れを行うとともに、代表質問でも追及した。ところが知事は「憲政史上最長の8年8カ月にわたり総理大臣の重責を務められたこと、各国で様々な形で国全体を巻き込んでの敬意と弔意が示されていることなどを理由に実施を決定された国の判断は理解でき妥当である」と答弁し、府民の批判の声に耳を貸さない姿勢を示した。国葬当日は、議会日程中の昼休みに、堀川丸太町で議員団あげて「国葬反対」宣伝を行った。

統一協会・勝共連合の問題は、1978年の京都府知事選挙にも見られるように、京都がいわば焦点であったことに加え、二之湯前国家公安委員長をはじめ、府会議員も含め自民党との深い関係は徹底して解明する必要がある。解散命令を視野に入れた取り組みを強めるものである。

 

2、決算特別委員会に付託された7議案のうち、第16号議案「令和3年度京都府一般会計及び特別会計歳入歳出決算を認定に付する件」、第18号議案「令和3年度京都府水道事業会計決算を認定に付する件」の2件に反対した。

16号議案「令和3年度京都府一般会計及び特別会計歳入歳出決算を認定に付する件」の反対の第一の理由は、昨年度からの物価高騰に加え、異常な円安がさらに物価をおしあげ、府民の暮らし、中小事業者の経営を深刻に圧迫しているもと、消費税減税の願いや運転資金・固定費等への直接支援など必要な支援にこたえていないためである。

代表質問で知事は、消費税の減税について「全世代型社会保障に必要」とし、知事総括質疑でインボイス中止について「制度の円滑な導入に向けて十分な周知や広報等の必要な支援を行うよう国に求めてまいりたい」など、府民の悲鳴や実態に向き合わず、まるで国会答弁と同じ答弁を繰り返したことは、知事の本質的姿勢を端的に示したものである。また、物価高・資材高騰等に苦しむ府内中小企業や事業者に、固定費支援を求めるわが党の質問に対し、知事は「固定費支援など事業継続や雇用維持のベースとなる支援は国が担う」といともたやすく背を向けた。

第二は、コロナ感染対応の医療体制について「原則入院できていない事態」を多数生んだことを改善せず、医療・公衆衛生体制の抜本的な強化に取り組んでいないためである。知事は「入院が必要な患者は入院いただいている」との答弁を繰り返してきたが、高齢者施設では施設に留め置かれ、その結果、対応が遅れて死亡者が出るケースが多数起こった現実を全く踏まえないものである。しかも、府が確保した臨時医療施設(入院待機ステーション)の病床の第6波で一日11人の受け入れにとどまり、さらに借り上げた宿泊料用施設として運用したビジネスホテルは3施設合計で令和3年度15.8%の稼働率であった。決算審議では、これら経験と教訓を今後に生かす上で、6波及び7波の施設死亡者数等、実態把握が必要であるにもかかわらず、まともに把握していないことが明らかとなった。

第三は、子育て世帯の支援として教育費等負担軽減や、中小企業支援と一体の賃上げと雇用確保にまともに取り組めていないためである。本府の合計特殊出生率は3年連続低下、京都市が2年連続全国一人口が減少する都市となる中、一貫した経済的支援で、住み続けられる条件を整えることが必要であるにもかかわらず、知事は、中学校給食の実施と無償化について「学校給食法により実施、運営等は市町村が担い、食材費である給食費は保護者負担」と答弁するなど、保護者の実態に寄り添わない姿勢を示した。さらに、全国で約半数の府県で全額公費負担となっている、高校生のタブレット導入について、世論に押されて一部負担は導入したものの、わずかにとどまった。

第四は、府民の暮らしを支える施策を優先すべきときに、多額の財政負担が予想される大型開発の推進を続け、府民の声を軽視する府政運営のためである。多大な財政負担に加え、環境破壊等、問題は山積し、反対や批判の声が広がっているにもかかわらず、副知事が北陸新幹線建設促進大会に何度も参加し、23年度着工を狙うなど、与党PTに追随する姿勢を示していることは重大である。また北山エリアの整備について、住民説明会を昨年11月に実施して以来、いまだ実施せず、そればかりか、推進のための「ニュースレター」を発行し、再開発に反対する意見を敵視するかのような内容を掲載するなど、府民を分断していることも問題である。さらに、書面審査で、府立大学学生体育館の使用実績が明らかとなり、土日祝日入れて約30日程度しか利用できないにもかかわらず、北山エリア整備手法等検討業務においてスポーツイベント等75日間が示され、「学生利用前提」と答弁してきたことが脆くも崩れ去った。

第五は、まるで「国の出先機関」であるかのように公務の民間開放を国と一体に進め、自治体の役割をゆがめているためである。水道事業について、「広域化ありきではない」と言いながら、今年度にも市町の浄水場など廃止し、経営統合する広域化推進プランを強引に決めようとし、市町村からも異論が上がっている。また、消防広域化についても、住民には全く知らせないまま、京都市以南の消防指令センターを京都府・市消防学校に設置しようとするなど具体的に進めている。

第18号議案「令和3年度京都府水道事業会計決算を認定に付する件」は、過大な需要予測にもとづく建設負担水量を市町におしつけ高い水道料金を生んでいることへの見直しをせず、さらに水道事業の維持に広域化への道のみを示し続けているため反対した。

なお、第3号議案「職員の定年の引上げ等に伴う関係条例の整備等及び経過措置に関する条例制定の件」について、地方公務員法の改正に伴うもので、給与水準が国水準どおり「60歳以前の7割」という点には大きな課題があり、引き続く改善を求めた。

 

3、コロナ禍と物価高のもと、議員団は、開会直後の9月13日に国政交渉を行い、各地でつかんだ深刻な実態や切実な要求を届けるとともに、「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金」を活用した追加補正予算を速やかに実施するよう、京都府に迫った。また、10月12日には、「いのちと暮らしを守る大運動」として、府議団作成の府民アンケートをスーパー前で集めるスタート宣伝を行うなど、深刻となる府民の暮らしの実態をつかみ、可視化する取り組みの先頭に立ってきた。さらに10月30日には、議会中に「予算要求・府政報告懇談会」を開催し、議会論戦の特徴を報告するとともに、幅広い団体や個人から、予算への要望をお聞きし、閉会本会議後に、知事に来年度予算要望書を提出した。

こうした中、本議会にコロナ禍と物価高対策として、当初提案の第1号議案「令和4 年度京都府一般会計補正予算(第6号)」および最終本会議に提案された第26号議案「令和4年度京都府一般会計補正予算案(第7号)」について、それぞれ賛成した。同時に党議員団は、現在の事態が先行きの見通せない「非常事態」であるとし、緊急対策と新自由主義の歪みを大本からただす立場から、具体的に提案し実施を求めた。

当初提案の補正予算には、中小零細企業や医療機関等への電気代など固定費支援は盛り込まれていないことを指摘したが、最終本会議で、不十分ながら医療機関への電気代等固定費支援が実現することとなった。

一方、最終本会議で提案された、補正予算96億円余のうち、半分が全国からの旅行支援となっており、「旅行支援より生活苦対策を」の声にこそ応えるべきである。

また、「年末年始緊急生活支援事業」は、今回、社会福祉協議会が実施するため、予算化されないまま12月を迎えることとなっており、昨年度同様にNPOやボランテイアなど幅広い府民のみなさんの自主的取り組みへの支援の具体化を強く求めた。

さらに、「原油価格・物価高騰等小規模事業緊急支援事業」は、多数の申請にこたえるため予算を増額するものにとどまっており、品不足による納品の遅れ等への対応、新たな申請への対応等、期日を延期して実施することを求めた。

 

4、西脇知事の強引な手法が、露骨に明らかになる中、府民の幅広い運動に応える論戦をしたのは、わが党議員団しかないことが改めて浮き彫りとなった議会であった。

ゼロゼロ融資利用が4万7000件にのぼり、その返済や新たな資金需要にも応えられるように、制度融資と別枠対応をするように提案し実現を求めた。また、府内農業経営者は14181、5年前より3835減少、耕作面積は18440ha、1212ha減少(2020年農業センサス)となり、米価下落、肥料高騰等によりさらなる離農や地域の維持ができない事態に対し、緊急に肥料高騰対策、米価下落対策を実施することを強く求めた

こうした世論と運動のもと、子育て支援医療費助成制度について、拡充の方向が示されたことは重要であるが、前回、老人医療費助成制度の改悪と一体に拡充されたことをふまえ、財政を口実に、今回もさらなる改悪がされないよう、むしろ両方拡充することが必要である。

本議会中に、府立文芸会館の存続を求める署名が6500筆を超えて京都府に提出された。中には、無名塾の仲代達矢さん、劇団民藝代表の奈良岡朋子さん、狂言師の茂山あきらさんなど著名な芸能関係者も賛同されるなど、全国的にも注目がされるうねりが広がっている。貴重な府民共有の財産であり、北山エリア再開発に乗じて、廃止をすることは断じて認められず、存続させるべきである。

一方、「京都府総合計画特別委員会」が設置され、京都府総合計画の見直し(中間案)を審議したが、同時並行で実施した中間案に対する府民からのパブリックコメントの締切を前に、策定検討委員会に府民意見の反映していない最終案が示され、論議された上に、パブリックコメントの扱いについては「座長一任」までとりつけるなど、府民の声を軽視した姿勢が府政運営全体にあらわれており、厳しく監視・批判することが必要となっている。

 

5、今議会には、消費税減税とインボイス実施中止を求める請願等51件が寄せられたが、すべて他の会派が反対し否決された。これで、「オール与党」は4年間に寄せられた請願1904件全てに反対し、相変わらずの時代遅れの態度をとり続けている。

意見書については、わが会派から「旧統一協会・勝共連合と政治家との癒着究明・被害者救済を求める意見書」案を提案したが、これに対し、府民クラブ会派から対案が出されることになった。しかし、内容はほぼ一致しており、本来共同提案すべきものである。これもいずれも自民・公明・維新が反対した。なお、府民クラブ意見書案にわが会派は賛成したが、わが会派提案の意見書案には反対の態度をとった。

また、自民・公明・府民クラブ提案の「エネルギー価格高騰による国民生活や事業活動への影響緩和を求める意見書」には、「エネルギーの安定供給」を口実に、原子力を「不可欠な脱炭素エネルギー」「将来にわたる選択肢として強化していく」とし、政府に追随し、府民の原発ゼロを求める願いに真っ向から背くものである。もともと、この意見書案を発議したのは、府民クラブであり、わが党議員団は「この意見書案を京都府議会として可決することは、府民の願いに背くことになる」として、原子力部分の削除を求めるなど、最後まで成立されないよう働きかけたが、わが党以外のすべての議員の賛成で可決することとなったことは、きわめて重大である。

また、3会派提案の「女性デジタル人材育成の推進を求める意見書」は岸田政権がまとめた「女性デジタル人材プラン」の実態は、人材不足のIT分野に、「柔軟な働き方を促す」などとして、臨時の労働力として女性を確保しようとするもので反対した。

わが党会派は、「消費税率の5%への減税とインボイス制度の実施中止を求める意見書」「マイナンバーカードの利用拡大、取得義務化につながる『健康保険証の原則廃止』等の中止を求める意見書」「原子力発電所の新増設などの新方針撤回を求める意見書」など国政の重要問題等について提案したが、いずれも「オール与党」が否決した。

 

 先行きの見えない物価高やコロナ第8波の様相を呈してきており、年末年始の対策も含め、福祉の増進をかかげる自治体本来の役割をいまほど京都府が発揮すべき時はない。そのためにも、党府議団として、いっそう共同の力で政治を動かすために全力をあげるとともに、来春の統一地方選挙で、必ず勝利するために力を尽くすものである。

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