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予算・決算委員会

2024年度予算特別委員会審査小委員会の開始にあたって

2024/02/26 更新
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2024年2月26日

2024年度予算特別委員会審査小委員会の開始にあたって

日本共産党京都府議会議員団

 

2月14日に開会した京都府議会2月定例会においては、本会議に続き、27日から来年度当初予算案等を審議する予算特別委員会審査小委員会が開始される。

当初予算は、一般会計総額9950億円、府税のうち法人2税は全国的な伸びよりも低い見積もりであり、地方消費税は「輸出企業が好調」の結果、還付率が全国平均よりも高く、前年度から約51億円減収となる。財源確保のため、管理職の給与カット、事業見直しなどで18億円を削減するが、もはや削れる事業もなくなっている。

今回の当初予算は、西脇府政2期目3年目の"折り返し点"となる予算である。知事は、一昨年12月に前倒し改定した「京都府総合計画」を具体化する「あたたかい京都づくり加速化予算」と銘打って、「文化庁移転」「子育て環境日本一」「産業創造リーディングゾーン」などを挙げ、「総合計画の初年度である令和5年度から成果が出始めている」と実績を強調している。

しかしその内容は、政府が「新自由主義」により、公務の産業化や大規模開発、「プラットフォームビルダー」の役割を自治体に押し付けてきたもとで、これと一体となった開発と先端産業支援や、子育て支援でも「風土づくり」やイベント偏重が目立っており、コロナ禍の深い傷あと、物価高騰、実質賃金低下、医療・介護・子育て・教育の負担増などが暮らしを圧迫している府民の実態と要求にこたえていないことが大きな特徴となっている。

また、能登半島地震の被災地支援が大きな課題となるなか、自民党の「裏金」金権腐敗問題、経済低迷への無策、大軍拡計画に対して国民的な怒りが沸騰し、岸田内閣支持率が最低となるなど、政治と行政のあり方が根本から厳しく問われている。

党議員団は、この間の府政分析のうえに、コロナ禍、物価高騰、災害対策、直近の京都市長選挙で示された民意をふまえ、実態の可視化と府政の問題点の告発により府政転換の必要性を明らかにすること、府民運動と結んで要求の実現・前進をはかり、「住民福祉の増進」という自治体本来の"公共の役割"を京都府が発揮するよう、以下の点を重点に、攻勢的な論戦を行う決意である。

 1.物価高騰のもと、府民の暮らしの願いによりそう対策こそ必要である。

府民的な要求運動により、予算には、私立高校あんしん修学支援事業の年収730万円未満世帯等への拡充、福祉医療制度は精神障害者への医療助成創設と、子育て支援医療費助成の拡充(小学校卒業まで通院自己負担上限200円/月)の通年実施、物価高騰等による生活困窮者への食料品等配布の拡充、中小企業支援に「賃金引き上げ」による補助額アップ、木造住宅等への耐震化支援の時限的拡充(令和6~7年度)などが盛り込まれたことは、一歩前進である。

党議員団は、この間の運動の成果を確信にしつつ、実態や要求をふまえ、減税や暮らしの支援、負担軽減を求めていく。とりわけ、国保納付金の大幅引き上げを府が通知したことで、多くの市町村で国保料(税)が大幅値上げされる恐れがあり、「都道府県化」を推進してきた責任をただし、一般会計からの繰り入れなど保険料負担軽減の役割を果たすよう求めていく。

 2.「子育て環境日本一」の政策的ゆがみをただし、子育て・教育の経済的負担軽減をはじめ包括的支援を求める。

「子育て環境日本一」の重点施策として、若者と子ども主役の商店街イベント、「子育て楽しテック(見本市)」などが打ち出されている。

党議員団は、「風土づくり」やイベント偏重など自治体の役割をゆがめている問題をただし、子育て支援の太い柱として、全国でも府内でもとりくみが広がりつつある学校給食費無償化等の支援、医療費の負担軽減、学生への給付制奨学金など、本格的な経済的負担軽減等を求める。また、子育てにかかる不安や困難にこたえるため、児童相談所の体制と機能強化、教職員や保育士などの増員と処遇改善を求めていく。

 3.新型コロナ対策の総括と検証、いのちを守る公衆衛生体制、医療・介護・福祉の現場支援強化を求める。

コロナ対策は、総括や検証も抜きに新興感染症対策計画を策定しようとしているが、現場は引き続きひっ迫した事態に置かれている。

党議員団は、今後の新興感染症対策のためにも、コロナ禍で浮き彫りになった保健所統廃合の検証と再配置・公衆衛生体制の強化、入院コントロールセンターや入院待機ステーションのあり方の検証、医療・介護・福祉などの現場への支援の継続や処遇改善、体制強化などを求めていく。

 4.中小企業への支援、一体での賃金引き上げ対策を求める。

「産業創造リーディングゾーン」をはじめ、開発と一体の先端産業・大企業支援への偏重がいっそう目立つようになっている。しかし、府内経済の99%を占める中小事業者は、コロナ関連融資の返済、物価高騰の影響、インボイスによる負担増など、「廃業せざるをえない」深刻な実態に置かれ、約7割が赤字経営となっている。

党議員団は、さらに営業継続、人材不足対策・賃上げと一体での直接支援などを求めていく。

また、物価高騰を上回る賃金引き上げのため、最賃の目安を上回る引き上げ、男女賃金格差の是正、非正規労働者の賃上げと雇用の安定、建設労働者の賃上げ等を含む公契約条例を求める。また農林水産業への支援では、生産者米価引き上げと所得補償などを求めていく。

府民の暮らしや生業を支える安定的・持続可能な財政確立、税源涵養のためにも、地域循環型経済への抜本的転換を求めていく。

 5.にぎわいを基準にした「北山エリア」開発計画の白紙撤回、万博、北陸新幹線など大型事業の中止、府民に必要な事業を求める。

党議員団は、北陸新幹線建設促進費、新名神関連や向日町駅周辺などの大型事業の中止を求め、とりわけ府立大学学生用体育館・校舎の一刻も早い整備、府立学校体育館へのエアコン設置、府立施設の老朽化・耐震対策、府営住宅改修・バリアフリー化、地域の公共交通への支援など、府民にとって必要な事業を求めていく。

大阪・関西万博について、「機運醸成促進」などとして府内の小・中・高校生全員の「招待」、関西広域連合パビリオン・京都ブース、地域連携交付金「万博枠」など、反対・中止の世論に全く耳を傾けない推進姿勢を厳しくただし、万博中止を求める。

 6.災害対策と被災者支援、職員体制などの強化を求める。

党議員団は、昨年の台風7号の被災者支援も含め、府独自の被災者住宅支援事業の改善・拡充などを求めていく。また、災害対応でもあり方が問題となっている消防体制や水道事業の「広域化・民営化」推進をただすとともに、これまでの土木事務所や保健所、地域振興局の統廃合を改め再配置すること、原発ゼロと避難計画の抜本的見直しを求めていく。さらに、府民の暮らしと納税の相談窓口である府税事務所統廃合(京都市内)の中止を求めていく。

これまで府職員の定数削減と非正規への置き換え、委託事業を増やしてきたゆがみをただし、職員増員と体制強化、会計年度任用職員の処遇改善と安定雇用などを求めていく。

以 上

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