府立大学内に予定していた1万人アリーナ建設の頓挫について(声明)
2024年3月15日
府立大学内に予定していた1万人アリーナ建設の頓挫について(声明)
日本共産党京都府会議員団
団 長 島 田 敬 子
1、3月14日に開かれた京都府議会2月定例議会の2024年度予算特別委員会知事総括質疑で、自民党府議の質問に答える形で、西脇知事が「府立大学及び向日町競輪場の双方とも、整備地としてのポテンシャルを有している中で、向日町競輪場基本構想に基づく競輪場再整備との相乗効果が期待できること、屋内スポーツとサイクルスポーツを含めた府内スポーツ振興における大きな拠点化が図られることなどを総合的に検討した結果、国際大会を誘致できる規模の屋内スポーツ施設については、向日町競輪場に整備したいと考え、今後さらに専門的、技術的に検討を重ねながら、具体的に整備に向けた準備を進めてまいりたいと考えております。
なお、府立大学共同体育館につきましては、学生利用を大前提といたしまして、防災機能や府民利用機能を付加した体育館として整備をしてまいりたいと考えております。」と答弁し、府立大学内に建設予定をしていた1万人アリーナ建設はできなくなった。
2、党議員団は、2020年12月「北山エリア整備基本計画」を京都府が発表した前後から、この計画の本質的な問題を浮き彫りにしつつ、論戦と運動を広げるために全力をあげてきた。
そもそも、1万人アリーナ建設計画は、2019年11月のスポーツ庁「スタジアム・アリーナ改革の推進」の計画に示された、国による「賑わいづくり」を目的とした再開発で、アリーナを核として、府立植物園にステージ建設や自由に出入りできる等の公園化や商業化、旧府立総合資料館跡地にはホテル含む商業施設建設などが予定されてきた。
党議員団は、これらの計画は「生きた植物の博物館」としての府立植物園や府立大学、旧府立総合資料館など、静かで文教施設が集積した地域の在り方を根本的にゆがめるものであると厳しく告発し、府民の皆さんと連帯した運動と、毎議会にわたる論戦に取り組んできた。
こうした中、「なからぎの森の会」、「府大学生有志の会」や、「植物園の環境と景観を守る北区の会」をはじめ、各団体が連携して「北山エリアの将来を考える会」として署名に取り組まれ、府立植物園を守る署名や北山エリア整備基本計画の白紙撤回を求める署名など、毎週の府立植物園北山門前での街頭署名を積み重ね、計16万3,000筆(2024年3月14日現在)を超える署名が全国から集まった。その世論と運動が大きな力となり、府立植物園の公園化や商業化などの計画は事実上とん挫し、いよいよ北山エリア整備基本計画の中核施設としての府立大学1万人アリーナ建設計画の中止できるかどうかが焦点となるもとで、先の西脇知事答弁に至った。その意味で、運動と論戦により1万人アリーナ建設中止を勝ち取り、府立大学内に学生用体育館整備を進めると表明させたことは、知事の決断が遅きに失したとはいえ、画期的な成果である。
3、しかし一方で、向日市の競輪場再整備と一体にアリーナを建設すると表明したことは、長年の市民の要望として解決が求められてきた道路の拡幅等、今後の向日市のまちづくりにとって大きな影響がある。それだけに、アリーナ建設の是非も含め、整備の時期やプロセス、規模など、向日市民をはじめ、広く京都府と向日市が説明し、市民の願いと声に寄り添った街づくりとなるよう一体的に進むことが当然必要になる。
これまで京都府は、「北山エリア整備基本計画」の具体化にあたり、住民の求めに応じた府民説明会を数回しか開催せず、広く意見を聞いた形をとることを目的として「有識者懇話会」や少人数の「ワークショップ」を開催し、また誤った情報を流布するための「ニュースレター」発行など、およそまともに府民の声に向き合ってこなかった。この姿勢を改めることが必要であり、今後、情報提供と真摯な市民との論議の積み重ねを強く求めるものである。
4、同時に、今年で開園100周年を迎えた府立植物園が、「生きた植物の博物館」として、イベント頼みでなく、今後100年をどう迎えていくのか、そのための標本庫や観覧温室、バックヤードの充実等、本格的な拡充が急がれる。また、大学や学生が強くもとめてきた府立大学内の大学生用体育館と老朽校舎の整備を急ぐことや、旧府立資料館跡地の暫定活用とその後の本格活用についての説明や府民的論議などが必要である。
そして何よりも、「北山エリア整備基本計画」が「にぎわい」創出をめざす計画である以上、今回の答弁を踏まえ、「北山エリア整備基本計画」は白紙撤回するしかない。また、京都市がこの計画をまるごと「京都市都市計画マスタープラン」の「北山文化・交流拠点地区」として位置付け追記しており、この部分の削除も必要である。
わが党議員団は、今回の府民的成果をふまえ、今後、先に述べた課題の解決や実現にむけ、引き続き府民の皆さんと力をあわせて運動も論戦も全力をあげるものである。
以上