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議会報告

2024年2月定例議会を終えて|団長談話

2024/04/04 更新
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2024年2月定例会を終えて

2024年4月4日

日本共産党京都府会議員団

団 長 島田 けい子

 

 一月一日に発生した「令和6年能登半島地震」により、多くの尊い命が失われ、また多くの方が被災され、未だ避難所生活をはじめ、厳しい暮らしを余儀なくされておられます。お亡くなりになられた皆さんに心からご冥福をお祈りしたします。また被災された皆さんにお見舞いを申し上げますとともに、救援・復旧が速やかに進むよう強く求めます。

 

 2月14日に開会した定例府議会は、予算特別委員会をはさみ3月22日に閉会した。

 今議会は、「令和6年能登半島地震」により、原発や救援にかかわる重要な課題が浮き彫りとなり、また自民党による裏金問題に対する国民的批判が広がる一方、コロナの影響や物価高等、暮らしの悲鳴が上がるなか、京都市長選挙の結果、府市一体で進めようとしていた北山エリアにおける1万人アリーナ計画がとん挫したことや、廃止されていた市独自の住宅リフォーム助成が復活するなど、「市民が動けば政治は変わる」ことを力にして、党議員団は被災地や府民の暮らしの願いに寄りそい、京都府の公の役割を問う論戦を攻勢的に行った。

 

1、本府議会に知事部局から提案された、人事案件を含む75議案および、議会提案の3議案のうち、第1号議案「令和6年度京都府一般会計予算」、第13号議案「令和6年度京都府水道事業会計予算」、第16号議案「令和6年度京都府流域下水道事業会計予算」、第26号議案「京都府府税条例等一部改正の件」、第28号議案「住民基本台帳法施行条例及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行条例一部改正の件」、第43号議案「指定管理者指定の件(公営住宅洛西西境谷団地等)」、第64号議案「京都府企業版ふるさと納税基金条例制定の件」の7議案に反対し、他の議案には賛成した。

 なお、山下副知事の退任により、鈴木一弥氏(企画理事)の副知事選任が提案された。わが党議員団は、特別職登用にあたり、府職員から登用される場合、知事方針にもとづき業務を行うため、その評価を行うことはせず、これまでの発言等に重大な問題がない限り、賛成も反対もしないという態度をとってきた。今回も同様に議案には保留した。

 

2、第1号議案「令和6年度一般会計予算」は、昨年12月に前倒し改定した「京都府総合計画」をふまえ、二期目の折り返し点を迎える予算であるとともに、「失われた30年」といわれる長期にわたる日本経済の停滞と衰退、コロナ禍と物価高騰に対し、公共のあり方が問われる重要な予算である。

 反対の第一は、いのちと暮らしを守る公共の役割を果たす予算になっていないためである。

 四年にわたる新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえ、保健所を元に戻す等、公衆衛生機能の拡充が全く示されていない。加えて高い国民健康保険料の引き上げを食い止める努力をしてきた市町村に対し、府としてこれまで独自負担軽減策を何ら行わず、むしろ来年度納付金について過去最高の値上げを示した。これでは府民にさらなる保険料の値上げを強いることになる。また、物価高騰を上回る賃上げ額が必要であるにも関わらず、「補助金によって賃金を引き上げていくことには限界がある」と背をむけ、さらに人事委員会が示した目安以上の賃上げの決断をしていないことは重大である。

 第二は、子育て支援について、経済的負担軽減を柱に位置付けていないためである。

 予算や施策は「風土づくり」やイベント重視に拍車がかかりる一方で、書面審査において、各会派が要求した「就労・奨学金返済一体型支援事業」の充実については全く応えようとしていない。また、京都市長選挙でも大きな争点となった給食費無償化については、「食材費は保護者負担、一律都道府県が支援することは想定していない」と背をむけ続けるなど、子育て支援の基本がゆがめられている。

 第三は、産業政策の軸が「産業創造リーディングゾーン」の本格的展開策に見られるように、一部の先端企業等を軸としたものとなり、中小企業や農林水産業など、全体の底上げを図るものにはなっていないためである。

 「ZET‐valley」「太秦メディアパーク」「アート&テクノロジービレッジ」「けいはんなフードテックヒル」をはじめとした「産業創造リーディングゾーン事業」や「グローバル・スタートアップ・エコシステム構築事業」など、一部の企業支援等を進める一方、2023年度応募が殺到した「中小企業経営改革支援事業費」や「農林水産業経営改革支援事業費」はなくなり、さらに農業者が切実に求めている再生産可能な価格を保障する施策が示されない等、産業政策のあり方のゆがみが顕著になっている。

 第四は、住民と地域置き去りで「にぎわい」「活性化」などを名目に、いっそうの開発をすすめているためである。

 他会派からも高齢化や人口減のもと、鉄道・バス路線廃止と減便対策、買い物難民対策等が出されたが、それには応えず、文化庁移転を契機としたインバウンド・イベントを基にした、周遊などによる観光が施策の軸となっている。その上、新名神高速道路建設と府南部開発、北陸新幹線延伸をはじめとした国と一部企業のための開発を国と一体で進めている。また、大阪・関西万博は、「機運醸成」として小中高校生にカリキュラムの変更の調整をしてまで入場券一人一枚分を配布する施策をはじめとした事業に、債務負担行為も含め11億円の予算を計上するなど、推進一辺倒であり転換が必要である。

 第五は、能登地震を通じて重要性が明らかになった公共の役割を歪めているためである。

 令和6年能登半島地震をふまえ国や石川県は支援金の上乗せを決めたものの、昨年の台風で府北部地域を中心に多くの被害から救援するための京都府独自の「被災者住宅再建支援事業」の改善は「研究する」という国の動向を見守る姿勢に終始している。また、府北部の消防指令広域化に加え、京都市以南の広域化も進めようとし、さらに震災で原発の危険性がいっそう高まり、避難計画が破綻しているにも関わらず、原発再稼働中止や廃炉を求めず容認する等、「府民福祉の増進」に沿っているとは言えない。

 第六は、気候危機の進行にふさわしい対策が取られず、むしろ政府と同じ方向を進めているためである。

 温室効果ガスを莫大に排出する舞鶴火力発電所や原発に固執する逆行した姿勢を示し、さらに、有機フッ素化合物(PFAS)の影響や被害が府内でも広がり、検査や発生源対策など京都府の役割が求められているのに、その予算も示されないままである。

 第七は、府組織の機能と体制の強化でなく、むしろ府税事務所の廃止・統合、水道や消防指令の広域化・民営化、官民連携・プラットホームなど、行政の民間開放をすすめ地方自治の役割を後退させ、さらに根本的に変質させようとしているためである。

 一方、過去最高となった児童虐待相談件数に応えるために、本来必要な南部や北部の児童相談所の整備計画は示していない。農林関係の試験研究機関の研究費や消費生活相談センター等予算を減額し、さらに勤労者福祉会館の廃止方向を含む同会館の「あり方検討委員会」の第一次報告が行われるなど、現場の対応力を弱め、公共施設の削減を本格的に進めようとしている。

 第13号議案「令和6年度京都府水道事業会計予算」及び第16号議案「令和6年度京都府流域下水道事業会計予算」は、府営水道の過大な施設整備と建設負担水量の適正化をせず、未使用分も含め高い水道料金を受水市町と住民に押し付けるものであり、さらに上下水道の広域化を前提にしており反対した。

 第26号議案「京都府府税条例等一部改正」は、もともと京都市内9カ所あった府税事務所を3カ所に統合してきたものを、今回、さらに京都市内の府税事務所3か所を1か所に統合し、これまで一体であった地方税機構事務所と分離する計画で、相談、納税、納税証明発行などは別々に出向かなければならず、府民の利便性が後退するため反対した。

 第28号議案「住民基本台帳法施行条例及び行政手続きにおける特定の個人を識別するための利用等に関する法律施行条例一部改正」は、省令も示されていないにも関わらず、法律で個人番号の利用が認められる事務を「準法定事務」として整備し、しかも健康保険証を廃止し、マイナンバーカードに置き換えるものと一体の改悪であり反対した。

 第43号議案「指定管理者の指定の件(公営住宅洛西西境谷団地等)」は、セーフティーネットである府営住宅の管理を民間企業(東急コミュニティ―)に委ねることは、住民の福祉の向上と公的責任を放棄するものであり反対した。

 第64号議案「京都府企業版ふるさと納税基金条例制定の件」は新たに企業版ふるさと納税基金を作るもので、地方交付税削減に伴う減収対策として、地方自治体の新たな税収確保手段として導入するもので、自治体間格差を広げ、競争をあおるという極めて重大な問題に加え、企業版ふるさと納税制度は、法人税を寄付金額の最大9割軽減するもので、法人税の主旨にも反し、税制をゆがめるため反対した。なお、第49号議案「一般会計補正予算(第9号)」は賛成したが、そのうち企業版ふるさと納税基金への4100万円の積み立てについては、討論で反対を表明した。

 

3、今議会は、当初予算も含め、府民の運動と議会論戦により、一定の前進を開くとともに、議会中も、常に市町村議員団と連携する等、運動と論戦に役立つよう取り組んだ。

 当初予算には、「私立高校あんしん修学支援事業」の年収730万円未満世帯等への拡充、「精神障害者医療助成制度」創設、「子育て支援医療費助成の拡充(小学校卒業まで通院自己負担上限200円/月)」の通年実施、物価高騰等による生活困窮者への食料品等配布予算の拡充、中小企業支援に「賃金引き上げ」による補助額アップ、木造住宅等への耐震化支援の時限的拡充(令和6~7年度)などが盛り込まれることとなった。

 党議員団は2月20日に「府議会報告・予算要求懇談会」を開催し、また予算特別委員会当初予算審査小委員会が開催される2月26日に、「2024年度予算特別委員会審査小委員会の開始にあたって」とする声明を発表し、当初予算等の特徴を府民に知らせるとともに、要求や実態をつかみ、それを土台に論戦する努力を行った。

 なかでも、京都府が示した国民健康保険納付金を過去最高の12.8%値上げすることを市町村に示した結果、いくつかの市町村議会で国保料・税の値上げ議案が出されたため、党府議団は、府内市町村の値上げの実態を把握するとともに、社会保障推進協議会の力を借り、緊急学習会を開催するとともに、個別市町村の対応に加え、京都府が制度外の財政支援を1円もしたことがないことを明らかにし、国と京都府が保険料・税値上げを回避するための財政的支援策を行うよう求めた。

 1月17日宮津市教育委員会が、宮津市立養老小学校を今年4月から府中小学校に統合すると発表したことに対し、保護者や地域住民から「あまりにも性急すぎる」と怒りの声が上がり、党府議団は、現場にも足を運び、2月16日に「あまりにも性急すぎる宮津市立養老小学校の再編統合の見直しを求める緊急要望書」を教育長に提出した。

 また、政府が令和7年度から実施を予定する「こども誰でも通園制度」について、京都府が当初予算で、全国初として「親子誰でも通園制度」を京都市と宇治市でモデル的に実施することが示されたため、党議員団は、子どもにとってどういった影響があるか、また保育士等処遇改善こそ必要と、京都市議団、宇治市議団とも情報共有し、連携して論戦した。

 一方、京都府独自の「被災者住宅再建支援事業」の拡充について、「研究する」とした姿勢は変わらないものの、「国や石川県が支援金を上乗せしたことを踏まえて研究する」と答弁せざるを得なくなり、いよいよ知事の決断が求められる段階に追い詰めてきた。

 さらに、三年以上にわたる新型コロナウイルス感染症の対応の経験を総括した上で、「京都府感染症予防計画」をつくるべきと再三求めた結果、府としてまとめが報告された。しかし、その内容は、「施設留め置き」など重大な問題をまともに総括しておらず、引き続き、追及すべき課題として浮彫となった。

 

4、今議会で、自民党議員の質問に答える形で、北山エリア整備基本計画の中核施設である、1万人アリーナ計画をやめることになった。党府議団は、速やかに「府立大学内に予定していた1万人アリーナ建設の頓挫について」とする声明を発表し、16万3,000筆を超える運動と結んだ論戦の画期的成果であること、政府による「スタジアム・アリーナ戦略」にのっとった府立植物園を含む北山エリアに「にぎわい」をもたらすという本質的な問題を明らかにした。一方、向日市の競輪場整備と一体に、アリーナ建設を進める意向が示されている。京都府に対し、街づくりと一体に市民への情報公開と対話などを求めるとともに、100周年を迎えた府立植物園の「生きた植物の博物館」としての今後100年を見据えた整備、府立大学内の学生用体育館や老朽校舎の建て替え、旧府立資料館跡地利用や暫定活用のあり方、京都市の「都市計画マスタープラン」の関係部分の見直し、そのためにも「北山エリア整備基本計画」の白紙撤回が必要と指摘した。その実現にむけ、引き続き力を尽くす。

 なお、記者会見で知事が今回のとん挫について、「周辺住民の反対の声があったからではない」と述べた。しかし、住民や学生など当事者の理解を得なれないものは見直さざるを得なかったことは明白で、率直に認めるべきである。

 

5、国と一体に、文化庁移転や大阪・関西万博を名目として、「大阪・関西万博きょうとアクションプラン」を作成し、野放図な新たな開発、イベント等をいっそう進めようとしていることが浮き彫りとなった。

 府は、当初予算に、関西パビリオンの建設分担金8,797万1千円、パビリオン内に設置する京都ブースに3億7,360万円を計上し、また令和7年度も予算計上が予定されるなど、「財政が大変」といいながら、万博関連予算は青天井で提案されている。さらに「府民サービスを行うため」として、これまで積み立て額と同額の取り崩しを行ってきた財政調整基金を、今回5億2100万円を積み残す予算を提案したが、理事者が答弁で「子どもたちを大阪・関西万博へ招待するための3.3億円を活用するための可能性もある」と示した。住民福祉の向上を目的としてきた財政調整基金のあり方からも大きく外れるものである。

 また、今回、大阪・関西万博を契機に、令和6年度には、けいはんな学研都市の府有地60haに民間企業が官民連携でプラットホームをつくり「フードテックヒル」の整備を始めるとした。開発の財政的規模も後年度の公費負担も示さないまま、進めようとしていることは重大である。

 さらに、「川の京都」として、万博イベントの一環で、京都と大阪をつなぐ淀川舟運を計画する、ライトアップイベントの各市町村での開催など、枚挙にいとまがない。

 「万博より、能登支援を」等、大阪・関西万博への批判が大きい時に、旧来のやり方で京都府が国や大阪と一体に、財源投入したイベントや開発を進めることは許されない。大阪・関西万博は中止しかない。

 

6、自民党による裏金・パーティ券問題に国民的な怒りが広がる中、今議会中、最大会派の自民党議員団と、第二会派の維新国民議員団が、あいつぐ不祥事等により、謝罪や役職辞任が繰り返され、府民的に政治と府議会への信頼を損なう深刻な劣化ぶりを露呈した。

 具体的には、瀧脇府議(自民・伏見)が、サッカーサンガ議連の選手応援会のくじ引きで当てたサイン入りグッズをフリマアプリで販売し謝罪した上で、サンガ議連を退会した。また、自民党府連青年局長の中島府議(自民・宮津)、津田府議(自民・北区)、園崎府議(自民・城陽・6区予定候補)が、和歌山で行われた自民党青年局主催の不適切パーティに参加し、「会場で抗議した」と述べたものの、最後まで会場にとどまったことが明らかとなり、謝罪した。これに対し、日本共産党京都府委員会と府会議員団の連名で、自民党京都府支部連合会の西田会長あての「自民党青年局の不適切会合の説明と謝罪等を求める申し入れ」を行った。

 維新国民議員団の西條府議(維新・長岡京)は、市議時代の政務活動費全額を吉村大阪府知事を入れた政治活動ビラに充当したことが、長岡京市の監査委員から指摘され、謝罪し返還手続きをとることになった。同じく西條府議は、部屋用スリッパで府民が出入りする議会棟ロビーを歩いていたとして、品格に欠けると批判され謝罪した。

 また上倉府議(維新・伏見)が、政治活動等にも活用していた自身の事務所に100%政務活動費を充当していたことが発覚し、謝罪し返還手続きをとることになった。

 さらに、畑本久仁枝府議(維新・西京)は、予算特別委員会の質疑で、「生活保護世帯は優遇されすぎている」「300万円くらいの収入の世帯なら生活保護を受けているほうがいいと思うんじゃないか?」「生活保護の人を見れば、苦しい世帯は勤労意欲がなくなりモラルハザードになるのでは?」等の発言を繰り返したため、格差に苦しむ困窮者を切り捨てる思想として、党議員をはじめ他会派も厳しく批判する中、予算特別委員会全体会で謝罪し、発言を部分的に取り消し、予算委員会幹事を辞任することとなった。

 

7、党府議団は、請願や陳情を踏まえ、「日米の基地強化中止、土地利用規制法の廃止・撤回を求める意見書案」「消費税減税とインボイス廃止を求める意見書案」「裏金づくりの真相究明と企業・団体献金の全面禁止を求める意見書案」「国民健康保険事業費納付金値上げの見直しと公費の大幅増額を求める意見書案」及び決議案、「『こども誰でも通園制度』の見直しを求める意見書案」等、8意見書案、1決議案を提案し、採択に奮闘したが、わが党提案の意見書決議案には、自民・公明・府民・維国・無所属のすべての会派が一致して否決したことは、維国も含め、反共では一致するという、時代遅れの対応を続けていることを示したもので、府民的に全く説明できない事態に陥っている。

 しかし、今回、党府議団もいっかんして求めてきた「再審法改正に向けた速やかな議論を求める意見書案」が、京都弁護士会からの要請を踏まえ、全会一致で可決したことは重要である。

 

 新しい年度を迎え、京都府の機構改革なども行われることとなった。西脇府政二期目の折り返し点になる中、党府議団は、府民の暮らしと営業の実態に寄り添い、広範な府民の皆さんと運動をおこし、暮らしの底上げで先行きが見通せる提案と具体化をはかるため、引き続き全力をあげるものである。

以上

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