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府立高校入学者選抜制度・高校改革制度の見直しにあたって(見解)

2024/09/25 更新
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党府会議員団は9月24日「府立高校入学者選抜制度・高校改革制度の見直しにあたって」の見解を発表しました。

全文は以下のとおりです。

2024年9月24日

府立高校入学者選抜制度・高校改革制度の見直しにあたって(見解)

日本共産党京都府議会議員団

                                      団長    島田けい子

 9月18日、9月定例会府議会本会議で、前川教育長が、府内の公立高校の入学者選抜制度について、2027年度(令和8年度)入学から、前期選抜と中期選抜を一本化して2月中旬に実施する方針を正式表明した。教育長は、前回見直しである2004年度(平成26年度)入学者選抜から10年以上が経過し、中学生や保護者の学校選択のニーズが変化したとの理由を述べ、課題として、前期選抜と中期選抜ともに、同じ学校を志願している生徒が多く、同一校を二度受験することによる中学生の負担軽減を望む声があることや、「早くに合格を決めたい」という中学生や保護者が多くなっていることが進路選択に影響を及ぼしていること、選抜ごとで学科等によって募集割合が複数設定されており、複雑であることなどを挙げた。

これは、遅きに失したとは言え、府民や学校現場からの声に押され、見直しをせざるをえなくなったものである。

 我が党議員団は、現行入試制度の問題点について繰り返し指摘してきた。1つは、「何回もチャレンジできる」をうたい文句にして改編した三段階選抜の結果、初年度から「前期」選抜不合格者が7112人、翌年は6436人など、合格者より不合格者がはるかに多い異常な入試制度になっていることである。また、保護者からは「前期選抜で不合格になった生徒が中期選抜で同じ高校を受験し合格するのなら、なぜ何回も選抜を行う必要があるのか」との疑問や批判の声があることである。さらに、前期で不合格の生徒は中期を受けることができるが、「もう落ちたくない」と出願辞退や受験辞退が相次ぎ、私学へ流れる生徒があることである。加えて、「だめで、もともと」と受験するが予想以上のショックを受けて不調をおこし家に引きこもってしまうなど、生徒に重い精神的負担を与えていることである。我が党議員団は、こうした実態を示し、15歳の思春期の子どもの心を傷つけ、振り落とすための入試制度、競争主義と自己責任を押し付ける入学選抜は、一刻も早く見直すことを求め続けてきた。

振り返って、京都の高校制度は、1985年に「高校三原則」が廃止され、普通科に「類・類型制度」を設置し、「通学圏制度」が設定されたが、進路を早い段階で固定化し差別・選別するなどの矛盾が、定員割れなどを引き起こし、2014年に、京都市・乙訓通学圏を最後に、すべての通学圏で「類・類型制度」が廃止に追い込まれた。その一方で、中高一貫校や難関大学を目指す普通科系専門学科などには、国の重点支援枠指定で一校に1000万円などの特別の予算を配分、教職員を多く配置するなどの教育格差を作って特別な高校づくりをすすめてきた。そのうえで、「行きたい学校を選べる」ことをうたい文句に通学圏を拡大し、全府から生徒を集められる普通科型専門学科では前期選抜で100%合格など、生徒獲得競争を生み、学校間格差を広げてきた。こうした高校序列化と通学圏の拡大により、遠距離と長時間通学による保護者負担も増大した。この間も、毎年、前期選抜で合格者とほぼ同数の不合格者(約5000人)をだし、その弊害として、中期選抜で、残り定員が少ない職業系専門学科を敬遠したり、公立の受験をやめて私学受験を決める、あるいは、交通の便が悪い高校を避ける生徒など、公立高校の「定員割れ」が起こる事態となっている。

府教育委員会が2023年に「魅力ある府立高校づくり推進基本計画」策定に際して、高校生に行ったアンケートでは「学校選択の理由」として「自宅に近く、通いやすい」、「部活ができる」などの回答が多く、これらを踏まえた学校配置が必要である。府立高校の格差と序列化、低年齢からの学力競争や進学実績を競う受験競争の激化は子どもたちの人格形成もゆがめるものであり、競争教育ではなく、「どの子も人間として豊かに成長、発達することができる」教育、「希望するすべての子どもたちに豊かな高校教育を保障する」という基本に立ち返った高校制度改革と一体に、入学者選抜制度の見直しを具体化するべきである。また、これまでの制度の総括と制度の具体的見直しにあっては、現場教職や保護者、生徒の声を丁寧に聞いて進めることが必要である。

以上

府立高校改革制度の見直しにあたって.pdf