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2024年12月定例議会を終えて【団長談話】

2024/12/23 更新
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12月定例議会を終えて

2024年12月23日

日本共産党京都府会議員団 団長 島田けい子

 12月2日に開会した12月定例議会が12月19日に閉会した。

今議会は年の瀬が迫る中、引き続く物価高騰・資材高騰等による暮らしや経済の厳しさのもとで開かれた。また、衆議院総選挙の結果、少数与党による臨時国会が開かれ、政策活動費を廃止させるなど、「新しい政治プロセス」が現実政治に変化をもたらす中で、京都府と京都府議会が、どういった役割を果たすのかが問われる議会であった。

わが党議員団は、暮らしの願いに寄り添い、運動を起こし府民と連携し、要求実現に全力をあげるとともに、自民党政治と西脇府政の歪みの根本的転換を求める立場から攻勢的に論戦した。

 

1、今議会に提案された議案74件のうち、第1号議案「令和6年度京都府一般会計補正予算(第4号)ならびに、第7号から第49号、第54号の手数料・使用料のいっせい値上げに関わる条例改正議案の45議案に反対し、他の議案に人事案件も含め賛成した。

第1号議案「令和6年度京都府一般会計補正予算(第4号)」は、本来、異常な物価高など深刻な状況が広がっており、経済対策等が一刻の猶予なく必要であるにもかかわらず、一切計上されなかった。一方、京都アリーナ(仮称)整備事業のための計画・設計から整備・維持管理・運営に至る34年間の費用348億円を債務負担行為が提案された。11月26日に向日市民から「アリーナ計画の再検討を求める要望署名」計7,882筆が知事あてに提出され「静かな市民生活の維持と交通渋滞の不安解消のために府道整備こそ急いでほしい」「市民の願いは子ども達が自由に遊び、球技ができる広場や市民の憩える公園の設置である」「市民の声をしっかり聞く機会を作ってほしい」などの声が示されたにも関わらず、住民説明会も開かず全体像も明らかしないまま、整備・運営を担う優先交渉権者に大手商社の伊藤忠商事を代表とする企業グループを選定し、スケジュールありきで進めるやり方は極めて重大である。しかも、34年もの巨額の債務負担行為による予算の先取りは、財政の硬直化を招き住民福祉の増進という自治体本来の役割を歪めるものである。さらに大阪・関西万博の機運醸成のためとして「京都府周辺まるごとゲートウェイ事業費」に債務負担行為8900万円が計上されたが、万博関連予算は9月補正予算の7,000万円と合わせ1億5,900万円にも上り、京都府でも野放図に膨れ上がっており、施策も税金の使い方も重大である。

第7号から第49号、第54号の手数料・使用料の値上げに関わる条例改正議案が提案された。これらは、「受益者負担の適正化」を図る必要があるとして、府立植物園や府立体育館をはじめ33施設の料金値上げや、納税証明など手数料などを33年ぶりに一斉に値上げするものである。

審議を通じ、府立洛南病院の特別診断書手数料は、3,570円から7,700円と2倍以上となり、その根拠として公的病院で一番高い京都大学付属病院に合わせたことが明らかとなった。また、関係団体や利用者などからの意見を一切聞くことなく提案したことも明らかとなった。しかも膨大な各種値上げの全貌を具体的に示さないまま、「詳細は条例改正後」などと開き直り、今後3~4年毎に再検討し、さらなる値上げに道を開くものである。

知事は、値上げ分は自主財源の確保や、施設の維持管理や設備投資に充てることも述べたが、施設の維持・管理などは、本来、通常から行うべきもので、ここにきて受益者負担を押し付けることは重大である。

なお、第67号議案「職員の給与等に関する条例等一部改正の件」は、人事委員会勧告に基づく職員給与等の引上げは賛成したが、①ベテラン職員の引上げは数千円にとどまり、物価高騰の実態からみても極めて不十分であること、②扶養手当については子どもへの手当てを増額する一方で、配偶者への手当てを廃止していくこと等、職員の処遇改善にはいまだ課題を残したままである。また、本議案には知事と副知事、府会議員の期末手当引上げが含まれているが、この点については反対した。なお、第67号議案について、維新国民議員団理事から理事会の場で「賛成3、反対9」と意向表明がされ、本会議では討論で触れることなく、起立採決の際に維新議員9人が起立しなかった。賃上げが大きな課題となっている時に、とにかく給与の引き上げだけは反対するという道理のなさを自ら示した。

 

2、総選挙の国民的審判の影響が色濃く反映し、わが党議員団が運動と結んだ攻勢的論戦を行ったことが、大きな変化を作り出す上で役割を果たした。

中でも、北陸新幹線延伸計画をめぐり、「12月中旬に1案を決め、2025年度内の認可・着工をめざす」とされる緊迫した事態のもと、代表質問で西脇知事に「いつまでも『機構には慎重な調査と丁寧な地元説明を行ってもらう必要がある』と同じ答弁を繰り返している場合でなく、計画そのものを中止させるべき」と迫った。

また、わが党議員団は、議会中の12月10日に、国交省と鉄道運輸機構からヒアリングを行った。そこでは、「地元自治体に説明・協議している」と述べた国交省が、「各府県連絡会議」に提出され、公開されている資料がすべてであることを認めたうえに、相談の窓口はあくまで京都府として、直接影響が出る恐れのある南丹市、京都市、久御山町、京田辺市等への説明も相談もしていないことが明らかとなった。さらに、環境影響評価の現地調査について、自治会など住民合意ができていない美山町田歌区や京北町山国地域において、「東京などに住んでいる不在地主や一部住民に協力を得て現地調査は完了した」と、地域を分断する無茶苦茶なやり方で進めてきたことも明らかとなった。

こうした内容を広く告発するとともに、12月13日に西脇知事、松井京都市長らが与党PTからのヒアリングがあり、その内容も知らせるため、翌12月14日に、緊急報告会をオンライン開催したところ、約100人が参加されるなど世論と運動を広げるため一貫して力を尽くした。

さらに最終本会議に、わが党議員団が「北陸新幹線延伸計画中止を求める意見書」案、「北陸新幹線のルート決定強行に抗議する決議」案、「サンダーバードの拡充・復活を求める意見書」案を提案し、「小浜―京都ルートも米原ルートも建設すべきでなく、むしろサンダーバードの拡充こそ必要である」と迫る中、維新・国民会派から「北陸新幹線延伸ルートを改めて比較検討することを求める意見書」案、自民・公明・府民3会派から「北陸新幹線敦賀・新大阪間の整備に関する意見書」案及び「災害時のリダンダンシー確保及び能登半島復興支援に向けた特急『サンダーバード』をはじめとする鉄道網の充実を求める意見書」案が提案された。わが党議員団の意見書・決議案は否決されたものの、「北陸新幹線敦賀・新大阪間の整備に関する意見書」案及び「災害時のリダンダンシー確保及び能登半島復興支援に向けた特急『サンダーバード』をはじめとする鉄道網の充実を求める意見書」が可決することとなった。

北陸新幹線延伸をめぐっては、世論と運動に押され、11月11日に自民党府議団が「現行ルートの再考を強く国に求める」要望書を提出し、西脇知事は「大変重いものがある」と答え、また12月2日には、京都府酒造組合連合会、伏見酒造組合から「地下水脈の遮断、井戸の枯渇、水質変化が危惧される非常事態」とする要望書を西脇知事と松井京都市長に提出、12月19日には京都仏教会が西脇知事に「自然を敬いながら共存すべきだという仏教の教えとかけ離れた『千年の愚行』だ」とする申し入れを行うなど、これまでの世論と運動の上に、大きな変化が生まれ、12月13日に行われた与党PTヒアリングでも、西脇知事、松井京都市長が、京都地下延伸による問題点が報告され、12月20日に再度開かれた与党PTで年内の具体的な選定が見送られ、来年度(2025年度)中の着工が困難となり、終了後、西田参議院議員・与党PT座長は「地元合意ができないと工事は進められない。」と述べざるを得なくなった。まさに世論と運動の力である。引き続き、北陸新幹線延伸計画そのものを中止させるため、全力を尽くす。

なお、本議会に、元自民党府議の二之湯氏が、「自民党府議団は反対できないだろう」などとして、片山自民党府議が紹介議員となり提出された「北陸新幹線整備に関する請願」は、自民党府議団が西脇知事に提出した要望書と同様の内容で、自民党議員団は混乱した。結果、片山府議は自民党議員団に紹介議員なったことを謝罪し、紹介議員を取り下げることとなった。わが党議員団は「建設推進の内容である」として同請願に反対を表明したが、他会派は一言も発せず反対し請願は否決された。

 

3、運動と連携して、府民要求実現に力を尽くした。

中小企業支援と賃上げは、党府議団が一貫して取り組んできた課題である。

今年8月5日、京都地方最低賃金審議会の答申で、京都労働局長に最低賃金を50円引上げ、1058円とするとともに、「中小企業・小規模事業者を対象とした消費税の減免措置や社会保険料の事業主負担分の免除・軽減等、賃上げの原資の確保につながる直接的な支援策を行政として実施するよう、政府に対し強く要望する」「最低賃金の地域間格差による労働力流出」に対し「中央最低賃金審議会に再考を要望した」こと等、重要な答申が出された。ところが、11月15日、京都府は「京都労働経済活力会議」を受け、持続的な賃上げに向け「消費税の減免や社会保険料の事業主負担分の免除・軽減」「賃上げを直接的に支援する新たな支援制度の創設」「最低賃金の地域間格差による労働力流出防止」対策を抜いた緊急要望書を提出したことを代表質問で告発し、その理由を明らかにするよう求めるとともに、都道府県でも実施が広がっている直接支援の決断を求めた。

また、総選挙で各党が公約した学費無償化についても、府議団として交付金増額を求めるとともに、大学の学費値上げストップ、京都府こそ独自の支援拡充を求めた。

さらに、京都ですすむ戦争体制づくりの動きについて、改憲を支持する議員が先の総選挙で2/3を割り込んだことを知事としてどう受け止め、また長距離ミサイル保管のために増強する大型弾薬庫を祝園分屯地にも建設することに対し、今年3月「京都・祝園弾薬庫問題を考える住民ネットワーク」が結成され、9月には説明会の開催を求める署名6067人分を防衛省に提出されるなど、府民の生命と財産を守る知事として、説明を求めるよう強く迫った。

また、本議会に「京都の公立高校30人学級をすすめる会」「子どもと教育・文化を守る京都府民会議」のみなさんが、1万3147筆の署名を添えて、「すべての子どもたちが安心して学べる学校づくりと教育条件の整備に関する請願」を府議会に提出され、懇談し採択に全力をあげた。今年は総選挙の結果もうけ、「教育の無償化」「給食費の無償化」など実現の可能性が高まっており、これまでの運動の積み重ねの重要さへの確信が広がり、熱気ある懇談となった。こうした中、学校体育館への冷暖房の計画的導入に向けた検討が議会答弁として表明された。

しかし、請願審査で自民党議員から「京都式少人数教育で、すでに実施し効果がある」などとして、わが党以外議員が全員反対し否決し、閉会本会議で同請願をふまえたわが党議員団の意見書・決議の提案にも、他会派すべてが反対し否決するという、府民の願いとかけ離れた対応をとったことは重大である。

 

4、西脇府政の国いいなり、開発優先の姿勢がいっそう明瞭となった。

「大阪・関西万博」にあたり、生徒の参加費を支援する「万博子ども体験事業」に関し学校意向調査の結果が公表された。この調査では、「利用する予定」は36%、「利用しない」は37%、「検討する」が23%となり、府の予算化に合わせ、食費やバス借り上げ代駐車場代を負担する自治体では100%利用などの地域格差も顕著である。また、「利用する」と回答したところでも「詳細な地図がわからず、安心して子どもを連れていくイメージがない」「熱中症対策が徹底できるか不安」「メタンガスの爆発事故が心配」などの声がまとめられている。下見もできず、ガス爆発事故の危険性も続いているところに、「子どもを行かせられない」との声が出ているにもかかわらず、「学校の自主的判断だ」とし、事故が起こればその責任を学校現場や保護者に押しつけることになりかねず、極めて無責任で、事業は中止すべきである。

また、向日市に建設予定の「京都アリーナ」(仮称)は、住民の道路拡幅をはじめとした切実な願いに応えないまま補正予算(債務負担行為)を提案する一方で、勤労者福祉センター条例の一部改正の骨子案が報告され、来春2月府議会に5つの勤労者福祉会館のうち、城南、中丹、丹後の会館を廃止する条例改正案を提案した。審議を通し、「福知山市や利用団体からは代替措置を求める声が出ており調整している」と答弁があり、また年間10万人もの利用があることも示さざるを得なかった。住民の反対があっても巨大アリーナは建設するが、府民の身近な施設は廃止するというやり方は重大である。

 

5、府営水道事業の広域化等の動きが進められており、その問題点を厳しく追及した。

「持続可能な府営水道のあり方について」(第三次答申)が報告され、答申には、「経営一体化」として、上下水道一体の公民連携、ウォーターPPP導入など「あらゆる手法を検討すべき」とされ、本会議では、自民党から「ウォーターPPP導入を」と求める質問が出された。府は「すぐれた技術を生かし、経営基盤を安定させる上で有効な選択肢の一つであり、様々な手法を選択するのかは、事業者で主体的に判断される」と答弁した。今後、府営水道の広域化、民間委託など注視していくことがいっそう求められる。

また、答申で示された、次期5年間の総費用がマイナス3.5%と見通しが示され、料金が下がると報道された。わが党議員団は「当初は建設負担料金が下がるが、施設整備方針により、今後、建設負担水量が増えるので、値上げされる市町もあるのではないか」と指摘し、京都府として施設整備方針をどうするのかについて追及したが、「今後、受水市町と府営水道で協議していく」とし、金額がどうなるかについては全く分からず、また「施設整備方針も十分議論が進んでいない」とし、各市町で論議する前提として情報を示すよう求めるとともに、そもそも国の水資源開発計画の見直しが必要と指摘した。

 

6、日本原水爆被害者団体協議会が、ノーベル平和賞を受賞され、わが党議員団は「被爆者の願いに応え、核兵器禁止条約への参加、原爆被害者への国家補償を求める意見書」案を提案した。

13歳で被爆された田中熙巳代表委員は、ノーベル平和賞授賞式で講演で「核兵器の保有と使用を前提とする核抑止論ではなく、核兵器は一発たりとも持ってはいけないというのが原爆被害者の心からの願いです」と述べ、「何十万人という死者に対する補償は一切なく、日本政府は一貫して国家補償を拒み、放射線被害に限定した対策のみを今日まで続けてきています」と力をこめ、繰り返し強調された。わが党議員団は、閉会本会議で、「被爆者と固く連帯し、非核の日本と世界の実現に力を尽くそうではありませんか。」と呼びかけたが、他党議員が、全く意見も表明しないまま、軽々しく否決したことに満身の怒りをこめて抗議するものである。

また「企業団体献金の全面禁止、裏金問題の全容解明を求める意見書」案や京都府保険医協会から提出された陳情をふまえ、「健康保険証の存続を求める意見書」案、「大阪関西万博に関する決議」案、「緊急に消費税減税とインボイス制度廃止を実施することを求める意見書」案等を提案したが、他党議員がすべて否決した。

 

総選挙の国民的審判、そして北陸新幹線延伸計画が行き詰まるなど、自民党政治の大本の転換が、いよいよ求められるとともに、年末が迫る中、食料提供プロジェクトに多くの方々が参加される事態が広がるなど、暮らしの願いを実現することが緊急に必要である。

わが党議員団は、暮らしに寄り添い、来夏の参議院選挙で勝利するため、全力をあげるものである。

以上

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