6月12日に開会した6月定例議会が、参議院選挙公示日の7月4日に閉会しました。6月議会の特徴と議員団の論戦を紹介した「終えて談話」を発表しましたのでぜひお読みください。
2019年6月定例議会を終えて
2019年8月2日
日本共産党京都府会議員団
団長 原田 完
6月12日に開会した6月定例議会が、参議院選挙公示日の7月4日に閉会した。
今議会は、西脇知事のもとで一年延期された「新京都府総合計画」(案)の審議をするための特別委員会審査も含め行われた。また、参議院選挙目前の中で開かれた。わが党議員団は、府民の暮らしの切実な願いをとりあげるとともに、希望を語る論戦に取り組んだ。
1、本議会に提案された議案63件のうち51議案は、10月に予定されている消費税増税に伴い、各申請手数料や施設利用料を一律約2%引き上げようとするものである。厳しい家計も京都経済にも深刻な影響を与える消費増税はとうてい実施する状況になく、しかも、今回の料値上げには、消費増税に伴う政令による全国一律改正のみならず、京都府の判断で引き上げようとするものも含まれている。これはこれまで消費税増税の際に値上げしなかった経緯もあるだけに、今値上げすることはまさに便乗値上げの類であり反対した。
第3号議案「京都府森林環境譲与税基金条例制定の件」は、「森林環境税」により、国民一人当たり年間1000円の住民税を上乗せして徴収し、森林環境譲与税を創設して基金を積み立てるものである。そもそも日本の林業の衰退は、1964年の木材輸入自由化による海外の安価な木材の流入等によるもので、しかも政府は25年間で6000億円も林業予算を減らした責任は重大である。その反省ないまま、森林整備に係る財源負担を個人に押し付けることは間違いで、しかも逆進性が高く、さらに本府の「京都府豊かな森を育てる府民税」府民1人あたり年間600円との二重課税になることも問題であり反対した。
第5号議案「府税条例の一部改正の件」は、新設される特別法人事業税は、地方税を国が取り上げ、他の自治体に回すやり方を恒久化するもので、地方自治体の課税自主権を侵害し、地方税制にゆがみを持ち込むものである。また、自動車税率の恒久的な引下げと環境性能割の1%減税は、消費税増税による駆け込み需要と反動減への対策を行うものであり、反対した。
第54号議案「京都府卸売市場条例廃止の件」は改正卸売市場法によって卸売市場の認可制が認定制に変更され、卸売市場に対する自治体の責任が大幅に縮小され、大手民間流通資本の参入が促進され、中小の仲卸業者や買出し人などが卸売市場利用から排除される危険があり、反対した。
第59号議案「京都地方税機構規約変更に関する協議の件」は、固定資産税(償却資産)の課税事務共同化等に伴う京都地方税機構の規約変更を行うもので、自治体の課税自主権を侵害する地方税機構の業務拡大は問題があり反対した。
なお、第1号議案「令和元年度京都府一般会計補正予算(第1号)」は、大津市で発生した園児をまきこむ交通事故をふまえ安全対策を講じ、また連続する災害への補正であり賛成したが、業者も人員も体制も弱いまま、現場にしわ寄せがいかないよう体制整備等を強く求めた。
また、追加提案された第63号議案「令和元年度一般会計補正予算」は賛成したが、その内容は、井手町に新設予定の特別支援学校の本体工事の入札不調にともなう再入札のための調査等による債務負担行為の限度額を補正するものであり、連続する災害に加え、東京オリンピック・パラリンピックにともなう各種資材高騰や人材確保難などによるもので、開校にむけ生徒や保護者に負担が生じないよう万全の対策を求めるものである。
2、京都府立京都学・歴彩館の指定管理者導入の条例案が提案され、わが党議員団は、関係者等と連携し、積極的に論戦した。
第14号議案「京都府立京都学・歴彩館条例一部改正の件」には、施設全体の設備の維持管理に関する業務と、大小ホールと駐車場の施設の使用の承認に関する業務、また知事が別に定める業務に関して、指定管理者制度を導入しようとするもので反対した。
そもそも京都学・歴彩館は旧総合資料館の機能を引き継ぎ、府民の財産である公文書や京都の歴史的な資料などの収集、保存と研究支援等を行う施設であり、世界遺産に指定された東寺百合文書や国宝級の資料なども有する公共性の高い文化・学術施設である。極めて貴重な府民共有財産を管理・支援する施設を、営利企業に委ねる指定管理者制度を導入することは極めて重大である。
議案審議を通じ、「定型的カウンター業務は指定管理に、専門的なレファレンスは直営で」との理事者の発言があったものの、定型的カウンター業務も専門的なレファレンスも区別は難しく、定型的な業務も専門性のある職員がおこなっているからこそ質の高いものになっている。
さらに、専門的なサービスを府民に提供してきた嘱託職員や有期雇用の職員の雇用が脅かされる危険があり、これまで築いてきた専門性が担保できず、府民サービスの後退を招く結果になりかねない。しかも今後、指定管理の範囲が際限なく拡大される恐れがある。こうした施設をコストで推し量り、産業化していくことは問題である。また、この地域一帯を旧府立資料館跡地の利活用も含め、「北山文化環境ゾーン」として整備が予定されているが、府民参加による整備となるよう公的責任を厳しく求めるものである。
3、この数年間にわたり、保護者や地域を巻き込んだ運動に広がってきた丹後の公立高校統廃合に対し、京都府は、新たな案を第50号議案「京都府立高等学校等設置条例一部改正の件」として示した。その内容は、京都府立宮津高校と加悦谷高校を「京都府立宮津天橋高校」に、網野高校と久美浜高校を「丹後緑風高校」に統合して学舎制を導入すること、京都府立宮津高校伊根分校、峰山高校弥栄分校、網野高校間人分校を新たなフレックスハイスクールとして京都府立清新高校に統合再編するものであり反対した。
わが党議員団は、これまで地元の地域に高校があることで、それぞれの高校と地域とが一緒になって伝統や文化を支え、地域を発展させてきた歴史をふまえ、地域の学校としての存続を求めた運動と論戦を行ってきた。府教育委員会の「再編・統合」方針のもと2017年に府教育委員会が行った保護者アンケート等の結果でも、一番多かったのは「本校継続」、次いで「普通科の充実」であり、学舎制の導入を望む声はもっとも少なく、しかも分校統廃合についてはアンケートの対象にすらなっていなかった。ところが再編ありきで進める府教育委員会に対し、保護者や地域住民から地域の持続的発展、普通科の設置、少人数できめ細かな教育、通学費や通学時間の負担軽減、時間をかけて議論の保障などが繰り返し要望され、京丹後市議会や与謝野町議会からも地域住民の声を聞くこと、丁寧な説明を行うこと、市町との連携を図ることを求める意見書が教育委員会に提出されてきた。さらに学舎制の見直しと単独校存続、多様な進路選択が可能な普通科を柱にした学科編成、小規模校のメリットを生かす教員配置を求める署名も提出され、何度も丹後から保護者や教員などが府教育委員会を訪れ今年5月には「これまで公聴会やニュースなどで生徒・保護者にメリットとして約束してきたことが実現できないならば、実現の目処がつくまで再編を延期すること」などを求める第4次の要望書が提出された。こうした要望を無視し、学舎制とフレックスハイスクールありきで再編統合を進めることは許すことができない。
さらに、来年度からの実施予定にもかかわらず、教育課程や専門教育の教員配置、通学や部活などの移動手段の確保についても明らかにされず、また、ICTの遠隔教育による学力保証の問題など、これまで多くの保護者や生徒、地域、学校現場から出された問題を置き去りにしたままスタートさせることは重大である。
4、「京都府行政運営の基本理念・原則となる条例」にもとづき2020年~2030年をめどとした「明日の京都 総合計画」を踏まえ、西脇新知事のもと、新たに今後の京都府のあり方を2040年をめどに策定する「京都府新総合計画」(案)が今議会に提案され、「特別委員会」を設置し集中審議が行われた。わが党議員団は、京都府と府民がおかれている現実の原因と責任を明らかにするよう求めた。また自治体戦略2040提言が示す、「スマート自治体への転換」「プラットフォームビルダーへの転換」「広域連携と二層制の柔軟化」など自治体のあり方の根本的転換の動きを批判し、本府の計画がその狙いとの関係でどういう方向にあるのかについて、現実の施策をふまえ論戦した。そうした中、北陸新幹線の延伸、消費税増税の影響をはじめ、西脇知事が国の方針の具体化を忠実に率先して推進する姿勢であることが浮き彫りとなった。
中でも府営水道事業の広域化は、西脇知事も答弁で「事業の基盤強化が不可欠であり、広域連携は有効な方策の一つであることから、京都府が調整・推進役となり、市町村がそれぞれの地域の実情に応じて、広域連携や広域化も選択できるよう取り組みを進めてまいりたい」と述べるなど、京都府水道グランドビジョンにもとづき、広域連携・広域化ありきで推進されており、来年度にむけ水道料金問題もあるだけに、市町村と連携した運動と論戦が急がれる。
5、京丹後市の米軍レーダー基地の発電機が5月に続き、今議会中に住民との約束を反故にして、夜間も含め24時間再稼働したことが明かとなった。わが党議員団は、即時停止を求め京都府に抗議の申し入れを行ったが、引き続き日米地位協定の抜本改定とともに、基地そのものの撤去と憲法を守る運動に取り組むものである。
6、今議会では、消費税増税に反対する意見書案、年金の抜本的改善を求める意見書案など5意見書案および1決議案を提案したが、他会派からは一件も提案がなく、またわが党以外の会派は、国会で年金問題が大きな問題になっており、また参議院選挙で市民と野党の共闘が共通政策もふくめいっそう前進している中、本府議会では国政野党も含め、わが党以外の全会派が「オール与党」対応の枠を一歩もでず、すべて否決したことは府民的に全く説明がつかないものである。
しかも「京都府新総合計画(案)」特別委員会の副委員長選挙において、岸本ゆういち議員(自民党・北区)が、わが党を役員から排除するために、誰に投票するかを書いた分担メモを投票箱に投入し、さらに正式な投票用紙まで投票するという前代未聞の事態が起こった。わが党議員団は即時抗議し、事態の説明と謝罪を求めた。投票は無効となり本人謝罪の上、再投票となったが、その結果、「オール与党」会派が副委員長ポストを独占することとなった。投票が無効となったことに加え、副委員長から第二会派のわが党を排除するという「オール与党」政治の劣化ぶりが明かとなった。
参議院選挙では京都選挙区で倉林明子参議院議員、井上哲士参議院国会対策委員長の再選を果たすことができた。これは京都での市民と日本共産党との共闘が大きな前進をする中での市民とともに勝ち取った勝利である。
わが党議員団は、ご支援いただいたすべての皆さんに心より感謝申し上げるとともに、引き続き掲げた公約実現、消費税増税や憲法改悪許さない等、全力を挙げるものである。
7月18日、京都アニメーション第一スタジオの放火・爆発事件により、35名の命が奪われ、いまだ33名の方が治療中となっておられます。未曾有の凶悪な事件でお亡くなりになられた方に心からご冥福をお祈りいたしますとともに、被害に遭われた方やご家族の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
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