6月16日行われた京都府議会代表質問での、浜田よしゆき議員【京都市北区】の質疑(大要)をご紹介します。
しんぶん赤旗 2025/06/18
西田昌司参議院議員の暴言に京都府議会として抗議・撤回を呼びかける
【浜田議員】日本共産党の浜田良之です。会派を代表して質問いたします。
質問に入る前に、議長のお許しをいただいて一言述べさせていただきます。自民党の西田昌司参議院議員の沖縄戦の真実を否定する発言に怒りの声が巻き起こっています。沖縄県議会は5月16日に、自民党も賛成して、「戦没者や戦争体験者を冒涜し、県民の尊厳を踏みにじる発言で、満身の怒りをもって抗議する」との西田氏に謝罪・撤回を求める決議を採択しました。京都市議会は6月6日に「強い遺憾の意を表明する」とする決議を賛成多数で採択しました。一方、西田氏は雑誌「正論」7月号への寄稿文で、「『ひめゆりの塔』発言を訂正・謝罪したのは『TPO』をわきまえない発言だったからで、その他の部分は事実です」と開き直っています。沖縄戦では、多くの京都府民も犠牲になり、激戦地となった喜数高台公園には「京都の塔」があります。沖縄戦の史実を捏造する西田氏に、京都府議会としても、抗議・撤回を求めようではありませんか。
また、先日国会で強行採決された日本学術会議解体法案は、憲法が定める「学問の自由」を侵害し、軍事研究に協力させられた戦前の教訓を投げ捨て、学術会議を軍事目的の学術研究に協力する組織に変質させるものであり、断固として抗議をいたします。
異常な物価高騰から府民の暮らしを守る3つの提案
【浜田議員】それでは質問に入ります。
異常な物価高騰が府民の暮らしと中小業者の営業を直撃し、加えてトランプ関税の影響も出始めています。日本共産党は、全国で要求・対話アンケート活動にとりくんでいますが、「年金は上がらないのに、何もかもが値上げで生活が苦しくなった」「食べざかりの子どもたちに、ご飯のおかわりを制限するのが辛い」など、切実な声がたくさん寄せられています。私ども議員団として、4月に久御山町内の中小業者の実態調査を行ないました。自動車製造用機械の製造・組み立てをされている業者は、トランプ政権の自動車部品への追加関税発動の動きが出て、「5月~6月の仕事が入って来ない。売り上げは1~2割減っている。銅などの材料費や光熱費も2割~3割上がっている」など深刻な実態を話されました。他の業者からも「1割5分くらい売り上げが落ちている」「物価が高騰して経営が厳しい」などの声が寄せられました。この異常な物価高から暮らしと営業を守ることこそ、政治の果たすべき責任です。日本共産党は、物価高騰から暮らしを守る緊急提案を発表しています。
第1の提案は、消費税廃止をめざし、緊急に5%に引き下げ、インボイスは廃止をすることです。食料品、水光熱費をはじめ、あらゆるものの価格が上がっている今、毎日の買い物にかかる消費税の負担を減らすことは、最も効果的な物価高対策です。インボイス発行のために課税事業者になると、身銭を切って消費税を納めなければならなくなります。一方、インボイスに登録しない事業者は、取引打ち切りやダンピングにもあっています。フリーランスや自営業者を苦しめるインボイスは直ちに廃止すべきです。
消費税を5%に減税すれば、平均的勤労者世帯で年12万円の減税となります。また、消費税を5%に減税すれば、インボイス導入の口実とされる複数税率もなくなり、インボイス制度を直ちに廃止することができます。
知事はこれまで「消費税は全世代型社会保障の財源」と繰り返して、消費税減税の願いに背を向けてきましたが、異常な物価高が国民のくらしを直撃するもとで、この間の一連の世論調査では、国民の7割以上が消費税減税を求めており、与野党を問わず消費税減税を主張しています。知事はこの消費税減税を求める声に応えるべきではありませんか。お答えください。
世論調査ではまた、国民の7割が「財源を明らかにすべき」と答えています。消費税減税の財源を国債の増発に求めることを主張している政党もありますが、国債は極めて不安定な財源であり、インフレを招く危険もあり、利払い費が暮らしの予算を圧迫することにもなりかねません。国会の論戦を通じて、自民党議員も「消費税の増税分は法人税の減税で消えており、社会保障費の削減も続いている」と認めざるをえなくなっています。社会保障の財源は、年11兆円にものぼる大企業の法人税減税や富裕層・大株主への優遇税制をあらためて、大企業・富裕層にその儲けにふさわしく応分の負担を求めて捻出すべきです。財源も明確に示して、消費税減税とインボイス制度の廃止を求める、私どもの提案について、知事の見解をお聞かせ下さい。
第2の提案は、中小企業の賃上げを支援し、最低賃金をすみやかに時給1,500円に引き上げ、1,700円をめざすことです。石破首相は5月22日の政労使会議で、2020年代中に最低賃金を時給1,500円に引き上げるために、「あらゆる施策を総動員する」と述べました。大企業は空前の利益をあげ、多額の内部留保をため込んでいるので、今年の春闘でも、ほとんどの大企業が満額回答でした。しかし、中小企業は賃上げしたくても原資がないのでできません。わが党の緊急提案では、564兆円にまで膨らんだ大企業の内部留保金の一部に税金をかけて、年間10兆円程度の財源をねん出して、賃上げを行なった中小企業への補助金、赤字企業でも支払わなければならない社会保険料の事業主負担の減免など、直接支援を行なうことを提案しています。
京都府においては、産業創造リーディングゾーン推進事業やスタートアップ企業への支援に重点がおかれ、京都の企業の9割をしめる中小企業に対する直接の支援はおこなわれてきませんでした。しかし、全国の地方自治体では、賃上げした中小企業への直接支援を行なっているところが増えています。例えば、徳島県、岩手県、奈良県では昨年の補正予算で、群馬県では今年の当初予算で、賃上げを行なった中小企業に労働者1人あたり5万円~10万円の補助金を出す制度をつくりました。徳島県ではこの補助金制度の活用で、倒産件数が減少するという効果が生まれており、徳島県の制度は国の経済財政諮問会議の参考資料として紹介されています。京都府でも、賃上げした中小企業への直接支援に今こそ踏み出すべきではありませんか。
第3の提案は、物価高騰による医療・介護の経営危機・提供基盤の崩壊を食い止め、ケア労働者の賃上げを図る緊急措置を行なうことです。
医療の分野では、医療団体の調査で61.2%の病院が赤字に陥り、診療科や入院患者の受け入れを減らすとか、救急医療が廃止されるなどの事態が広がっています。そうした中で、厚生労働省が打ちだした病床を削減する病院に1床あたり410万円の給付金を出す「病床数適正化支援事業」の活用意向を示した病床数が、全国で5万床、京都府で2,047床にも上っています。さらに重大なことに、自民・公明・維新の3党が「4兆円の医療費削減」をめざして、第一歩として11万もの病床削減に合意を致しました。今日の事態をつくった最大の要因は、低賃金・長時間労働により医療従事者の離職が増え、人手不足に陥っていることにあります。わが党の緊急提案では、緊急に国費を5千億円程度投入して、診療報酬の基本部分を引き上げること、患者負担増にならないようにして、医療崩壊を止め、医療従事者の賃上げをはかることを提案しています。
介護分野では、とりわけ訪問介護の介護報酬削減によって退職が相次ぎ、事業所の閉鎖が相次いでいます。老人保健施設の事業者など介護10団体が行った緊急調査では、昨年4月の介護報酬改定を受けた2024年度の事業収支は、報酬が引き下げられた訪問介護を含む在宅系の46.8%が赤字でした。私の地元の北区になる介護事業所や包括支援センターでお話を聞くと、「賃金が低いため、若い人がやめていき、60代~80代のヘルパーさんが必死に支えてくれている」「ケアプランを作っても、実施してくれる事業所が見つからない」などの声が寄せられました。わが党の緊急提案では、介護保険の国の負担割合を10%程度増やし、1.3兆円を投じて、介護従事者の賃上げを行なうことを提案しております。
そこで伺います。知事は、医療・介護が崩壊の危機に直面しているという認識はありますか。京都府として、国に対して、次期報酬改定を待たずに、直ちに診療報酬、介護報酬を抜本的に引き上げることを強く求めるべきではありませんか。お答えください。
京都府ではこの間、医療機関等物価高騰対策事業費、生産性向上・人手不足対策事業費、医療機関・福祉施設職員処遇改善等推進事業費など支援金事業が実施されていますが、現場からは、「生産性向上対策事業を申請しヘルパーに1人1台スマホを導入したが、200万円の補助がおりず持ち出しになった」「セミナーについては、1回やったぐらいでは生産性向上につながらない」などの声が出ています。現場の声を聞いて、現場のみなさんが安心して利用できる事業に改善すべきではありませんか。
新潟県村上市では、基本報酬引き下げによる減収分を支援する事業を昨年度から3年間の予定で実施しています。ガソリン代高騰への対応で事業所の車両1台当たり3千円の支援も行なっています。京都府でも介護事業所への直接支援を実施すべきではありませんか。お答えください。
減反・減産の押しつけから増産へコメ政策の抜本的転換を
【浜田議員】コメ不足・価格高騰問題は、昨年比2倍の価格高騰が家計を圧迫し、コメ農家が激減し生産基盤が急速に崩れるという、二重の危機が起こっております。日本共産党の紙智子参議院議員を迎えて大江町で開催された農業問題を考える懇談会には、180人もの参加があり、参加者から、「私も還暦を過ぎ、次の世代の若者に農業をつなげるよう、生活ができる水田を中心とした農業経営を作っていくには、もうそんなに時間がありません」「お米屋さんが、『お得意さんに、毎回毎回値上げを言わないといけない』と涙ながらに訴えておられた」など、深刻な実態が語られました。
政府はようやく備蓄米の放出に踏み出しましたが、深刻なコメ不足・価格高騰問題は、その場しのぎの小手先細工では解決できません。問題の背景には、農家への減反・減産のおしつけ、生産基盤そのものを弱体化させる一方で、毎年77万トンものアクセス米を輸入するという、自民党農政の失政がありました。したがって、農政の根本的な転換が必要です。具体的には、減反・減産の押し付けをやめて、大幅増産に切り替えること、所得補償と価格保障で農家が安心してコメが作れるようにする、ミニマムアクセス米の輸入を直ちに中止することです。そのために、軍事費の4分の1にまで減らされた農業予算を緊急に1兆円増やすことです。
京都府はこの間、国の減反政策に忠実にしたがって、コメ農家の大規模化や野菜などへの転作を促進してきましたが、京都では小規模の家族農業が中心で、中山間地が多く、大規模化には適していません。そこでお聞きします。知事は、コメの生産量は足りていると考えておられますか。今こそ減反から増産へと米政策を切り替えるべきではありませんか。所得補償・価格保障については、府独自にも検討して、特栽米や有機農法など、「こだわり」農法を実施する農家への所得補償制度や、すべての産地・農家が加入できる価格安定制度を確立すべきではないでしょうか。知事の認識はいかがですか。
【知事答弁】浜田議員の御質問にお答えいたします。消費税についてでございます。
物価高騰が家計や企業経営に影響を与えており、こうした負担軽減のための対策の一環として消費税減税を求める意見が出てきているものと承知をしております。消費税につきましては、全世代型社会保障に必要なものとして法律で税率の引き上げが行われたものであり、そのあり方につきましては、少子高齢化社会における我が国全体の社会保障財源の問題として、国において検討されるべきものと考えております。
また、消費税収の約4割は地方税財源であり、社会保障関係経費の増加や物価高騰などによって地方財政が厳しい状況にある中で、地方が安定的に行政サービスを提供していくためにも、地方への影響に十分配慮した上で丁寧に御議論いただくよう、今月、全国知事会からも国に緊急提言を行っております。
インボイス制度につきましては、複数税率のもとでの適正な課税を担保するための仕組みとして導入されたものであることから、今後とも、国に対しまして、制度の円滑な運用のために必要な支援を要望してまいりたいと考えております。
また、京都府といたしましては、府民生活と地域経済を守るため、物価高騰対策を含め、令和7年度当初予算及び今定例会で提案している補正予算に必要な事業を盛り込んでおり、これらによる支援に着実に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、中小企業の賃上げについてでございます。
賃金の引き上げが持続的に行われるためには、中小企業が原資となる収益を確保できるよう、経営基盤の強化など、体力をつけていただくための支援を重点的に行うことが重要だと考えております。このため、京都府では、国に対しまして、中小企業が賃上げの原資となる収益を確保できるよう、生産性向上の支援など、賃上げに向けた環境整備を要望していたところでございます。
また、昨年度の2月補正予算でお認めいただいた生産性向上人手不足対策事業では、生産工程の見直しや社員の意識改革などに成功した生産性向上の好事例やノウハウを学び、その内容を踏まえた設備導入等の取り組みを行う企業を支援しているところでございます。今後とも、あらゆる施策を総動員して、賃金引き上げができる環境の整備に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、医療・介護の提供体制についてでございます。
医療機関や介護事業所につきましては、令和6年度の報酬改定や、長期化する物価高騰、人件費の上昇などの影響により厳しい経営状況にある中で、地域で必要なサービスを提供いただいているものと認識をしております。医療機関や介護事業所は国が定める公定価格で経営を行っていることから、財政支援につきましては国の責任において行われるべきものと考えております。
京都府としては、社会経済情勢を反映した適切な報酬の設定などについて繰り返し国へ要望を行いますとともに、全国知事会とも連携し、本年5月には、物価や賃金の上昇に応じて適時適切に報酬をスライドさせる仕組みの導入などの対策を講じるよう要望したところでございます。今後とも、国に対し、医療機関や介護事業所に対する財政支援などについて強く要望してまいりたいと考えております。
次に、介護事業所への支援についてでございます。
府民の皆様が安心して介護サービスを受けていただくためには、介護事業所における業務改善や働きやすい職場づくりを進めていくことが重要だと考えております。このため、昨年度から生産性向上人手不足対策事業を開始しており、去る5月30日には新たに京都府介護福祉職場業務改善支援センターを開設し、セミナーの開催に加えて、事業所の状況や課題に応じたきめ細やかな相談支援を行うなど、介護事業所における生産性向上の取り組みを支援しているところでございます。
また、訪問介護につきましては、国において令和6年度の介護報酬改定の影響を調査された結果、人材不足が顕著であり、収入が減少しているなど、特に支援が必要と考えられることから、訪問介護事業所が行う人材確保や経営改善の取り組みを支援するための予算案を今定例会に提案しているところでございます。今後とも、府民の皆様に必要な介護サービスの提供が継続できるよう、介護事業者への支援に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、米政策についてでございます。
国におきましては、米の年間消費量が減少する中、毎年の需給見通しに基づき、需給と価格の安定を図る政策を進めております。こうした中、昨年夏の品薄をきっかけに米価が高騰したことから、現在、国におきまして価格高騰の要因や対応の検証が進められているものと認識しております。
京都府といたしましては、国に対して、米の需給と価格の安定化に向けて、国内需要に十分耐えられる生産量を確保する需給見通しを示し、余剰分は輸出や備蓄米に向けるなど、安定した需給調整が可能な米政策への見直しを、先般要望したところでございます。
また、農業者への所得補償、価格保障につきましては、自然災害や価格低下による収入減少を補償する収入保険制度や、現在制度構築が進められております農産物の適正な価格形成の仕組みを最大限活用しながら、京都府といたしましては、地域の実態や経営状況に応じた生産性向上や付加価値向上などの独自事業により、農業者の所得向上に努めてまいりたいと考えております。
【浜田議員再質問】御答弁いただきましたが、まず消費税の減税問題ですが、知事は今回も消費税が社会保障の財源だということを繰り返されましたけれども、この間、衆議院の予算委員会で我が党の田村智子委員長の質問に石破首相は、所得税、法人税も社会保障の財源になるということを認めました。さらに、田村氏が、法人税や所得税の税収が減り、消費税の収に置き換えられたと指摘すると、石破首相は、企業に賃上げや設備投資をしてもらいたいという思いで法人税減税をしたが、そうならなかったことは反省していると答弁をいたしました。もはや社会保障の財源だからという消費税減税を拒む理由は成り立ちません。大企業や富裕層に応分の負担をしてもらって、緊急に消費税を減税し、インボイスを廃止するよう国に求めるべきです。この点は要望しておきたいと思います。再質問をさせていただきます。
知事は、中小企業支援の問題でも、再び持続的に中小企業が賃上げできる体力をつけてもらう、そのために生産性の向上などへの支援を行うということを繰り返されましたが、中小企業が体力をつける、あるいは生産性を向上するその前に、倒産・廃業が相次いでいるのではないでしょうか。それを防ぐために、今、直接支援が必要ではないでしょうか。なお、直接支援を行った各県の予算規模を調べてみますと、徳島県では約11億円、岩手県では約19億円、群馬県でも約27億円でしたから、人口で換算してみると、おそらく京都府では36億円程度でできると思います。今年度の商工労働関係の予算が1637億764万円でしたから、その2.2%でできるわけです。産業創造リーディングゾーン推進事業やスタートアップ企業への支援よりも、中小企業への直接支援に予算を回すべきではありませんか。お答えください。
医療・介護の問題ですけれども、知事も国に対して財政的な支援を求めるということもおっしゃいましたけれども、だから、医療、介護の今の現状については認識をされていると思うんですけれども、ところが、6月議会に提案されている補正予算案に、病床数適正化支援事業の給付金の予算が含まれています。政府のこの病床削減方針を知事は容認されるのですか。また、診療報酬や介護報酬の引き上げを国におそらく要望されていると思うんですけれども、次期改定を待たずに直ちに報酬の引き上げを求めるべきではありませんか。お答えください。
米の問題ですけれども、この問題は米の生産が需要に追いついていないという認識がないと、米の増産への政策転換には向かわないと思うんです。これは答弁なかったので、再びお聞きします。米の生産が需要に追いついていないという認識を知事はお持ちですか。そのことについてお答えください。
【西脇知事再答弁】浜田議員の再質問にお答えいたします。
まず、先ほどの直接支援、これは賃上げに対する直接支援と理解いたしますけれども、御指摘のように、直接支援しているところがございますけれども、主に最低賃金が全国加重平均を下回る地域で行われることが多く、都道府県のうちで言うと2割未満となっております。京都府としては、補助金で直接支援することは財政的にも非常に困難でありますし、何と言いましても、企業が持続的に賃上げできる体制にはならないと思っておりますので、財政の使い道としては、賃上げできる体力をつけていただくことに使うことが適切だというふうに考えております。
病床の削減のところでございますけれども、我々は必要な病床数につきましては、医療圏ごとに設定している地域医療構想調整会議の場で、病床削減ありきではなくて各地域の実情を踏まえて丁寧な議論を進めてきております。今回、交付金の対象としてその削減数が内示されておりますけれども、基本的には、この内示数は既に休止中とか、もしくは稼働率の観点から休床予定の病床であるため、地域医療への影響が生じるものではないと思っております。ただ、今後の受診・受療の状況の変化によりまして、そういうおそれが出てくる場合においては、必要に応じて病床の公募を行うなど、医療提供体制の構築に努めてまいりたいと思っております。
それから、米の生産量の関係でございますけれども、確かに府内の生産現場からは、高温による品質低下で出荷量が減少しているのではないかというような声も聞かれておりますので、まずは需給状況の正確な把握が必要だと私も考えております。国に対しましては、先ほど言いましたように、米の需給と価格の安定化に向けて必要な需給量の見通しを示した上で米政策を企画・立案してほしいということをお願いしておりますので、私自身が今足りているか足りていないかということについては的確な定見を持っておりませんけれども、正確な需給量の見通しを示すべきだという声がありますので、国も関係閣僚会議を通じて取り組んでおられますので、そこが国民の声にぜひ応えていただきたいというふうに思っております。
【浜田議員指摘・要望】賃上げへの支援の問題では、知事も、直接支援が即効性があるということはこれまで認められてきていましたし、私どもは、持続的に賃上げできるように生産性向上への支援をするということを否定するのではなくて、それを大いにやったらいいわけですけれども、しかし、それをやっているうちに既に倒産とが起こっているわけですから、まずは即効的な効果がある直接支援、これもぜひやってもらいたいというふうに思います。
異常な物価高から府民のくらしと中小業者や農林漁業者の営業、ケア労働者の生活を守ることは、今政治が果たすべき、もっとも重要な役割であり、国と京都府が、あらゆる施策を総動員してとりくむことを強く求めて、次の質問に移ります
府立高校再編計画安易な統廃合はせず子どもたちに豊かな教育保障を
【浜田議員】府立高校の再編計画についてお聞きします。
全国知事会が4月23日にまとめた「高校無償化」に関する緊急提言では「無償化により多くの生徒にとって私立高校への進学がより大きな選択肢となると同時に、採算性の高い人口集中地域での私立高校の寡占化が進むことで、公立高校の小規模化や再編統合が加速化し、地域における高校教育の維持向上が図れなくなり、特に中山間地域では地域社会そのものの衰退を招くことが懸念される」として、公立高校への支援の抜本的拡充を求めています。また、大阪では高校無償化を実施する一方で、公立高校の廃止が進んでいます。
2月に私どもは、高知県のとりくみを調査しました。高知県でも、少子化のもとで、高校の再編統合の方針が出されましたが、安易な再編統合に反対する声が広がるなかで、県全体として人口減少に対して県内での移住を促進する方針を掲げ、中山間地域の小規模校を持つ市町村に生徒数確保に向けたアクションプランを策定して、地域のために高校を残そうという取り組みをされていました。そこでお聞きをします。
少子化だからと安易に再編・統合するのは、全国知事会の提言にも逆行するのではありませんか。地域づくりにとっても不可欠な高校を残すことを前提に、子どもたちに豊かな教育を保障するためにも、学級定員を減らして、少人数学級にすべきではありませんか。
府立高校の再編整備の考え方では、再編整備の検討方法として、「府教育委員会において具体的な内容を検討し、再編整備の方向性を明かにした上で、府内各地域において、本府地域振興計画や各自治体の様々な取組、まちづくりとの関係性などを踏まえ、必要に応じて自治体など関係機関と調整を図るものとする」とあります。府立高校の再編整備というのは、高校生の教育を受ける権利を保障するためにも、地域のまちづくりにとってもきわめて重要な問題であり、具体的な方向性を決める段階で、地方自治体や関係機関の意見をよく聞いて、調整すべきではありませんか。お答えください。
次に、高校生の通学費補助の問題についてお聞きをいたします。高校生の授業料が無償化されても、通学費の負担が重くのしかかっています。和束町では、バスと電車を乗り継いで通う生徒がいますが、バス代だけでも3ヶ月定期5万円、年間20万円になりますが、府の通学費補助の基準額を超えないので補助は受けられません。京都府は、「全国的にも通学費補助を実施する府県が数少ない中、京都府として独自に通学費の支援を行ってきた」と述べられてきました。しかし、沖縄県では月2万円を超える通学費の全額補助、鳥取県では月7千円を超える通学費の全額補助、長崎県では非課税世帯で1万2千円、それ以外の世帯で2万5千円を超える通学費の全額補助と、いずれも基準額を超える通学費を全額補助していますが、京都府は基準額を超える通学費の2分の1補助にとどまっています。なお、政令市では、神戸市が通学定期代の全額を補助しています。府の補助制度が不十分なので、それを補うため、市町村が独自の通学費の補助の努力をされています。宇治田原町では、府の制度ではほとんど利用できる生徒はいないので、全額補助の制度を作りましたが、4年前に半額補助になりました。和束町では、バス代の3分の1補助を数年前に3分の2補助に拡充しました。府の補助制度が不十分なために、市町村が独自の努力をされており、しかも、物価高騰で交通費も高騰し、通学費負担がさらに重くなっているわけですから、今こそ、府の通学費補助制度を抜本的に拡充すべきではありませんか。お答えください。
大学生の経済的負担の軽減へ家賃補助や通学費の支援を
【浜田議員】次に、大学・専門学校の高すぎる学費についてお聞きをします。先日、北区で取り組まれました食糧提供プロジェクトに来られた大学院生の話はたいへん衝撃的でした。弟と妹がそれぞれ私立大学に通っているので、3人の学費を合わせると500万円を超え、「親に全額負担してもらうわけにはいかないので、アルバイトを週に4日間やって、食費もきりつめているので、こういう取り組みは本当に助かります」と言っていました。学生のこうしたくらしを守るために、学費をせめて半額にすることは、もう待ったなしの課題だと思います。
日本の学費がこんなに高いのは、高等教育予算があまりにも少なすぎるからです。日本の高等教育予算はOECD諸国のなかで最低水準という状態が長年続いています。その結果、国立大学への運営費交付金や私立大学への私学助成金が大幅に削減され、各大学は学費を上げざるをえなくなっているのです。高等教育予算をせめてOECDの平均並みに増やせば、学費は半額にできます。高等教育予算の大幅な増額を、国に求めるべきではありませんか。
高すぎる学費とともに、さらなる学生の皆さんや専門学生の皆さんの重い負担になっているのが、下宿代と交通費です。近辺の府県から京都の大学に通う学生や府内の郡部から京都市内の大学に通う学生の多くは下宿代が高いので、電車通学をされていますが、通学費も遠距離になると下宿代とさほど変わらない金額になります。京都府として、学生の負担を軽減するために、家賃補助及び通学費補助をぜひ実施すべきだと思いますが、いかがですか。ここまでお答えください。
【前川教育長答弁】浜田議員のご質問にお答えいたします。府立高校の再編整備についてでございます。
府立高校の再編につきましては、令和7年3月に策定いたしました「府立高校の再編整備の考え方」でお示ししたところでございますが、全日制高校におきましては、将来的に少子化がますます進行する中でも、学習指導や部活動、学校行事などのバランスの取れた高校教育を提供するため、一定の学校規模を維持するための再編を行うとともに、多角的な視点による生徒の柔軟な受け入れ体制の整備により、生徒にとって魅力と活力ある教育環境を充実させることとしております。
全国知事会の緊急提言の趣旨は、いわゆる高校無償化による影響を懸念し、国として新たな財政支援制度を創設するなど、公立高校の魅力化に向けた支援や指導体制の充実を求めておられるものであり、京都府の再編整備の考え方がこれと矛盾するものではないと考えております。
また、高校におきましては人間性や社会性を育む観点からも、多様な他者と関わりながら切磋琢磨したり、様々な活動に参加して豊かな人間関係を育むことは重要であり、そのような活動が活発に行われるためには一定規模の集団による教育活動が望まれるところでございます。学校の小規模化が進行いたしますと、このような活動が限定的となり学校の活力も低下することになりますが、この課題は学級定員を減らし少人数学級を実施したとしても解消するものではないと考えております。
次に、具体的な再編整備の検討方法についてでございます。
検討にあたりましては、府内5つの地域ごとの少子化の動向や各高校が果たしている役割、生徒の通学事情などを考慮しつつ、再編整備の方向性を明らかにする必要があると考えており、必要に応じて自治体など関係機関と調整を図ってまいりたいと考えております。
次に、高等学校生徒通学費補助制度についてでございます。
通学費につきましては、本来ご家庭でご負担いただくものであると考えておりますが、高額の通学費を負担している公立高校生の保護者への経済的負担を少しでも軽減するという観点から、京都府では独自に通学費の一部補助を実施してきたところでございます。
また、市町村独自の通学費補助につきましては、各地域の実情を踏まえ、自治体独自の子育て支援や定住促進などの施策として、さまざまな観点から総合的に勘案された上で実施されているものと理解しております。
なお、これまで年収約250万円未満の住民税所得割非課税世帯に対して通学費月1万7000円を超える場合に補助していたものを、令和元年度には1万円を超える場合に補助するよう拡充を図り、その結果、受給者が約2倍になったところでございます。府教育委員会といたしましては、学びを支える教育環境の整備と教育活動の充実を一体に進めることで、すべての生徒にとって魅力と活力ある府立高校を目指して高校改革に取り組んでまいります。
【知事答弁】大学生の学費の負担軽減についてでございます。
大学の授業料につきましては、国立大学におきましては、国が定める金額を標準額とし、社会経済情勢等を総合的に勘案して設定されており、私立大学におきましては、各大学の運営方針や経営の観点から各大学独自の判断で設定されております。大学生に対する修学支援につきましては、国におきまして、授業料等の減免と給付型奨学金を併用した修学支援が実施されており、令和7年度からは多子世帯の学生に対する授業料等の減免の所得制限の撤廃など、制度の拡充が進められているところでございます。
京都府といたしましても、先日の国への政策提案において、所得制限の緩和などさらなる支援制度の拡充や、国立大学への運営交付金や公立大学への地方交付税措置、私立大学への助成の拡充につきまして要望したところであり、今後とも国に求めてまいりたいと考えております。
次に、大学生の家賃補助及び通学費補助等についてでございます。
大学生の生活費の支援につきましては、国の修学支援制度において給付型奨学金により行われているところでございます。交通費や家賃につきましても生活費の中で賄うものであり、基本的には高等教育を所管する国におきまして財源を確保し、全国で統一的に行われるべきものと考えております。
京都府といたしましては、大学生が経済的な理由で学業をあきらめることがないよう、今後とも授業料の減免や給付型奨学金につきまして、所得制限の緩和や所得に応じた支援割合の引き上げなど、全国統一的な制度拡充を国に要望してまいりたいと考えております。
【浜田議員再質問】大学、専門学校の学費の問題ですけれども、この学費は今でも非常に高いのに、さらなる値上げが相次いでおります。また、国の奨学金制度も極めて一部の者にしか与えられておりません。したがって、「大学のまち」京都府として、学生の経済負担軽減のための具体的支援を行うことを要望させていただきます。
再質問をいたします。高校再編の問題ですけれども、先ほど教育長は全国知事会の緊急提言の内容と府の考え方というのは矛盾をしないというふうに言われました。全国知事会の緊急提言は、公立高校の地域における役割という問題を述べております。もし、公立高校の小規模化や再編統合が加速化をして、地域における公教育の維持向上が図れなくなり、特に中山間地域では地域社会そのものの衰退を招くことが懸念されるというふうに、公立高校の地域における役割を示されておりますが、これは教育長は同じ認識なのか、これをお聞きしたいと思います。
それから、高校通学費の補助制度の問題で拡充をして2倍になったと。しかし2倍になったけれども、極めてわずかな人数なんですね。そもそもが少なかったわけですから。実際に市町村が努力をされているのは、府の制度が不十分だからそれに上乗せをしてやっているということなわけですから、やっぱり現状は授業料の無償化が進む一方で、地域によっては交通費が授業料を上回るような負担になっているわけなので、抜本的に拡充すべきだということを改めて求めたい。これも答弁をお願いします。
【前川教育長再答弁】浜田議員の再質問にお答えいたします。
まず、公立高校の地域による役割に対する認識でございますが、当然ながら公立高校は学びの場であるということは第一義でございますけども、地域にとって大きな役割、存在感があるものということについては、知事会と同じような認識をしております。
次に、通学費の問題でございますが、市町村が独自にやっておられる通学費補助は、先ほども御答弁申し上げましたが、市町村独自のそれぞれの様々な総合的な施策の観点から実施しておられると認識しております。また、実施しておられる他府県と比較いたしまして、他府県の事情は、京都府と違いまして、高校の入学者選抜が全県一区で行われている点、また貸与の県があること、もう1つは、京都府は通学圏を引いておりますので、全県一区の県ほど広域での通学に至っていないという実情もございます。
また、拡充しましたことによって、収入要件ですね、これも他府県よりも丁寧に拡充をして3段階設定を設けております。従いまして、他府県の実情と比べまして甚だ見劣りするということはないと、十分手厚い補助ができているというふうに考えております。以上でございます。
【浜田議員指摘・要望】通学費負担、通学費支援の問題で、教育長は、京都ではあまり広域がないと、市町村がそれぞれの地域の事情で支援していると言われましたけれど、先ほど和束町、宇治田原町の例を出しましたけれども、和束なんかものすごい広域で通っているんですね。年間20万もかかるけれども、京都府の補助制度では支援されない。宇治田原も、京都府の補助制度に当てはまる制度はないので独自の支援をやっているわけですから、そういう市町村の支援に対してやっぱり京都府は応えるべきだと、これは指摘をしておきたいと思います。
国際的に見ても異常に高すぎる学費、授業料を上回る高校生の通学費負担は、若者の学ぶ権利を侵害し、京都と日本社会の未来にとっても重大な障害になります。学生、高校生の経済的負担の軽減のために国と京都府が責任を果たすことを求めて、次の質問に移ります。
「敵基地攻撃能力」保有の大軍拡計画やめよ
【浜田議員】次に、府民の命と安全を守る課題について質問します。
政府は、「敵基地攻撃能力」保有のための大軍拡計画を着々と進めていますが、京都ではイージス艦への米国製長距離巡航ミサイル「トマホーク」の搭載や、イージス・システム搭載艦の海上自衛隊・舞鶴基地への配備、長射程ミサイル保管用の大型弾薬庫を舞鶴基地に3棟以上、陸上自衛隊・祝園分屯地に14棟と、全国最多の17棟以上も新設する計画が進められています。祝園分屯地の弾薬庫増設計画が明かになった直後の昨年3月20日に、精華町とその周辺の住民のみなさんが、「祝園ミサイル弾薬庫問題を考える住民ネットワーク」(略称・ほうそのネット)を結成し、住民の生活と命を守るために、学習会やピースパレード、署名運動にとりくみ、防衛省に説明会開催の申し入れも行ないました。住民のみなさんの不安は、「弾薬庫が有事の際に攻撃の標的になる」「火災による爆発事故が起こったら、2分で1キロ避難など不可能」「弾薬庫の敷地内には活断層があり地震による爆発が心配」「弾薬輸送中の事故による爆発が危険」など多岐にわたっています。
府民の安心・安全を脅かすこのような危険な計画が、住民説明会も開かれず、住民の知らないままに着々と進められていることを京都府の知事として容認するのですか。お答えください。
日本政府が核兵器禁止条約の参加を求める署名への賛同を
【浜田議員】核兵器禁止条約は2017年7月に国連で採択され、2021年1月22日に発効しました。条約参加国は73カ国、署名国は94カ国と国連加盟国のほぼ半数です。今年3月に開催された第3回締約国会議には、オブザーバーを含め87カ国が参加し、核兵器廃絶への「揺るぎない決意」を表明する政治宣言を全会一致で採択しましたが、石破政権は米国の顔色をうかがってオブザーバー参加すら拒みました。
日本共産党府会議員団は、戦後80年・被爆80年の今年こそ、日本政府が核兵器禁止条約に参加をと、6月1日に学習講演会を開催しました。被爆2世でもあり、核兵器禁止条約の締約国会議にオブザーバー参加された笠井亮前衆議院議員が講演し、同じく被爆2世の井上さとし参議院議員が報告を行ないましたが、被爆者のみなさんの命がけの訴えが国際社会を動かし、核兵器禁止条約に結実したことがリアルに感動的に語られました。そして締約国会議に参加した他国の代表たちからは、「なぜ世界で唯一の戦争被爆国である日本が、核兵器禁止条約に参加しないのか」という疑問が寄せられたそうです。被爆80年の今年こそ日本政府が核兵器禁止条約に参加し、核廃絶の先頭に立つべきではないでしょうか。
私は、核兵器禁止条約が締結される直前の2017年6月府議会の代表質問で、当時の山田知事に「歴史的な世界の流れに京都府も合流し、核兵器禁止条約の締結を支持すべきではないか。また、府内7市町村を含め全国の県知事、市町村長の賛同が658人にも達している『ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名』に、京都府も賛同すべきではないか」と質問しました。山田知事は、「核兵器廃絶国際署名は、兵庫県を初め13県の知事が署名されているが私も署名を済ませたところです」と答弁されました。翌年に知事になられた西脇知事もこの立場を受け継がれて、核兵器廃絶国際署名に署名されています。
そして今、核兵器禁止条約に日本政府の参加を求める署名への賛同が、全国の知事と市町村長に呼びかけられています。西脇知事も署名すべきだと思いますが、いかがですか。
使用済み核燃料貯蔵施設は満杯―原発稼働やめるべきとき
【浜田議員】石破政権が閣議決定した第7次エネルギー基本計画は、東京電力福島第1原発事故後に掲げてきた「原発依存度低減」を削除し、原発の「最大限活用」と新たな原発建設を明記しました。事故の教訓を投げ捨て、財界や大手電力会社の要求を丸のみした言語道断の露骨な原発回帰です。しかも、使用済み核燃料の処理をめぐって、今深刻な事態が起こっています。日本原燃は昨年8月に、使用済み核燃料の再処理工場の27回目となる完成時期延期を発表、運転の見通しは全く立っていません。使用済み核燃料の貯蔵施設はどこも満杯に近づいているのに行き場がないという、きわめて深刻な事態です。大飯原発は貯蔵量が1,870トン、空き容量は230トン(11.0%)、高浜原発は貯蔵量が1,460トン、空き容量は279トン(15.6%)です。私たちは原発依存方針を転換し原発はただちに廃炉にすべきと考えますが、少なくとも使用済み核燃料の行き場がないという現状のもとで、これ以上使用済み核燃料を増やさないためにも、すべての原発の稼働を止めるべきだと考えますが知事の認識をお伺いします。
関西電力は「使用済核燃料対策」として、高浜原発の敷地内に乾式貯蔵施設を建設しようとしています。使用済み核燃料プールが3~5年で満杯になれば、燃料交換ができず原発の運転ができなくなるので、使用済み核燃料を乾式貯蔵施設に移して老朽原発の運転を続けようというのがねらいです。市民団体のみなさんは、府議会に慎重な議論を要望されています。使用済み核燃料を貯蔵し続ける乾式貯蔵施設の建設に、立地県並みの権限を主張する京都府知事として反対すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
北陸新幹線延伸計画よりも在来線やバス路線の拡充こそ重要
【浜田議員】最後に、北陸新幹線京都延伸計画について質問します。京都仏教会が西脇知事と松井京都市長に現行の延伸計画は「千年の愚行」として、計画の再考を求める申し入れを行い署名運動も行なっています。5月25日に行なわれた北陸新幹線延伸計画ストップをめざす集会では、京都仏教会常務理事の宮城泰年さんがマイクを握り、「敬いながら自然とともに生きて行くという仏の教えから遊離するような計画は、有史以来の暴挙だと言っても構わない」と訴えられました。自民党府議団は、昨年の総選挙後に、西脇知事にルートの再考を求める要望書を提出しました。12月府議会には「サンダーバードなど在来線の拡充を求める意見書」を提出しました。すでに、京都縦断地下延伸計画は破綻しています。それなのに、5月12日に東京都内で開かれた北陸新幹線建設促進大会に知事の代理として出席した武田副知事は、小浜・京都ルートの整備を前提にした延伸決議に賛同しています。いつまで、破綻している現行計画に固執するのですか。京都府民の代表である知事として、京都府民の大多数が反対している現行計画の中止を国に求めるべきではありませんか。
私どもは、現行計画はもちろん、北陸新幹線伸計画そのものをきっぱり中止すべきだと考えます。そもそも、整備新幹線計画は、高度経済成長時代に人口増加を見込んで計画されたものです。人口が急減している今、税金の無駄遣い以外の何物でもありません。また、政府も西脇知事も、30年以内に起こる東南海地震など大災害時の代替交通と言いますが、いつ大災害が起こるかもしれないのに、完成まで20年~30年かかるのでは代替交通にもなりえません。さらに、京都府北部や南部は赤字を理由に縮小が続いている交通網の維持や拡充こそ課題となっています。能登半島地震をはじめ相次ぐ災害から住民の命とくらしを守る防災対策こそ急がれています。先日、五条通りで水道管の破裂事故が起こりましたが、老朽化したインフラの整備も急務になっています。
したがって、北陸新幹線延伸よりも在来線やバス路線の拡充、防災対策や上下水道管はじめインフラの老朽化対策などにこそ、予算を使うべきだと考えます。知事の認識をお伺いします。
【西脇知事:答弁】火薬庫整備などにかかる住民への説明についてでございます。
国におきましては、国家安全保障会議での議論等を踏まえ、令和4年12月に国家安全保障戦略国家防衛戦略、防衛力整備計画の3文書を閣議決定し、防衛力の抜本的強化として反撃能力の保有や火薬庫の増設、米国製のトマホークの導入などに取り組まれているものと承知をしております。
京都府といたしましては、国に対しまして火薬庫の整備など防衛力の抜本的強化として進める各種の取り組みにつきまして、その内容や地域への影響を住民に適時適切に説明し、疑問や不安を解消するよう、丁寧な対応を求めているところでございます。
これに対しまして近畿中部防衛局からは、陸上自衛隊祝園分屯地の火薬庫整備について、今後工事を実施するにあたり、まずは分屯地外での工事車両の通行など、工事に伴い周辺地域に影響を与える可能性のある内容等につきまして、近隣地区住民への説明を行いたいと考えていると伺っております。今後とも、住民の疑問や不安を解消するよう丁寧な対応を求めてまいりたいと考えております。
次に核兵器禁止条約についてでございます。
当該条約に関しましては、安全保障や外交上の問題であり政府や国会におきまして適切に判断されるものでございます。一方で核兵器廃絶は世界で唯一原子爆弾が投下された被爆国日本国民の願いであり、京都府におきましては全ての国が核兵器を廃絶し、世界の恒久平和が確立することを願う立場からいかなる国の核実験に対しましても、私と府議会議長とが連名で厳重な抗議を行ってきたところでございます。国におきましては、核兵器国と非核兵器国との間の協力による現実的かつ実践的な措置を積み重ね、核兵器の廃絶に結びつく実行ある取り組みを進めていただきたいと考えております。
次に使用済み核燃料対策についてでございます。
原子力発電を含むエネルギーの問題は国全体で考えるべきものであり、国の第7次エネルギー基本計画においても原子力を最大限活用していくことが重要とされていることから、使用済み核燃料対策につきましても国が責任を持って対応すべきものと考えております。また原子力発電の運転につきましては、何よりも安全性が優先されるべきものであり、これは今後も変わるものではございません。
乾式貯蔵施設につきましては、昨年8月に開催した高浜発電所にかかる地域協議会幹事会においてUPZ内の市町とともに、関西電力から将来的は発電所から搬出するための分かりやすい情報発信を行うなど府民の理解促進、不安の払拭に努めることを強く求めたところでございます。また令和7年2月13日に関西電力が公表した使用済み燃料対策ロードマップによりますと、再処理工場への搬出などにより高浜原子力発電所の使用済み燃料貯蔵量は将来的には減少する見通しとされております。
京都府といたしましては、府民の安心安全を確保する立場から、国に対して国と地方自治体の権限や責任、同意を求める地方自治体の範囲など、具体的な手続きを定めた法的枠組みの構築を繰り返し要望してきたところであり、引き続き市町と連携し、国と関西電力に対し使用済み燃料対策の安全性の確保、ロードマップに沿った着実な実行を求めていきたいと考えております。
次に北陸新幹線延伸計画についてでございます。北陸新幹線につきましては、日本海国土軸の一部を形成いたしますとともに、大規模災害時において東海道新幹線の代替機能を果たし、京都府域はもとより関西全体の発展につながる国家プロジェクトであると認識をしております。敦賀―新大阪間につきましては、去る3月25日、国及び鉄道運輸機構が主催する京都府内自治体向けの説明会が開催され、参加自体は地下水をはじめとする様々な施工上の課題について、影響や問題が生じないとする具体的な根拠を示してほしいなどの意見が出されたところでございます。京都府といたしましては、北陸新幹線の整備に当たりましては、府民の皆様の理解と納得や関係市町の協力を得ることが不可欠であり、まずは国及び鉄道運輸機構におきまして地下水をはじめとする様々な施工上の課題について、十分な時間を確保した上で検討していく必要があると考えております。
次に、在来線やバス路線の維持拡充、防災対策及びインフラの老朽化対策についてでございます。議員よりご指摘がございました、在来線やバス路線の維持拡充、相次ぐ災害から住民の命と暮らしを守る防災対策、上下水道を始めインフラの老朽化対策につきましては、府民の安全安心に不可欠な取り組みであり、総合計画に位置づけているところでございます。今月の政策提案では、私自らがこれらの取り組みの予算の確保や補助制度のさらなる充実について国に要望したところであり、引き続き、生活の基盤づくりや防災減災対策など、着実に推進してまいりたいと考えております。
【浜田議員:再質問】先日、沖縄県の米軍嘉手納弾薬庫地区の敷地内で不発弾の爆発事故が起こりましたが、弾薬を抱える地域住民の皆さんの不安は一層高まっております。先ほど、知事は国に説明を求めているとおっしゃいましたけれども、説明すればいいというものではなくて、やはり「舞鶴や祝園で進められているこの事態は、京都府民の命と安全が危険にさらされようとしている」こういう認識に立って国と対応していただきたいということを要望しておきたいと思います。
再質問いたします。核兵器禁止条約に対して日本政府の参加を求める署名への賛同については知事は賛同するとはおっしゃいませんでした。世界で唯一の戦争被爆国の日本政府が核兵器禁止条約に背を向けているということについて、知事はこれを容認されるのか、されないのか、それをお答えください。
使用済み核燃料の問題ですけれども、国に対しても市町村と協力して安心安全の確保ということをおっしゃいましたけれども、府民の安心安全に責任を持つのであれば、今使用済み核燃料の貯蔵がもう限界に近づいて行き場がないのですから、少なくとも、今やっぱり原発の稼働を止めるべきだと私は思うんですけど、改めて原発の再稼働を容認するのかどうか、お聞きしたいと思います。
最後に、北陸新幹線延伸計画ですけれども、知事は「丁寧な説明を国に求める」とこれまでの答弁を繰り返されていますけれども、しかし、滋賀県の三日月知事は12日に開かれた建設促進同盟会の大会で「滋賀県としては米原ルートを望むことも求めることもしていない」と明言されており、西脇知事が「小浜ルートは望まない」と明言すれば延伸計画は白紙に戻ります。西脇知事も現行ルートに対する態度を明らかにすべきではありませんか。お答ください。
【西脇知事:再答弁】再質問にお答えいたしますけれども、核兵器禁止条約につきましては、安全保障や外交上の問題でありまして政府や国会におきまして適切に判断されるべきものであると考えております。現時点において、私どもから参加を求める署名を行う考えはございません。ただ先ほど申し上げましたけれども、核兵器の廃絶、世界の恒久平和を確立することを願う立場から署名をさせていただきました。
原発につきましては、国が第七次エネルギー基本計画を決定いたしました。エネルギー政策につきましては、国の根幹的な政策として国が責任を持って決めるべきなのでございますので、それに伴います使用済み核燃料の貯蔵問題も含めてトータルな原発政策、原子力発電そしてエネルギー政策については国が責任を持って決め、国民の安心安全のため説明責任を尽くされるべきだと考えております。
北陸新幹線につきましては、先ほど答弁いたしましたけれども、整備に当たっては府民の皆様の理解や納得、そして関係市町の協力を得ることが不可欠でありまして、まずは地下水をはじめとする施工上の課題につきまして、国及び鉄道運輸機構において十分な時間を確保した上で検討していただく必要があると考えておりまして、その立場について変更はございません。
【浜田議員:指摘要望】本日の質疑で私が取り上げた問題はいずれも国政でも争点になる問題だと思います。物価高騰から暮らしを守り、平和で希望が持てる新しい日本を実現するために日本共産党は全力を尽くす。その決意を述べて代表質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。