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高等学校教育制度改悪に反対する申し入れ

1984/01/23 更新
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高等学校教育制度改悪に反対する申し入れ

―広く府民の意見を聞くべきだ―府議団

 共産党・革新共同府会議員団は一月二十三日、京都府教育委員会の大槻弥一郎委員長に、高等学校教育制度検討委員会の最終答申は性急に実施せず、ひろく府民の声を聞くように申し入れました。全文は次のとおりです。


 昨年十二月二十七日「高等学校教育制度検討委員会」は「京都府における高等学校教育制度の改善について」の最終答申を京都府教育委員会に提出しました。
 この最終答申は、戦後高等学校教育の基調とされた小学区制、総合制、男女共学制の三原則をもとに、きづきあげられてきた京都の教育を根底から変質させる重大なものです。これが京都の父母、教職員の意向に反する大改悪であることは答申内容を知った父母、教職員、教育関係者の間から強い批判が生まれていることからも明らかです。
 京都府教育委員会は〝うちの子の高校進学〟がどうなるのか心配している中学生の父母も含め府民に対し、最終答申の説明さえおこなっておりません。京都府教育委員会から説明をうけた高等学校の校長・教務主任すら制度が複雑すぎてよくのみこめず、質問に答えきれないといわれています。それにもかかわらず、急激に制度を変え性急に昭和六十年度から実施するならば、京都の教育に大きな混乱をひきおこすことは明らかです。
 共産党・革新共同議員団は、左記のとおり申し入れるとともに貴委員会の誠意ある回答を求めるものであります。

一、教育委員会は制度変更が慎重に行われてきたと主張しておりますが、父母や現場教職員の意向は無視されております。さらに、一部説明会などでは、府議会でもすでに合意をとりつけてあるかのように宣伝されていますが、これは全く事実に反します。直ちに改めるべきです。
 また、制度検討委員会に設けられた専門委員会は委員名やその調査研究内容を公開せず全く秘密裡に作業を進めるという、およそ公教育の推進に責任をもつ行政機関としては異例な事態の中で答申内容がつくられてきたという点は重大です。府民をあざむくこのような教育委員会の主張や行為を、わが議員団は承認することができません。教育委員会は最終答申についてひろく父母・教職員・府民の意向を聴取するべきです。

二、①特色ある学校づくりを柱として普通科内に類型を導入することによって学校間に格差を生むばかりか、校内にも教室毎の差別をつくり出すものとなっております。このような制度は、全国にも例をみないもので、中学校や小学校の教育に悪影響をもたらし、府民の願いにいちじるしく反するものです。
 ②通学圏制度を導入して、小学区制を破壊することにより、地域社会と高校は切りはなされ、従来の地元の高校という特徴はなくなるばかりか、通学費、通学時間に多くの負担を父母や生徒は背負わされることになります。学校選択の自由を拡大すると称していますが、これは生徒を偏差値によってこまかく振りわけるだけのものであることは明らかであります。
 ③単独制の職業高校設置が計画されていますが、京都では普通科志向の生徒が多いこと、不本意のままで入学した職業学科や職業高校の生徒に中途退学者が多いこと、田辺高校に普通科を併設し、三原則をいかした教育がすすめられることになって、地域の期待に応えることができた一方、農芸高校での大量中退者を出した経験などからみても、答申の内容は全く京都の実態にそぐわないものとなっています。
 とりわけ、府立高校商業教育研究会が、職業教育は、高校教育をうけるすべての生徒に対し、正しい理解と教養を身につけさせることを基本にすべきだという立場から単独制の商業高校に反対の意向を表明していますが第一線の教職員の意向を全く無視したやり方は職業教育の方向を誤るものであり、単独職業高校の拡大に反対であります。
 このように、答申の内容は、京都の教育をだいなしにするものであり実施すべきでありません。三、教育委員会は性急に、昭和六十年度からこの答申にもとづく制度を実施に移すため、その作業を現場の教職員におしつけていますが、この作業はもともと、父母や教職員の合意を得ないまま、一方的に強行してきたものでありますから、各高校における作業は困難を極め正常な学校運営が阻害される恐れさえ予想されます。
 わが議員団は、このような状態にあって、教育委員会が一方的、強権的行為によって、学校教育に混乱を招くことは許されないことであると考えます。

 以上の立場から、教育委員会がこのさい最終答申は当面実施せず、あらためで、京都府高校教育の充実について広範な府民の意見を聴取するよう強く申し入れます。

高等学校教育制度改悪に反対する申し入れ[PDFファイル 1ページ/802KB]