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「建都一二〇〇年記念事業」についての申し入れ

1984/10/03 更新
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「建都一二〇〇年記念事業」についての申し入れ

一九八四年十月三日 日本共産党・革新共同府会議員団

京都府知事 林田悠紀夫殿


(一)昨年二月はじめられた財界主導の「推進協議会」による「建都一二〇〇年記念事業」の検討は大詰めをむかえており、十月中旬には、「推進協」の総会も予定されている。
 九月に開かれた「推進協」の企画委員会では、記念事業案を二十一世紀洛南新都市(サイエンスタウン)の建都や京都経済センター建設など六つの事業にしぼるとともに、事業の推進母体として新たに「財団法人・平安建都一二〇〇年記念協会」(仮称)を設立する方向を打ちだし、十月中旬の「推進協」総会にはかって最終的に決定しようとしている。
(ニ)日本共産党京都府委員会は、ことし六月に「建都一二〇〇年記念事業」についての「見解」を発表し、府民的討論をよびかけてきた。その中で、「歴史の大きな節目として『建都一二〇〇年』を住民本位に記念することは意義がある」との態度を明らかにするとともに、「今日まで、この記念事業の検討は府民不在のまま財界主導ですすめられており、このままでは財界に奉仕するものとなる危険がつよい」ことを率直に指摘し、記念事業を住民本位のものとするために、①検討のすすめ方、②内容や規模の両面で抜本的な転換が必要であることを主張してきた。また、わが議員団は、この立場で六月定例府議会において知事の見解を質してきた。
 「見解」発表後の四カ月間に、わが党・議員団の主張や府民の批判の前に若干の手直しがおこなわれてきたものの、府民不在、議会軽視、財界主導による検討という点では、何らその本質はかわっていない。
(三)何よりもまず、記念事業にたいする府民の声の反映はきわめて不十分なままである。「推進協」での記念事業の検討が非公開の企画委員会を中心におこなわれ、府民の声の反映が十分でないため、「推進協」と府民の間に記念事業にたいする意識の大きなズレがあることは、広くマスコミでも指摘されるにいたっている。京都市職労が最近おこなった市政アンケートの中で、「建都一二〇〇年記念事業などの催し」が「もっと力を入れるべき」ものの中で〝最低〟、「力を入れなくてもよい」ものの中で〝最高〟の数字を示したのも、記念事業の検討が府民不在のまま財界主導ですすめられてきたことの反映である。
(四)記念事業が財界奉仕のものとなる危険性も依然としてつよい。わが党・議員団は、六月に発表した「見解」や府議会の質問の中で、「京都経済センター」や「サイエンスタウン構想」についで問題点を明らかにし、財界奉仕のものとなる危険がつよいことを指摘してきた。これらの事業を含め、六つの記念事業案は、そのほとんどがこれから構想の内容を調査・検討するものであり、その意味でも記念事業として最終的に決定できるような段階にないことは明らかである。
(五)わが党・議員団は、以上の理由により十月中旬の「推進協」総会で記念事業を最終的に決定することは時機尚早であり、将来に大きな問題を残すことになると考えるものである。ましてや、推進母体をつくって強引にスタートすることは、とうてい認められない。「推進協」による今日までの検討内容は白紙にもどし、広く府民の声を反映させた検討を自治体が自主的におこなうよう改めて主張するものである。
 この立場から、林田知事が「推進協」総会での性急な決定に手をかすことなく、慎重に対応されるよう、つよく申し入れるものである。

以上

「建都一二〇〇年記念事業」についての申し入れ[PDFファイル 1ページ/219KB]