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「国際青年の年」にあたっての申し入れ

1985/02/12 更新
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「国際青年の年」にあたっての申し入れ

共産党・革新共同府会議員団


 二月十二日、共産党・革新共同府会議員団は知事に対し、「国際青年の年」にあたっての申し入れをおこないました。全文は次のとおりです。


 国際連合は、一九八五年を「国際青年の年」と定めている。これは「参加、開発、平和」のテーマのもとに、世界の青年のおかれている現状を直視し、青年の職業、生活、権利などに関する諸条件を改善し、世界の平和と開発に青年のエネルギーを結集しようとするものである。日本共産党・革新共同府会議員団は、この国連決定の趣旨を支持し、「国際青年の年」が次代をになう青年にとって真に実りゆたかなものとなるよう全力をつくすものである。
 わが国では、すでに世界のすう勢となっている十八歳選挙権がいまだに実現しておらず、本府の各種審議会に青年代表がくわわっていないなど、青年の社会的地位は依然として低い。
 府内の青年労働者(十五―二十九歳)は年々少なくなってきているとはいえ、二十七万人、全労働者の二三・二㌫を占め、京都の産業経済活性化の重要な役割をになっている。しかし青年労働者は、初任給抑制による年齢間賃金格差の拡大と劣悪な労働条件のもとに苦しめられ、「仕事や収入のことが一番気かかり」という青年(二十歳代)が四二・二㌫にも達している(昭和五十六年府民意識調査)。農業後継青年は、農業破壊の進行のもとで将来への希望がうばわれ、高校卒業生のなかでの農林水産業への就職者は○・三㌫と激減してきている。十三万人をかぞえる京都の学生も、学費の高騰と就職難、勉学条件の劣悪化に直面している。
 青年の平和への願いも、政府の軍事大国化の強行や舞鶴港の軍港としての役割強化などによって、危機にさらされている。
 本府における「国際青年の年」のとりくみは、なによりもこうした青年をめぐる緊急課題の解決を目標にしてとりくまれるべきである。
 日本共産党・革新共同府会議員団は、「国際青年の年」のとりくみを単なる一過性のキャンペーンに終わらせるのではなく、なによりも青年を独立した人格をもっだ主権者として尊重する立場から、青年の権利拡大と社会的地位の向上、教育と生活の改善、平和な未来を保障するための諸施策の推進の機会とすべきであると考える。その立場から、本府が当面、緊急に次の施策の実行にとりくまれるよう申し入れるものである。

一、五ヵ年の府内行動計画の策定

 青年の意識や労働、教育、余暇など全生活にわたる実態を調査し、広範な青年代表の意見や要求を反映して、五カ年の青年年府内行動計画を策定する。

二、社会的地位の向上

 公職選挙法を改正し、十八歳選挙権を早期に実現するよう政府に要望する。青少年問題協議会だけでなく、開発や労働等にかかわる審議会などに青年代表を積極的に登用する。

三、雇用における地位向上

(1)ILO一一一号(雇用、職業差別待遇)条約、同一三二号(有給休暇)条約、同一二二号(雇用政策)条約、同一四〇号(有給教育休暇)条約など青年労働者にかかわるILO条約を早期に批准し、国内法を民主的に改正するよう政府に要望する。
(2)大学生の就職難解消のために、無料で就職情報を提供する国立の「学生職業センター」を誘致するとともに、「京都府学生就職センター」(仮称)を設置し、京都の企業の求人情報の提供、就職斡旋、求人開拓などを一括しておこなう。思想・信条や二部学生、女子学生にたいする差別的とりあつかいがなくなるよう行政指導をおこなう。
(3)青年労働者にたいする賃金抑制に反対し、最低賃金の大幅引き上げ、初任給の引き上げ、男女賃金差別の是正、南部北部の地域別賃金格差の是正など、府として改善につとめる。
(4)アルバイト、パートで働く青年労働者の権利をまもり、一方的な解雇を防止するとともに、労災認定や保険適用、定期昇給、退職金など労働条件の改善のために行政指導をおこなう。「アルバイト一一〇番」を設置して各種相談に応える。
(5)伝統・地場産業や先端産業に働く青年労働者の技術力を向上させるために最新の技術や知識の講座を拡充する。職業訓練校において伝統産業の後継者養成のための科目を増設するとともに、コンピューター科をはじめ最近の産業構造の変化に対応した科目の増設をはかる。

四、生活向上と自主活動促進

(1)低家賃の府営住宅の建設をふやし、府下出身学生のためのインターカレッジ寮を建設するとともに、新婚夫婦が分譲住宅を購入するのにたいし、長期低利の特別融資をおこなう。青年向け下宿、貸間、アパートなどの礼金を低くおさえるよう関係業界に指導、援助する。
(2)「農業後継者育成資金」「林業後継者等養成資金」「漁業後継者養成資金」を拡充する。農林漁業後継者にたいする相続税負担の軽減を政府に要望する。青年が農村に残ることができ、Uターン青年が働ける場を確保する。
(3)三和町、大江町などで実施されている低利・無担保の結婚資金貸付制度を府で制度化するとともに、結婚祝金制度をつくり、過疎地の青年を激励する。
(4)府立施設の学生割引を実施するとともに、銭湯の料金にも学生割引が実施できるよう業界に働きかけ、割引援助金を支給する。
(5)ボランティア活動をおこなっているすべての青年サークルに助成する。京都府連合青年団にたいする事業補助を増額する。
(6)青年の文化・音楽活動のための「ヤングフェスティバルホール」(仮称)を建設する。
(7)野球場、テニスコート、卓球場など河川敷公園やスポーツ施設、公園の整備を促進する。府立高校の体育施設の充実を促進し、開放をすすめる。

 五、教育権の保障

(1)定時制高校生や二部学生の通学・勉学時間を保障するよう各企業等に指導するとともに、そうした勤労学生や生徒を雇う中小零細企業や雇用主にたいし奨励金を支給する。定時制高校生の夜間給食を充実し、負担を軽減する。
(2)勤労学生の府民税負担を軽減する。
(3)府立図書館の時間延長・日曜開館、府立資料館の時間延長・コピーサービス料金の値下げをおこなう。
(4)大学関係者の意見を尊重して府立大学に学部、大学院を増設する。
(5)府立高校、府立両大学の入学金・授業料を値上げしない。

六、平和と国際交流のために

(1)非核京都府宣言をおこない、核艦船の舞鶴港への入港、核部隊の京都府区域の通過に反対する。世界に誇る平和の京都としで、核保有国をはじめ、すべての政府による核兵器全面禁止国際協定の締結を全世界によびかける。
(2)青年を戦場にかりたて生命と自由を奪う徴兵制、憲法改悪の策動をただちにやめるよう政府にもとめる。
(3)高校生などへの自衛隊不法勧誘、青年・学生の自衛隊への体験入隊などをやめるよう強く申し入れる。
(4)「青年の船」など青年の国際交流活動は、平和と民族自決、自主、対等、平等の友好関係を堅持して積極的にすすめる。国際交流活動の参加者の人選は、すべての青年団体を対象に公平におこなう。

「国際青年の年」にあたっての申し入れ[PDFファイル 1ページ/305KB]