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同和行政是正に関する申し入れ

1986/08/21 更新
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同和行政是正に関する申し入れ

日本共産党・革新共同京都府議会議員団

一九八六年八月二十一日

京都府知事 荒巻禎一 殿


 わが議員団は、本府の同和行政が林田府政発足以来大きく歪められ、不公正なものとされていることを重視し、これが同和問題解決という本来の目的に逆行するものであることを指摘し、再三にわたってその是正を要求してきた。それは部落解放基本法制定要求京都実行委員会への本府の参加問題をはじめ、部落解放同盟に対する同和行政の「窓口一本化」容認、経営指導員の「解同」一元支配問題、「解同」の指導する部落史編纂事業や「啓発映画」制作に対する全面的助成問題、大学奨学金の法に反する事実上の給付継続、高校入試対策特訓用臨時講師採用問題その他行政の各分野にわたっている。これに対して府理事者はその一部について手直しを行ったものの、基本的には行政姿勢を変えようとしてこなかった。
 この状態のなかで林田前知事の肝煎りで育成してきた全日本同和会京都府・市連合会幹部による組織ぐるみの巨額脱税請負事件や、「解同」幹部による不法行為が発生、えせ同和団体が横行し、「解同」による確認・糾弾などが相次いでいることは重大である。
 去る八月五日、総務庁の地域改善対策協議会基本問題検討部会が同和問題解決の方策についての検討結果を報告、その内容が公表されたが、この報告書もまた同対審報告当時には触れられなかった同和問題解決の新たな阻害要因として、行政の主体性の欠如と、同和を口実とした利権あさりなどのえせ同和行為の横行を指摘している。さらにこの報告書は「糾弾権」の存在を否定するなど、無法な糾弾にきっぱりした態度をとるとともに、行政の主体性の確立と住民自立の視点を強調し、個人給付的施策の資格の厳正、所得制限導入その他を提起し、差別に対する法規制は政策論からも、法律論からも問題があり賛成できないとし、問題点を解明し明確に否定している。報告書のこれらの指摘は、部落の変化の状況と正しい部落解放運動のたたかいと主張を反映した積極的な指摘であり、わが議員団が本府の同和行政の重大な問題点として是正を要求してきた主張の正しさをより広い立場から裏書したものである。
 今日、京都市の不公正・乱脈な同和行政が生んだ公金詐取、不正流用が一部明るみに出はじめているか、本府においても今日の行政姿勢に固執し、不公正な同和行政を続けるならば早晩京都市の轍を踏むことになることは明らかである。
 わが議員団は同和問題の解決を促すとともに、本府が京都市の轍を踏み府民の行政への不信を生むような事態を招かないために、この際知事が地対協基本問題検討部会の今次報告書とわが議員団のこれまでの主張にもとづく同和行政の洗いなおしを真剣に行い是正をはかること、まず第一に荒巻知事が部落解放基本法制定要求京都実行委員会の名誉会長を辞めるとともに府として一切の関係を断ち、行政の主体性の確立に努められるよう強く申し入れるものである。

同和行政是正に関する申し入れ[PDFファイル 1ページ/277KB]