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申し入れ

宮津線の収支を明らかにすることを求める申し入れ

1988/05/02 更新
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宮津線の収支を明らかにすることを求める申し入れ


一、四月七日、国鉄再建法に基づき廃止決定されている宮津線について、特定地方交通線対策協議会は「地元自治体の意向に沿って、第三セクターの鉄道として存続させる」ことを決定した。宮津線は、北部府民の生活と産業、観光など地域の将来にとって欠くことのできない重要路線であるばかりか、特急、急行も運行され、幹線鉄道網を構成しており、日本海沿岸を縦貫する路線の一部として国民全体にとってもかけがえのない路線である。
 このように府民と国民にとって欠くことのできない宮津線を勝手な国の基準で廃止すると決め、地元自治体と住民に、「バスか第三セクターか」の選択を押しつけるやり方は、まったく卑劣なものであり、国と旧国鉄の責任を地元自治体と住民に転嫁することを正当化する手段にすぎないものである。今日の事態をつくり出してきた、国鉄再建法や国鉄の民営化をすすめてきた政府自民党と、これらの法案に賛成、協力してきた公明、民社、社会各党の責任が改めて問われるところである。

二、わが議員団はこれまでから、国鉄再建法による赤字ローカル線の切り捨ては、国民の足を守るべき政府の責任と、国鉄がはたさねばならない公共性確保の責任を放棄するものであり、採算性だけを基準にして宮津線を廃止対象路線にすることに強く反対してきた。そして、宮津線の廃止決定後も「JR西日本の責任において、引き続き運営すべきである」と強く主張してきたところである。
 ところが最近、「廃止」の前提の共通認識とされていた宮津線の「大赤字」が意図的につくりだされたものであり、実際の赤字額はきわめて少ないことが明らかとなってきている。
 過去に国鉄が発表した数字では、赤字額は約三十五億円から四十五億円であったが、わが議員団の調査では、JR西日本は六十二年度三千万円め黒字見込みをたてており、また、共産党国会議員団に対する運輸省の説明では、JR西日本は、管内の宮津線など七つの特定地方交通線に対する赤字補てん額は約五億円であったことを明らかにしている。さらに、知事自身も宮津線の収支見通しについで、「赤字額は一億円から二噫円」と述べている。
 加えてJR西日本は、六十二年度、宮津線を合めた全体で当初見込み七十八億円を大きく上回る大幅黒字となることを明らかにしており、六十三年度収支計画では一三六億円とさらに大幅な黒字を見込んでいる(三月二十九日発表)。

三、宮津線の第三セクター化の決定が「大赤字」を前提の認識として行われてきたことを考えると、その「採算性」についてでさえ重大な疑惑かあることが明らかになった今曰の段階で、宮津線の経営実態を府民に明らかにすることは、府民に対する知事の責務である。
 赤字額が数十億円でなく、一億円から二億円、あるいは黒字であるなら、当然「JRで存続を」という考えも十分成り立つからである。
 わが議員団は、以上の経過をふまえ、知事が第三セクター決定といこことで一路進むことを直ちにやめ、重大な疑惑について府民に明らかにするため、次の資料を緊急に公表することを強く求めるものである。
1、六十一年度までの旧国鉄時代の宮津線の収支及びその根拠となる資料。
2、JR西曰本による宮津線の六十二年度収支決算見込み及び六十三年度収支見通し。
3、第三セクターによる運営の場合の宮津線の収支見通し及びその根拠となる試算。
以上

一九八八年五月二日

日本共産党・革新共同議員団

京都府知事 荒巻禎一殿

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