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申し入れ

大阪ガス京都製造所跡地で発見された平安京初期の寝殿造り遺構の保存についての申し入れ

1988/05/10 更新
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大阪ガス京都製造所跡地で発見された
平安京初期の寝殿造り遺構の保存についての申し入れ

一九八八年五月十日

日本共産党・革新共同京都府議会議員団

京都府知事 荒 巻 禎 一 殿
京都府教育委員長 谷 口 良 三 殿


 今回、大阪ガス京都製造所跡地で発見された平安京初期の寝殿造り遺構は、「平安時代前期の寝殿造りと考えられる遺構は、今日まで絵巻物などの資料復原されていた姿を初めて具体的に明らかにした」もので極めて重要な遺構である。
 この発見は、建設史上はもとより、歴史学上画期的な発見と高く評価され、「平安京そのものの展開を考えて行く上で、極めて価値の高い資料を得たと言え、日本住宅史を考察する上でも重要なキーポイントを得たことになる」「寝殿造りに関する本格的な研究は始まったばかりで詳しいことはわかっていない。そうした意味で、今回、発掘された遺跡は大変貴重なものだ。今後の研究の発展のためにも、ぜひ保存してほしい」と、多くの関係者から保存を求める意見が出されている。坊条区画の最小単位である「町」の実態を明らかにするような発掘調査は、都心部に人家の密集している京都では、今後ともあまり期待できないだけに、遺構の全面保存を行い、今後の研究の蓄積による平安京の解明に資することが求められている。
 京都府中小企業総合指導所(地上5階、地下1階)がこの遺跡のうえに建設が予定されていることからも、京都府および京都府教育委員会の判断が重要である。
 埋蔵文化財は、いったん破壊すれば元に戻らない。貴重な国民共有の財産である遺跡、遺構の上での京都府の建設事業は、発掘調査を行ったうえで関係者の意見を聴き、事前に予定されていた設計を再検討するのが当然である。福岡市では古代に外交使節を迎えた鴻臚館の発掘で、平和台球場を全面移転することにしている。
 京都府が、平安京の科学的な研究とその歴史を引き継ぐ責任をはたすため、寝殿造りの遺構保存に積極的なイニシアティブを発揮することを求める。
以上

大阪ガス京都製造所跡地で発見された平安京初期の寝殿造り遺構の保存についての申し入れ[PDFファイル 1ページ/291KB]