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申し入れ

「大喪の礼」などに関する対応についての申し入れ

1989/02/20 更新
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議員団は二月二十日、「大喪の礼」を前に、知事、府教育委員長、議長に次の申し入れをおこないました。

「大喪の礼」などに関する対応についての申し入れ

一九八九年二月二十日

日本共産党・革新共同京都府議会議員団

京都府知事 荒 巻 禎 一 殿
京都府教育委員長 谷 口 良 三 殿
京都府議会議長 西 田 吉 宏 殿


弔意を強要すべきでない

 政府はこのほど、前天皇の「大喪の礼」が行われる今月二十四日正午に、国民に「弔意」の表明を求める方針を決めた。それによると、各省庁は弔旗を掲揚して歌舞音曲を伴う行事を控え、地方自治体や学校にも同様のことを要望すること、さらに国民に対し黙梼を捧げるよう協力を要請するとしている。政府が音頭をとった「協力要請」が強制に等しい意味をもつことは、天皇重体、死去に際して、政府の通達などを契機に「自粛」の風潮が広がった経過を見ても明白である。また、文部省は既に、弔旗掲揚とあわせて、児童生徒に前天皇への弔意の意義を教えるよう都道府県教委に通知している。
 しかし、前天皇葬儀にあたって国民に弔意を求めることは、憲法の主権在民の原則とあいいれない。まして、前天皇がもたらした侵略戦争の惨禍からみても国民の天皇への感情も一様ではなく、弔意を全国民に強要すべきではない。

政教分離原則にも反する

 また、「大喪の礼」の「式次第」では、「国の行事」として行う「儀式」と「皇室行事」として行う「葬場殿の儀」を一連のものとして行うとしているが、これは重大である。「大喪の礼」のために国費で造営された葬場で、神道形式に則った私的葬儀である「葬場殿の儀」を実施し、これに首相はじめ三権の長が参列することになっていることは、「葬場殿の儀」を国の儀式とするものである。このような「大喪の礼」は「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」(憲法第二十条第三項)という憲法の政教分離原則に反する行為である。
 また、御大典・大嘗祭の京都誘致の動きかおるが、これを提唱する財界首脳の発言などをみても、天皇を政洽利用して京都の地方政治を反動化することをねらったものであり、わが議員団は強く反対の意を表明する。
 わが議員団は前天皇の死去直後、主権在民に反する対応を行わないよう申し入れを行ったが、以上の立場から「大喪の礼」を前に改めて次のとおり申し入れるものである。

一、憲法の主権在民原則と政教分離原則に反する「大喪の礼」には参加しないこと。
一、「大喪の礼」に関する本府や学校への弔旗掲揚、弔意表明の要請については、厳重に抗議し撤回を求めること。
一、御大典・大嘗祭の京都誘致の動きにくみしないこと。
以 上

「大喪の礼」などに関する対応についての申し入れ[PDFファイル 1ページ/194KB]