資料ライブラリー

申し入れ

JR京都駅の改築案について(声明)

1990/08/07 更新
この記事は 3 分で読めます。

JR京都駅の改築案について(声明)

一九九〇年八月七日


1、京都駅開発準備会社は、昨日の取締役会で建都一二〇〇年記念事業の一環として計画しているJR京都駅改築の実行計画案を承認しました。今後九月に京都駅開発会社(仮称)を設立し、この実行計画案をもとに国際コンペで新駅舎を設計するとしています。計画案によれば「二一世紀に翔く京都の新都心の創造」を基本コンセプトに、三万七〇〇〇平方メートルの敷地に延べ二三万四〇〇〇平方メートルの駅ビルを建設することにし、整備する施設として駅施設一万平方メートル、六七〇室のホテル七万七〇〇〇平方メートル、京都最大の規模となる複合商業施設一〇万三〇〇〇平方メートル、一五〇〇席の文化施設九〇〇〇平方メートル、一二五〇台収容の駐車場、市民広場などをあげています。計画案では、具体的に駅舎の高さを設定していませんが、京都市は「デザインコンペ方式によるシンボル的な駅舎設計」という考え方を表明しており、あらかじめ超高層の建物となることを容認し、この方向に設計を促す方針となっています。高さ制限を緩和するならば、永年の努力で守られてきた「世界の共有財産」である京都の景観が玄関口から破壊されてしまいます。さらに想定されている一〇〇メートルを超える高さは、京都市の現行の高さ規制のワクを大きく突破するものであり、総合設計制度に続く新たな規制緩和の制度化を伴うものであり、市内中心部での超高層ビル化の突破ロとなるものです。私たちは、新駅舎ビルの改築にあたって容積率や高さの制限を緩和する特別扱いとすることに、断固反対を表明するものです。

2、京都最大規模の百貨店や専門店街を、JR各線、地下鉄、近鉄、バス路線の集中する最大のターミナルである京都駅に建設することは、京都市内はもちろん府内全域の商店街や小売商業の売り上げ減少を引きおこし、その衰退と崩壊を引きおこすことが予想されます。またホテルの建設は駅前はもちろん京都市内の旅館業に重大な影響を与えます。複合商業施設とホテルを設置しなければ駅舎とその開連施設だけとなり、わさわさ高さ制限や容積率の緩和をする必要は生じません。京都駅開発準備会社、および京都駅開発会社(仮称)に対しては、京都府と京都市が出資していますが、事業計画は、事実上JR西日本株式会社と京都財界の意向によって推進されており、府・市はこれを追認する立場に立っており、住民自治の立場からの公共関与とは言い難い状況です。この点では「国際コンペで設計する」としならがら、事実上あらかじめ設計者と特定するがごときことは許されません。私たちは、ホテルと大規模商業施設の導入計画を撤回し、駅舎改築では乗客サービスのための施設整備にとどめるべきであると考えます。

3、計画案はこのように建都一二〇〇年事業の一環と言いながら、大幅な商業施設の導入という点て、京都の発展にとって役立つどころか京都のまちと経済の破壊につながることが充分予想されます。これは、建都一二〇〇年事業か市民不在で秘密裏に京都財界の意向に沿った「京都改造」だけで進行しているからです。JR京都駅改築についても、建都一二〇〇年事業にふさわしく、全市民的な討論が行なわれるべきであり、「府・市民が主人公」の立場からの幅広い討議の場を保障することが必要です。
 私たちは、JR京都駅の改築にあたっては、JR東海道線によって分断され、京都市内の陰路となっている主要南北道路の改善のため必要な計画を早期に樹立することが必要と考えます。