中東紛争への医師、看護師派遣に反対する申し入れ、京都府議会を府民に公開し、住民自治の一層の前進を求める申し入れ、部落解放基本法制定京都実行委員会に関する申し入れ、JR京都駅の改築案について(声明)、「即位の礼」等に対して国民主義の立場での対応を求める申し入れ
申し入れ・声明
中東紛争への医師、看護婦派遣に反対する申し入れ
イラクのクウェート侵略に対して政府は、八月二十九日米軍を中心とする「多国籍軍」への実質的な支援を中心とした六項目の「貢献策」を決定し、その中に百人をめどに医療チームを緊急派遣するとしています。これに基づき文部省は八月三十一日、全国七九の医学部・附属病院を置く国公私立大学長に対し、中東の軍事紛争地域への医療チームの派遣に協力を要請する通知を出しました。その内容は、大学が速やかに派遣医師、看護婦など要員の人選にはいり、医師団派遣の時期、期限、任地などが明らかになった時点で、要員の推薦が出来るように求めているものです。
イラクのクウェート侵略は、クウェートの国家主権と国際法の原則を乱暴にふみにじるもので、わが議員団はイラク軍がただちに、無条件、完全撤退論と国連のイニシアティブによる平和的手段によって解決すべきものであり、日本政府は国連の政治的・経済的・外交的努力にこそ積極的に支援すべきであります。しかし「多国籍軍」への支援を中心とする・「貢献策」は、国際紛争での武力行使を禁じた憲法の平和的原則をじゅうりんするものであり、自衛隊の海外派兵などイラクの暴挙を悪用して憲法の改悪と、軍国主義の復活を計ろうとする策略も含まれており、断じて許せないものです。
また医療チームの派遣は、「多国籍軍」への支援としておこなわれる以上、軍事活動との区別が困難であり、憲法の平和的原則にてらしても行なうべきではありません。医療面での援助は、日本赤十字社などが人道上の立場から、あくまでも民間ペースで被害を被っている国民の救済に限定した医療活動を行い、それを国民的に支援していくことが最も適切な方法であります。
本府は一九八一年五月、三百万人以上を虐殺した残虐・非道なポルポト軍の治療のため、カンボジア難民キャンプヘ府立医科大学の医師、看護婦を派遣し、戦争加担を積極的にすすめて世論の批判をまねきました。今回の事態に対しては、憲法、地方自治法に基づいた慎重な対応がもとめられています。
わが議員団は以上の立場から、本府が「多国籍軍」への支援としておこなう医療チームの派遣に協力しないよう、強く求めるものです。
京都府議会を府民に公開し、
住民自治の一層の前進を求
める申し入れ
一九九〇年七月二六日
日本共産党・革新共同京都府議会議員団は、新庁舎建設設計費がはじめて計上された一九八七年秋の決算特別委員会で、庁台の整備が実施される機会に、委員会室一般傍聴ができるように整備をすすめることを提案しました。また、従来から委員会審議の議事録を作成することを提案してまいりました。
委員会審議の傍聴について、「議員の自由な発言が阻害される」「委員会室が狭く、傍聴席のスペースがない」と府民の一般傍聴を制限する議論が一部にありますが、委員会の審議も含め地方自治法第一一五条では、「議会の会議は、これを公開する」と、議事の公開の原則を定めています。
すでに、西田吉宏前議長は、}九八八年の決算特別委員会で、「一般傍聴についても、なおつめて、要望に応えられるよう検討をしてもらう」と答弁されています。また、議事録の作成についても、昨年の決算特別委貝会で、井上治議長は「前向きに検討したい」と答弁されてています。
さらに、府議会が、議員と府民が密接に連携を保つうえで、重要な場所であることはいうまでもありません。しかし、現在の議会棟は府民にとって必ずしも入りやすい状況にはなっておりません。府民が利用しやすく、入りやすくなるように整備をすすめることが必要です。
府庁舎の第一号館が完成し、今後、議会棟の整備が日程にのぼっている機会に、府民に開かれた府議会とするため、左記の項目を実現されるよう申し入れます。
記
1、委貝会での審議の一般傍聴ができるように、各委員会室を整備すること。
2、府民が府議会に来られたときに応対できる応接室、待合室や談話室を確保すること。
3、常任委員会、特別委員会、予算・決算特別委員会の議事録を作成すること。さしあたり、予算・決算特別委員会の知事総括の議事録を作成すること。
部落解放基本法制定京都実行委員会に関する申し入れ
一九九〇年八月九日
八月十一日に、部落解放基本法制定京都実行委員会が大会を開催する。
わが議員団は部落解放基本法なるものが、「解同」の引き続く利権あさりの手段であり、「差別」の拡大再生産をうながしこそすれ、差別解消とは無縁のものであることを明らかにし、自治体がこの運動に参加することの不当性を強調して、知事がこの名誉会長を辞任し府の加盟を取り消すよう再三にわたって要求してきた。今日まで辞任も加盟取消しも行なわれていないことは極めて遺憾である。
わが議員団は、役員改選など態勢整備が行なわれる大会を機会に、知事が名誉会長を辞任し府の加盟を取消し、本府がこのような運動と明確に絶縁するよう、あらためで申し入れるものである。
JR京都駅の改築案について(声明)
一九九〇年八月七日
1、京都駅開発準備会社は、昨日の取締役会で建都一二〇〇年記念事業の一環として計画しているJR京都駅改築の実行計画案を承認しました。今後九月に京都駅開発会社(仮称)を設立し、この実行計画案をもとに国際コンペで新駅舎を設計するとしています。計画案によれば「二一世紀に翔く京都の新都心の創造」を基本コンセプトに、三万七〇〇〇平方メートルの敷地に延べ二三万四〇〇〇平方メートルの駅ビルを建設することにし、整備する施設として駅施設一万平方メートル、六七〇室のホテル七万七〇〇〇平方メートル、京都最大の規模となる複合商業施設一〇万三〇〇〇平方メートル、一五〇〇席の文化施設九〇〇〇平方メートル、一二五〇台収容の駐車場、市民広場などをあげています。計画案では、具体的に駅舎の高さを設定していませんが、京都市は「デザインコンペ方式によるシンボル的な駅舎設計」という考え方を表明しており、あらかじめ超高層の建物となることを容認し、この方向に設計を促す方針となっています。高さ制限を緩和するならば、永年の努力で守られてきた「世界の共有財産」である京都の景観が玄関口から破壊されてしまいます。さらに想定されている一〇〇メートルを超える高さは、京都市の現行の高さ規制のワクを大きく突破するものであり、総合設計制度に続く新たな規制緩和の制度化を伴うものであり、市内中心部での超高層ビル化の突破ロとなるものです。私たちは、新駅舎ビルの改築にあたって容積率や高さの制限を緩和する特別扱いとすることに、断固反対を表明するものです。
2、京都最大規模の百貨店や専門店街を、JR各線、地下鉄、近鉄、バス路線の集中する最大のターミナルである京都駅に建設することは、京都市内はもちろん府内全域の商店街や小売商業の売り上げ減少を引きおこし、その衰退と崩壊を引きおこすことが予想されます。またホテルの建設は駅前はもちろん京都市内の旅館業に重大な影響を与えます。複合商業施設とホテルを設置しなければ駅舎とその開連施設だけとなり、わさわさ高さ制限や容積率の緩和をする必要は生じません。京都駅開発準備会社、および京都駅開発会社(仮称)に対しては、京都府と京都市が出資していますが、事業計画は、事実上JR西日本株式会社と京都財界の意向によって推進されており、府・市はこれを追認する立場に立っており、住民自治の立場からの公共関与とは言い難い状況です。この点では「国際コンペで設計する」としならがら、事実上あらかじめ設計者と特定するがごときことは許されません。私たちは、ホテルと大規模商業施設の導入計画を撤回し、駅舎改築では乗客サービスのための施設整備にとどめるべきであると考えます。
3、計画案はこのように建都一二〇〇年事業の一環と言いながら、大幅な商業施設の導入という点て、京都の発展にとって役立つどころか京都のまちと経済の破壊につながることが充分予想されます。これは、建都一二〇〇年事業か市民不在で秘密裏に京都財界の意向に沿った「京都改造」だけで進行しているからです。JR京都駅改築についても、建都一二〇〇年事業にふさわしく、全市民的な討論が行なわれるべきであり、「府・市民が主人公」の立場からの幅広い討議の場を保障することが必要です。
私たちは、JR京都駅の改築にあたっては、JR東海道線によって分断され、京都市内の陰路となっている主要南北道路の改善のため必要な計画を早期に樹立することが必要と考えます。
「即位の礼」等に対して国民主権の立場での対応を求める申し入れ
一九九〇年十月二十二日
政府は十一月十二日の「即位の礼」とこれに関連する一連の行事を決めた。今回の「即位の礼」の儀式は、戦前の天皇主権下で行われた「登極令」をほとんど踏襲したものであり、宗教行事、である「賢所の儀」や天皇が「高御座」から首相の「臣従」を誓う「寿詞」や祝賀を受けるなど、国民主権、政教分離という憲法の原則に反するものである。
また、十一月二十二日・二十三日に行われる「大嘗祭」も、支配下の各地から新米を「供納」させ、みずからも神の資格を得るという天皇家の宗教行事であり、これを公的行事として扱うことは憲法の国民主権、政教分離の原則を否定するものである。さらに、京都では、十二月三日に京都御所で「お茶会」が予定されている。
これらの儀式・行事が違反するものであるにもかかわらず、すでに全国知事会は即位を祝する献上物についての通知を各都道府県知事に送っており、また政府は、「即位の礼」当日、官公庁での「日の丸」掲揚を義務づけ、文部省からも、学校現場に「日の丸」を掲揚して祝意を表すよう、都道府県教育委員会へ要請しようとしている。
わが議員団は、このような事態が進行しているなかで、本府が、憲法の根本原則である国民主権、政教分離の原則を擁護・尊重し、地方自治と教育基本法を守る立場にたって対応されるよう、次の点について申し入れるものである。
一 「即位の礼」「大嘗祭」などに関するいっさいの奉祝行事・事業や献上物などの押しつけに反対し、これを拒否すること。
二 公的立場からの「祝意の表明」「天皇賛美」は行わず、府の施設・学校等での記帳所設置など国民主権に反する特別の対応を行わないこと。
三 府民、府職員、学校職員、児童・生徒に、奉祝行事への参加、「祝意」の強制を行わないこと。
四 「お茶会」の警備に関しては、行き過ぎた取締りなどで府民生活に影響を与えることのないよう慎重な対処をおこなうこと。
中東紛争への医師、看護師派遣に反対する申し入れ、京都府議会を府民に公開し、住民自治の一層の前進を求める申し入れ、部落解放基本法制定京都実行委員会に関する申し入れ、JR京都駅の改築案について(声明)、「即位の礼」等に対して国民主義の立場での対応を求める申し入れ[PDFファイル 1ページ/537KB]