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申し入れ

高浜2号機の運転再開は、安全性確保に求める京都府民に対する重大な背信行為。運転再開に抗議し、ただちに運転の休止を求める申し入れ

1991/01/14 更新
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 議員団は一月十四日、関西電力に対し、高浜2号機の運転再開について、次の申し入れを行いました。申し入れは西山、太田両府議、高橋昭三前府議、こくた恵二衆院一区候補、西山とき子参院選挙区候補が参加し、関電京都支社に文書を提出しました。

高浜2号機の運転再開は、安全性確保を求める京都府民に対する重大な背信行為。運転再開に抗議し、ただちに運転の休止を求める申し入れ

関西電力株式会社

社長 森井 清二殿

日本共産党京都府委員会
日本共産党・革新共同京都府議会議員団


 貴社の高浜2号機蒸気発生器細菅の大量損傷発生は、京都府民に原子炉の安全性に対し重大な疑問と不安を与えています。府民の懸念する声に応え、京都府議会は、昨年十月五日政府に対し「安全確保に万全を期す」ことを求める意見書を全会一致採択しています。また先月、当原子炉が安全性にかかわって京都府議会総務常任委員会が現地視察し、安全性確保の措置、体制について万全を期すことを強く求め、特に共産党議員は運転再開をしないよう強く求めました。
 しかるに、今回、貴社は、京都府民はもとより安全性に重大な危惧を抱いている国民が納得の行く根本的安全対策をなんら講じないまま、対症療法だけで「施栓率にはまだ十分な余裕がある」と営業運転を再開しようとしています。言うまでもなく、蒸気発生器は危険な放射能を原子炉内に閉じ込めて熱交換を行う重要な熱交換器であり、細管の破断事故はもとより、「施栓」の増加による熱交換機能の低下は原子炉の安全に極めて重大な影響をもたらします。運転の再開は、安全性に責任を持つべき貴社の責任を棚上げにする社会への背信行為と断ぜざるを得ません。
 貴社の意見広告(京都新聞、一九九〇年十二月二十九日付)では、「国より安全上問題ないと確認された五〇%というのは施栓率のことです」と説明されていますが、「安全」であるという技術的根拠は「国」からも電力会社からも全く示されたことはありません。貴社の申請どおり蒸気発生器細管の施栓率の上限が一八%から二五%に引き上げることを通産省が許可したことで、現在一七%の施栓率に達している高浜2号機の安全性が「心配するような数値ではありません」との判断には何ら合理性がありません。
 また、京都府民は蒸気発生器の安全対策を求めているのであって、意見広告にあるような、「経済的」理由で蒸気発生器の取り替えは決して求めていません。日本では前例のない蒸気発生器の取り替えは、建設時には全く予想されていなかった原子炉格納器に穴を開けることや放射能に汚染された古い蒸気発生器等の保管など、技術的にも極めて難しいものであり、安全性を確保するため極めて慎重な態度で臨むべきです。
 さらに、スリーマイルやチェルノブイリの原発事故は、当然、起こそうとして発生したものではなく、「チェルノブイリのような大事故になることはありません」というような断言は行なうべきではありません。曰本の原発が大事故をまぬがれてきたのは、被爆の経験を持つ国民の強い監視と批判によるものです。国や貴社などの電力会社が、日本の原発の安全性をことさらに強調されるのは、最も危険なことであると考えます。一方的な根拠のない安全宣言のもとで、高浜2号機の運転を再開することに府民が納得しないのは、むしろ当然のことです。
 日本共産党は、米ソで起こったスリーマイル島とチェルノブイリの二つの重大事故の教訓を汲み、政府・電力会社・原子炉メーカーから独立した「安全審査委員会」のもとで、安全基準を科学的に信頼できる内容のものに作り直し、新しい基準で点検を行なうことを要求しています。
 日本共産党は、貴社が、①事故とその処理に対する安全性軽視の体質が社会問題となっていることを深く自覚され、高浜2号機の運転を休止すること、②蒸気発生器の取り替えは、十分な安全性が確保され府民の合意が得られた上で行なうこと、③事故および安全性を確認するための技術情報を全面的に公開することを求めるものです。
以 上

高浜2号機の運転再開は、安全性確保に求める京都府民に対する重大な背信行為。運転再開に抗議し、ただちに運転の休止を求める申し入れ[PDFファイル 1ページ/191KB]