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政策と見解

林業振興と丹波広域基幹林道について

1993/02/15 更新
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林業振興と丹波広域基幹林道について

1993年2月15日
日本共産党京都府議会議員団


一、丹波広域基幹林道の建設の遅れは、国と府の責任

 いま、丹波広域基幹林道の建設が進められていますが、この計画は1985年に着工し、15年間で建設するというものです。しかし、8年目を迎えた段階で、例えば丹波美山線は総延長2万8400メートルのうち約7000メートルの進捗で、本来なら1万3000メートルに達すべきものが大幅に遅れています。この原因は、基幹林道全体の総事業費87億円に対し、国と府の予算がこの七年間で、わずか17億円に切り縮められているからです。
 一部に「建設の遅れが自然保護運動にある」かのような宣伝がされていますが、とんでもないことです。
 建設促進のためには、国と府に予算を増やすよう運動することが決定的です。


二、丹波広域基幹林道建設を求め、促進の請願に賛成した日本共産党

-林業者の立場で、林道の補助拡大、地元負担の軽減、立木補償などを要求-

 また、この林道建設に日本共産党が反対しているかのような議論がありますが、これも全く事実に反するものです。
 丹波広域基幹林道は、府の中部地域を東西に結ぶ基幹林道として、85年に着工されましたが、日本共産党府議団は、この建設予算に賛成し、同年の6月定例府議会では、間伐対策などとともに、これらの林業施策が一層拡大されて、本府の林業振興に成果をあげていくよう府の努力を求める質問をしました。また、起工式にも参列してお祝いもしてきました。
 さらに、昨年の12月定例府議会では、基幹林道の建設にあわせて葉脈となる林道や作業道の建設、林道の補助拡大や市町村負担の軽減等を求めて質問し、また、「丹波広域基幹林道の建設促進に関する請願」に他の党派とともに賛成し、請願を採択しました。
 しかもこの請願審査のなかでは、地元の人は、土捨て場のために土地を提供し、その上、30年生、40年生の杉などが切られても補償がない制度や、完成してもガードレール、ワイヤーの設置などが地元負担となっていることなどについても、具体的な対策をとれと要求し、府理事者に制度改善の検討を約束させてきました。
 このようにわが議員団は、現地に出向き、地元の意見を聞いた上で、議会で積極提案をしているのに対し、自民党や新政会などは「何ら問題ない」などと、無責任な態度をとっています。


三、林業と山村を衰退させた、対米依存の自民党政治

 林業を振興し、山村を活性化させるためには、林道建設だけでなく、国産材の利用拡大、林業経営への援助、雇用の拡大と労働条件の改善、所得補償、林産物振興などによる総合的な林業振興対策が必要です。
 ところが、自民党政府は、アメリカの内政干渉的な要求に屈して、外材依存、国内林業切り捨て政策を推し進めてきました。例えば輸入の40パーセントを占める輸入丸太は、関税がかからないしくみになっています。最近でも、90年4月の日米林産物協議では、アメリカの要求に屈し、建築基準緩和や関税の引き下げなどを受け入れました。こうして。米ツガ、米マツ、ラワン、北洋エゾマツなどの外材が大量に輸入され、1960年に80パーセントを堅持していた木材自給率は、急速に低下し、現在では30ハーセントにおちこんでいます。特に杉の代替材である米ツガの大量輸入で、国産の杉材価格が下落し、杉材生産を危機に追い込んでいます。
 また林業をささえる山村地域は、減反を始めとする農業の切り捨てや、バスなど地域交通の切り捨て、学校統廃合、診療所の縮少などで、生活自体が困難になってきています。こうした中で、90年の「農林業センサス」では、京都府の林業従事者は、80年の調査時より6割も減少し、若年層、特に15歳から24歳の若者が流出し、「4人に1人が高齢者」という自治体が続出しています。


四、自民党政府に追随する京都府政-「京都府森林・林業振興構想」の問題点

 京都府は91年9月に「森林・林業振興構想」を発表しました。この構想の特徴は、林業の厳しい現状は述べて、その対策と方向を示して・いますが、最大の弱点は、林業の危機に至った原因の解明がなく、したがって、外材輸入の規制という根本問題を避けていることです。真に林業振興の立場に立つなら、政府に対し、国産材でまかなえる針葉樹材の輸入を最小限に抑え、国産材の活用について抜本的な施策を講じるよう要請すべきです。
 もう一つは、後継者が少なくなり、地域自体が困難になっているなかで、大切な国土を守っている役割に応えて、生活できる所得保障を検討すべきなのに、これもまったく欠落していることです。
 生活できるような賃金・労働条件を保障する施策を打つことが決定的です。平成3年度版「林業白書」によると、平成2年度の林業労働者の平均賃金は、1日9460円で、年間200日働いたとしても、200万円にも及ばないという現状です。また、財団法人京都府林業労働者共済会が実施する、林業退職金制度は、当初長期にわたり山で働いてきた労働者にとって、それなりの励ましを与えてきましたが、この退職金制度が緊急事態的なもの(事故、山をあきらめ転職など)の穴埋めでしかなく、今日では、老後を支えるというものにはなっていません。


五、林業を振興し、山村を活性化させるための日本共産党の提案と活動

 林業を振興するためには、林業そのものの振興対策とともに、生活できる賃金や所得の保障、生活環境の整備を総合的にすすめる必要があります。


(一)国産材、府内産材の利用を拡大し、林業経営への援助を強める

 林道建設の促進、作業道建設の促進と補助拡大をすすめます。また間伐の促進、枝打ち補助、間伐材の活用をはかります。さらに府内産木材の活用・木造住宅融資制度、林業振興対策事業の機械購入に対する補助の増額、木材市場の整備、マツクイムシ防除対策、マツタケの環境整備などを要求します。
 これらの対策は府議会でも一貫して要求し、実現したものもありますが、一層の充実を求めていきます。

(二)林業と農業で生活できる条件を整備する

 林業と農業で生活ができるよう、林業労働者の賃金引き上げ、所得保障制度の確立が重要です。林業労働者や農業従事者は、森林や田畑を守り、国土と自然環境を保全しています。日本共産党は府議会でも、これらの役割を正しく評価して、地域で生活し、林業や農業に従事できるように保障すべきと要求しています。
 例えば兵庫県では、森林の持つ多彩な公益的機能を評価し、県民一世帯あたり40万円の値打ちがあり、それを守り育てる林業労働者に年40万円の賃金補償制度を確立して激励しています。また宮崎県では、森林の持つ公益的機能の維持増進を図るため「国土保全奨励制度」を研究し、林業経営の安定化と林業労働条件の改善、年金、所得保障制度の確立を検討しています。
 これらと比べて京都府の施策は極めて不十分です。せめて兵庫や宮崎のような対策をとるべきです。


(三)「集落の再編整備」を許さず、地域の生活・環境条件の整備を

 農政審議会は、農林水産省の「新政策」の具体的施策についての中間報告を発表しましたが、そのなかで「中山間地域」についての集落の再編整備をあげています。これは条件の悪い地域をもっと大規模に荒廃させる危険があります。
 日本共産党は、これに反対し、地域の生活・環境条件の整備をすすめます。過疎バスの廃止に反対し、路線維持のための補助の充実を要求します。また過疎地域の病院・診療所への医師や看護婦の確保への補助金の大幅増額を要求します。地域住民の合意のない学校の統廃合については反対するとともに、通学費の補助など勉学条件の確保に努めます。

林業振興と丹波広域基幹林道について[PDFファイル 265 KB]