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政策と見解

「拡声機規制条例」の可決にあたって

1993/03/16 更新
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 3月16日、拡声機規制条例が、自民、社会、公明、新政の賛成で可決されたのに対し、日本共産党府会議員団は次のような声明を発表しました。

「通常の宣伝活動は対象外」の答弁を確認
「治安条例」の本質は覆い隠せず


-「拡声機規制条例」の可決にあたって-


1993年3月16日
日本共産党京都府議会議員団


拡声機規制条例をめぐる取り組みの経過
2月26日 府会議員団が知事に拡声機規制条例案の追加提案を行わないように申し入れ--(資料1)

3月5日 京都弁護土会が条例に関する公聴会の開催、審議会の設置を求める2件の請願を提出

3月8日 議会運営委員会で府が追加提案予定の条例案を発表
府会議員団が団長談話を発表--(資料2)

3月11日 本会議で知事が条例案を提案
岩田隆夫議員、関矢昭議員が質疑に立ち、撤回を求め、追及

3月12日 警察常任委員会で条例案を審議

3月15日 日程を変更し、引き続き警察常任員会で審議後、採択
日本共産党の反対、自民・社会・公明・新政の賛成で可決
条例に関する3件の請願も不採択

3月16日 本会議で松尾議員が反対討論に立ち、その後、自民・社会・公明・新政の賛成で可決
日本共産党は付帯意見にも反対
府会議員団は「可決にあたって」の団声明を発表


 3月11日、予算案審議中の2月府議会定例会に、緊急追加提案された拡声機規制案は、本日、わが議員団のみの反対、自民、社会、公明、新政会の賛成で可決された。

条例案の撤回を主張し、徹底審議のため奮闘

 わが議員団は、この条例案の取り扱いと審議に当たって、議会運嘗奮貝会、同理事懇談会の場で、条例案の撤回を主張、さらに知事出席の特別委員会の設置や総務常任委員会、厚生労働常任委員会、警察常任委員会との連合審査の実施、府民の傍聴の実現や「公聴会」の開催、審議日数が不足した場合の継続審議など、十分な審議と民主的手立てをを取るよう主張し、奮闘した。


治安条例としての本質を暴露し、矛盾点を厳しく追及

 また、本会議と警察常任委員会での審議に際しては、議会外の反対運動と広範な府民世論と連携して、条例案の矛盾点を事実に即して具体的に追及、条例案の治安条例としての本質暴露と、条例案作成にいたる民主的手続の欠如、議案提出の異常さなど知事と府警本部の反府民的体質を暴露して奮闘した。
 審議を通じて、この条例が憲法違反の言論表現の自由の重大な規制の恐れのある権限を警察に与える治安条例である本質を暴露した。さらに、この条例が右翼の暴騒音による異常な妨害行動の取締りを口実にしながら、すべての拡声機使用者を規制の対象として言論表現の自由を妨害する加害者と、その被害者を一括一律に規制する条文になっている根本矛盾などを具体的に指摘、知事、府警本部長を厳しく追及した。この中で知事は「言論の自由と公共の福祉には十分意を尽くして規制に当たる。労働・市民運動などは、これまで通りであれば、条例適用の対象としない」、府警本部長は「通常の政治活動、労働運動などは条例の規制対象に入れない」、警備部長は「音量測定もしない」と言明せざるを得ず、議会としてこの言明を確認した。

府民の運動、世論と固く結んで

 これらは、この条例策定の動きのあった段階から、いち早く制定に反対し、反憲法的治安条例の本質を広範な府民に訴える運動を展開された、京都弁護士会や京都総評をはじめとする労働団体、民主団体、府民世論に押され余儀なくされた答弁であり、議会外の運動、世論と固く結んで、議会内で会議規則と与えられた議員としての権限をフルに活用し、道理と事実による指摘と追及、審議を進めた成果である。ねばり強く、広範な運動を展開された弁護士会はじめ運動団体のみなさんに改めて敬意を表するものである。


反憲法的本質を示した自民、社会、公明、新政

 一方、日頃憲法を守ると公言しながら、憲法で保証された民主主義の根幹である言論表現の自由を侵す重大な恐れのある治安条例の本質を持つこの条例に無条件に賛成、成立させた自民党、社会党、新政会は、自らその反憲法的体質を府民の前に露呈したものである。とくに、公明党は一貫して早期制定を主張してきたばかりか、本議会でもすべての審議の場でほとんど発言せず、原案無条件支持の立場を鮮明にして臨んだ。これまでにも「言論抑圧事件」や「盗聴事件」など反社会的問題を引き起こした創価学会とともに、同党の反憲法的体質を改めて府民の前に示したものであることを強調しておきた
い。


反動的発動を許さないたたかいを

 わが議員団は、今後とも府民の運動、世論と結び、この条例の持っ治安条例としての本質を軽視することなく、監視を強めつつ、反動的発動をさせないため、議会内外で引続き奮闘するものである。

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