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政策と見解

94年度京都府予算案について(談話)

1994/02/03 更新
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 府会議員団はは、2月3日、同日発表された九94年度京都府予算案に対するつぎのような談話を発表しました。

一、はじめに

 わが党議員団は、昨年11月に行った94年度予算に関する申し入れの中で、緊急不況対策、福祉の充実などを強く要求した。また、新年早々にも、ますます深刻化する不況の中で、知事選を前にした骨格予算編成という慣例を踏襲することなく、府民の切実な要求に応え、不況打開の積極予算を編成するよう求めた。
 しかし、本日発表された94年度京都府予算案は、このような立場からは程遠いものとなっている。すなわち、不況対策をはしめ農家の支援対策、生活福祉対策など緊急を要する施策は皆無に近い。また、新規事業もほとんど見るべきものはなく、大半の事業か全く昨年並みとなっている。これは、骨格的予算を口実に反府民的府政を湖塗しようとするものであり、府政責任を放棄するものと断ぜざるをえない。

二、府民要求からかけ離れた不況対策

 知事は予算編戒の中心の柱に「緊急・雇用対策」を掲げているが、その内容はとても府民の切実な要求に応えるものではない。
 融資対策も中小企業振興融資制度の一部について利子の引き下げと融資枠の拡大を行ってはいるか、本当に困っている、切羽つまった人たちを救えるものではない。小企業特別融資も融資枠は拡大されていない。今緊急対策として必要なのは、無担保、無利子、長期据え置きの特別融資と借入金の一時棚上げなどであるが、このような対策は検討もしていない。
 雇用対策も再就職面接会の開催などおよそ実効ある対策とは言えず、企業のリストラ・首切り合理化などに対する指導や対策はまったくない。
 中小企業・零細企業の仕事確保についても、単独事業の10%の伸びをもって「景気への配慮」などと言っているが、問題はその中味であり、住宅、学校、福祉施設など思いきって生活関連事業中心に転換すること、また、物品等も含めて巾小企業への発注を増やすことである。さらに、下請企業・業者に対する不当ないじめをやめさせる強力な指導が必要であるが、これらの対策もない。逆に「新分野進出支援」などと、大企業のリストラを補完する対策が目玉となっている始末である。また、商店街・小売市場など商工業者支援対策も従来の枠を一歩も出ていない。
 生活福祉対策として「暮らしの資金」の限度額の引き上げ、通年化こそ直ちに行うべきであるが、この当然な要求にも応えていない。


三、冷夏被害、コメ輸入自由化で苦悩する農家に何の激励もしない

 ガット「調整案」の受け入れ、コメの緊急輸入など、農業・農村対策はかつてなく重要になっているが、目ぼしい対策はまったくない。知事を本部長に「対策本部」を設置して検討を行うとしているが、その中味はコメ輸入自由化を前提として、「競争力のあるコメづくり」をめざし、「地域農場づくり」の名で規模拡大と効率化をはかっていくというもので、これは9割以上の農家を切り捨てる農業「新政策」の積極推進にほかならない。また、全庁的な体制で農村地域整備を総合的に進めるとしているが、「新政策」推進の立場からでは不可能である。
 農業・農村の活性化にとって、後継者・担い手対策の抜本的強化こそ必要であるが、農家の子弟がすすんで後を継げるような激励策をまったく行おうとしていない。展望をもって安心して農業に打ち込めるよう、価格・流通対策をはじめ、経営基盤を強化する積極的な支援策が必要であるが、価格・流通対策は、ブランド対策などにすぎず、まことにお粗末な限りである。
 中山間地では、ほ場整備田まで荒廃が拡大しているが、これらの対策もまったくない。また。傾斜地のは場整備は10アールあたり300万円を超えるなど農家負担の限界を超えているが、これに対する軽減措置はなく、このままでは農地の荒廃はいっそう進行せざるをえない。

四、大企業奉仕、府民犠牲の「民活」、「行革」路線

 バブル崩壊のなかで、行き詰まった「学研都市」や、完金に破綻した「丹後リゾート」を中心に、依然として大企業奉仕のやり方をすすめている。「学研都市」のまち開きフェスティバルなどに10億円近くもつぎ込む一方、「丹後リゾート」では大規模公園用地の取得を続けている。
 平安建都千二百年のいま、京都では、京都の豊かな景観を破壊するまちこわし、京都の活気を支えてきた伝統産業、中小企業の崩壊など、「京都が京都でなくなる」事態が急速に進行している。「記念事業」は、このような状態の下で、京都が京都でありつづけ、京都を支えてきた人々が住みつづけ、活気を取り戻せるまちづくりこそ、府政が最重点としてとりあげなければならない課題である。ところが予算案は、この繁急課題に逆行し、関連イベントのみに予算を投入するものとなっている。
 一方、福祉・医療・教育など府民生活にかかわる予算の多くは、据え置き、事実上の減額となっているものが少なぐない。生活保護費、暮らしの資金など、この深刻な不況のなかで、もっとも切実な府民要求となっているが、わずかな増にとどまっている。また、高い国民健康保険料(税)の引き下げ要求に対しても、これに応える補助拡大は行われていない。
 さらに、同和対策事業の終結、一般行政への移行が全国的流れとなっているなかで、依然として「解同」言いなりに135億位円もの莫大な同和予算を計上していることも重大な問題である。
 細川内閣が、「国民に目を向けた政治」とは逆に、保育制度の改悪をはじめ福祉・医療の切り捨てを進めているなかで、知事がこのような姿勢をとりつづけていることは、府民の暮らしを守る府政の責任を放棄するものとして、きびしく指摘せざるをえない。


五、府政の転換で再び府民の活力を

 数少ない新規事業のなかには、福祉のまちづくり推進費、乳幼児アトピー対策費などがあるが、これはわが議員団がかねてから要求していたものである。
 しかし、全体としては、極めて府民に冷たいものとなっている。それは、自民党府政16年の大企業奉仕、多数の府民きり捨ての政策を、戦後最大の不況のなかでよりいっそう強化しようとしているためである。
 わが議員団は、2月定例府識会において、このような府政の悪政を徹底追及し、府民の切実な要求実現に力を尽くすとともに、来るべき知事選挙において、府政の転換をはかり、府民の葬らし優先の府政を実現するために全力をあげるものである。