残生及び産廃処理施設設置に対する府の規制策(案)の提案について
日本共産党府会議員団は11月2日、残土及び産廃処理施設設置に対する府の規制策(案)を発表し、京都府に申し入れを行いました。
1、今回なぜこれを提起するのか
美山町をはじめとする産廃処理施設建設計画や、田辺町など府下南部での長期にわたる残土投棄など、府下一帯で残土、産廃問題はあとをたたない。他府県では、指導要綱や条例を制定し県独自で対策を強化しているが、京都府では何ら独自の対策を取らず、府の手ぬるい対応が頻発する問題の原因の一つとなっている。
府まかせせにできないことから、府下の市町村では条例制定などの努力がおこなわれてきた。しかし、市町村では指導の限界があり、この一年の間にも、府の毅然とした対応を求める決議が市町村議会で採択されるなど、産業廃棄物に対する直接指導責任をもつ京都府の対応が姿勢があらためて浮き彫りになっている。
わが党は産業廃棄物処理施設を否定するものではない。しかし、企業責任による産廃の火幅減量とともに、建設にあたって住民の合意の義務付けなど府の規制・指導を前提とすべきである。他府県の先進的施策も取り入れ、京都府がやる気になれば実現可能な、残
土・産売の処理施設建設規制対策を、以下提案するものである。
2、産業廃棄物処理施設指導要綱案、林地保全特別指導要綱案の二つの指導要綱で産廃処理施設に規制を
法規制のがれの悪質業者が絶えず、その典型が美山町の産廃処分場計画である。これは、山林6500㎡を伐採し、産廃の自家処分場2900㎡を建設する計画。これを対象とするのは、産廃法、及び森林法であるが、3000㎡未満の産廃の自家処分地であれば許可は不要、1ヘクタール未満の林地開発であれば、これも森林法の許可は不要となる。業者はこれを悪用し強引に計画を強行しようとしている。町あげて住民の反対運動を繰り広げられているが、産廃法規制対象外は、住民の同意も不用で野放し状態である。しかも、業者は同様の手口で、口丹三町でも問題を引き起こしていることからも、府の規制が早急に求められている。
したがって、2つの指導要綱制定を提起する。
(ⅰ) 産業廃棄物処理施設指導要綱案の特徴
・設置者が関係地域の住民に計画の説明と同意を得ることを求める。
・環境アセスメントや公害防止協定の締結を求め、府が施設の立入り権を有する。
・規制の対象を法の枠内より拡大。安定型鯉立て地の場合面積3000㎡以上を、1000㎡以上、管理型埋立て地の場合1000㎡以上を500㎡以上を規制の対象とする。
・産業廃棄物の県外持ち込みを原則禁止する。
(ⅱ) 林地保全特別指導要綱案の特徴
・0.2ヘクタール以上の林地開発について、隣地土地所有者や水源の安金確保のため開発地を含む水系から取水している自治会や水利組合などの同意を求める。
・開発地が水源や防災上、貴重な動植物の保護上必要な場合には開発計画の変更を求める。
3、ガイドラインの制定で、府下での建設残土規制条例制定を
建設残土を規制対象とした『法』がないため、残土投棄は事実上野放し状態となっている。そのため、「自治体の権限を活した規制を」との党や住民運動に押され、条例制定か進んできた。府下では田辺町の要綱を皮切りに(平成元年)、その他十の市町村が条例(田辺町以外は全て条例)を制定し、一定の効果をあげてきている。
しかし、田辺町では、要綱制定後も悪質業者がたえず、条例化へ向けて検討中である。また、条例のない加茂町や亀岡市などでも問題化しており、府下での問題を未然に防ぐ上でも、全府下での条例制定を促進する必要がある。
監視や、機動性が発揮しやすい市町村条例とし、千葉県のように府が各市町村に要請をする。その際に、府がガイドラインを示し。誘導していく。府条例とした場合、既に市町村で条例を作っているところとの関係、二重条例などの問題があり、市町村条例とする。
(ⅲ) 残土条例のガイドライン
①規制対象
・土砂の埋立て、及び土取について、300㎡以上を対象とする。
②市町村長の許可制
・各自治体の長による許可制とする。
③許可基準に盛り込むべきもの
・隣地地主、付近住民、及び自治会等の同意書。
・産廃や汚泥などの混入を防ぐため、土砂等の発生証明及び土壌検査表など。
④行政の指導権限
・改善勧告、代執行などによる原状回復などの改善命令、許可の取消。
・立入検査
⑤罰則
・無許可や違反、立入拒否などにたいしては罰則を設け、土地所有者と工事施工者の両方に適用。
・違反事実の公表。
⑥その他
・事業期間を限定し、事業内容を示す表示板を設置。
・作業時間を限定する。
4、現行法のもとでもできる対策強化を
田辺町では昨年の9月議会で、府の強力な指導を求める意見書が可決され、園部町でも、産廃の野積みの放置の問題から、府など毅然とした対応を求める決議が今年6月に採択している。
上記の規制策を待つまでもなく、現行でもできる監視体制の強化など不法投棄防止対策を抜本的に強化することを要求する。
産業廃棄物処理施設設置指導要綱案
第一 目的
(1) 産業廃棄物処理施設の設置に関し、設置者は自然の保護と生活環境の保全に寄与しなければならない。
(2) 設置者は、設置に当たって関係地域の住民に計画を説明し、十分に協議しなければならない。
第二 産業廃棄物処理施設の定義
(1) 産業廃棄物処理施設とは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第三〇〇号以下「政令」という)第七条各号に規定する施設。
(2) 前号に掲げるもののほか、これらに準ずるものとして定める産業廃棄物処理施設
①政令第七条十四号ロに規定する産業廃棄物の安定型埋立て地であって、面積が1000平方㎡以上300㎡未満のもの
②政令第七条十四号ハに規定する産業廃棄物の管理型埋立て地であって、面積が500平万㎡ 以上1000㎡未満のもの
第三 環境影響調査と事業計画書の提出
(1) 産業廃棄物処理施設を設置しようとするとき、設置者は大気汚染水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動悪臭、その他生活環境や自然環境の保全にかかわる環境影響調査を行った上、事業計画書とともに知事に提出しなければならない。
第四 計画の公告・周知及び、説明会の開催による関係住民の同意
(1) 知事は事業計画書の提出について、関係地域に公告しなければならない。
(2) 設置者は、産業廃棄物処理施設の事業計画書を作成した旨、周知に努めなければならない。
(3) 設置者は、事業計画書および環境影響調査書の説明会を開催し、隣接地主、自治会、付近住民の同意を得なければならいない。
第五 指導または勧告
(1) 無事は、関係市町村長および関係住民の意見に十分配慮し、生活及び自然環境の保全上の立場から設置者に対して、事業計画への必要な指導または勧告を行うものとする。
第六 公害防止協定
(1) 設置者は事業計画の実施に当たって、関係住民または関係市町村長との間に、公害防止協定を締結し、無事は必要な助言を行うものとする。
第七 立ち入り検査
(1) 知事が必要とする場合、産業廃棄物処理施設及び産業廃棄物を排出、処理する事業者の事務所また事業場、産業廃棄物処理業者の事務所または事業現場を検査することができる。
第八 府外の産業廃棄物持込み
(1) 京都府の区域外の処理場で発生した産業廃棄物は、京都府の区域内においては処理することはできない。ただし、知事の承認を得たときはこの限りではない。
林地保全特別措置要綱案
第一 目的
この要綱は、森林開発等に関し、必要な事項を定め、もって林業の健全な発展に資するとともに、自然の保護と環境の保全を図ることを目的とする。
第二 林地の保全
府は、林地の開発行為により、形質の変更{以下「開発行為」という)をしようとする開発行為者及び土地所有者にたいして、次に掲げる林地について必要な場合には計画変更を求める。
(1) 水源林地域及び・これに準ずる地域の林地
(2) 農耕地または農用施設の保全上特に必要と認める林地
(3) 地域防災上特に必要と認める林地
(4) 郷土の環境保全上重質な林地
(5) 学術的に重要な植物群落等を含む林地
(6) 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律及び文化財保護法で保護された動植物の生息区城を含む林地
第三 林地の開発行為の協議、指導または勧告
(1) 市町村は、0.2ヘクタール以上の林地について、開発行為者及び土地所有者が開発行為をしようとするときは、当該開発行為者から土地所有者との関係を明らかにした書類を添付した事業計画と、隣地土地所有者、当該開発を含む水系から取水している自治会及び水利組合等の同意書を提出させ、これに当該市町村長の意見書を添え、事前に開発行為の内容につき知事に協議させなければならない。
(2) (1)の協議があった場合に、第二(1)から(6)までに掲げる林地について必要があると認めるときは、当該協議の申出者に指導または勧告するものとする。
第四 伐採行為に対する協議、指導または勧告
(1) 伐採面積が0.2ヘクタール以上の林地に係る立木竹を伐採しようとするものは、第三により協議する場合を除き伐採行為をしようとする区域を管轄する市町村長の意見書を付して、知事に協議しなければならない。
(2) 知事は、(1)の協議があった場合に第二(1)から(6)までに掲げる林地について必要があると認めるときは、当該届出者に指導または勧告するものとする。
第五 協議に対する処理
(1) 知事は第三の(1)による協議があった場合に、指導または勧告の措置の必要がないと認め、かつ、別に定める設計基準にその内容が適合するものである時は、当該申出者に協議に係る開発行為をしても差し支えない旨を通知するものとする。
(2) 知事は、第三の(2)第四の(2)に定める指導または勧告するときは当該協議申出者または届出者に文書を持って通知する。
第六 状況報告等
(1) 第五の(1)の同意を受けた開発行為者は、工事を着手する前に標識を開発区域内の見やすい場所に提出するものとする。
(2) 開発行為者は、開発行為の施行状況について、三ヵ月ごとに報告書を管轄する市町村長を経由して知事に提出するものとする。
(3) 開発行為は、開発行為の完了したときは、管轄する市町村長を経由して、速やかにその旨を知事に届けるとともに、協議事項の確認を受けるものとする。