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政策と見解

「政治倫理確立のための京都府議会の議員の資産などの公開に関する条例」および「京都府知事の資産等の公開に関する条例」制定にあたって

1995/08/30 更新
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● 府議団は30日、「政治倫理の確立と資産等の公開に関する条例の制定にあたっての見解と提案」を発表しました。
 条例案の検討は、議会運営委員会理事懇談会でおこなわれていますが、自民党、新政会、公明・新進党、社会・さきがけ・府民連合が、「自治省の準則どおりでよい」とするなかで、日本共産党は、より実効あるものにすべきとの立場から、この「見解と提案」を理事懇談会に提示していました。
 「見解と提案」では、自治省が示している準則は不十分で、腐敗政治の根本である企業・団体からの献金を受け取らないことなどを盛り込んだ「政治倫理基準」を設けること、資産等の公開の対象を議員や知事等本人に限らず配偶者や扶養親族名義のものなどを加えることなどを提案しています。

「政治倫理確立のための京都府議会の議員の資産などの公開に関する条例」および「京都府知事の資産等の公開に関する条例」制定にあたって

-日本共産党府会議員団の見解と提案-

1995年8月30日


 1992年(平成4年)12月に制定された「政治倫理の確立のための国会議員の資産公開等に関する法律」第7条に基づいて、都道府県および指定都市の議員ならびに都道府県知事および市町村長の資産等の公開について、1995年(平成7年)12月31日までに、条例を制定し、必要な措置を講ずることとされた。
 わが党議員団は、府会議員ならびに知事等の資産公開条例を制定することは、政治倫理を確立し、府民の政治への信頼を確保するうえで必要なこととして、賛成である。
 同時に、この「資産等公開条例」が、金権腐敗政治と利権政治を生み出さないための実効あるものとするため、わが党議員団としての見解を明らかにし、制定すべき条例の内容について提案を行なうものである。
 府議会各会派の積極的な賛同を求めるものである。


-条例制定にあたっての基本的考え方について

 そもそもこうした条例の制定が求められるようになった背景には、リクルート事件、佐川急便事件、金丸不正蓄財事件にっづき、仙台市や茨城県をはじめ国と自治体にかかわる公共事業発注をめぐるゼネコン汚職事件の続発など、金権腐敗政治への国民・府民の大きな怒りの広がりがある。したがって、条例制定にあたっては、金権腐敗政治の根絶と、政治への信頼の回復にとってなにがもっとも必要かという立場から、検討が行なわれなければならない。
 そのためにもっとも必要なことは、腐敗政治の根本である企業・団体献金を完全に禁止することである。改正された政治資金規制法が政治家個人などへの企業・団体献金を禁止したものの、政党および政党が指定する政治資金団体については、企業・団体献金を認め、政治家が指定する資金管理団体についても、改正法の施行後五年間は、企業・団体献金を認めており、政治家が政治団体を通じて企業・団体献金を受け取ることができる抜け道を残したものとなっている。
 こうしたもとで、制定すべき条例においては、政治倫理基準として企業・団体からの献金を受け取らないことや国民の批判の強い政治資金集めのためのパーティーなど行なわないことなどを明確にする必要がある。
 また、すでに国会議員や国務大臣の資産等の公開が行なわれているが、これに対しても、「これが果たして公開の名に値するのだろうか」(「日経」7月4日)と批判の声は厳しく、国民の期待から見て、きわめて不十分なものとなっている。こうした批判にたえうる実効ある条例を制定することが求められている。
 こうしたことから、府会議員の資産公開制度について、その実効性を確保するために、自治省が示した準則にとどまらない、公開の対象および範囲の拡大、「審査会」の設置、府民等の調査請求権の保障などが必要である。
 なお、知事の資産公開条例の制定も準備されているが、対象を知事のみとせず、副知事および出納長の特別職についてもその対象とし、府会議員と同内容の政治倫理の確立と資産公開の内容とすべきである。

二 「京都府会議員の政治倫理の確立・資産などの公開に関する条例(案)」の大綱

1 条例の目的

 府議会議員が、政治倫理の確立と政治腐敗の防止をはかるため、政治倫理基準を自ら定め、資産等を自ら公表することによって、府民の知る権利を保障してその信頼を確保し、もって公正で開かれた府政の発展に資することを目的とする。
 (知事の資産等公開条例については「知事等の政治倫理の確立・資産等の公開に関する条例」とし、対象に副知事、出納長を含めるものとする。)

2 政治倫理基準

①企業・団体からの寄付などを受けないこととしヽ自らかかわる政治団体を通じてのものも同様とすること。また、政治資金集めのパーティーは行なわないこと。
②京都府が行なう請負契約および一般物品納入契約に関じ特定の業者の推薦、紹介をしないこと。
③ 府民の代表者としてその品位と名誉とを損なうような行為をつつしみ、その職務に関し、不正の疑惑をもたれる行為をしないこと。

以上三つの致治倫理基準に反する行為によって府民から疑惑をもたれたときは、自ら潔い態度をもって疑惑の解明にあたるとともに、その責任を明らかにするよう努めなければならない。


3 資産等の報告書の提出

ア 報告の対象

 府会議員およびその配偶者と扶養親族名義のもの。後援会役員や会計責任者など他人名義であっても実際上本人ののものを含む。

イ 報告書の提出

 任期開始後百日以内に議長に対して提出する。

ウ 報告を行なうべき資産等
 自治省準則の規定に加えて、以下の点を補足する。
①土地およびその地上権、賃借権については、報告義務者となって以降取得したものについては、取得価格も報告する。
②預貯金については、当座預金、普通預金、通常郵便貯金についても、それらの合計が百万円以上の場合報告する。
③「自動車、船舶、航空機および美術工芸品(取得価格が百万円をこえるものに限る)」の規定については、取得価格だけでなく、時価が百万円をこえるものを対象にし、貴金属等も加える。

エ 資産等補充報告書の提出
 自治省準則は、増加した当該資産等のみを報告させる制度となっているが、資産等の透明性を確保するため、資産等の増減について、資産等補充報告書を提出する。

4 所得等報告書、関連会社等報告書の提出
 自治省準則の規定に加えて、所得等報告書においては、所得税、贈与税等の国税、地方税の納入額および未納額を報告し、およびそれらの申告書等の写しを添付すること。

5 資産等報告書等の閲覧、写しの交付、保存
 資産等の報告書、資産等補充報告書、所得等報告書、関連会社等報告書は、閲覧に供するとともに、請求により写しの交付を認める。保存は十年間とする。

6 審査会への送付
 議長は、提出された資産等の報告書、資産等補充報告書、所得等報告書、関連会社等報告書の写しを知事あてに送付し、知事は審査会に提出するものとする。


三 「資産公開等審査会条例(案)」の大綱

1 資産公開等審査会の目的
 「京都府議会議員の政治倫理の確立・資産等の公開に関する条例」および「京都府知事等の政治倫理確立・資産公開に関する条例」の規定に基づく資産等報告書、資産等補充報告書、所得等報告書ならびに関連会社等報告書(以下、資産等報告書等という。)について、必要な審査を行なうために審査会を置く。

2 審査委員の選出
 知事が学識経験者および府民のうちから選任し、議会の同意を得て委嘱する。委員は七人とし、任期は二年とする。

3 資産等報告書等の審査と公開、審査結果報告書の提出および閲覧等
 知事は、議長から送付された資産等報告書等および知事等の資産報告書等を審査会に提出する。
 審査会は原則として公開とする。審査会は審査結果報告書を知事に提出し、知事は、府議会議員の審査結果報告書を議長に送付する。
 審査結果報告書は、資産等報告書等と同じ方法により、閲覧、写しの交付、保存を行なう。

4 府民およびその他の調査請求権
 何人も、資産等報告書等に疑義を認めたときは、これを証する資料を添え、文書で議長(知事等にあっては知事に)あて調査を請求することができる。議長は、これを知事に送付し、知事は審査会にこれを提出し、審査を求めるものとする。

5 資料の提出等
 審査会は、審査に必要があるときは、資産等報告書等の提出義務者およびその他の関係者から事情聴取を行ない、資料の提出を求め、調査を行なうことができる。

6 報告義務の不履行、虚偽報告等の公表
 議長は(知事等にあっては知事は)審査会が審査結果報告書および前項の調査において、提出義務者に資産等報告書等の提出の遅滞、虚偽の報告、および事情聴取や資料提出要請等調査に非協力等の事実があったと認定する場合はその旨を広く公表しなければならない。


以 上