12月定例府議会で、可決された意見書について(談話)
12月定例府議会では、「生糸の内外価格差解消に関する意見書」「高速増殖炉『もんじゅ』の安全対策に関する意見書」が可決されましたが、党議員団の見解について報告しま
す。
生糸の内外価格差解消に関する意見書について
一、意見書は府の重要な伝統・地場産業である西陣や丹後の危機的な状況を打開するため、府議会として初めて現行輸入規制措置の強化を求めたものである。これは、西陣・丹後の深刻な事態、その下での止むに止まれぬ、切実な要求を反映したものであり、わが議員団としでも大いに賛成である。
一、西陣・丹後をけじめ、わが国和装産業の深刻な不況の根底に社会変化、生活変化とあわせ、長引く不況の下での長期にわたる需要の減退がある。和装需要の喚起が叫ばれて久しく、業界、産地をあげてさまざまな努力が続けられているが、依然として厳しい状況が続いている。
これに拍車をかけているのが、近年、急激に増加している和装品の逆輸入である。丹後ちりめんの生産量は、最高時の四分の一以下に激減する一方で、それを上回る逆輸入が行われているのである。
党議員団はかねてより、輸入規制こそ、西陣・丹後をはじめ、和装産業の再生の緊急課題であることを強調し、府として、業界への指導その他、可能な対策を講ずること、また、政府に強く働きかけるべきことを提起してきた。しかし、残念ながら、輸入規制の課題は、府としても、また議会でも行動の課題とはなっていない。一昨年、昨年と二回にわたって政府に提出した本府議会の意見書も、その内容は、生糸の一元輸入制度徹廃に関するものであり、関税引下げを求めるものであった。
一、「完全自由化」の問題点については、この数年来、逆輸入が拡大され、業況がますます深刻化する中で、一元輸入制度撤廃が最大の課題として強調されてきた。このような中で、党議員団は、一元制度の撤廃が必ずしも間題解決のカギとはなりえないことを指摘しつつ、輸入規制こそ抜本的解決の道であることを強調してきた。また、ガット・ウルグアイラウンド交渉の進展の過程において、これが大幅な関税の引上げ、内外価格差の一層の拡大をもたらすことを指摘し、ウルグアイラウンド合意の受入れ阻止を強く訴えてきた。今日の事態は、わが党のこの指摘どおりとなっている。
これに対し、セーフガードは、本議会でも明らかにしたとおり、大幅に条件が緩和され、政府の決断一つで、文字通り国際的に認められたルールにのっとって発動することができ、WTO協定の改定を待たずにできる、より現実的、実効的措置である。また、近年の国際糸価の変動をみても、完全自由化が、必ずしも安値安定をもたらすものでないことも明らかである。
一、今回の意見書は、一方、二国間協定等の輸入規制強化が初めてうたわれているのであるが、セーフガード発動要求を前面に押し出したものではない。セーフガードの発動を求める声は、桐生などの和装産地を持つ群馬県をはじめ、皮革業界を抱える奈良県、最近ではサケ、マス輸入の激増に苦しむ北海道などでも、道知事が発動を求める意向を表明するなど、次第に大きな動きとなりつつある。和装関係で国内最大のシェアを占める西陣・丹後を持つ京都で、しかも産地崩壊の危機に瀕している今こそ、この声をますます大にしていくことを強く訴えるものである。
以上
高速増殖炉『もんじゅ』の安全対策に関する意見書について
一、高速増殖炉「もんじゆ」の事故原因の徹底究明と安全対策の確立、連絡体制の見直しなどを求める意見書が全会一致で可決された。
一、この事故は動燃が開発している高速増殖炉「もんじゆ」が12月8日夜、二次系冷却材のナトリウムが漏れ、火災を起こしたものである。
一、「もんじゆ」計画が始まって以来、七千億円もの巨額が投じられているが、設計ミス、燃料製造ミス、また増殖炉のかなめとなる高速増殖炉の使用済み核燃料の再処理の見込がまったくたっていないなど、次々と問題点が露呈してきた。しかし「核燃料リサイクル」政策の一環として動燃と政府は、国際的に撤退している「もんじゆ」の試運転を強行し、高速増殖路線の開発をすすめてきたのである。
一、今回の事故について住民側は早くから不安を指摘し、それが現実となった事故と受け止めているのに対して、動然側は、根深い安全神話、ごう慢な態度から事故の真の原因を見ようとしていない。また、今回の事故で、動燃が火災発生を確認しながら、事故マニュアル通りに原子炉を即時停止させなかったうえ、周辺自治体への事故通報も遅れた。
一、そういう点から「もんじゅ」の安全対策が確立されるまで、政府は運転を再開させないよう指導すること。今回の事故原因と事故対応について、徹底した調査・検討をすべきという意見書にわが議員団は賛成した。同時にわが議員団は、「核燃料リサイクル」政策を抜本的見直しをおこなうことを求めていく。
以上